書籍・雑誌

読書記録 2024.9

2024.9の読書まとめ(読書メーター)

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9月は26冊読了。

小説(新規)16冊、小説(再読)0冊
学術/ビジネス 7冊、エッセイ/その他 3冊

あまり読書が進まなかったなぁ。
気が付けば、何も再読してないや。
読書にかける時間自体が減ってきつつある。

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 今月の3冊。

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君は医者になれない 膠原病内科医・漆原光莉と血嫌い医学生
(午鳥志季)

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 電子図書館にあったので、なんとなく借りてみたが
なかなか面白かった。
膠原病内科って、とんでもなくニッチなところついてくるな、
と思った。予想通り、作者の午鳥さんは医師らしい。

 全体的な雰囲気が知念さんの天久シリーズに似てるかも。
まぁ、変人でできる女医さん、となると
先行シリーズに似てしまうのはしょうがないかな。

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 ラノベ、というほどライトではないけど、
適度に軽くて読みやすいメディアワークス文庫っぽい作品。
ついでに、膠原病の勉強も(すこしは)できる。

 ただ、ここまで血が苦手だと本当に医師は無理じゃないかな。
あと、ただの学生がこんなとこまで入り込んでいいのか、とか。
ツッコミどころもあるけれども、
それ言っちゃ話が進まないからねぇ。(苦笑)

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 ミスで人が死ぬことがある仕事ってのは、
医師だけではなくて薬剤師もそうだな。
その辺、ハッとさせられた。

 続きもあるみたいなんで、読んでみたい。

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 次、学術系

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職場の同僚のフォローに疲れたら読む本」(佐藤恵美)

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 これは、タイトルの勝利だなぁ、と思った。
いや、同僚のフォローに疲れてる人、めっちゃ多いって。
仕事はできる人のところに集まるしね。

 内容としては、ごく普通の職場のメンタルヘルスの話だけど、
他人のフォローが評価されない人事制度とか、
現在の会社の問題点にも触れていて、すごく納得できた。

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 私も今の職場には不満があるけれども、
「怒り」が疲れを加速させるというのは、すごくわかる。
ものすごくエネルギーを使って消耗する。

 そして、誰もみてくれてないからフォローがない。
仕事しても認めてくれない、そりゃストレスたまるよ。

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 気をつけなきゃいけないな、と思ったのは
「燃え尽き症候群」の話。
そういう、周りのフォローにたけた人が
燃え尽きてしまって仕事に来なくなる、という。

 うーん、弊社でも現在進行形でありそうな話。

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 対策としても色々あって、
もちろん、人事制度の改革が必要ではあるんだけど、
個人としてできることとして、
考え方をかえてみる、とか、気持ちの持ちようとかも
書いてあって、ほとんどが知ってることだったけど
参考にはなった。

 しんどくなったときに、読めるように手元においておきたい。

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 最後。


なぜ働いていると本が読めなくなるのか」(三宅香帆)

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 タイトルの勝利、その2.

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確かに、このタイトルみたら、
「そうそう、最近本読めてないわー」ってなる人多いし、
実際そういう人が読んでみたくなるんだろう。

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 でもこの本、中身はね、
明治時代から現代にかけての労働者と読書の歴史を
振り返るところが大半で。

 いや、タイトルは「労働と読書史」とかの方が
実態を表していると思う。

 ただ、そんなタイトルにしたら間違いなく売れないわ。w

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 なぜ、昔の労働者は本を買ったのか、とか。
なぜ、あちこちの家に「全集」があったのか、とか。
私はそんな話も興味深く読めたからいいけど、

「いや、早く結論いってくれよ」って人も出るだろうなぁ。
それこそが、「働いていると本を読めなくなる」理由の一つ。

 ネットが進んだ現代社会では、
必要な情報は調べれば純度の高い形で手に入るのね。
でも、読書ではいろいろな「ノイズ」が入ってしまう。
働いていると疲れてるし、そもそも時間がないので、
「ノイズ」が邪魔だと感じてしまう。

