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2024年12月

2024年おすすめランキングTop20

 小説の読書記録。

今年、新規で読んだ小説は143冊。
昨年よりもさらに減っているなぁ。

今年は仕事をセーブして
家を回すのに力入れたこともあり、
通勤時間が激減。

その結果、読書時間が減ってしまった。
減ったと言ってもおかしなくらい読んでるが。

今年読んだ小説のTop20

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2024年おすすめランキング

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20位 黒牢城(米澤穂信)

 米澤さんの直木賞受賞作。
黒田官兵衛が牢の中で安楽椅子探偵する。

19位 鳥人王(額賀澪)

 額賀さんによる、マイナースポーツ小説。
今回は、棒高跳びである。

18位 幽世の薬剤師(紺野天龍)

 薬剤師の異世界転移ものだけど、
かなりガチの異世界ミステリー。

17位 あの夏、二人のルカ(誉田哲也)

 読みやすい青春バンド小説。
ラストがとてもよかった。

16位 僕たちがゲームに人生を賭ける理由(涌井学)

 こちらは、青春eスポーツ小説。
下手に恋愛にしない分、面白かったな。

15位 プリテンドファーザー(白岩玄)

 一人で子育てするシングルファーザー二組が、
同居して協力して子育てする話

14位 終活シェアハウス(御木本あかり)

 60代後半のおばさん4人が共同生活する話。
多様性の時代、こういうのもいいよね。

13位 冬期限定ボンボンショコラ事件(米澤穂信)

 米澤さんの、小市民シリーズ完結編。
ようやく、二人のなれそめが明かされる。

12位 山の上の家事学校(近藤史恵)

 男でも家事できなきゃまずい。
でも、家事できるだけじゃだめ。

11位 葉桜の季節に君を想うということ(歌野晶午)

 古典的なミステリーではあるんだけど、
これは読んどかなきゃいけないやつ。

10位 レーエンデ国物語(多崎礼)

 2024年本屋大賞5位。
久々の、重厚なファンタジー。

9位 ノウイットオール(森バジル)

 読者だけがすべてを知っている。
違うジャンルの小説を組み合わせた連作短編集

8位 うまいダッツ(坂木司)

坂木さん得意のコージーミステリーお菓子つき。
非常にゆるい高校生の部活が魅力的。

7位 コロナと潜水服(奥田英朗)

奥田さんの短編集だけど、
ここから見事に奥田さんにハマった。

6位 地雷グリコ(青崎有吾)

今年のミステリランキングを総なめ。
好きな人にはめちゃくちゃぶっ刺さる。

5位 スピノザの診察室(夏川草介)

「神様のカルテ」と違う舞台、キャラだけど、
共通の空気感をもつ、夏川さんの真骨頂。

4位 成瀬は天下を取りにいく(宮島未奈)

今年の本屋大賞第1位。
これがデビュー作で、さらに続編も面白い。

3位 一線の湖(砥上裕将)

「線は君を描く」の続編なんだけど、
水墨画の描写の熱量がすごすぎる。

2位 Spring(恩田陸)

天才を書く天才の恩田さんによるバレエ小説。
「俺は世界を戦慄せしめているか?」

1位 この銀盤を君と跳ぶ(綾崎隼)

綾崎さんが挑んだフィギュア小説。
タイプの違う二人の天才の争い。

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 なんか、私の趣味が偏っているのがわかるなぁ。
いい年して、青春スポーツものが好きらしいよ。

 そういえば、本好きの下剋上が入っていないね。
もちろん、全部読んでるし、今でも大好きなんだけど、
私の中では、去年の最終巻が素晴らしすぎて、
そこで終わっちゃった感じなんだろうな。

 

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#読めよ薬剤師2024

年末恒例の企画、#読めよ薬剤師2024。
去年から主催者がほどほどさんに変わってるけど、
規模は変わっていない、かな。

ある意味、このブログはこの企画のために
読書記録つけてるところもあるので、
もちろん、今年も参戦する。

2023-2024年に発刊された書籍、という縛りがあるけれども、
まぁ、気にせずに選んでいいんじゃないだろうか。

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まずは、フィクションから。

スピノザの診察室」(夏川草介)

 2024年本屋大賞第4位。

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「神様のカルテ」で大ヒットを飛ばした夏川さんの、
新たな医療小説。

 ただ、テーマはかなりかぶっていると感じた。

 本作は、京都が舞台である。
そして、おいしそうな和菓子がたくさん出てくる。

 また、家族とのかかわりも重要なファクターの一つ。

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 愛読書は、スピノザの「エチカ」らしい。
神様のカルテは、夏目漱石だったよね。

