疑義照会

ロキソプロフェン、食前投与

 ひさびさの疑義照会実例

 患者さんは40代の男性。

処方実例)

(般)ロキソプロフェン錠60mg 3錠
1日3回 毎食前 3日分

.

 以上。

 ロキソプロフェンは、汎用される鎮痛解熱剤。
市販でも売られている。ブランド名ロキソニンの方が有名。

 頓服で服用することもあるんだけれども、
できれば食後に服用することが望ましいとされている。
食前だと胃を荒らしやすいので。

.

 で、この処方である。

 ロキソプロフェンをわざわざ食前投与する理由は何

.

 何らかの理由があるのかも知れないけれども、
これは当然、疑義照会の対象である。
食前投与なんて、添付文書に定められた用法と異なるし。

 単に、食後の書き間違いかなぁ、とも思ってみたり。

 ただ、そこそこ大きな病院だったので、
そんな間違いするかなぁ?とも。
何らかの処方意図があるのかも知れない。

 で、FAXで処方意図を問い合わせてみたところ。。

.

「食前30分前に服用するように指示しています。
 食事中の痛みを和らげるためです。」

.

……なるほどね。

 患者さんに聞いてみたところ、
のどの痛みがひどく、食事が摂りにくいとのことだった。
で、食事中の痛みを取るために、食前服用、と。

 ロキソプロフェンはかなり即効性が高いから、
30分前くらいでも効果はあるだろう、と。

.

 うん、患者さんに聞いてみたら何てことはない話だった。(苦笑)
それでも疑義照会は必要だったんだろうけど。
前もって患者さんに確認できていたら、疑義照会は回避できたかも。

.

 もっとも気の利いた病院なら、
最初から処方コメントを入れてくれるところもある

 これは疑義照会かかってくることは明白だろうから、
できれば一言、コメント欲しかったところだ。

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堺市立総合医療センターの対応

あまり(というか、ほとんど)処方箋を受けることはないんだけれども、
一度、書籍を紹介したことのある、堺市立総合医療センター。

「気になる病気と治療のお話」(2016.11.16)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-ffad.html

 地域の基幹病院。三次救急医療機関。
この堺市立総合医療センターが、4月から疑義照会の対応を変える。

http://www.sakai-city-hospital.jp/information/?p=5220

.

 内容を簡潔にまとめると、
保険薬局からの疑義照会で、患者さんの同意があれば
通常の疑義照会ではなく、病院への事後報告だけでよい項目が規定された。

1.同一成分の銘柄変更(変更不可処方の場合は除く)
2.剤形の変更(変更不可処方の場合は除く)
3.別規格への変更(10mg 2Tを 20mg 1T へ)
4.外用薬の取り決め範囲内の規格変更(5g 2本を 10g 1本)
5.無料で行う一包化調剤
6.無料で行う半錠、粉砕、混合等(有効性や品質が担保できる場合)
7.残薬調整等に伴う処方日数の変更(処方日数または回数の短縮)
8.明らかな用法の間違い変更、追記(食前薬の食後投与指示、外用剤の用法不備)

 一応、保険薬局と合意書を交わす必要があるらしいけど。

.

 一応解説しておくと、この病院は一般名処方ができない。(苦笑)
一般名処方できれば、そのそも1の項目はいらんのだけど。w

 細則によると、
1、先発品間のメーカー変更も可能。もちろん、変更可能なら後発品でもOK。

2、剤形の変更は、錠剤から散や、その逆も可能。(患者さんの同意は必要)
  軟膏とクリームは変更不可。(当たり前だ)

3、別規格の変更は、先発品でもOK
  一般名処方だと、先発品の場合は不可だけど。

4、これ、今でも普通にやってる薬局あると思う。(苦笑)

5,6は無料であることがポイント。技術料欲しければ、通常通りに疑義照会
  まぁ、初回は無料でやって、次回患者さんから医師にお願いしてもらう、
  という運用を想定しているのかもね。

7、が一番の目玉だと思う。
  薬局の判断で残薬調節して、それを事後報告でよいという
  ただ、「処方削除」は認められていないようだ。さすがに。

8、は特に外用かな。場所が違うとか、1日用量が書いてないとか。

.

 これは、画期的な取り組みだと思う。
もちろん、他の医療機関でも同様のことをやっているところはあると思うけど。

 目的は、医師の手間の削減と、薬局の待ち時間減少
疑義照会でFAXして返事くるのを待つ時間は長いから。

 比較的「どうでもよい疑義照会」を、報告だけで済ませてしまおうということ。
患者さんの同意さえ得られれば、薬局側にかなりの裁量が与えられた。

.