 いや、そのノイズを楽しむ余裕があるのが読書でしょ、と
思うんだけどなぁ。私は、この本を楽しんで読めたけど、
そうではなかった、という人は、そもそもノイズがしんどいでしょ。

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 で、結論としてはワークライフバランス、というか、
余裕持てるように、仕事を軽くしましょうよ、みたいな話で。w

 うん、私が本読めるのは、余裕があるからなんだろうな。
そうでない人は、なかなか本を読めなくなるんだろう。

 

 

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読書記録 2024.8

2024.8の読書まとめ(読書メーター)

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7月は28冊読了。

小説(新規)9冊、小説(再読)3冊
学術/ビジネス 11冊、エッセイ/その他 4冊

電子図書館で借りた本を読むことが増えてきた。
自分の興味の赴くまま、雑多に借りてるから
あまり身につかないかなぁ。

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 今月の3冊。

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終活シェアハウス」(御木本あかり)

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 御木本さんの本は初めて。
タイトルだけで気になって読んでみたけど、
なかなか興味深かった。

 高齢女性4人、合わせて272歳がシェアハウスで暮らす物語。
この4人、小学校時代からの友達で同級生。全員68歳。

 それぞれ、シングルマザーだったり、ずっと独身だったり、
熟年離婚していたりと、連れ合いがいない状態で、
もう、みんなで一緒に暮らした方が楽しいし便利よね、と。

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 この、60代後半の女性が、なんというかかなりリアルに感じた。
作者の御木本さんが同年代なんだと思う。w
仕事に対して、お金に対して。また、恋や結婚に対して。
60代後半ってこんな感じなんだろうなぁ、と。

 でも、みんな元気でバイタリティにあふれてる。
タイトルには「終活」って書いてあるけど、
これはキャッチーなタイトルつけてみただけで、
実際には終活なんて話、これっぽっちも出てこないよ。
 もっともっと、長生きしてほしいし、できるでしょ。w

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 今後、こういう形態のシェアハウスがはやるかも知れないなぁ。
結婚していても、年をとると旦那と一緒にどっかいくより、
友達と一緒に行く方が楽しいっていうもんね。

 それなら、最初から旦那いらんことないか?w

 また、結婚しない女性だってどんどん増えている訳で。
でも、一人で暮らすのは寂しいし、何かあれば不安。
一緒に暮らすことのメリットは大きいと思うな。

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 ただ、そうなると残った男たちはどうすればいいんだろう?
男性ばっかりでシェアハウスって、現状では難しそうだ。

 まず、家事能力がないと無理だろうってのもあるけど、
そこを何とかクリアしたとしても、
コミュ力の問題があって、男ばっかり集まっても
こういう楽しい話にはならなさそうなんだよね。。

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 結婚しない、できない人たちが増えていくと、
こういう「孤独」「孤立」の問題がでてくるから、
そこを解決するための形として、
こういうシェアハウスはありえるだろうな、と思った。

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 次、学術系

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認知症医療革命 新規アルツハイマー病治療薬の実力」(伊東大介)

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 これは、新薬「レカネマブ」についての本。
去年読んだ、「アルツハイマー病研究、失敗の構造」は
かなり批判的な本だったけれども、
こちらは逆に、「レカネマブ」肯定派のお話。

「アミロイドカスケード仮説は、
 もう「仮説」をとってもいいんじゃないか」

 みたいな文章がでてきてびっくりしたけど。

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 アミロイドカスケードだけで、
アルツハイマーがすべて説明できる訳ではないけれども、
かといって、アミロイドカスケードが
アルツハイマーと全く無関係、ということもないよね、
というのが、落としどころだろうか。

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 新薬レカネマブは、一応有意差がでているので
効果はあるんだろうけど、それが実感できるかどうかは、
ちょっと怪しいんじゃないかと思う。