 神様のカルテとの類似点はかなり多いなと感じた。

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 何が違うのか?というと、
単純に、神様のカルテはすでに10年前の話だということだ。

 当時とは、医療環境が異なる。
高齢者を無理に延命しないのは、
もはやメジャーになりつつあるよね。
10年前だと、まだまだ珍しかった気がするが。

 この10年で社会、医療の在り方が変化して、
また、作者の夏川さん自体も、変化というか進化している。

 もちろん、変わるだけではなくて変わらないものもある。
だいたい、スピノザのエチカっていつの時代だよ?w
でも、今でも読まれてるんだもんね。

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 このあたりのミックスが、読んでいて心地よい。
神様のカルテは、もちろん続編が出ているけれども、
こちらは続編でこそないものの、
今の時代に合わせた「2.0」という印象を持った。

 読む方の私も進化してるのかな?
さすがに、スピノザはハードルが高くてなかなか読めないが。

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 2つ目は学術系

がんはどうやって治すのか」(ブルーバックス)
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 国立がん研究センターから出ている、ブルーバックス。
ブルーバックスなんて読むの、何年ぶりだ?
下手したら学生時代以来かも知れない。

 がんの治療法に関する教科書のような本。
発売は2023年12月なので、現時点での最新の知見だ。

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 現在のがんの治療法は大きく4つ。
「手術」「放射線」「化学療法」「免疫療法」

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 この4つが、4本柱として紹介されている。
私の知識では、3本柱だったので、
いつの間にか「免疫療法」が柱になっている、
ってことだ。

 ターニングポイントになったのは、
免疫チェックポイント阻害薬。
本庶さんがノーベル賞とった研究。

 オプジーボ、キイトルーダという薬は、
日本での売り上げが年間1位、2位だ。
どちらも免疫チェックポイント阻害薬。

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 まだまだ昔からの薬も使われているけれど、
治療の選択肢が広がった感じがする。
20年前にくらべても、
「がん」は治る病気になってるな、と思う。

「標準治療」がかなり進化してるな、と。
がん保険とかでも、先進治療まで含めた商品が
主流だったけど、あれ、いる?

 先進治療は、「まだ効果の確定していない治療法」
健康保険の利く標準治療がここまで進んできたら、
先進治療を使うメリットってほとんどないんだけど。

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 何にせよ、情報のアップデートが大事。
がんに対する怪しい民間療法とか、
まだまだ古い知識でやってるとこも多いから。

 いまや、がんは治る病気ですよ、と。
アップデートしていこう。

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 余談だけど、私は医療情報のアップデートに、
専門書だけではなくて、一般向けの新書もよく読む。

 もちろん、研究者やアカデミックな人は
もっと専門的な本を読んだ方がいいだろうけれども、

町の薬屋のオッサンなら、
この程度の知識でも十分じゃないかな、と思う。
専門書より読みやすいしね。

読みやすさって、結構大事なのよ。

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最後は、問題作。

安楽死が合法の国で起こっていること」(児玉真美)

 正直、この本は賛否両論あると思う。
諸外国の状況から「すべり坂」の問題点はわかるんだけど、
この人自体が障碍者のお子様をもつ当事者なので、
その視点からの意見が、主観的すぎるのね。

 でも、そう思う人もいる、ってのは大事なことだし、
ネット上の論調だと安楽死賛成の方が圧倒的多数だから、
「いや、そうじゃないんだよ」という反対意見は、
もっととりあげられていいと思う。

 もっとも、児玉さん自身は
安楽死反対派、という訳ではない(と自分で言っている)が。

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 言葉の問題から。
「尊厳死」と「安楽死」は違う。
日本では、「積極的な治療を行わない」という
尊厳死は認められている。

 安楽死は、積極的に安らかに命を終わらせる、
という行為で、日本ではまだ認められていない。

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 この辺、フィクションとしては、
南杏子さんの「いのちの停車場」で取り上げられている。

「今後、回復の望みは皆無であって、
 耐え難い痛みが続くだけの状況で、
 無益な治療を続けるのは、患者を苦しめるだけ」

 という状況であれば、安楽死は肯定されるのでは?
という問いかけだ。

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 おそらく、児玉さんもこの状況であれば、
安楽死を否定されることはないと思うんだが。

 じゃぁ、何が問題かっていうと、
最初はそういう限られた条件でのみ認められていた安楽死が、
運用していくうちにどんどんハードルが下がっていくこと。
筆者は、これを「すべり坂」と呼んでいる。

