トクホと機能性表示食品

「食品表示のウラ事情」

昨日、ぼーっとテレビをみていると、
NHKのクローズアップ現代+で、機能性表示食品についてやっていた。

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3931/

 そろそろまる2年を迎えるこの制度について。
去年は色々書いたけれども、最近はすっかりご無沙汰だったので、
みていたら、ゲストに松永和紀さんが出ていたのでびっくりした。

ってか、松永さんの顔、写真では見たことあったけど、
テレビでみると、普通の人だなぁ。
もうちょっと怖い人のイメージあったけど。(ひどい)

 松永さん、テレビでは健康食品のプロみたいに紹介されていて、
機能性表示食品についても、可能な限りフェアに紹介していた。

 実際は、こきおろしたいんじゃないのかなぁ、と思ってみていたが。(苦笑)

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 松永さんは、機能性表示食品の制度ができた時に
企業のいい加減な姿勢を激しく批判した人だ。

科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体、FOOCOMの主催者でもある。

http://www.foocom.net/

.

 機能性表示食品の立ち位置を、きちんと説明していた。
これは、消費者自身が判断する必要のある商品です、と。

 科学的根拠はあるけれども、論文をよく読んでみると、
自分にあてはまるかどうかは「?」になる。

 例示されていたのは、内臓脂肪を落とす作用。
ヒトでの効果は認められていたけれども、
試験対象者がBMIで25~30と、肥満な人ばかりだった。
 例えば、BMI20の普通の女性が摂取して内臓脂肪を落とすかどうかは、
「わからない」としかいいようがない、とか。

 その食品を継続摂取したデータがあって、
4週目、8週目、12週目、16週目とデータとってあったけど、
効果が確認できたのは8週目だけ、とか。w

.

 さすがNHK.これ、民放ではできんわな。w

.

 そんな松永さんが、機能性表示食品のメリットを説明していた。

 1つ。「少なくとも、ヒトでの効果を確認した論文(根拠)があること
あやしげな「いわゆる健康食品」の中には、ヒトでの効果が確認されてない
ものもたくさん交じっているってこと。

 機能性表示食品がどんどん増えてくる結果として、
「機能性表示食品」にすらなれない健康食品は、
 まともな根拠がないですよ、と考えることができる
。(苦笑)

 もう1つ。それは、情報が公開されていること、だ。

 機能性表示食品は、申請データが消費者庁で全て公開されている。
公開されているからこそ、消費者(というか研究者)が、
この試験はおかしい、とか、安全性に問題があるんじゃない?とか、
問題点を指摘できるわけで。

 いわゆる健康食品は、ちゃんとした論文が紹介されていないことも多い。
(それどころか、医薬品だって情報が見つからないことはある)

 それを思えば、ちゃんと情報を吟味できる分だけ、
機能性表示食品は「マシ」ということができるだろう。
検証できる余地があるということだから。

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 そういえば、機能性表示食品で、
「ストレスを緩和する」とかあるみたい。一体何かなぁ、と思って
軽く調べてみると、これはどうもγアミノ酪酸(GABA)のようだ。

 ホンマかいな?w

 一つだけ申請書を読んだけれども、研究の質は低そう、としかわからん。
GABAはトクホでも製品があるんだけれども、
トクホの場合、「ストレスを緩和する」なんて表現はなかったと思う。

 個人的な感触は否定的なんだけど、
ちゃんと論文調べてみるかなぁ。……時間ができたら。

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トクホ取り消し

 日本サプリメントで販売されていた、

「トクホ」、特定保健用食品が、消費者庁から「トクホ取り消し」の
処分を受けた。

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 対象商品は、「かつお節オリゴペプチド」を含む4品と、
「豆鼓エキス」を含む2品。

 ニュースで見る限りでは、なんだろう、分析の問題であって、
効果や安全性に問題はない、と言っているようだ。

 どちらも、「効果のある成分」とされていた「LKPNM」や、
「トリス」が、商品中に規定の量が含まれていなかったため。

 ってか、「トリス」にいたっては全く含まれていなかったとさ。
単に、別の物質と間違えて同定していた、という言い訳なんだけど。

.

 これ、その筋の研究者から見てどうなんだろうね?
ありえる話なのかな?杜撰なのは間違いないと思うんだけど。。

 ようは、これ最初の臨床試験の時から間違えてたってことだよね。
そうすると試験は問題ないから効果はある、ってことになるのか。
もっとも、試験も杜撰なんじゃないの?という疑いはありえるが。

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 元データを見てみたかったけど、すでに取り消しを食らってるので
データが見つからなかった。うーん。

 ACE阻害作用のあるペプチドや、αグルコシターゼ阻害活性のある物質
なら、ある程度の効果はあって当たり前なんだけど。

 もっとも、もうトクホ自体が割に合わないかも。
機能性表示食品の方が楽だし。


 

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イオン……恐ろしい子!

 休み明け一発目は、機能性表示食品の紹介。
の予定だったが、土曜日に一つ、どうでもいい記事をあげてしまった。w
予定なんて、いつでも未定ってことさね。

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 今回は、軽い話。
成分は、もはや常連と言ってもよい「難デキ」こと、
「難消化性デキストリン」である。

難デキ」って略すのどうなんだろうね?
個人的にちょっとツボだったから押していきたい。
実は、キリンビバレッジさんが使ってる略語である。
(どうでもいいことだけどw)

 キリンさんは、現時点で機能性表示食品を3つ申請しているが、
すべて、この「難デキ」配合の商品になっている。

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 ただ、同じ難デキなんだけど、表示が微妙に異なる。
以前に紹介した「食事の生茶」はすでにテレビCMも入ってるが、
「脂肪の吸収を抑える」「糖の吸収をおだやかに」
「おなかの調子を整える」の3つの機能をうたっている。

 でも、その後に申請のあった難デキ配合の2製品。
「キリンメッツプラス スパークリングウォーター」と
「キリンメッツプラス レモンスカッシュ」の機能性表示は、
「脂肪の吸収を抑える」しか入っていない。

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 なんでだろうねぇ・・・?

食事の生茶の「トリプル機能」にしっかり科学的根拠があるのであれば、
後発のキリンメッツのシリーズでも3つ謳ってもよさそうなもんだ。
トクホなら、個別の製品でもう一度試験やりなおさなきゃ表示できないけど、
機能性表示食品なら、研究レビューなんだから、(ほぼ)同じ申請書で
問題ないと思うんだが。

 おそらく、これはメーカーの販売戦略なんだろう。

 お茶は多くの人に飲んでもらいたいから、機能を多く見せた方がよい。
一方でキリンメッツは少し間口が狭い。
その分、「脂肪」の一点に特化している、というイメージの方が
より売れる、という判断かも知れない。

 機能を3つ書くのも戦略なら、1つに絞るのも戦略。

.

 さて、ここまでキリンさんの話だったが、今日の主役はイオンさんである。
日本の流通最大手。イオンが、プライベートブランド(トップバリュ)で
機能性表示食品に参入するようだ。

「難消化性デキストリン配合コーラ」
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/A51-kinou.pdf

.