「革命」というより、「最初の第一歩」じゃないかな。

もう少し、簡易で安価な検査法、評価法ができてくれば、
それこそ「革命」が起こるかも知れないと思うけど。

 レカネマブは、まだまだ「革命」というには力不足だ。
もっといい薬が出てくることに期待したいな。

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 ただ、この分野の薬は本当に求められているし、
成功した時のインパクトも非常に大きい。
はやく革命起こしてほしいんだけどね。

 私がアルツハイマーになる前に。w

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 最後。


別居・離婚後の共同親権を考える」(熊上崇・赤石千衣子)

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 今年の春に、離婚後の子供を共同親権にすることが
可能になる法案が成立した。

 私も気になってたんだけど、
ネット上では、反対の声が大きかったのね。

 この本は、その反対派の人たちが、
「どのような問題があるのか」を解説した本。

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 なんで共同親権なのか、というと、
欧米ではそっちが主流なのと、
多分、海外からの圧力があったんじゃないのかな。

 日本人と外国人が離婚した時に、
日本人妻が子供を日本に連れ帰って、
父親に合わせない、ってのが
国際的に問題になっていたから。

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 私は明確に共同親権賛成派なんだけど、
この本を読んでみて、確かに無条件で賛成はできないよな、
と反対派の事情は理解できた。

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 前提として、すべてが共同親権になる訳ではなく、
共同親権を選ぶこともできる。
今まで通り単独親権でもよい。

 反対派が問題にしているのは、とにかく身勝手なDV男だ。
こういうのが共同親権を主張してきたら、問題。

 いや、問題があるんだから単独親権にすれば、と思うが、
裁判になった結果、共同親権を押し付けられる可能性もあるし、
男の方が、共同親権を認めれば離婚してやる、と
なったら、そこをのまざるをえないかも知れない。

 DVって、立証するのが困難だしね。
逆に言うと、捏造もできてしまうから難しいところ。

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 一言でまとめると、ケースバイケースなんだよ。
共同親権の方がいいこともあるし、
単独親権の方がいいケースもある。
それを、裁判所がきちんと判断できるかどうかが
今後問題になってくるんだと思う。

 ただ、それとは別にして、、

 ちゃんと養育費払えよ。
まずはそこからだろう、と。

 共同親権にしたら養育費払うかっていうと、疑問だし。
逆に、単独親権だから払わない、なんてのもでてくるかも。
いや、どっちにしても養育費は払えよ。

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 たぶん、どうしようもない問題は起きてくると思うよ、これ。
ただ、じゃぁ現状のままでいいのか、と言われると、
それもそれで問題がある場合があるので、うーん。

 養育費払うのは親の義務だし、
面会交流は子供の権利。
親権もってる方の親が、子どもにいろいろ吹きこんで
会わせなくするってのも問題だしなぁ。。

 これもまた、単純な話ではないね。

 

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読書記録 2024.7

2024.7の読書まとめ(読書メーター)

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7月は28冊読了。

小説(新規)11冊、小説(再読)3冊
学術/ビジネス 9冊、エッセイ/その他 5冊

最近、チョコザップはじめた。
すきま時間に、デスクバイクで運動しながら
本を読むことに。

Audibleもやってみたけれども、
あれ、1冊10時間とかかかるのね。
ちょっと時間効率悪すぎるのでやめた。

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 今月の3冊。

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うまいダッツ」(坂木司)


「和菓子のアン」の坂木さんの青春もの?
今回は、高校の喫茶部、というか「おやつ部」のお話で、
だらだらとおやつを食べるだけなんだけど、
そこにちょっとした謎がでてくる。

 食べ物つきコージーミステリー、という
坂木さんお得意の組み合わせ。

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 ハッとするような展開がある訳でもないし、
大きな事件がおこる訳でもない。
ただ、四人の高校生のだらだらとした日常の話だけど、
それがなんとも心地よかった。