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 いま、高齢者医療とかで医療費の無駄使いが言われてるよね?
あれって、少なくとも現役世代では共感する人が多いと思う。

 でもさ、社会の要請として考えてみると、
「今後も医療費を莫大に使う人」に対してはさ、
安楽死してもらった方が、社会の負担は楽」なのよ。
これはもう、絶対的にそうだよね。

 莫大な費用と手間をかけて、生活を保護してあげて、
ヘルパーを手配して、医療費もかけて・・・。

 経済的な面だけで見るとさ、
「さっさと死を選んでくれた方が、社会のため」
になってしまう。

 だから、社会の側が簡単に「安楽死」を提案してしまいがち
そして、どんどん安楽死のハードルが下がっていく。
これが「すべり坂」

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 念のため。
これは、私がこの本をそう読んだ、というだけで、
児玉さんの意見とは違うかも知れない。
(少なくとも、ここまで直接的には書いてない)

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 私は、これがキリスト教社会でおこっていることに
びっくりしたんだけど。

いや、宗教は何をしてるのさ?と。

 この辺の話は、社会科学というよりも、
倫理や宗教の問題じゃないの?
ようは、やり方はともかく、
「自殺を肯定する」社会でいいのか?と。

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 これが暴走すると、ナチスみたいになるよね?
「ユダヤ人は生きているだけで罪」
として、強制収容所におくって虐殺したんでしょ。

たとえば、同じことが障碍者相手におこらない、と
言えるかい?
実際、そういう妄想にとりつかれた事件もあったし。

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 積極的安楽死を支持するか、しないかは別として、
こういう視点もあるんだよ、というところで
読んでみてほしい。

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 うーん、今年はなんか、薬剤師らしくないラインナップかも。
まぁ、薬剤師らしい専門書は、たぶん他の人が
たくさん上げてくれると思うので。

 私は、少し外れたところを攻めたほうがいいでしょう。
(ということにしておこう)

 

 

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フィギュア全日本2024

 年末の恒例行事、フィギュアスケートの全日本選手権

 今年は大阪だったので、2年ぶりに現地観戦。
2日目のチケットが取れたので見に行った。

 といっても、フィギュアの人気は下降気味。
羽生弓弦、浅田真央の時代には考えられないが、
チケットをとるのも簡単になっている。

 宇野くんも引退しちゃったしねぇ。
新たなスターを待っている感じ。

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 アイスダンスは、正直、誰も知らんかった。
でも、4ペアもいて、そこそこレベル高い争いしてるみたい。
かなだいの参入の影響で、注目が集まって選手が増えたのかな。

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 ペアも4ペア。
2年前に見に行った時は、りくりゅうが欠場して1ペアだった。
滑る前から優勝が決まっている、という状況だったのに。

 りくりゅうが世界トップクラスで戦っているので、
世界選手権の出場枠が複数で取れているのに、
選手がいなくて派遣できない状況だった。

 逆に言うと、ある程度の技術があれば、
シングルよりも簡単に世界にいける状況な訳で、
シングルスケーターから転向したペアがでてきた。

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 もちろん、優勝はりくりゅうで別格。
でも、2位の長岡-森口ペアは、結成2年目で、
ペアとしてかなり完成度が上がってきている。

 ツイストは、りくりゅうのみ3回転で、
他は2回転がやっとだったけど、その中でも
長岡ー森口ペアは、完成度の高いダブルツイストだったし。

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 あと、ソロジャンプは下位のペアの方がレベル高い。w
もともとシングルスケーターだったからなぁ。
りくりゅうは、3回転の中では簡単なトーループ(しかも失敗)だけど、
普通にルッツ飛んでるペアもいた。

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 何にせよ、ペア、アイスダンスはずっと不毛の時代だったけど、
そこをこじ開ける選手が出てきて、後続が育ってきたのはいいこと。
特に、長岡-森口には期待している。
りくりゅうがトップを張っている間に、どんどん成長してほしい。

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 さて、男子シングル。

 これはもう、織田信成に尽きるだろう。
37歳で復活してきて、普通に4回転を決めて。

ショートプログラムでは、まさかの「マツケンサンバ」で
会場を熱狂させて、5位。最終グループ入り。
これはもう、伝説でしょ。

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 二日目のフリーは現地で見たけど、
誰よりも盛り上がっていた。

 フリーでは4回転失敗したし、
さすがに、若い子と同じようなプログラムは無理。
でも、ジャンプの着地とか見てると、

「ああ、織田くんだなぁ」と思った。
唯一無二だよね、あの着氷。

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 実は私は、かなりの織田君ファンで。
前に引退した時の「ウィリアムテル序曲」の動画、
まだお気に入りに残ってるし。