 できれば、他の医療機関も同じようにしてほしいなぁ。
とりあえず、近隣の医院に提案してみたい。

 これ、基幹病院でやってくれることに意義があると思う。
よい見本、前例になってくれれば、取り組みが広がっていく可能性が高い。

 まぁ4月からだから、実際にやってみたら、問題が出てくるのかも知れないけど、
今のところ、大した問題があるようには思えないなぁ。

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医師に直接

 ひさびさの疑義照会ネタ。

 といっても、例によって学術的な話ではない。

.

 患者さんが「余っているからいらない」と言ったはずの薬が、
処方されていた。(よくある話だ)

 こっちで勝手に削ることはできないので、
病院に疑義照会、ということになるんだけれども。

 処方元は、かなり遠方(京都)の病院だった。

 一回も疑義照会したことないので、とりあえず代表電話にかける。

私「処方箋の疑義照会なんですが、どうすればよろしいでしょうか?」

 大きな病院はFAXしか認めないというところも多いから。
ところが……

事務さん「処方箋の疑義照会ですね?ドクター名をお願いします。」

私「○○先生です」

事務さん「○○ですね、わかりました。お電話おつなぎします。」

.

 この病院では、処方内容の疑義照会については
内容問わず、全て直接、医師につないでいるようだ。

.

 そういう病院があるって噂では聞いてたけど、ここもそうなんかー。
ちょっと緊張するけれども、まぁ今回は薬学的な内容じゃないし。
気楽なもんだ。

私「△△さんの処方なんですけれども、今回は頓服のお薬は
  余ってるからいらない、とおっしゃっておられるんですが」

先生「ああ、すいません、消すの忘れてました。
    削除でお願いします~」

私「かしこまりました。こちらで消しておきます。」

.

 以上。w

薬剤師によっては、緊張して困るという人もいるだろうが、
私は、これはこれでいい仕組みだと思う
先生は大変だろうけどね。

 何がいいと感じたか、というと、
医師がものすごく身近に感じられた。w

 FAXでの疑義照会だと、まず薬剤部の薬剤師が確認して、
そこから外来の受付に回されて、下手すれば先生との間に
もう一人くらい入るかも知れない。(苦笑)

 この伝言ゲームやってると、細かいニュアンスが伝わらなかったり、
変な風にとられて怒られたり、と苦労することが多い。
「いや、聞きたいのはそこじゃないのよ」みたいな。

 でも、直接やり取りできるなら、ものすごく楽だ。

 もう一つのメリットとして、医師の人間性がわかること。w
この相手の先生は、(女医さんだったが)、
本当に単純ミスをしたことを謝罪しておられて、
(イメージ的には「てへぺろ」に近いかも知れんがw)
なんとなく人柄が想像できた。

 相手の声が聞けるってのは、コミュニケーション上で
かなり有益である、と思った。

.

 まぁ、教科書的には、疑義照会は直接医師とやりあうべきなんだが、
現実としてそれは難しいことも多いから。
 学生実習の、疑義照会のロールプレイだと
いきなり医師が電話に出る設定で、笑った記憶がある。
いや、現実にそれはありえんから。w

 もっとも、医師の側は大変だと思うんだけど、
どう思っているんだろうか?
面倒だ、と思われているかも知れないけれども、
逆に、「薬剤師が身近に感じる」と思っていただけると
ありがたいんだが。

.

 もっとも、これは「処方内容に疑義がある」場合に限る。
そうでない不備の場合は、事務さんが何とかしてほしい。

 昔書いたネタでもあったなぁ。(苦笑)

「気恥ずかしい疑義照会」(2013.5.26)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-7225.html

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自分を信じろ

 疑義照会実例。

<処方>

Rp1)ランソプラゾールOD錠30mg  2錠
    分2 朝夕食後  7日分

Rp2)クラリスロマイシン錠200mg  2錠
    分2  朝夕食後   7日分

Rp3)メトロニダゾール錠250mg   2錠
    分2  朝夕食後  7日分

.

 とある病院からの処方箋。あんまり付き合いはない。
けど、これはさすがに疑義照会だよねぇ。

.

 理由?こんな処方見たことないから。w
ピロリ菌の除菌療法だろうな、と予想はつくんだけれども、
この組み合わせは初めて見た。

.

 薬歴を確認してみると、少し前にピロリ除菌処方が出ている。
その時は、Rp3)の部分がメトロニダゾールじゃなくて、
アモキシシリンカプセル250mg 6カプセル

 これは、普通の一次除菌の処方である。

.

 おそらく、一回目で失敗しての二次除菌なんだろう。

.