 「和菓子のアン」以外の坂木さんの作品では、
天文部を舞台にした(これも食べ物でてくる)「夜の光」
が私は好きなんだが、それに雰囲気似ている。

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 男子二人、女子二人。ちょっとしたやり取りはあるけれども、
はっきりとした恋愛関係はなくて、
ゆるくつながっている友達。

 たぶん、私はそういう「男女の友達」が好きなんだな。
男女の友情は成り立つと思っているので。

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 (お菓子メーカーの)ブルボンの名前の由来。
別に、フランスの王朝とか関係ないらしい。

 ブルボンのお菓子がたくさんでてきたが、
私が一番好きなのは、ブルボン最古のおかし、
「羽衣あられ」である。

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 つぎ、学術系

天才の光と影 ノーベル賞受賞者23人の狂気」(高橋昌一郎)

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 タイトル通り、ノーベル賞受賞者の話。
歴史的大発見をして、名前が残っていても
とんでもない奇行をしていたりする。

 前半は、アインシュタインあたりまでひたすらドイツ人で、
この当時のドイツのすごさがうかがわれるが、
ユダヤ人差別のあまり、ナチスに協力的で
アインシュタインを認められなかった人がちらほらと。

 しかも、それが国のトップに近いとこにいたりする。
本当に、ドイツが原爆開発できなくてよかったよ。

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 後半は、「ノーベル病」にかかった人が多かったかな。
専門以外の方向に突っ走って、晩節をけがしてしまう、という。

 ノーベル賞を受賞すると、本人が万能感を持ってしまって
自分が正しいと信じ込んでしまう、という。
いわゆる「トンデモ」に走ってしまう人もいる。

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 ノーベル賞受賞者が、優れた人格者ばかりとは限らんわな。
なかには(当時にしても)とんでもない差別主義者もいるし、
女性関係が派手すぎる人もいたり、一夫多妻制の人もいたり。

 もっとも、紹介されている人の中には、
「狂気」とまでは言えないんじゃないかな、という人も。
せいぜい、「変人」レベルだよ、っていう。

 中には研究実績自体もどうよ?って人もいるけど、
たいていは、本職の研究では素晴らしい実績を残してる。
どんなに変人でも、業績は変わらない、という一面もあるな。

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「ノーベル賞受賞者が言ってるから」正しいとは限らない。
逆に、どんな変人であっても素晴らしい研究することもある。
人格と研究は(あまり)関係ないよ。


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 最後はエッセイ

赤と青のガウン」(彬子女王)

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 今、話題の本。
著者は、皇室のプリンセスである。
今の天皇陛下の従妹で、れっきとした皇族の一員。
昭和天皇の弟にあたる三笠宮様の孫。

 このエッセイは、オックスフォード大学の留学記だ。
彬子女王は、オックスフォードの博士号をもっている。
でも、皇族とはいえ学問上で特別扱いとかはなし。

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 日本国内では必ず護衛がつくけれども、
イギリスでは彬子女王くらいの立場だと
別に護衛なんかつかないらしい。

 あの国は、いろんな国から高貴な方々が集まるから、
特別扱いしきれないのかも。

 なので、皇族なのに一般人に紛れて行動するので、
たとえばパスポート(外交官扱い)みられて
「あなた何者?」ってなったりとか。

 ごく普通の女の子なのに、プリンセスとか書いてるし。
そもそも、苗字がないし。w

 それでも、皇族ならではなこともあり。
エリザベス女王と一緒にお茶会とか。

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 オックスフォード大学でも、
別に特別扱いはされてなさそう。
普通に英語で苦労したりとかして。

 なんか、すごい親しみやすい感じの文章だった。
そして、面白い。
あと、博士号とるのは大変なんだなぁ、
という苦労もわかった。

 ドクターとった後のキャリアも大変そう。
さすがに、皇族だからポスドクならではの
生活苦とかはなさそうだけど。w

 