 あの時、採点終わった後に、これから滑る高橋大輔に
エール送ってたんだよねぇ。

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 今回も、次に滑る三浦カオにエール送ってたよ。
今回はさすがに、代表選考にかかることはないから
という気楽さはあるけど、それでも20歳近く年下に対して
エールを送る織田君、素晴らしいよね。

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 さて、織田君以外。

 これが、ものの見事にこけまくった。
有力とみられていた山本くん、佐藤くん、三浦くんが
失敗続きで点数を伸ばせない。

 チャンスだったのは友野くんだ。
ショートプログラムでも、上位陣が崩れてて、
最後の3Aをきれいに決めてれば、首位まであったのに
ステップアウト。もったいない。

 それでもショート3位できてて、
上位陣がのきなみ崩れてて。
びしっと決めれば、世界選手権の代表あったのになぁ。

 最初の3つの4回転。一つもクリーンに決まらなかった。
あぁ、やっぱり友野君だ。

 それでも、後半は完璧。お見事。
さすが、エンターテイナーだ。
しょうじき、不安なジャンプよりも最後のステップの方が
見せ場だし、それはみんなわかってるから。w

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 2位に入ったのは中田リオ。
ジュニアだから、代表選考にはからまないけれども
見事な演技だった。

 これまでの悪い流れを一人で断ち切ってほぼノーミス。
終わった後はリンクに大の字で倒れこんだ。
スタンディングオベーション。

 最初の4Loがめっちゃ綺麗だったし、
ジャンプを決めるたびにガッツポーズして
観客をあおっていく感じ。

 なんか、優等生な鍵山くんに対して、
かなりやんちゃな感じがしてて面白かった。
あと、ハーフというのもあって華があるよね。
かっこいい王子様。

 新たなスター候補誕生、という2位だった。

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 優勝はもちろん鍵山くん。
宇野くんがいなくなったら、実質鍵山くんしかいないよ。
最初の4Fは、とてもきれいに着氷。とんでもない美しさ。
いや、本当に4回転したの?って言いたくなるくらい見事。

次の4Sも完璧すぎて笑う。一つ一つの4回転の質の高さは異常。

あと、去年くらいから表現力も爆上がりしていて、
ジャンプだけじゃない、魅せるプログラムになってる。
その辺は、佐藤くんや三浦カオにはまだまだ届かない次元。

 こちらもほぼノーミスで通して、
リンクで大の字。(リオの真似じゃないのか?w)

 フリーで200点超える偉業を達成して初優勝。

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 さて、女子シングル。

 こちらは、坂本香織の4連覇がかかってた。
今の女子だと、坂本がダントツで、続いて千葉。
そこから少し離れて3位グループが団子状態。

 みどころは、ジュニアの島田麻央がどこまで迫れるか。
4Tに3Aまでもってるから、技術点では坂本の上を行く。

 ジャンプがハマれば、初優勝もありえた。

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 ショートでは、上位陣はほぼ失敗なく進んで、
坂本1位、島田が3A決めて2位。千葉が3位。
休養明けの樋口が4位だった。

 70点超が6人と異常にハイレベルな争い。

フリーでは、上位陣に小さなミスが相次いで、
なかなか順位を上げられない。
 そんななか、樋口がクリーンな演技でトップに。

3番手、千葉は珍しくぼろぼろと崩れて、
表彰台を逃してしまう。

 新旧エース対決は、坂本が完璧な演技で4連覇達成。
島田は4Tが失敗したのが痛くて2位に終わった。

 まだまだ表現面では坂本に遠く及ばない。
技術点ではともかく、演技構成点で大差つけられてる。
それでも、4Tさえ決まってれば逆転はあったのが
恐ろしいところ。

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 男子も女子も、ジュニアがしっかり結果を出したけど、
まだトップには立てなかった、と。

 フィギュア人気も落ちつつあるので、
ここらでスターが欲しいところなんだよ。
その意味で、ジュニアの二人は期待がもてるけど、
ルール改正の関係で、次のオリンピックは
出られないんだよなぁ。あと5年、待てるか?