 もう、名前がそのまんまである
ひねりも何もありゃしない。プライベートブランドだからな。

そして、機能性表示なんだけど、

「本品には難消化性デキストリン(食物繊維)が含まれます。
 難消化性デキストリン(食物繊維)は、食後血糖の上昇を抑制する
 機能があると報告されています。」

  なんと、糖についてしか書いていない。
いやいや、大本になっているトクホ商品(キリンメッツコーラ、ペプシスペシャル)は、
どっちも「脂肪の吸収をおだやかにする」って書いてあると思うんだが。(苦笑)

.

 イメージとしては、糖よりも脂肪の方が気にする人が多いと思う。
だからこそ、トクホコーラは、あえて脂肪の表示を選んでいるんだろう。
脂肪の吸収をおだやかにする、ということがどれほど意味があるのか?
という疑問は、食事の生茶でもやったから割愛する。

 その点、イオンさん、トップバリュは、もはや気にしていないのだ。
その辺のアピールは、すでにナショナルブランドである、キリンやサントリーが
やってくれているから。

 おそらく、イオンさんがこの商品で本当に欲しかった表示は、
「機能性表示食品」という、表示だけではないか、と推測する。
あとは、知っている人であれば、他のトクホコーラと同じであることは分かる。
売り場での工夫も簡単だし。(トクホコーラと一緒に並べておけばよい)

.

 なので、イオンさんは一番ツッコミが入りにくい、
確実に効果が証明されている「食後血糖の抑制」だけに絞って申請したんだろう。

しかし、この機能性表示の資料に目を通したが、その感想がタイトルだ。

「イオン……恐ろしい子!」
(元ネタ知らん人はおらんよね?)

.

 申請書類の評価をしておく。科学的評価といってもいいけど。
これはもう、100点満点。AAA。
私がこれまでにチェックした機能性表示食品の資料の中ではダントツである。

 難デキで糖だけに絞ればそりゃそうなんだけどさ、
もうちょっと手を抜いてもいいのに、本当に完璧に仕上げてきている。
さすがは、イオン、と言わざるを得ない。

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 研究レビュー、システマティックレビューなんだけど、
もっともエビデンスレベルが高いといわれる「メタ・アナリシス」までやっている

1次スクリーニングで253件の文献を集めて、
そこから150件除外して、本文入手が103件。
本文精査の結果、60件除外して、43件でメタアナリシスを行っている。

 しかも、論文リストで除外した60件の除外理由を全て記載している。
採用した43件もきちんとバイアスリスク評価までやってるし……。
難デキの糖だけの機能性で、74pも資料があるわ。

 ってか、メタアナリシスやってるの初めてみた。(苦笑)
まぁ、ほかの成分ではメタアナリシスできるほど文献多くない、
って理由が大きいんだろうけど。

.

 実のところ、メタアナリシスのデータの見方に慣れていないので、
細かいところはよくわかっていなかったりするんだが。(汗)
結論は問題ないだろう。

 食後過血糖を、有意に抑制することは間違いない。
食後の血糖値を10くらい下げる、といっていいかな。
(どれくらい臨床的な意義があるかは別問題として)

.

 学問の世界では、大企業だろうが中小企業だろうが、関係ない。
でも、この機能性評価食品の申請書類に関してだけ言えば、
かなり企業間格差があるように感じるなぁ。(苦笑)

 日本を代表するような企業の出す資料は、素直にすごいと思う。
社名、ブランドという看板を背負ってるからかな。

 全ての機能性表示食品が、このレベルで資料出してくれれば楽なのにね。
いや、本気で探せばこの資料でも齟齬がみつかる可能性はあるが……
ま、たぶんないだろう。ってか、これを本気でチェックするのって
専門家でないと無理だろうし。

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Wikiと、削除・謝罪要求と。

機能性表示食品について。

 私が、「機能性表示食品wiki」みたいなのがあればいいなぁ……
と書きながら放置していたんだけれども、
kurieditsさんが作ってくださった。感謝。

「健康系食べ物&飲み物Wiki」
http://seesaawiki.jp/wikimedicine/

 誰もやってくれなければ自分でやろうか、と考えていたけれども。
やったことなかったので、かなりハードル高かった。
とはいえ、wikiの編集すらやったことないので、
投稿するには少し練習、というか勉強しないといけないかも。

 これでうまくいくかどうかはわからないけれども、
私は、「まずやってみること」が大事だと考えている。
というか、私は仕事でもそういうスタイルだ。
とりあえずやってみる。やってみれば問題点や改善点も見えてくるだろう。

 今はちょっと余裕がないので、自分で編集するのは保留します。
余裕が出てくれば、積極的に関わっていきたいと思う。

.

 さて、もう一つは怖いニュース。

消費者団体のFOOCOMさんが、機能性表示食品に関する疑義情報を
消費者庁へ要望したんだけれども、その内容について誤りがある、として、
メーカー(東洋新薬さん)から、要望の撤回とホームページの削除と謝罪を
求められている。配達証明で文書が来た、とのこと。

「株式会社東洋新薬から謝罪と削除の要請がありました」(Foocom)
http://www.foocom.net/special/12929/

.

 これだけだと一方的な内容になるので、
上記FOOCOMさんの回答に対する反論となる東洋新薬さんの見解も
リンクしておく。

「一般社団法人FoodCommunication Compassによる回答書に対する当社見解」
http://www.toyoshinyaku.co.jp/1014/

.

 言い争っている内容は、ちょっと専門的になりすぎていて
正直に書くと私には理解できない。
どっちが正しいかを判断するのは、国の仕事になるだろう。

 ただ、東洋新薬さんの見解には、「当社にとっても有益なご指摘がある」
と書いてある。それを元に追加の情報や考察を消費者庁に提出した、とも。
なら、そこまで怒ることないんじゃないかな・・・?

 東洋新薬さんからみれば、FOOCOMの主張は間違っている(部分もある)ので、
間違った内容をネット上に公開されることで、営業上の不利益がある、
ということなんだろう。
 正直、微妙なラインじゃないかなぁ、と思う。
ただ、もちろん企業側にそういう手段があることは理解できる。
そうでないと、明確に悪意をもって企業を貶めるようなことをやった時に、
企業の対策手段を奪ってしまうことになる。
 でもねぇ。

.

 企業が提出した資料のチェックをするのは消費者だ。
そもそも、企業がいい加減な資料をださなければ、問題はないんだけど。
で、消費者のチェックが間違っていたら、企業は怒るの?謝罪を求めるの?

 何様のつもりなんだろうね?

.

 ただ、批判するにしても、どの程度のミスなら許されるのか。
それに対するペナルティはどれくらいが相場なのか。
そういう、判例、というか、ルール、というか。
そういうものが欲しいなぁ、と思う。

 実際問題、私の批判が間違っていたとしてね。
それが、誰の目にも明らかだった場合ね。
そりゃ、私は(ブログ上で)謝罪するし、その記事を削除することは
全く問題ないよ。

 でも、たとえば、それで「ブログの削除」とか、「全記事閲覧中止」とか、
「損害賠償」とか、「訴訟」とかを求められるとね。
もう、割に合わないんだわ。顧問弁護士なんていないし。(苦笑)

.