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読書記録 2024.6

2024.6の読書まとめ(読書メーター

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6月は25冊読了。

小説(新規)10冊、小説(再読)3冊
学術/ビジネス 8冊、エッセイ/その他 4冊

生活が変わって通勤時間がほぼなくなったので、
やっぱり読書時間が減ってしまった。
小説読んだ数は少なったけど、
いい作品多かったな。

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 今月の3冊。

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この銀盤を君と跳ぶ」(綾崎隼)


 綾崎さんのフィギュア小説。
綾崎さんと言えば、サッカーなんだけど、
このところ、将棋を書いたりフィギュアを書いたり
多彩さを見せつけている。

 で、どれも面白い。
私は恩田陸さんを「天才を書く天才」と評したけれど、
綾崎さんも匹敵するんじゃないかなぁ。

 天才少女二人が、たったひと枠のオリンピック出場枠を
争う、という物語なんだけど、この二人がね。
どちらも世間から愛されないという、
いまだかつてない話だ。

 世間からブーイングを食らうアスリートって、
なかなかいないよね?特にフィギュアでは。w

 一人は、あまりにも傍若無人なため。
もう一人は、気分屋で気分が乗らなければ
試合をボイコットするため。

 そして、そんな彼女たちを支える
コーチや振付師目線の話が実にいい。
フィギュアは、ジャンプだけじゃないよ!
っていう振付師でありながら、
実際には4回転ジャンプ跳びまくるライバルに
太刀打ちできていないってのが、
まさしく現実とリンクしているし。

 そして迎えた決戦の日、全日本選手権。
いやー、これはフィギュアファンなら燃える展開。
そして、フィギュアスケートのファンでいて、
かつ綾崎さん推しの私が、気に入らない訳がないわ。
今のところ、今年の上半期で一番、面白かった。

 私以外にどこまでささるかわからんけど。w

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 つぎ、学術系。

偶然の科学」(ダンカン・ワッツ)

 これは、少し昔の本。
今年なくなったSF作家の山本弘さんが、
著作(BISシリーズ)の中で紹介していたので読んでみた。

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 物事には必ず原因ってあるけれども、
みんなが思うほど、「これが原因」ってハッキリわかることは
ないよ、という話かな。

 いろいろな実験、データが積み重なっていて
少し読みにくいけれども、まとめると、
「偶然の範囲は大きい」ってことじゃないかと思う。

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 例えば、ハリーポッターシリーズは世界的大ヒットになった。
もちろん、後付けで理由はいくらでも考えられるけど、
あれを出版する前に、あの本が売れると予想した人は
ほとんどいなかったのも有名な話。

 じゃぁ、なぜあれだけ売れたのか?
結局のところ「偶然」ってことじゃないのかな、と。

 というか、世の中のヒット作、ほとんどが、
「偶然」によって生まれていると言ってもよいかと。
いい作品が必ずしもヒットする訳ではないし、
「なんでこの作品が?」ってのが大ヒットすることもある。

 それ、事前にわかるわけないよね、ってこと。
もちろん、ある程度の予測はできるけれども、
それで完全に読み切れるわけではない。

 その偶然の幅は、世間の人が思っているよりも
よっぽど大きいんだよ、という話だ。

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 たとえば、ある人ががんになったとする。
たいていの人が、「何が原因?何が悪かったんでしょうか?」
と気になって医師に聞くそうだ。

 とある医師の答えはこう。

「いろいろ原因は考えられますが、
 一番悪かったのは、、、

 運 です。」

 そう、運が悪かっただけ。w
いくらタバコ吸っても肺がんにならない人もいれば、
十分に健康に気を付けていても、難病にかかる人もいる。
ある程度の説明はできるけれども、
一番大きいのは、「運」。
つまり、「偶然」だよ。

 未来の予測なんて、なかなかできるものではない。
ただ、全くできないわけでもない。

 結局は努力するしかないんだけど、
努力したからといって報われるとは限らんよね、
ってことかもしれない。

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 最後も小説から。

山の上の家事学校」(近藤史恵)