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 代表選考は、もめるだろうな、と思ったけれども。

男子は、鍵山、佐藤、坪井。
坪井くんは、今回ショートで失敗してかなり出遅れたけど、
フリーでほぼ完ぺきな演技を見せて3位フィニッシュ。

ジュニアの中田くん除けば実質2位だしね。

あとは、三浦、佐藤、山本の争いだけど、
総合的にみて佐藤、になったみたい。

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 女子は、坂本、千葉、樋口。
これは順当じゃないかな。正直、坂本、千葉までは確定で、
あと一人を選ぶ感じではあったけれども、
順位的にみても樋口だろうなぁ。

 今回は、五輪出場枠もかけた争いだから、
確実に3枠を取りに行きたいよね。
若手に経験を積ませるような余裕はないな。

 

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読書記録 2024.11

2024.11の読書まとめ(読書メーター

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9月は25冊読了。

小説(新規)12冊、小説(再読)4冊
学術/ビジネス 11冊、エッセイ/その他 5冊

今月は、久々の1日1冊超ペースで32冊。
ゲームがひと段落ついて落ち着いたから?

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 今月の3冊。
まずは小説から。

婚活マエストロ」(宮島未奈)

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 デビュー作の「成瀬」が本屋大賞の宮島さん。
続編も好調だけど、成瀬以外の作品として出てきたのが、
こちらの「婚活マエストロ」

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 40歳、フリーライターの独身男性が、
婚活パーティーに参加する、というお話。

40歳という年齢も絶妙にやばいし、
いわゆる婚活あるあるを詰め込んでいて、
刺さる人にはめちゃくちゃ刺さると思う。

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 もともとは、婚活なんかする気なかったのに、
成り行きで婚活することになってしまい、
さらに成り行きでパーティーの主催者側に回ってしまう。

 物語の舞台は静岡県なのに、
婚活バスツアーで、なぜか琵琶湖のミシガンが出てくるのが
宮島さんらしい。(成瀬は滋賀のお話だから)

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 特長としては、うん。
めちゃくちゃ読みやすい。
いや、成瀬以外でも全然すごいよ、この人。
ちゃんと追いかけてみたくなった。

 ただ、ヒロインの「婚活マエストロ」かがみんの
ビジュアルがちょっと思い浮かばなかったなぁ。
アラフォーの美女、としか。

 むしろ、成瀬よりも映像化しやすそうな気がするんだけど、
どうだろうか?

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 次、学術系

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医療現場のアンガーマネジメント入門」(大浦裕之)

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 おもに病院でも、パワハラ撲滅のためのお話。
どうしても、医師によるパワハラが多い職場。
でも、そのために逆に医療安全にかかわることがある。

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 医師としても、命がかかっている状態でミスされると、
そりゃあ怒るのも仕方ないところはあるけど、
あんまり怒りすぎると職場が委縮してしまって、
かえってよくない結果を招くことあるよね。

 そうでなくても、パワハラで訴えられることはありえるし。

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 どうやって怒りを鎮めるのか、というお話。
たいていは聞いたことのあるお話だったけれども。
よく聞く「とりあえず6秒待つ」というのも、
一応医学的に根拠はあるらしい。

 有効なのは、物理的に距離を取ること。
怒りの感情がでてくるのはしょうがないけど、
物理的に距離をおけば、直接ぶつける(=パワハラ)ことは
少し防げるのかな?

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「私は今日、怒りません」というノーアンガーデイの発想は
面白いと思った。

 どういうときに怒りを感じるのか。
自分で整理して理解しておけば、
コントロールしやすくなる。

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 私は、非常に気が長い方であるけれども、
それでも怒ることはあるからなぁ。
何とかハラ、と言われないように気を付けないと。

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 最後。エッセイ。

医者の父が息子に綴る人生の扉をひらく鍵」(中山裕次郎)

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「泣くな、研修医」シリーズの作者で、医師でもある中山先生が、
息子にあてて、書いたというエッセイ集。

 作家としての顔しか知らなかったけど、
この本を読む限りでは、中山先生、外科医としても一流だ。
すごい。

 何がすごい、ってその努力量だろう。
他人の3倍くらい練習してる。

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 ただ、面白いのはちゃんと自分の失敗談も書いているところ。
そんな失敗、逆境の中でも、
ちゃんと解決法を探し出して前に進んでいくパワーがすごい。

 私ならうまいこと逃げてしまいそうだなぁ。

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 努力できることが、一番の才能なんだと思う。
死ぬ気でやれば何でもできる、っていうけど、
普通の人は死ぬ気で努力できないんだよ。

 私は、子どもたちにそこまで伝えられているかな?
私が伝えられることがあるとすれば、

「人生、いろいろあるけど、割と何とでもなるよ」

 人生のレールなんて一つじゃないし、
少々外れても気にすることないよ、ってことかな。w

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