 でも、この組み合わせは見たことないぞ。
普通、一次の組み合わせから、クラリスロマイシンの代わりに
メトロニダゾールを入れて、アモキシシリンはそのままなんだけど。

つまり、ランソプラゾール、メトロニダゾール、アモキシシリンの3剤

 なので、疑義照会となった。

.

私「えー、ピロリ二次除菌でのこの処方は見たことないので、
  おそらくクラリスロマイシンの代わりにアモキシシリンでは
  ないかと思うのですが。」

ところが、この相手がまず医療事務さん。

医師がカルテにそう書いてます。」

.

 いや、だから、それが間違えてるなじゃないか、って指摘だってば。
強めにそう言うと、今度は看護師さん。

ピロリ菌の二次除菌療法ですよ

 いや、それは知ってるよ。
(さすがにそれを知らん薬剤師はいない、と思いたい。w)

 早く医師に確認を取らんか。

.

 この処方が間違っている、という確信はあるんだけど、
こうも否定されると「自分が間違ってるんじゃないか」という
不安感に襲われる。

 相手が素直に医師に確認をとらないから、余計にそう思う。
ごり押しで医師に通してもらって、私の方が間違っていたら、
と思うとねぇ。(汗)

.

 ピロリ除菌療法はかなり確立されてきてはいるけれども、
ひょっとしたら、私の知らない新しい治療法がある、
という可能性もなくはないので。
(まぁ、あるとしてもこの組み合わせはないだろうと思うが。)

.

 どうも、この時点で病院に担当の医師がいなかったようだった。
で、連絡を取りたくないから向こうも強硬に出ていた、と。
結局、何とか連絡を取ってもらったところ、あっさりと処方変更。
クラリスロマイシン→アモキシシリンで、通常の二次除菌、と。

.

 でも、冷静になって考えてみると
別に(自分が)間違っていても構わないんだよね。
医師にしかられるかも知れないけれども、
間違った処方で出すよりはよっぽどマシだし。
こっちの誤りをきちんと指摘してもらえれば、勉強になるし。

 わからないことがあれば、恐れずに疑義照会しよう。
自分を信じて。w

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処方箋のフリーコメント

 厳密には、疑義照会が必要かも知れない話。

.

 手書きではない処方箋で、たまーに、
医師のコメントが入っているような処方箋がある。
全く無意味なコメントの場合もあるが、
医師が病院のシステムに反抗しているようなケースもある。

<処方実例>

 60代女性

Rp1) チラーヂンS50   0.5錠
     分1 朝食後    28日分
    ※チラーヂンS25 1錠でも可

.

 いや、それならチラーヂンS25、1錠と書けばいいだろう、と思うだろうが、
どうも、この病院の採用薬の都合で、チラーヂンSは50しか使えないらしい。
 それでも25が使いたい医師(あるいは患者さんの希望かも)により、
処方箋の様式と関係ないフリーコメントをぶっこんできている。
それが、

 ※チラーヂンS25 1錠でも可

 というコメント。

.

 もちろん、処方全体として「後発品変更不可」ではないので、
チラーヂンSの後発品を在庫していれば、後発品代替にすることで、
50から25に規格変更することはできるんだけれども、
 そもそも、チラーヂンSの後発品を在庫している薬局が、少ない。(苦笑)
それに、規格変更(50→25)を医師の許可なしで行うためには、
「薬剤料が高くならないこと」という条件がつく。

 50の0.5錠を25の1錠にすると、高くなってしまう可能性がある。
(この処方では問題ないが)
高くなる場合、結局疑義照会が必要になる。

.

 ってか、これ、変更するのに疑義照会いるのか?という話。
厳密にルール通りにやるのであれば、少なくとも最初の一回は
疑義照会が必要なんじゃないだろうか。

「患者様希望により、チラーヂンS50の半錠ではなく、
S25を1錠で調剤してもよいでしょうか?」

.

 いや、回答はすでに処方箋に書いてあるんだが。(苦笑
ってか、医師はその疑義照会を受けるのが嫌で、
わざわざ処方欄のフリーコメントという裏技使ってるんだと思う。

 これ疑義照会したら、「お前は字が読めないのか」って
怒られるだけじゃないかと思う。w
ルール的には疑義照会が必要だけど、なんら、「疑義」は存在しない。
あえていうと、このコメントが真実かどうかくらい。
薬剤部の方でうまいこと処理してくれることを期待してFAX送るかなぁ。

.

 さて、次のケース。

<処方実例2>

(般)ヘパリン類似物質外用液0.3%  100g
   1日1回 塗布
※ヒルドイドローションで出してください。

.