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 今月は、新規の小説を10冊しか読んでいないが、
面白いものが多かった。
シングルファーザー二人が共同で子育てする
「プリテンドファーザー」とか、
黒田官兵衛が牢の中で安楽椅子探偵をする、
米澤さんの「国牢城」とか。

 でも、あえて紹介するのはこれ。

 近藤さんは、ミステリ作家なんだけど、
今回はミステリ要素はなし。

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 家のことを一切しないで、
奥さんに愛想をつかされて離婚された40代の男性が、
家事学校に通って家事のことを学ぶ、という
いかにも今時なストーリー。

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 いや、私も今、家事やってるけど、
これ読むと全然できてないわ。
洗濯は洗濯機にいれて終わりだと思ってるし。
ボタン付けもできないし。

 家事ってのは、生活を維持するために必要な、
賃金の発生しないすべての仕事のこと。
いわゆる「名前のつかない仕事」含めると
圧倒的に多いんだよね。

 つい最近も、お風呂の排水溝が詰まってる、と
訴えがあったので掃除した。慣れたもんだけどさ。
いや、気づいたんならあなたがやっても
いいんだよ、と思ってしまった。

 台所の排水溝の掃除にしてもさ、
そんなに難しい作業じゃないんだよ。嫌なだけで。
でも、主夫(主婦)以外の感覚は、
「それは、私の仕事じゃない」って思うのね。
私も、家事しない期間が長かったから、
その感覚は嫌というほどわかる。

 なぜ、家事は女性の仕事と思われているのか。
フルタイムの仕事しながら、家事をやるのって
かなりキツイんだよね。

 外注するのもありだと思うけど、
それにしても、一通りできないと
外注することもできないよ。

 住み込みのお手伝いさんでもいない限り、
こまごまとした家事は発生し続けるしね。

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 ラストの方の展開で、
家事がある程度できるようになった主人公が、
自分の体験を記録した記事を、
前の奥さんに見てもらって、感想をもらうんだけど。

あなたは何もわかってない」って
怒られるんだよね。w

 ああ、めっちゃリアルだ、と笑ってしまった。
そこは、安易にハッピーエンドにはならんのよ。

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 社会全体の働き方だとか、
家事に対する考え方を変えていかないと、
この不平等は解消されないんだろうな。

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読書記録 2024.5


2024.5の読書まとめ(読書メーター

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5月は30冊読了。

小説(新規)14冊、小説(再読)5冊
学術/ビジネス 9冊、エッセイ/その他 2冊

 新規の小説が多い割に、
あまり記憶に残っていないような。
来月からは生活が少し変わるので
読書量減るかも。

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 今月の3冊。

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 小説。

コロナと潜水服」(奥田英朗)

 奥田さんの小説は2冊目。
今年に入って読んだアンソロジーが面白かったので、
奥田さん単独で読んでみた。

 読後感のよい、ほんわかした話が多いかな。
ギスギスしてない。

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「コロナと潜水服」は短編集で、
少しだけ(?)超常現象がおこるお話。
表題作、タイトルこそ強烈だけど、
2020年当時のことを思い出したな。
コロナ1年目の話。

 なぜか小さな息子がコロナの感知能力があって、
(というか、予知能力に近いんじゃ)
自身がコロナにかかったことを確信した主人公が、
防護服ない(当時、どこもなかった)ので、
潜水服で出歩く、というお話。

 いや、見た目インパクトありすぎだし、
暑くないかな?逆に病気になりそう。
でも、当時はこれくらいする人もいたかもね。

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 最終話、「パンダに乗って」がすごくよかった。
これに全部もってかれて、前の話がほとんど抜けるくらい。

 パンダといっても動物のパンダではなく、
イタリア車、フィアット・パンダというコンパクトカー。
1980年代の車だ。

 主人公は、中古車でこれを買ったんだけれども、
ナビを設定すると、なぜか全然違うところに案内され、
そこには、そのパンダの前の持ち主ゆかりの人たちが
出迎えてくれる。