 私は匿名ブログで、連絡先も書いてない訳だから、
いきなり内容証明や配達証明や、ましてや訴状なんてもんが来ることはないでしょ。

じゃぁ、どうなる?
「このブログにより権利が侵害されたとお考えの際の申し立てについて」
というリンクが、右下にはってあるけれども。

 ここから、このブログの該当部分の削除依頼を出すことができる。
また、個人情報の開示請求もできるみたいだ。(通るかどうかは別問題だが)
これは、niftyが判断することになるのかな?
ってか、ちゃんと判断できるんか?(苦笑)

 てか、私と企業の判断が思い切り分かれてしまった場合は、
誰が判断することになるんだろう?プロバイダ?裁判所?(汗)
なんにしても、面倒くさいことこの上ないな。

.

 東洋新薬さんは、それほど大事にする気はないように見えるけど、
これがもっと悪質な中小企業とかだと、批判するブログに手当たりしだい
削除請求とか、内容証明とか送りつける可能性も・・・あるかもね。

 そんなことしたら自分とこの評判落とすだけだと思うんだけどなぁ。
むしろ、FOOCOMさんと東洋新薬さんには、その前例を作って欲しいところだ。
実際、東洋新薬さんはFOOCOMさんの回答に対して、速やかに対応した。
FOOCOMさんは回答書を公開していたからな。
これ、東洋新薬さんも速やかに対応しないと、一方的に悪者になりかねない。

 東洋新薬さんは、むしろ何もしないほうがよかったと思う。
東洋新薬さんの主張が正しければ、専門家、国がきちんと対応したはずで、
その上でまだFOOCOMさんが主張を撤回しないようなら、そこから対応しても
問題ないんじゃないかと思うんだけど。
 今回の騒動は、「なんだ、東洋新薬さん大人気ないなぁ」という
印象を残しておしまいじゃないだろうか。

 というか、そうであって欲しい、という私の願望だな。(苦笑)

.

 さて、昨日アップしたグリナの紹介記事なんだけど・・・
読んだ人の中には、「なんだ、今回の記事はえらくヌルイな」と感じた人も
いるかも知れない。(苦笑)

 意識的に緩めたつもりはないよ。

 ただ、当然、FOOCOMさんに対するクレームは知っていたからね。
意識せずに、緩めてしまった可能性は……否定できないところである。

 ウチなんて、NPOでもなんでもない、ただのブログなんだし。
情報発信力も知れているから問題ないと思うんだけれども、ね。

.

 今回の東洋新薬さんの動きは、消費者による検証の動きを抑える効果がある。
その点は指摘しておきたいところである。
たとえ、そのような意図がなかったにしても。

 

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「グリナ」を評価してみたけれど。

機能性表示食品として申請が出ている、味の素さんの「グリナ」を評価する。

http://www.caa.go.jp/foods/pdf/A42-kinou.pdf

 先に結論を書いておく。

現時点で、私の能力では評価不能です。

 いや、それなら書くなよ、という話になるんだが。
せっかく1時間以上も調べたのを全部ボツもするのもどうかと。(苦笑)
やってみたけど、無理だった、という記録にも、
まぁ意味はあるだろう。

.

 なんで「グリナ」に目をつけたかと言うと、
機能性に関与しているとされる成分が「グリシン
これは、非常に一般的なアミノ酸である。
しかも、必須アミノ酸ではなく、体内で(他のアミノ酸から)作ることもできる。
ってか、普通にタンパク質を取れば、まず間違いなく摂取できる。

 ようは、特別に摂取しようと意識することなく、
日常生活していれば、大量に摂取しているはずの物質なのね。
極論すれば、ブドウ糖のようなもんだ。w

.

 そんなありふれた物質の機能性表示が、すごい。

「本品には”グリシン”が含まれており、すみやかに深睡眠をもたらし
 睡眠の質の向上(熟眠感の改善、睡眠リズムの改善)や、起床時の
 爽快感のあるよい目覚め
日中の眠気の改善疲労感の軽減
 作業効率の向上に役立つ機能があります。」

 これだけの機能性を謳えるってのは、すごすぎだろ。
一番単純な構造のアミノ酸なんだけどな。
そのギャップが激しすぎて、「ほんまかいな?」と思った訳だ。

 しかし、メーカーは味の素さんである。
メーカー名だけで信用する訳ではないけれども……
一般にはほとんど知られていないだろうけど、味の素さんって、
医薬品部門もあるのね。やっぱりアミノ酸製剤が多いけど。

 私の個人的イメージでは、食品でも医薬品でも
アミノ酸に関するリーディングカンパニー」である。
そんなブランドをもつ味の素が、そうそう変な商品を出せるか?と。

.

 で、この商品は、研究レビューではなくて、
自前の論文、2本を添付してきている。
この論文で評価しろよ、ってことだな。
ここで、英語の壁にぶち当たった。(苦笑)
結局、英語がマトモに読めないので苦しんでいる訳なんだけれど。

 グリシンは、ありきたりすぎて公的な情報も少ない。
ググってみたところ、味の素さんのページがヒットした。
これなら日本語だから、まぁ読めるだろ。

「いきいき健康研究所」(味の素サイト内)
http://report.ajinomoto-kenko.com/suimin/glycine.html

ここの学術情報のところに、味の素さんの研究、見解が書かれている。
これを参考にしながら、論文を読み解いていくことに。

.

 まず、一本目。グリシンが睡眠の質を改善している、という論文なんだが。。
試験は、randomized single-blinded crossover trial。
ダブルブラインドではないけれども、ランダム化はしている、と。
対照は、クロスオーバーで取っている、と。
 同じ人が、グリシンorプラセボを寝る前に(別の日に)摂取して、
その後の様子を比較する、という方法。

 ぱーーっと図を見る限りでは、有意差をもって改善されているところが多い。
睡眠に関する満足感とか、睡眠の深さや、翌日の眠気など。

 主観的なデータ(質問表の回答による)なので、それってどうなの?
というところもあるんだけどね。
質問が全て論文に書かれている訳でもないし・・・。
(グラフになってるのは、Q11,Q13,Q14。他の質問は何だったの?)
出てくるデータが全て有意差があるってすごいよね。

 逆に考えると、有意差出なかったデータを見せてないだけなんじゃないの?
という疑いが浮かんでしまうんだが。(苦笑)

.

 二本目の論文は、主に、日中の作業効率を考察したもの、かな。
そりゃ、「グリシンで睡眠の質が改善する」のであれば、
その分眠気が少なくなるだろうから、作業効率は改善する、と
考えるのは不思議ではない。

 これもざーっと見た感じだけど、かなりいいデータが取れている。
理想的といってもいいくらい。

.

 これはもう、グリシンの効果を認めざるを得ないのでは?
と思うんだけれども、私が考える一番の問題はね、

 被験者が少なすぎること、だ。

えーっと、私が読み違えていたら誰か指摘して欲しいんだけど。
一つ目の論文って、「Eleve healthy volunteers」の試験だよね。
被験者、たった11人ってことかい??

二つ目にしても、数字が読めるのは「Ten healthy male volunteers」
なんだけど、これって、10人しか試験してないってことよね。

 たったこれだけの人数の試験で、これだけの機能性を訴えていいの?
この辺の「相場」感が、私にはわからない。
だから、「現時点で私には評価できない」という結論になった。

 脳波まで取るのは人数が多いと難しいんだけどさ、
アンケートとるくらいなら、もうちょっと人数増やしてやれないかなぁ。

.