 ……。絶句。

 いや、これ処方意図はよくわかるのよ。
こないだも「後発品の使い分け」という記事で書いたんだけど。

http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-0e40.html

.

 このヘパリン類似物質外用液0.3%って、
先発はヒルドイドローション。後発は日医工さんのビーソフテンローションが
有名なんだけど、この二つって、使用感がかなり違う。
主成分は同じでも、別物と言っていいくらい。

 だから、ヒルドイドローションで出してほしい、という医師の意図はわかる。
というか、後発品に変えてほしくないんだよね。

.

 なら、一般名処方で書くなよ。

.

 ヒルドイドローションと書いて、変更不可にチェック入れればいい
それで、医師の処方意図は明らかだし、後発品に代替も不可能になる。

 おそらく、この病院は一般名でしか処方できないルールになってるんだろう。
で、一般名で処方しておいて「変更不可」ってのは、不可能だ。(苦笑)
それこそ、意味わからんし、ってことになる。

 そのためのフリーコメントなんだろうけどね。。

.

 これ、一般名処方加算をかすめ取ってるだけだよね?

.

 そう、病院側は一般名で処方を書けば2点だか3点だかの加算が取れる
(おそらく、そのために一般名処方しかできない設定になってるんだと思う)

 でも、このコメントを入れれば、それはもう一般名処方じゃないわ。(苦笑)

.

 これは、疑義照会の余地は全くない。
ヒルドイドローションを出してほしいという処方意図は明確だから。
連絡するとすれば……、それこそ当局かな。w
いや、これは反則でしょ。

 まぁ、こんな微妙な薬まで含めて全部一般名使う病院が悪いんだが。
(おそらく、医師に悪意はない、、と思いたい。)
そこまでして加算ほしいかねぇ??


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サワシリン細粒 1g分3 毎食後

 疑義照会実例。

 今回は、7歳の女の子。
.

<処方実例>

Rp1) サワシリン細粒10%  1g
    分3 毎食後 7日分

Rp2) カロナール細粒20% 1g
    発熱時 5回分

.

 以上

 新人の薬剤師さんが、
処方箋を見て何も考えずに秤量を始めたので注意した。(苦笑)
散剤の調剤は、秤量より前に処方量を考えようよ。

.

 小児の処方箋を見慣れている人なら一目だろう。
この子、体重どれくらいだ??となる。

 カロナール細粒は10mg/kgくらいが普通だから、
そこから考えると、体重は20kg前後と考えられる。
実際に聞いてみたところ、24kgということだった。
若干少なめだけど、そこはまぁいい。

 で、それに対するサワシリンの量が問題。

 とはいえ、私でもサワシリンのプロキロなんて記憶していない。(苦笑)
だが、一目で「これは少ないよね」とわかる。
サワシリン(アモキシシリン)の成人1日量は、750mg。
大人用のカプセル(あるいは錠剤)の規格が250mgで、
これを1日3回ってのが普通だから。

 大雑把な感覚として、大人量を掴んでおくのは有用だと思う。
そう考えると、大人量の1/7ってのはいくらなんでも少なすぎる。

.

 で、サワシリン(アモキシシリン)の用量を調べてみた。

通常1日20~40mg/kgを3~4回に分割経口投与する。
年齢、症状により適宜増減するが、
1日量として最大90mg/kgを越えないこと。

.

 となっている。

 実は、この用量、私が薬剤師になった頃とは少し変わっている
2012年に、公知申請にて小児最大用量を引き上げたのだ。

https://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/post-138.html

.

「最大90mg/kgを越えないこと」とが追加されたようだ。
ってことは、逆に考えると90mg/kgまでは問題なく使える、とも言える。

 これって、相当多い量までいける、ということ。
体重24kgなら、最大で1日2160mgまで可能ってこと。
大人量を遥かに越えている。
さすがにこの量は多すぎて服用がツラいんだが。

.

 どうも、もともとの小児用量が少なすぎたのかな、と。
アモキシシリンにクルブラン酸を配合した、
「クラバモックス配合ドライシロップ」という薬品があるんだけど、
これの小児用量って、アモキシシリンは90mg/kg/dayで計算されてる。
仮に、体重12kgの子どもでも、アモキシシリンは1日1200mg。
すでに大人量を越えている。
 耐性菌の問題なんかもあって、量が多い方が望ましいんだろうけど、
効果もともかく、それくらい服用しても副作用はそれほど問題ない、という
ことでもあるんだよね。

 そういえば、オーグメンチンにサワシリンを追加するDrとかいたなぁ。

.

 さて、処方せんに戻る。
体重24kgでサワシリン細粒10%を1日1g(アモキシシリン100mg)ってのは、
あまりにも少なすぎる。

 で、疑義照会した結果、変更になった。

.