「わぁ、この車珍しい、久しぶり」って感じで。

 結果、前の持ち主のことがいろいろとわかってくる。
若くして亡くなったこと。恋人がいたこと。
親が大事に車を保管していたこと、などなど。

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 冷静に考えれば怖い話なんだけど、
出てくる人がみんな歓迎してくれるもんで、
ちっとも怖くない。
 車に魂が乗り移ったのかなぁ、と。
最後は泣けた。いい話。

 奥田さんはほとんどノーマークだったので、
ぼちぼち読んでいきたい。

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 つぎ、学術系
改革・改善のための戦略デザイン 薬局DX

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 医療DX、待ったなし。
今月からの診療報酬改定で、医療DX加算みたいなのもあるし、
デジタル技術を進めるのは急務。

 この本は、主に薬局でどのようにDXを進めるのか、
という指南本になるのかな。
書かれたのがつい最近なので、参考になる。

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 電子処方箋はともかく、
マイナンバーカードが肝なのよ。
これがなきゃ、話が進まない。

 先月から、職場でもマイナカード勧めてるけど、
これがまぁ、まだ持ってない人も多いし、
文句ある人も多いし、と散々だ。

 患者さんからメリットが見えにくいのよね。

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 でも、医療DX進めるには必須だから。
これ進めることで医療の効率化がはかれる。
そうすると、働き方改革なんかにもつながるし、
無駄な医療を削減できるかも知れないし。

 医療、介護の人不足は深刻だから、
がんばって進めないといけないんだけど。

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 この本には、医療DXが進んだら
こんなことができる、みたいな事例がたくさん。
正直、バラ色の未来を見せてくれるんだけど。

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 そんなにうまくいくのか??

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 という疑問が。

 医療、介護の現場って、DXが遅れてる分野
何が問題って、スタッフの高齢化なのよ。
60代、70代で現役の医師、薬剤師も多いし、
そういう人たちがついていけないと、
なかなか進まないんだよなぁ。

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 病院やほかの薬局と情報共有して、
疑義照会なんかもオンラインでやってしまいたい。

 いまだに、FAXだもんねぇ。
メールですらない。
手で文章書いてFAXで送るって、いつの時代よ?
って感じなんだが。

 早く、DX進んでくれないかなぁ。
先は長く険しいと感じる。

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 なんせ、医療、介護は患者さんも医療者も高齢者多いもんで、
デジタルには疎いんだよねぇ。
すっごく便利になるから使ってほしいんだけどな。

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 もうひとつ、学術系

結婚の社会学」(阪井裕一郎)

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 社会学っていう学問もあれなんだけど、
テーマが結婚ってものすごく幅広い。
でも、私の興味のある分野なので、
めちゃくちゃ勉強になった。

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 まず、日本の結婚制度の歴史なんざ、
100年程度の話でしかない。

 たかだか100年の伝統しかないのね。
それ以前は、離婚率が異様に高かったり、
「男色」が普通にあったり、
庶民の結婚相手は「夜ばい」で決めてたり。

 夫婦同姓にしても、100年くらい?
欧米に合わせて夫婦同姓を導入した。
それまでは別姓が基本だったらしい。

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 結局、明治政府の「家」の考え方
(ルーツは江戸時代の武家)が、
日本の結婚を決めていった感じなのね。

 いまだに、その流れが残っている。

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 という歴史を共通認識にしておいて、

「離婚、ステップファミリー」
「夫婦別姓」
「同性婚、LGBT、SOGI」
というテーマを論じている。

「結婚」の常識を変えようよ、という話かな。

結婚しない男女が増えているけど、
それって悪いことなの?
結婚しなくても、子どもがいればよくない?とか。

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 結婚しなくちゃ家族持てないのなら、
未婚の人たちはみんな孤独になっていくよね。
友達同士で家族になる方法はないの?とか。