 作用機序的には、まぁ、絶対ない、と言い切れることはないかな
抑制系のアミノ酸だし、分子量も小さいし、血液脳関門を突破しても
おかしくはなさそうだし。

 とはいえ、普通に体内に大量に存在する物質、というところがねぇ。
外から3g足しただけで、そこまで効果あるのかな?という気もする。
 この辺、血中濃度とか見ても無駄だろうし。(苦笑)

 動物実験も色々やってて、それなりに結果は出ているんだけど、
ヒトに当てはめられるような量ではないので、何とも。

.

 その辺まで含めて、「評価不能」としておく。
これ、単に私の能力不足で評価できないだけであって
味の素さんが悪いわけではないので、そこんとこよろしく。

.

 じゃぁ、この商品は効果があるの?という点に触れておく。
こっから先は、私の個人的な意見なんだけどね。

 おそらく、かなりの効果が期待できると思う。

 今回の論文では、どちらも「プラセボと、グリシンを比較」
しているからデータはないんだけど、この分野(睡眠)だとね、
たぶん、プラセボだけで相当に効果があると思うよ。

「プラセボ=偽薬」の説明としてよく使われるのが、
「睡眠薬」としての使われ方だからね。
ただの乳糖を「睡眠薬」と称して処方すれば、かなり効果が出る。
つまり、プラセボ効果の高い領域、と言える。

 この「グリナ」の効果は、
プラセボによる効果+グリシンの効果、になるんだけど、

このプラセボ部分の効果がかなり高いことが予想できるだけに、
たとえ、グリシンの効果が怪しかったとしても、効果は高いだろう
ただ、この辺の言い回しは非常に難しいところである。w

 余計なこと言わない方が、プラセボ効果がありそうだからなぁ。(苦笑)

無料サンプルとかあれば、実際に服用してみたいところである。
科学的評価は、私の能力では難しかったけれども、
製品としては、十分に「アリ」という結論にしておく。

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機能性表示食品の今後

短期集中連載となった機能性表示食品について。
今日で、一区切り・・・できるのか?(苦笑)

 おそらく、この問題は今後も追いかけていくことになると思うので、
カテゴリを一つ作りました。(「トクホと機能性表示食品」)
過去のトクホ記事と、今年以降の機能性表示食品についての話題を
一つのカテゴリでまとめてあります。
 といっても、今後、トクホが出てくる気がしないんだけど。

.

 さて、前の記事までの流れを再確認。
国が内容をチェックしていない機能性表示食品。
薬剤師が、それをチェック、評価してみたらどうなるか。
それを、実際にやってみた様子と、問題点を前の記事まででまとめた。

.

 いい加減な根拠で機能性表示を申請してくる企業をどうするか。
まず、この問題の一番の急先鋒であろう、FOOCOMの松永さんの記事を
リンクしておく。

「FOOCOMが6月19日、消費者庁に機能性表示食品について申し入れ」
http://www.foocom.net/column/editor/12869/

 安全性や、機能性に問題のある商品を13製品、名指しであげている。
もっとも、多いのは安全性について。理由はほぼ同じで、
「食経験」が足りていない(と思われる)のに
安全性評価を実施していないパターンだ。

.

 私は、今回の評価で安全性に関しては目をつぶっている
医薬品で考えると、効果の高いものほど副作用が多いのが普通。
それほどの効果(機能性)を含むものが少ない以上、
安全性はまぁ、いいんじゃね?という感覚だから。(苦笑)
でも、ガイドラインに違反しているっぽいので、
やっぱりちゃんとした方がいいのかな。

 資料を一通り、ざーーっと見たけれども、うん、これは大変。
ガイドラインのレベルを満たしていない、のかも知れないけど、
ガイドラインって、絶対に守らなきゃならんものなのかな……。
消費者庁がこれを受けてどう動くか、あるいは動かないか。

.

 ここに上げられている13製品以外にも、
機能性でのシステマティックレビューに問題がある例がある、と。

やっぱりね。

システマティックレビューを恣意的にやられると、
専門家でないと太刀打ちできない。
どうすればいいんだろう。

.

 まず、前提としての問題なんだけど、
おそらく、機能性表示食品は、これから加速度的に増えていくだろう。
現時点でFOOCOMさんが全部詳細に調べることができるのは、
まだ「たったの」36製品しかないからだ。

 これが、例えば月に数十件(あるいはそれ以上)のペースで増えていけば?
チェックしきれる訳がないだろう、それは明らかだ。

 また、チェックしきれる訳がないのは、国(消費者庁)も同じことじゃないか。
何人で仕事しているのかは知らないけれども。制度として、
「事業者の責任で」と明記している以上、形式的な書類チェックしかしないはず。
ガイドラインを守るも守らないも、事業者の責任じゃないのか?

.

 判断するのは、消費者。でも、消費者は判断が難しい。
なら、専門家がその助けをしなければ。
薬剤師が評価すると、少し厳しく評価してしまう、という問題。
あとは、客観性をどうやって担保するか。

.

 私が、「こうなれば理想的」と思う構想を書いてみよう。

ようは、「機能性評価食品wiki」のような、ネット上の辞典があればよい。
今だって、知らないことはとりあえずwikipediaで見る人は多いだろう。
あれの、機能性評価食品版を作れないだろうか。

.

 一人で評価すると客観性が担保できないけれども、
複数で評価すれば、ある程度の客観性は担保できるだろう。
当然、色々な立場の人が評価してくれれば、なお理想的。
さすがに、ド素人はまずいかも知れないけれども、
理系(生物系)の学生くらいなら、普通に評価できるだろうし、
専門家や、メーカーの人の評価も見てみたいし。

 その際、客観的評価のためのガイドラインを用意する必要がある。
例えば、「被験者20名未満のRCTは低めに評価する」とか。
「内臓脂肪面積の変化量は、この数値から高めに評価する」とか。

 もちろん、個々の製品についての評価だけれども、
成分ごとにまとめると、もっと楽に評価できる。
たぶん、「難消化性デキストリン配合」みたいな商品は、
これからも山のように出てくるんじゃないかと予想されるし。

.

 まぁ、一番の問題は評価してくれる人がどれくらいいるか、だけれども。
大勢が評価するシステムだとどうやったって、お金は発生しないだろうし。
でも、お金にならなくても、色々書き込む人って、結構いないかな?

 情報が集積してくれば、恣意的なシステマティックレビューの不正も、
割と簡単にわかるようになるんじゃないかと思う。

 あとは、どうやってそんなシステムを作るか、だね。(苦笑)
ネット関係には詳しくないからなぁ。
本気でやればできるかも知れないが、私は私の仕事があるんだよ。w
レビューするだけならまだしも、システム構築はさすがにハードルが高い。

.

 私はこの「機能性表示食品」の制度は、割と前向きにとらえている。
今までの「いわゆる健康食品」というくくりよりは、はるかにマシだろう。
「いわゆる健康食品」は、本当に玉虫色で、何でもありだったから。

 この制度がドンドン進んでいけば、
「科学的根拠の乏しい健康食品」があぶり出せると思う。
科学的根拠のある製品がどんどん機能性表示食品になっていけば、
「機能性表示食品にすらならない」=「科学的根拠に乏しい」
ということがわかってくるだろう。

 まぁ、そのためには、科学的根拠の全くないような商品が
機能性表示食品になっているとマズいよね。

そう考えると、合格点は低めで構わない。
少々怪しいくらいなら目をつぶっても構わない。
でも、「これはダメでしょ」というものは、全力で叩くべきだ。
(この基準が人によって違うかも知れないけど)

.