サワシリン細粒10% 10g
分3毎食後 7日分

.

 普段見ている数字からすると、こっちの方がびびってしまうけど
(1日量10gもある小児用の散剤なんて、ほかに知らん)
サワシリン(アモキシシリン)に関しては、こっちが正解である。

 ようするに、最初の処方は1桁間違ってた訳。
いや、もしかしたら、医師は成分量(アモキシシリン1000mg)の
つもりで書いたのかも知れないな。

 でも、成分量で書くのなら単位はmgにしておいて欲しい。(苦笑)
てか、次のカロナールを成分量で書いてないんだから、
それは苦しい言い訳かな。

.

 サワシリンは独特の匂いがあって、服用しにくい。
私も子供のころたくさんのんだけど、大嫌いな薬だった。w

 味はともかく、量を減らしたいのなら、後発品に変える手がある。
ワイドシリン細粒なら20%だから、量は半分にすることが可能だ。
まぁ、味はいかんともしがたいが。(苦笑)

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マイスリー錠5mg 不眠時頓服x2

 疑義照会実例。
これは、今年4月になってからの話。
まぁ、それ以前の話でも疑義照会はするだろうけどね。

 患者さんは50代の女性

.

<処方実例>

Rp1)バイアスピリン錠100mg  1錠
  分1 朝食後 30日分

Rp2)(般)アムロジピン錠5mg 1錠
  分1 朝食後 30日分

Rp3)マイスリー錠5mg     1錠
  不眠時 30回分

Rp4)マイスリー錠5mg     1錠
  不眠時 30回分

.

 以上

 まぁ、こんなもん素人が見ても分かる。
Rp3)とRp4)が全く同じだ。
大事なことだから2回書きました?

 過去の薬歴を見る限り、この方はずっとマイスリー錠5mg1錠
を頓服で服用している。

 考えられることとしては、
1)マイスリーが5mgでは効かないことがあるから、
1回1錠、追加でもう1錠、という意味。

 ただ、この場合は片方を内服薬(寝る前)で処方して、
追加分を頓服で書くのが一般的。

2)実は60日分の倍量処方。
 他の処方薬の日数が60日ならそれも疑うけど、
今回の場合は他が30日分で揃ってる以上、マイスリーも30回分でしょうよ。
ただ、他がちょうど30日分ずつ余っている、というケースもありうる。

マイスリー頓服60回分が保険で通るかどうかは微妙、というかかなり怪しい。
かといって二行に分けて書かれても保険ではじかれると思うが。(苦笑)

3)マイスリーのうちの1つは、何か別の薬の書き間違い。
 これが一番ありそうな気がする。
どっかから(別の)頓服をコピペしようとしてコピー元を間違えたのかな、と。
このパターンだと確実に疑義照会が必要になる。

.

 という訳で、先に患者さんに確認。
特に薬を変えるとか追加とかは聞いていない、ということだったので、
処方元に疑義照会。
結局のところ、単なる重複処方だったので、
マイスリーを1つ削除して終了。
なんで2回書いたし……。(苦笑)

 まぁ、よくある話といえばよくある話。
それほど問題はなかった。今年の3月までならね。

.

 ところが、今年の4月からは別の問題が発生する。

調剤事務「このケースって重複投薬・相互作用等防止加算取れますよね」
私「……。うん、算定要件は満たしてるね。」
調剤事務「どうします?」

.

 この「重複投薬・相互作用等防止加算」というのは、
今年の4月の調剤報酬改定で大きく変わったところである。
一言で言うと、「薬剤師の疑義照会業務を評価しよう」ということである。

 今年の3月までにもあったんだけれども、
それまでの「重複投薬・相互作用防止加算」の場合、
処方箋の薬と、その処方箋以外の併用薬との飲み合わせや重複に関して、
または、残薬調節(余っているからいらない)に関して
疑義照会したときに、加算できる点数だった。

 それが、今年の4月からは、
同一処方内の、一枚の処方箋の中の重複や相互作用に関して
疑義照会した場合でも、処方が変更になれば加算できるようになった。

.

 つまり、今までは一枚の処方箋の中で医師がミスしたケース
(今回のようなケースが典型例)では、加算算定できなかったんだけれども、
4月からは、これが点数に結びつく、という訳。

 でも、これって、医師がミスすればするほど、薬局が儲かる仕組み。
逆に言うと、患者さんが損をする仕組み、とも言える。
ミスの多い処方箋を受ければ受けるだけ、薬局が得をする。

 それでいいのか??

.

