2024年12月の読書記録
(読書メーター)
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年末年始は忙しくて、
いつも何をアップしていたか確認してしまう。
#読めよ薬剤師のあと、
おすすめ小説Top20あげて、
12月の読書記録あげてから、
一年のまとめ?
ややこい。
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12月は26冊読了。
小説(新規)14冊、小説(再読)3冊
学術/ビジネス 5冊、エッセイ/その他 4冊
苦戦する本があったので、冊数は少な目。
仕事も忙しかったので、読書できない日もあった。
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今月の3冊
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小説
「ノウイットオール」(森バジル)
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少し前に読んだ「ミステリーツアー」に紹介されていて、
気になったので読んでみた。
5つの連作短編集で、話がつながっているタイプ。
いわゆる、私が好きなやつ。
だが、この5つの小説のジャンルが全部違うってのは、
ちょっと真似できないんじゃないだろうか。
1作目が推理小説なので、推理モノと思いきや、
次は漫才にかける青春モノになり、
そうかと思えば、ぶっとんだSFになり、
異世界ファンタジーまでつないで、
恋愛ものでシメ。
しかも、それぞれにクオリティが高い。
なんだこれは。なんでこんなことできるんだ?
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特に、漫才小説のネタがすごくて、
これ、本気でお笑い目指したんじゃないの?
ってくらいネタが考えられてあった。
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これでいて、話が全部つながっているんだけど、
SFを含んでいるもんで、過去?未来?
よくわからんけど、伏線がいろいろうまってそう。
ただ、作中でははっきり種明かしされていないし、
登場人物も謎が解けている訳ではない。
ただ、読者だけが、関係性を理解できる。
だから、「ノウイットオール」というタイトル。
これがデビュー作ってすごいな。
このレベルの作品を書き続けられるのか?
というのがちょっと気になるところだけど。
でも、これだけ書けたら小細工しなくても、
普通にいけるんじゃないかな?
ちょっと、追いかけてみたい作家さん。
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次。
「無人島のふたり:120日生きなくちゃ日記」(山本文緒)
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いや、2冊目は通常、学術系なんだけど、
この本は、日記というか、エッセイというか、闘病記。
でも、余命4カ月を宣告された末期がん患者さんの
闘病記だから、勉強にもなるかな、と思ってここで紹介する。
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山本さんは、もともと作家。
作家さんが、がんにかかった経験を書いた本としては、
西加奈子さんの「くもをさがす」もそうなんだけど、
本作は、治らない。
膵がんのステージIV、余命4カ月と宣告される。
しかも、化学療法がしんどすぎて拒否。
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いわゆるターミナルの患者さんなんだけど、
そういう患者さんがどういうことを考えているのか。
どういう治療を受けているのか、体調変化は。
もちろん、薬剤師として処方箋を受け取ることは多いけど、
その後、患者さんがどうやって毎日を過ごしているのかは
ほとんど想像できないから、
そういう意味で、すごく勉強になった。
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体調の良い時はカフェにでもいける。
しんどい時は、ずっと寝ている。
あと、ステロイドですごく体調がよくなる。
4ヵ月は、短いようで実は長い。
もちろん、人によって違うのは当たり前だけど、
一つのケーススタディーとしてすごく勉強になった。
作家さんだから、言葉が読みやすく、わかりやすいし。
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読み物としてもよいし、勉強にもなる。
何とか120日は持ったけど、そこからプラス何日か、
で亡くなられている。
でも、少なくとも120日は文章を書く力があったわけで。
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一つ思ったのは、緩和ケアの力。
化学療法がしんどすぎたので拒否したんだけれども、
山本さんの場合はそれで正解だったように思う。
抗がん剤入れたほうが、生活は保てなかっただろうし、
これほど穏やかな日々も送れなかったんじゃないだろうか。
結果として、宣告されていた余命より生きたわけで、
多くの人に会うこともできた、と。
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緩和ケアは、化学療法が効かなくなってからする治療、
と思われているけれども、本当はそんなことはない。
最初からやっても構わない。
もちろん、ステージIVの膵がんじゃ、
他に大した治療はできなかった、ってのはあるけれども。
私の身近には、まだがんで亡くなった人はいないので、
患者さんの気持ちが少しわかって、よかった。
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最後。
「国家はなぜ衰退するのか」(上 下)
(ダロン アセモグル、ジェイムズ A ロビンソン)
2024年のノーベル経済学賞を受賞した二人の代表作、かな。
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2023年のノーベル経済学賞の方の本も読んだけれども、
ノーベル経済学賞って、一般書である程度内容わかるのね。
いや、物理学や医学生理学は、本読んでわかるような話ではないので。w
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地政学とか、いま、はやりだけど、
同じような地理条件でも、
なぜ繁栄している国とそうでない国があるのか。
それを考察していく本。
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結論だけ書くと、包括的(民主主義)な社会であれば
経済は発展していく、ということ。
収奪的(一部の支配階級が富を吸い上げる)社会では、
イノベーションが起きないので、発展が滞る、と。
本当に、それだけだ。
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邦題は、「なぜ衰退するのか?」だけど、
実質は、「なぜ成長しないのか?」かな。
特にアフリカや中南米が、なぜ発展できないのか。
そういう話がメインである。
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当然、読者として気になるのは、日本、中国の話。
日本は衰退している、という人もいるけれども、
この本ではもちろん、衰退していない。
いや、アフリカなんかと比べれば、
圧倒的に成功してるよ。w
なので、どうすれば日本の衰退を防げるのか、
という論点は全くない。
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中国は、というと、
まずは毛沢東、文化大革命あたりの失敗があって、
そこから鄧小平が自由化に舵を切った。
そこが、「収奪的社会」から「包括的社会」への
切り替えで、そこから中国が圧倒的に発展していった、
という流れになる。
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いや、今後どうなるのさ?
そこは、わからない。
ただ、共産党の一党独裁である以上、
どこかで頭打ちになってしまう可能性は高い、と読めるかな。
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もちろん、欧米の経済学者の意見なので、
これが絶対に正しいと言えるわけではないけどさ。
でも、アフリカや中南米に関しては、
なぜ発展できないのか、に対する答えとして
ある程度的をえているように思うな。
日本、中国の今後に関しては、わからんけど。
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イギリスで産業革命が最初におこった理由として、
名誉革命があったから、ってのは腑に落ちた。
絶対王政では、技術革新はおこりにくい。
新しい技術を提案しても、保守派につぶされてしまうから、
モチベーションがあがりにくいんだって。
そりゃそうだ。
その点、イギリスは絶対王政ではなかったから、
イノベーションが起こりやすい環境にあった、と。
なるほどね。
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ただ、この本は上下巻で結構分厚いから、
これ読むのにかなり時間食ってしまった。
後半は、読み飛ばした部分も多い。
だって、新しい話なんてほとんど出てこなくて、
ひたすら自説の補強となるような話ばかりで。
未来予測に役立てばいいんだけど、
経済学って未来予測苦手だよね、たぶん。
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