 まだ何か、書き忘れているような気がするけれども、(苦笑)
とりあえず、短期集中連載はこれで終わり。

 あとは、週一回くらいのペースで適当に書いていく予定、
にしておこう。カテゴリも作ったことだし。w
 

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機能性表示食品の薬剤師による評価の問題点

 機能性表示食品についての短期集中連載。
この記事だけ読んでもしょうがないので、
3つ前の記事から連続して読んでもらいたい。
今日の記事は、まとめになる。

.

 もともと、「薬局薬剤師が、機能性表示食品の評価をできるのか?
という問題があった。で、一昨日と昨日、実際にやってみたわけだ。
やってみた結果の、問題点をまとめてみる。

 最初に、結論を書いておこう。問題点は大きく分けて2つ。

1.悪質な企業に本気で不正をやられると、見つけられない。
2.個人による評価は、客観性を担保できない。

 それぞれ、細かくみていこう。

.

 まず、薬剤師が企業の不正を暴くことができるか?
もともと問題になったのは、「壊れているとしかいいようのない」論文を
はりつけて申請した企業(ファンケルさん)があったことである。
あれを、薬剤師が見つけることができるのか?

 これは、時間さえかければ可能、という結論でいいと思う。
ただし、英語論文だと(人によっては)かなりハードルが高くなる。
業務の片手間でやる、薬局薬剤師にとっては厳しいかも知れない。

 ただし、これは「論文がついてきた場合」に限る。
実際は、機能性表示食品の提出書類には、論文がついていないことが多い。
機能性関与成分に関する研究レビューで科学的根拠を説明する場合、
企業は、該当成分に関する論文検索を行い、
その結果を総合的に評価して「科学的根拠」とする。

 この、「研究レビュー」の場合。
悪い企業が、本気で悪質な不正を行ってきた場合……、
一般の薬剤師が不正を暴くことは不可能である。
これを暴くことができるのは、本職の研究者だけだろう。

.

 どういうことかというと、まず、論文本文までたどりつけないことがある。
例えば、論文検索の結果、該当する論文がわずかしかないことはありえる。
そして、その全ての論文が「有料」だった場合。
研究者でない薬剤師は、お金を払わないと検証が不可能になる。
この論文で「有意差がない」とされているものを、企業が「肯定的な結果である」
とウソをついてきた場合、薬剤師が気づくことはできないだろう。

.

 また、検索で引っかかった多数の論文のうち、趣旨に合わないものを
落としていくスクリーニングで、恣意的に論文を選ぶことは可能だ。
例えば、「否定的な結果が出ている論文」を、あえて難癖つけて選ばないことで、
全体としての評価を上げることができる。

 この不正の場合、気づくことが出来るのは専門家だけだろう。
「この成分で論文検索して、なぜこの論文が入っていないの?」という疑問を
抱くことができるのは、常にその分野の論文を読んでいる研究者だけだ。

 もちろん、一般の薬剤師でも論文検索から全ての論文をチェックすることは、
……時間さえかければ可能だと思うけど、
それを仕事にしている訳じゃないんだから。
日常業務の片手間でやるには、負担が大きすぎる。

.

 逆に、そのレベルの不正がなければ、薬剤師は評価できる。
次に問題になるのは、その評価の客観性である。

.

 今回、kurieditsさんのメッセージに対して、最初に動いたのはふーたさん。
(ウチにもコメントいただいてます。)
ふーたさんも、ご自身のブログの中で、機能性表示食品の評価を行っている。

「パパ薬剤師の日々彼是」
http://wruskniph.blog.fc2.com/blog-category-3.html

(機能性表示食品のカテゴリでリンクはってます。)

.

 私も書いてみて思ったけれども、
いかにして「客観性」を担保するか、に気を使っているのが分かる。
基本的には、(スタートがあれだから、というのもあるが)
企業の資料を鵜呑みにしない、信用しないところからスタートする。

 私は、機能性表示食品、というか、健康食品というカテゴリそのものを
かなり疑問視している。玉石混交、というには、石が多すぎないか?とか。
以前にも、「食品安全情報blog」の畝山先生の言葉を紹介した。
健康食品の正しい利用法は、「利用しない」こと。

.

 でも、それって、客観的な見方としてはどうなの?
なかには、私が知らないだけで素晴らしい商品や成分もあるかも知れない。
メーカーの人が見ると、怒られるかもね。

 これも私の個人的な意見だけど……
薬局、特に調剤を扱う薬剤師って、健康食品には否定的な人が多いと思う。
どうしても、自分が普段扱っている医薬品と比べてしまうので。

そりゃ、有意差ついて当たり前の医薬品のデータや論文みてると、
健康食品のデータなんて、効いているようには見えないよ。(苦笑)

 また、医薬品でもちゃんとしたデータとるの苦労してるのに、
健康食品があっさりと「効果がある」みたいに言ってくるのが信用できない。
そんなに簡単にできるなら、みんな苦労してないよ。

.

 でも、その薬剤師の基準で、全て見てしまっていいのかな?
また、「科学的根拠」が全て、という訳でもないのが、この業界だろう。
私は以前、サントリーのトクホである「特茶」をかなりこき下ろした
記事を書いたけれども、それは、「効果」についての話。

 商品の評価は効果だけで決まる訳ではない。
ほかに、「値段」もそうだけれども、特に食品でいうと「味」も大事。
私は、「特茶」のもっとも優れている点は、「おいしいこと」と書いたし。
成分(モノグルコシルヘスペリジン)は評価したけれども、
結果として、味の方が今ひとつだった「スタイリースパークリング」
みたいな商品もあったし。(苦笑)

.

 なにか、客観的な評価基準が欲しいなぁ、というのが正直なところ。
例えば、研究レビューでRCT1本では弱い、とか。
RCTでも、被験者の人数が50人以上なら多いとか、少ない、とか。
中性脂肪値の変動なら、これくらい動けば十分評価に値する、とか。

 この辺は、ある程度経験をつまなきゃいけない、と思う。
適正な評価をするためには、この業界の「相場」を知ることが必要。
医薬品の「相場」と同じ感覚で、健康食品を評価したら、
どうやったって厳しくなるだろうよ。

.

 また、個々の薬剤師が、自分の顧客に対してのみ製品の評価を行う
ぶんには、さほど問題にならないだろうけど、、
ここみたいにブログにアップしてしまうとね、最悪の場合、
訴訟のリスクを抱え込むことになりかねない。

 まぁ、キリンさんみたいな大手企業なら、この程度のPV数の
弱小ブログの批判なんて無視してくれるだろうけど、
アクの強い中小企業だったりすると、いきなり喧嘩(訴訟)ふっかけてくる
可能性も……、かなり低いけど、0じゃないよなぁ……。

.