 プロフェッショナルとして仕事をした以上、
きちんと対価を頂く。それが当然。。

 なんだけど。これ、患者さんに説明できるか、って話だ。

 患者さんに説明するには、医師がポカとしか言いようがないミスを
していることを告げる必要がある。
しかも、そのせいでお薬代があがる、と。

 これ、患者さんと医師との関係を悪くさせるだけじゃないか?
それは、薬剤師として本意ではない。
むしろ、医師と患者さんとの関係をスムーズにするのも
薬剤師の務めの一つであるからして。

.

 結局のところ、私はひよった。
私「このケースでは、算定しなくてもいいんじゃないかなぁ。」
調剤事務「やっぱり、やめときますね。さすがにこれじゃ。」

 
 あえて言えば、「薬学的知見からの疑義照会」といえる内容ではないし。
どちらかといえば「残薬の削除」にあたるかな?

 (まだ細かい疑義解釈が出る前だったから、ということで。)

 もちろん、副作用歴があるケースでの薬物変更とかは、
(これも同じ医院だったが)堂々と算定したし。

 私は勤務薬剤師だから、というのはあるだろう。
経営者ならまた、別の意見があると思う。
というか、算定基準を満たしている以上、算定しない方が
ルール違反、という意見もあるくらいだ。
悩ましい。

.

 処方箋の記載ミスは、
患者さんの時間(疑義照会にはそれなりに時間かかる)だけじゃなく、
お金まで奪ってるっていう自覚を持って欲しいな。

 これは別件だけれど、
何回言っても、湿布の使用部位や1日使用回数を書いてこない先生もいるし。
プロなんだったら、処方箋の記載方法もしっかり勉強していただきたい。
それが無理なら、せめて処方箋の院内チェック体制でも作るべきじゃないか?
 
 いまだに処方箋に性別を書いてこない病院とかあるんだよね。
誰か、処方箋の書き方を教えてやってくれ……。

.

 そういえば、以前書いたこともあるんだけど、
「疑義照会で変更になった処方箋をわざわざ差し替えで送ってくる病院」がある。

.

「処方箋の差し替え」(2014.9.14)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-d4db.html

.

 これ、「重複投薬・相互作用等防止加算」を算定した場合、
逆に面倒なことになる。差し替えられたら、疑義照会した事実自体が消えるので、
この加算を算定できなくなると思われる。

 最近(4月以降)は経験してないけれども、
こういうことやってる病院って、まずいよね。
自分とこのミスはミスとして、しっかり記録に残しておいてもらいたい。

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湿布には部位を

 久々に疑義照会の話。

 今年の4月から、湿布薬に関する規制がかかっている。
原則として、1処方で合計70枚を超える湿布薬は出せなくなった。

 ただし、「原則として」ね。
どうしても処方が必要であれば、医師が理由を書いてくれれば
70枚を超えて出しても問題はない。

.

 でも、いまのところ、70枚を超える処方箋はほとんど見かけない。
なんだ、結構みんな守ってるんだ。
医師が理由を書くのが面倒くさいのかな?
とはいえ、治療上必要だったら、理由書いてくれてもいいんだけど。

 ここまであまり見ないっていうことは、
「治療上の理由無く湿布を出していた」
って言われてもしょうがないよね。(苦笑)

.

 さて、湿布薬には、どこに使うか、部位を書かなくちゃいけない。

 といっても、今までも部位を書いていた地域はあると思う。
この辺のルールは、都道府県によっても違うからね。
ちゃんと部位を書かないとダメ、という地域もあった。

 ただ、私の働いている地域では、その辺、かなりザルだった。
ひどい処方箋になると、

.

処方実例)

 モーラステープ20mg      35枚
適時貼付

.

 こんなのがザラ。
場所どころか、用法すら「適時」ですませてしまう。
全国的にはどうなんだろう?
ちゃんと、部位と用法を記載してるところの方が多かったのかな?

 さすがに、4月からはそういうのは少なくなったけど、
でも、時々、部位を書いていない処方箋があって、
こっちも一応確認することにしている。

.

私「○○さんの処方なんですが、湿布薬の部位が書いていないんですが、
  どの場所に使われるのでしょうか?確認お願いします。」

事務さん「先生に確認してみます。」

 ちなみに、この先生、整形外科の先生ではない。
専門は内科だったはず。

 まぁ、部位くらいすぐわかるだろう、と思っていると、
電話は、医師にかわった。

医師「○○さんやけど、どこが痛いって言ってる?
    湿布どこに使うか、患者さんに聞いてみてくれへんかなぁ?

.

 絶句。

.

 どこが痛いかも確認しないで湿布薬出すんじゃねー!!