 以上が、薬剤師による機能性表示食品の評価の問題点である。

 この記事でまとめ終わるつもりだったけど、
まだ、今後の展開が書けていない。(苦笑)
FOOCOM(松永さん)が、新たに記事をアップしているし、
そっちも検証、というか検討しないと。

長くなりすぎるので、今日のところはこの辺で切ります。
次回こそ、最後のまとめ、ということで。

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機能性表示食品を評価してみる(その2)

 短期集中連載になりつつあるなぁ。(苦笑)
昨日の記事では、実際の論文の検証をすっぽかした。
でないと、やってられない、という判断の元で。

 では、そこをさらに頑張ってやってみればどうなるのか?
さすがに、有料の論文を読むのはハードルが高すぎる。
そこで、レビューに上げられた論文の中から、無料のものを探して読んでみる、
という作業をやってみることにした。

.

 結論から言うと、これやると30分では絶対に終わらない。
どうやっても1時間以上はかかってしまうんだけど、
まぁ、それだけ面白い情報が拾える。

 今回、評価するのは、「難消化性デキストリン」について。
これも、私の得意分野である。トクホで出てた当時にそこそこ調べている。

 今回は、キリンビバレッジの「食事の生茶」を評価する。
この食品には難消化性デキストリンが含まれている。

(注意! 今回評価するのは、「難消化性デキストリン」と、
 キリンビバレッジさんの資料についてであり、
 最終製品である「食事の生茶」についてではありません。)

.

 キリンさんが提出した機能性の科学的根拠の資料。

http://www.caa.go.jp/foods/pdf/A2-kinou.pdf

以下、表示予定の機能性を一部引用

「難消化性デキストリンは、食事から摂取した脂肪の吸収を抑えて
 排出を増加させると共に、糖の吸収をおだやかにするため、食後の
 血中中性脂肪や血糖値の上昇をおだやかにすることが報告されてい
 ます。さらに、おなかの調子を整えることも報告されています。」

.

 さて、機能性は3つ示されている。
脂肪の吸収を穏やかにする。糖の吸収をおだやかにする。
おなかの調子を整える。の3つ。

 最初に私の感想だが、「資料多すぎ」
これ、別に論文が添付されている訳ではないよ?
難消化性デキストリンに関する、システマティックレビューで、
論文リストとか、それぞれの論文の評価とかのデータなんだが、
これ、全部で100ページあるんですけど。。ww

.

 すでにこの時点で、萎えそうになってくる。
気を取り直して、やってみよう。

 まず、機能性3つのうち、今回検証するのは1つ目、脂肪だけにする。
というのは、糖の吸収、おなかの調子の方は、割としっかりしたエビデンス
があることを知っているからだ。

 今回も基本として、「健康食品の安全性、有効性情報」をチェックする。
「デキストリン」の項を確認してみたところ、
少なくとも、糖の吸収やおなかに関しては、肯定的な記述があった。
(更なる検証が必要、とは書いてあったが。)
 でも、脂肪に関しては何も書かれていない。
個人的な感覚としても、怪しいとすれば脂肪だ、と思ったので、
キリンさんの資料のうち、脂肪の部分だけをチェックする。
それでも27ページあるんだが。(苦笑)

.

 さすがに、トクホがたくさんでている成分だけあって、論文も多い。
中性脂肪上昇の抑制だけで、実に14本もありやがる。
14本中11本が、「薬理と治療」という雑誌のものになるんだが・・・

 この雑誌、アブストラクトすら有料である。読めない。

.

 残った3本のうち、「日本食品化学学会誌」がフルで読めたので、
それだけを確認してみた。
直接、リンクはっておく。

http://ci.nii.ac.jp/els/110007361211.pdf?id=ART0009221927&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1435070746&cp=

.

 このデータは、なかなかツッコミどころ満載で面白かった。w

 結論だけ先に書いておく。難消化性デキストリンは、
「食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする」と言う分には問題ないだろう。

 ただ、以前も書いたことあるんだけど、それって臨床的に意味あるの?と。
血糖値に関していうならば、食後過血糖の状態がよくない事は分かっている。
でも、中性脂肪は、急激に上がるのってよくないの?
 おだやかにするって、結局は「おだやかに上がる」ってことなんだが。w

.

 面白かったのは、長期摂取安全性試験のデータ。
被験飲料が8人、対照飲料が10人なんだけど・・・。

        体重(0W)
被験飲料  69.4 ± 12.7
対照飲料    60.2 ±  8.9

 いや、これ、0W(0週。実験始める前)の時点で有意差あるでしょ。ww
本当にランダムに選んだのか、問い詰めたい。

ちなみに、被験者の体重は、この後14Wまで、ほぼ動かない。
被験者と対照者で有意差がでたのはBMIのみで、しかも対照者が有意に低い。w

.

 じゃぁ、コレステロールやら中性脂肪はどうなの?このデータも書いてある。
「食後6時間」では有意差があったんだが・・・
12週間続けても、有意差は全くない。予想通りだな。

 この論文では、長期試験はあくまで「安全性確認」のために実施しているので、
この結果について、結論では触れていない。
ただ、長期的な安全性は確認された、としか書かれていない。
いや、長期的に全く効果のないことも確認できるんだが。w

.

 では、キリンさんはこの論文をどう評価しているんだろう?
論文は、QL1.質が高いと評価されている。
また、全14本の論文で、ほぼ一貫して「食後血中脂肪の抑制」は認められている。

.

 さて、まとめよう。

キリンビバレッジさんの「食事の生茶」
「機能性表示食品」の提出資料の評価は、これはもう全く問題ないだろう。
さすがはキリン、と賞賛してもいいんじゃないだろうか。
(あくまで、「提出資料」はね。)

 で、私が確認した論文もね、全体として問題はないと言えると思う。
この論文、あくまで評価しようとしたのは、
「血中中性脂肪の上昇をおだやかにするかどうか」だからね。
その部分のデータは人数もかなり多かったし、体重が明らかに違うこともなかった。

 私がツッコミを入れたのは、あくまで「安全性」を確認する試験だし、
人数も少なかったからまぁ、あれくらいのゆらぎはあっても仕方ないのかも。
あのデータみる限り、長期的に効果がないようにしか見えないけれども。w

 つまり、提出資料もA評価。論文(一つだけだが)もA評価でいいんじゃないか。
商品としての評価も、それほど悪くはない。
今回はチェックしてないけど、血糖やおなかの調子に関してはそれなりの根拠あるし。
中性脂肪も、長期的には効き目が見えないけれども、吸収を「おだやかにする」ことに
私の知らないメリットがあるのかも知れない。(苦笑)

.

 さて、今回の作業だけれども、これだけ手を抜いても軽く1時間以上かかった。
キリンさんが資料をしっかり作っていたから、というのもあるかも知れないが。
もっと杜撰な資料なら、もっと早く終わったか?
いや、突っ込みどころが多すぎて、もっと時間がかかったかも。

 ただ、やってみて分かったのは、昨日の最初の意見とは違うんだけど、
これ、論文1本を検証する方が、楽だわ。w
文献レビューから検証すると、そもそも元論文にたどりつくのに時間かかるし、
たどりつけない可能性もあるし。
 まぁ、論文が英語となると、話は全然違うのかも知れないが。

.

 さて、この短期集中連載は、明日も続く。
一応、明日で一区切りつける予定。

実際に二本やってみた感想と、薬剤師が評価するための課題。
あとは、今後どうしていけばよいか……。
その辺を書いてみたいと思う。
 思ってるだけで、下書き原稿は真っ白だが。w

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機能性表示食品を評価してみる(その1)

 先日の記事の続きになる。

「機能性表示食品の制度をもう少し詳しく」
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-1960.html

 実際に、機能性表示食品の評価をやってみよう。
という流れになった。

.

 まず、情報元から。これは、消費者庁のページでよい。
「機能性表示食品に関する情報」(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/index23.html

.

 さらに、届け出内容詳細から、提出資料を全部見られる。
今回は、その中でも機能性情報に関する公開情報のみ確認した。
 
 すべての製品について、最終商品を用いた試験による論文が
ついてくる訳ではない。というか、付いている方が少ない。

 最終商品を用いた臨床試験が行われていない製品については、
その商品の有効成分の含まれる論文を紹介するだけでよい、となっている。
(その分、表示の表現が微妙に変わることになるが。)

.

 実際のところ、これ、論文をつけてもらわない方が評価は楽かも。
臨床試験の論文を見てみたけれども、日本語だとまだマシなんだが、
英語の論文となると、読み込むのにかなりの時間が必要。
英語論文を読みなれている人ならともかく、そうでない私のような
人間なら、読み込むのに1時間では利かないだろう。

 ただ、企業の立場からみると、あえて英語論文をぶつけておく方が、
消費者の目を騙しやすい、という側面はあるかも知れない。(苦笑)

.

 有効成分の含まれる論文を紹介するパターンであれば、評価は楽だ。
ただし、「元論文を検証しない」のであれば。
これ、元の論文を検証する手間をかけると、
一介の薬剤師では不可能、と言い切っていいだろう。

 ようは、「この論文による結果はこうなっている」と、
機能性情報に書かれていても、それが信用できるのか、という話。
ここに不正を紛れ込まされると、正直お手上げに近い。
例えば、「効果は極めて限定的であった」みたいな論文なのに、
メーカーが「効果はあった」と評価していた場合。

 だって、その論文を読むためには、どうにかして論文本文を手に入れる
必要があるんだけど……、これが有料だったりするんだが。(苦笑)
そんなとこにお金かけることができる薬剤師はいないだろう。
無料だったにしても、当然、論文を読み込む時間が増える訳で。
それも一本の論文ではなく、複数になってくるともう無理。

.

 そのレベルでの不正をやられると、チェックなんて不可能に近い。
なるほど、これは厄介だわ。
そのレベルのチェックをしないのであれば、評価自体はそんなに難しくない。

.

 実際に、一つやってみよう。
実際に知っている成分の方がやりやすいだろう、ということで、
「モノグルコシルヘスペリジン」を含んでいるファンケルの「健脂サポート」。

http://www.caa.go.jp/foods/pdf/A6-kinou.pdf

.

表示は、以下の通り。

「本品には、モノグルコシルヘスペリジンが含まれます。
 中性脂肪を減らす作用のあるモノグルコシルヘスペリジンは、
 中性脂肪が高めの方の健康に役立つことが報告されています。」

.

※注意。今回の評価は、あくまで一個人の私の感想です。
  評価は、「モノグルコシルヘスペリジン」と、ファルケンさんの提出した資料
  についての感想であり、最終製品の「健脂サポート」を否定するものでは
  ないので、ご了承ください。

 で、この商品は機能性関与成分に関する研究レビュー。

 モノグルコシルヘスペリジンの摂取による中性脂肪の変化についての
システマティックレビューである。
 採用する論文は、「RCT、ランダム化クロスオーバー試験、準ランダム化比較試験、
非ランダム化比較試験、コントロール群のない介入試験」となっている。

 つまり、ランダム化されていない試験(それどころかコントロールがないって。w)
を含んでいる。質としては、よくはない。悪い、といってもいいかも。

.

 結果としては、適格基準に合致した論文は4編。(たった?)
バイアスリスクが中、となったRCTは、血中中性脂肪低下効果を示した。
バイアスリスクが高い、コントロールのない介入試験では、
「正常域での血中中性脂肪値を維持」した。
 うち1編では、有意な低下は認められなかった。

.

 たった4本しか論文が残らないのは、この機能性表示食品は、あくまで
「健康な人」を対象にするから。つまり、病気の人を対象にした試験は、
対象外になってしまうのである。

 これも、ある種バイアスになっていると思うんだけどな。

.

 とりあえず、基本データを抑えておく方が楽なので、こういう時は
「健康食品の安全性・有効性情報」のサイトである。
https://hfnet.nih.go.jp/

 ここの、「素材情報データベース」は非常に使える。
というか、ここで評価されているような素材であれば、もう文句なしに
機能性表示食品として成立する、といってもいいだろう。

 逆に言うと、ここの評価は非常に厳しいってことでもある。
ちゃんとした雑誌に載るようなエビデンスでないと評価してくれないから。

 ここで調べたところ、「ヘスペリジン」の評価は、普通か、やや低め。

(追記:ヘスペリジンと、モノグルコシルヘスペリジンは、同じ物質ではありません。
 素材情報データベースに「ヘスペリジン」しかなかったため、代用しています。)


海外のRCT2件が触れられているが、全く効果がなかったという報告と、
炎症マーカーや総コレステロール値の低下は認められた、という報告。

 ただ、どちらも病気の人を対象にした試験のため、
今回の研究レビューの対象外になるだろう。

.

 この研究レビューでは、論文は読めなかったけれども、
大雑把な結果が示されていた。それを見る限りでは、
確かにRCT2本のほうは中性脂肪が下がっている。有意差ありで。

 対照のない介入試験の結果も、ある程度読めるけれども・・・
これ、本当に変化ないようにみえるな。(苦笑)

 ところが、ここでファンケルさん、うまいこと言ってくる。
正常な血中中性脂肪値を維持することに有効」だと。
ようは、正常な人を下げすぎることはなく、少し高めの人は下がるんだ!と。

.

 今回は、論文読まない縛りでやるけど、
ファンケルさんのレビュー読む限りでは、それ、詭弁にしか見えない。w

 介入試験の数値見る限りでは、少し高めの人も下がってないよ
まぁ、RCTでは下がってるみたいだからいいけどさ。

.

 さて、そろそろまとめに入ろう。

たった4本の論文のみのシステマティックレビュー。
しかも、うち2本はRCTどころか、対照すらない介入試験。
さらに、バイアスリスクも高く、質はあまりよくない。
(と、ファンケルさんが自己評価している)

 その上、介入試験の方は、「有意差なし」と出てしまっている。
で、結論として、「中性脂肪を減らす」と言って・・・いいの??

.

 私の結論としては、「ま、ギリギリ、アリかな?」である。
あえて評価するなら、B-といったところか。

介入試験でネガティブな結果が出てしまっているけれども、
研究の質としては、RCTの方が上なんだから、RCTを信用すべきだろう。
いくらバイアスがあるっていってもRCTだし。

 ただまぁ、自分で「バイアスがある」って言い切ってるとこもあるから、
正直、微妙なんだけど・・・。でもまぁ、根拠があると言っていいでしょう。

.

 気になるのは、「除外文献リスト」
あえて、「効果はありそうだったけど、病気の人対象だったから
泣く泣くはずしたんだよ」みたいな説明付きで載せてたんだけどね。

 それ、恣意的に選んでないかい?