 こんなことする医師が多いから、70枚縛りみたいなルールが
追加されたんだなぁ、としみじみ思った。

 この疑義照会は結局、

私「それでは、患者さん本人に確認して、その部位ということで
   こちらで処方箋に記載しておきますね。」

 とやって終わった。先生相手に怒ってもしょうがないしね。
(あきれたけど)

 今まで、どれだけの無駄な湿布が処方、調剤されたかと思うと……。
大した薬価ではないけどさぁ、そこは意識の問題でしょう。

.

 70枚縛りが始まって、医療用の湿布は売上が落ちたかも知れないなぁ。
久光のモーラスは、国内医薬品売上トップ10に入っている、
唯一の外用薬だったんだけれども……。売上は下がると思う。

 その分、OTCの売上が上がる可能性はあるんだけれども、
保険なしで買うと、結構な値段するからなぁ。
処方箋でもらうのに慣れていると、値段が高すぎて引くと思う。

 負担割合にもよるけど、市販だと処方せんと比べて、
5倍から10倍以上の自己負担金になるだろうからね。

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ランピオン+タケプロン

 久しぶりの疑義照会実例。

患者さんは、30代の男性。処方元は個人の医院さん。

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<処方実例>

Rp1) ランピオンパック   1シート
   分2  朝夕食後 7日分

Rp2)タケプロンOD錠15mg 1錠
      アクトス錠15mg     1錠
      分1  朝食後  28日分

以上

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 ずっと来られてる患者さんだけど、いつもはタケプロンとアクトスだけだった。
今回、ピロリの除菌ということでランピオンが追加になっている。

 処方には関係ないけど、ピロリ菌って30代でもいるんだ、と思った。
もう少し年配の方ならよくいるんだけど。どうやって感染したんだろ?
この辺、勉強不足でよく知らない。

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 ランピオンパックは、ピロリ菌の二次除菌で使う。
配合錠ではなくて、3種類の薬がまとめてパッケージされている。

この手の薬は、昔はランサップだけだったけど、今は4種類もある。
何がなんだか。(苦笑)

ランサップ=ランソプラゾール+アモキシシリン+クラリスロマイシン
ランピオン=ランソプラゾール+アモキシシリン+メトロニダゾール
ラベキュア=ラベプラゾール+アモキシシリン+クラリスロマイシン
ラベファイン=ラベプラゾール+アモキシシリン+メトロニダゾール

 いまのところ、この4種類。
ただ、最近増えているのはタケキャブ(一般名:ボノプラザンフマル酸塩)を
使った処方。これ、今年発売の新薬なんだけど、除菌療法では特に優れた
成績を残しているらしく、たまに見かける。

 というか、タケキャブ使った処方はほとんどが除菌療法だ。
まだ14日縛りがあるから、普通の患者さんには使いにくいからね。

 タケダさんにきいたところ、タケキャブを使ったパック製剤も準備中、とのこと。
ってことは、まだ種類が増える、と。やれやれ。
ちなみに、ウチの薬局には上記4種類のパック製剤は全部在庫してある。(苦笑)

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 さて、話を元に戻そう。
この処方は、基本28日分だろう。
そうすると、タケプロンが重複することになる。
ランピオンの中にも、ランソプラゾール(=タケプロン)入ってるから。

 それで疑義照会なんだけど、患者さんは最初から
「ランピオン服用中は、タケプロン服用しないように」という指示をもらっていた。
それなら、最初からタケプロンの日数減らしておいてくれ?

 まぁそうなんだけど、実は問題はそこじゃない

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 薬しか知らない薬剤師だと厳しいんだけど、
この除菌療法、除菌できたかどうかの確認は、尿素呼気試験で行うのが
一般的。ピロリ菌の持っている「ウレアーゼ」活性を確認するんだけど、
検査時点で、タケプロンのようなPPIを服用していると、この試験で「偽陰性」
が出る可能性がある。
 ようは、本当はピロリ菌が生き残っているのに、タケプロンで活性が抑えられて
ピロリ菌検査を潜り抜けてしまうかもしれない、ってことだ。

 なので、ピロリ菌除菌後も、検査を行うまではタケプロンのようなPPIは
控えたほうがよい。
あえて胃酸を抑える薬を使うのであれば、ガスターなどのH2ブロッカーを
使うのが一般的だろう。

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 なので、尿素呼気試験を行うつもりであれば、タケプロンは日数を減らす
のではなくて、さくっと削除するのが正解になる。

 正直言うと、私もよく知らなかったんだけどね。(苦笑)
個人の医院さんじゃなくて、大きな病院から処方が出たときは、
その期間だけH2ブロッカー使っていたから、何かあるんだろう、
とは思っていた。

 病院の薬剤師さんなら常識なのかな?
薬局薬剤師だと、知らない人も多いんじゃないかと思う。
ピロリ菌の検査とか、話はよくきくけれども、どういう検査してるかとか
まで聞くことはないし、身近にないから分からない。

 私は4年制の薬剤師だからわからないけど、6年制ならその辺まで
勉強していたりするのかな?