本来の評価とは関係のないところで、
「じつは効果があるっていう論文もあるんです!」ってやるのはねぇ。
だって、「ほとんど効果はなかった」って論文もあるんだよ。
そういう効果のなかった論文は、単純に「除外」しておいて、
効果のあった論文だけ「本当は除外だけど、紹介します」って
言ってるんじゃないのかな。

 なんでこの文献をあえて紹介したのか、ファンケルさんに説明を求めたい。

うがった見方をするならば、そもそも「効果のあった」とされる文献だけを
集めて、効果がなかった文献は、適当に難癖つけて「除外」した可能性は
否定できないんじゃないのかな。

.

 でも、その辺を調べるのは、専門家じゃないと無理無理。
時間がいくらあっても足りないわ。
だって、1次スクリーニングだけで114件あって、こっから108件を
除外している。この「もれた」108件をチェックするなんて・・・
一介の薬剤師には不可能と言っていいでしょう。

 つまり、市井の薬剤師の30分の調査では限界がある、ということ。
メーカーが本気で不正をやったら、見破る力はない。
その成分の専門家でないと無理じゃないかな。

.

 ただ、商品としての評価は、また別。
企業の出した「届出情報」の不正は完全には見抜けないにしても、
その他の情報から、それなりの評価は可能だと思う。
 私は、(値段にもよるが)このファンケルさんの「健脂サポート」は
それほど悪い評価はしていない。

ただ、この評価って、薬剤師個人の考え方によるところが大きいかも。
つまり、客観的な評価ではないと思う。それでいいのか?
これはこれで、別の問題かな。

.

 今回は論文を読まなかったけれども、
論文を読んでみたらどんなもんなんだろう?

 という訳で、この話はさらに続く。
明日は、「論文読まない縛り」を解除して、
機能性表示食品を評価してみる。

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機能性表示食品の制度をもう少し詳しく

 「機能性表示食品」制度がスタートしている。
ぼちぼち、商品が市場に出回りつつあるのかな?

 これについては、少し前に記事を書いている。
「機能性表示食品は、劣化トクホ?」(2015.4.30)
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-f86b.html

.

 この制度のポイントは、
事業者の責任において」科学的根拠に基づいた機能性を表示する、というもの。
トクホは、国が審査を行って許可していたんだけれども、
機能性表示食品は、国は審査していない。

.

 たとえば、難消化性デキストリンを含む食品がある。
メッツコーラとか、ペプシスペシャルとか。三ツ屋サイダープラスとか。
この辺は全部「トクホ」で、個別の商品について、機能性を評価するための
実験が行われており、それを国が審査している。

 結果として、同じ「難消化性デキストリン」が入っている食品でも、
試験の内容と結果によって、許可表示が異なる。

例えば、ペプシスペシャルはこちら。

本品は、難消化性デキストリン (食物繊維) の働きにより、
食事から摂取した脂肪の吸収を抑えて排出を増加させ、
食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする

(後略)

.

一方、同じ難消化性デキストリン配合でも、
「からだすこやか茶W」だとこうなる。

本製品は難消化性デキストリン(食物繊維)の働きにより、
脂肪の吸収を抑え、糖の吸収をおだやかにする

(後略)

.

 からだすこやか茶Wの方は、「糖の吸収をおだやかにする」
がついている。これは、そういう試験結果が出ているからだ。

難消化性デキストリン配合のトクホはいくつかあるけれども、
「糖の吸収をおだやかにする」と「血中中性脂肪の上昇をおだやかにする」
のどちらかのみ、あるいは両方を謳っている商品がある。

.

 では、「機能性表示食品」ならどうなるか?

キリンから出る、機能性表示食品「食事の生茶」の表示はこうなる。

 本品には難消化性デキストリン(食物繊維)が含まれます。

難消化性デキストリンは、食事から摂取した脂肪の吸収を抑えて排出を増加
させる
とともに、糖の吸収をおだやかにするため、食後の血中中性脂肪や血
糖値の上昇をおだやかにすることが報告されています。さらに、おなかの調
子を整える
ことも報告されています。

.

 これ、キリンはこの製品についての試験はしていない
あくまで、「難消化性デキストリン」の効果を報告しているだけだ。
(しかも、キリンは論文検索して、リスト提出してるだけ)

 国は、この内容について審査はしていない。

 ってか、おなかの調子までよくなるのかよ。
万能すぎだろ、難消化性デキストリン。w
いや、食物繊維なんだから、当たり前なんだけどさ……。

 ぶっちゃけ、難消化性デキストリンを配合すれば、どの会社であっても
キリンと同じ表示はできるってことだ。

 なんというか、苦労してトクホにするのが馬鹿馬鹿しくなる。
まぁ、それが規制緩和、といえばそうなんだけど。

.

 国は審査しないんだけれども、申請書類は全て公開されている。
つまり、消費者はそれを見て判断することができる訳だ。

 問題は、消費者がそれを見て本当に判断できるのか?という点である。
プロが見れば判断できるだろうけど、素人でもできるの?

.

 全て事業者の責任でやっているんだけれども、
科学的根拠、になっているはずの論文が、
どうしようもなくお粗末、という例が実際にあるようだ。

 でも、論文が「お粗末」であることを理解するためには、
ある程度理系の素養が必要になる。一般の消費者には難しいだろう。
国はチェックしない。一般の消費者には難しい。

 ってことはここは手を抜いたモン勝ち、やったもん勝ち。
まっとうな企業なら、ちゃんとやるだろうけれども、
倫理感のない企業が、不正をやる可能性は高いよね。
(不正、という言葉も微妙な感じだけど)

.

 国が論文をチェックしないなら、誰がチェックするの?
今はまだ数が少ないからいいけど、今後、膨大な数になってくるよ。
やったところで、どこからもお金が沸いて出ないので、
(むしろ、企業に訴えられるリスクがありうる。)
これを仕事にすることはできない。

 じゃぁ、どうする?

.

そこで、「それこそ薬剤師の出番じゃないの?」と、
「ドラッグストアとジャーナリズム」のkurieditsさんは書いている。

「機能性表示食品が効くかって?それ、薬剤師に聞いたら?」
(ドラッグストアとジャーナリズム)
http://drugstore.hatenablog.com/entry/2015/06/19/220000

.

 kurieditsさんは、以下のように書いた。

「機能性表示食品の論文のトリックを誰がチェックするかという問題点が
 ある。んー、薬局薬剤師の出番じゃない?」

.

 個々の薬剤師が、お客さんに対して、単一の商品について答えるのであれば、
確かに、薬局薬剤師が最も適任だと思う。

 問題は、「薬剤師が、機能性表示食品を科学的に評価できるのか?」
という一点にある。(苦笑)
また、評価できるとしても、どの程度の手間隙がかかるのか。
業務を考えると、一件で1時間もかかるようなら厳しい。
できれば30分くらいで何とかしたい……。

 これはもう、一回やって見なくちゃわからんでしょう。
どのレベルの薬剤師が、どの程度のことなら、どれくらいの時間で調べられるのか。
実践して確認してみようじゃないか。

 という訳で、試しにやってみて、結果、感想を発表したいと思う。
この記事でやろうと思ったが、長くなりすぎるので分ける。
(たぶん)今週中にはアップする予定。

.

 ただ、私は国が審査しているトクホですらぶった切ってる人間だからね。
機能性の評価を、どのようにするかは非常に難しいと思う。

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