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 おまけの情報。
ランピオンや、ラベファインといった、メトロニダゾールを含む医薬品の場合、
飲酒は控えなければいけない。
ちゃんと、パックの方にも書いているけどね。

 どんな薬であれ、お酒との併用はあまりよくないんだけれども、
特にメトロニダゾールは、「ダメ、絶対」と言っといた方がよい。
メトロニダゾールは、アルコールの分解を阻害してしまうので、
ものすごく気持ち悪くなってしまう。
(アルデヒド脱水素酵素阻害なので、アセトアルデヒド=悪酔いの素が身体に溜まる)

 実際に体験したことはないけど、まぁ、危険があるなら避けといた方がいいでしょ

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なぜ間違えたか意味不明

 疑義照会実例。

 正直に書くと、かなり創作が入っているんだけどね。
いや、そのものずばりを書いてしまうと、私の身元が特定される
恐れがあるもんで・・・。
身内ばれはしたくない、といっても、ネタを寝かせておくと
今度は自分が忘れてしまう可能性があるので、
適度にアレンジしてある。

 まぁ、問題の本質が伝わればいいだろ。
患者さんは70代の男性

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<処方実例>

メチコバール錠500μg 3錠
分3 毎食後 28日分

リリカカプセル75mg  2Cp
分2 朝夕食後 28日分

バイアスピリン錠100mg 1錠
クレストール錠2.5mg   1錠
アダラートCR錠40mg   1錠
分1 朝食後  28日分

アダラートCR錠20mg  1錠
分1 夕食後 28日分

一包化してください。

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 以上。

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 だいたい、家族の方が来られるんだけど、
処方せんを出してから、「後で取りに来る」といって
一旦帰られることが多い。一包化調剤だと、時間かかるから。

 で、これだけでは疑義照会すべき処方せんにはならないんだけど、
処方最後のアダラートCR錠20mgが、前回から増えていた。
前回までは、アダラートCR錠は40mgを朝1錠だけだったんだけど、
今回から、朝に40mg、夕に20mgという処方になっている。

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 アダラートCR錠は、血圧の薬で、1日1回が基本・・・だったんだけど、
実は、2013年6月に、用法用量の追加承認があって、
1日2回投与も可能になっている。
(1回40mgで効果不十分な場合には、1回40mgを1日2回まで増量可)

 なので、この処方せんは別に疑義照会は必要ない。

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 ・・・それでも疑義照会したのは、念のためだ
この処方元の先生が、アダラートCRを分2で出す例を今まで見たことがない。
一包化してしまった後で、投薬時に「薬の追加聞いてない」とか言われたら
面倒くさいことこの上ないし。

 1日60mgはありえるけど、ひょっとしたら20mgに変更したかっただけ、とか。
まぁ、色々なミスのパターンが考えられる。
正直、ミスの多い先生でもあるので、念のため確認、と疑義照会した結果・・・

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病院事務さん「アダラートCR20mgから変更で、
         ガスターD20mgでお願いします。」

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なんでや!全然関係ないやろ!

全力で突っ込んでやりたかったが、なんとか我慢した。

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 アダラートは血圧の薬。ガスターは胃薬だ。
薬の種類が全然ちゃうやん。薬の名前も似てないやん。
(あえて言うなら、アルファベット+20mgが似てるだけ)

 一体どうやったらこんな間違いができるのか、意味不明だ。
いやはや、予想の斜め上の返しだったわ。

 しかし、念のため疑義照会しといて本当に良かった。
これ、疑義照会なしで作ってしまったら・・・
まぁ、投薬の時に介護者から話を聞けば、処方が間違えているのは
分かっただろうから、そこから疑義照会して作り直し・・・になっただろう。
 最悪のケースで、薬を取りに来る人がなーんにも知らない
代理人だったりしたら、そのまま渡すしかない、なんてこともありえたかも。

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 とりあえず、この病院の処方せんは要注意!と
全スタッフに注意した。少しでも怪しいと思ったら、必ず疑義照会すること。
普通の病院ならスルーするような処方であっても、
この先生だけは絶対に疑義照会しろ、と。

 ミスが予測不能ってのは厳しいわ。
どうせ間違えるなら、分かりやすく豪快に間違えて欲しい。
それなら、すぐ気づけるから事故になりにくい。w

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