 フランスのパートナーシップの話が出てくるけど、
これって、同性婚だけの話ではなくて、
何なら友達同士でも(性愛の関係なくても)
家族になれちゃったりする。

 結婚は子供を作る手段、っていう訳でもないし。
お互いにWin-Winで、誰にも迷惑かけないのなら、
それはそれでありじゃないかなぁ。

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 高齢者にとって、孤独、孤立が一番まずい。
なら、結婚という形にこだわらないで、
誰かと一緒に暮らしたらどうなの?っていう話。

 いや、この流れは来ると思うよ。
仲のよい友達同士でシェアハウスで暮らすって、
その方が楽しくないか?
グループホームかもしれんが。w

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 もう少しフレキシブルに家族、結婚を見直すことができれば、
社会はもっと生きやすくなるんじゃないのかな、と
思った。

 実際は、とても難しいんだけどね。
選択的夫婦別姓も、なぜいまだに実現しないのか
まるで理解できないもん。

 戦前の日本の制度が好きな人(=保守?)が
たくさんいて、その人の怨念に縛られているから、
としか言いようがない気がする。

 選択肢が増えるだけであって、
みんながそうしろってわけじゃないんだから
放っておいてくれないかな。

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 ただ、この本、少子化対策にはふれてない。
それとこれとは、話が別だろってことらしい。


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読書記録 2024.4

2024.4の読書まとめ(読書メーター

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3月は28冊読了。

小説(新規)10冊、小説(再読)6冊
学術/ビジネス 9冊、エッセイ/その他 3冊

 いろいろあって疲れてるけど、
本はそこそこ読めていたりする。
山本弘さんの訃報があった。
山本さん(の作品)は、
私に非常に多くの影響を与えてきたので、
一から再読していく予定。

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 今月の3冊。

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 小説。

spring」(恩田陸)

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恩田さんのバレエ小説。

「チョコレートコスモス」で演劇の天才を。
「蜜蜂と遠雷」でピアノの天才を書いてきた恩田さんが、
今回は、バレエの天才を書く。

 恩田さんって、「天才」を書く天才だと思うなぁ。

「俺は、世界を戦慄せしめているか?」

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 踊るほうのバレエは、正直よくわからない。
文化、表現、芸術なんだろうけれども。
踊りをみて戦慄するようなことあるんだろうか?

 ただ、恩田さんが書くとありえるように思えるから
面白い。バレエ、見てみたくなったなぁ。

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 主人公は、「萬春」
れっきとした日本人の男性なんだけど。
彼の周りの人間からみた、春のすごさと、
最後に「春」本人の目線の話がある。

 個人的には、踊りだす作曲家、七瀬の方にも
興味があるけれども。w

 これ、バレエする人が読んだらもっと面白いのかな?

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 私の母が、恩田陸が好きで、
チョコレートコスモスも好きだったので、
これは絶対に好きだろうと思って、買って持っていったら、
母もすでに新刊で購入していた。w

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 つぎ、学術系
認知症の人、その本当の気持ち」(たっつん)

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 今月は認知症の本をたくさん読んでいるが、
その中で一つ選ぶならこれかなぁ。

 実は、学術的なところはほとんどないんだけど、
非常に実例が多いのが特徴。

 一見、意味の分からない行動をしている認知症の人にも、
それぞれ、本人には理由があって、
介護者が適切な対応を取れれば、
問題行動がなくなっていくケースがある。

 実際に本人がどう考えてるのかはわからんのだけど。

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 この著者は、実際に介護の現場で働いているだけあって、
経験が豊富。引き出しも多いんだろうなぁ、と感じた。
単に、「この人はボケとるからわからん」ではなくて、
その先までしっかりと考えることが大事。

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 あとは、介護者としての心構えかなぁ。
覚悟というか。
やっつけ仕事じゃ務まらないよね。
お年寄りが好きで、介護の仕事に誇りをもたないと。
それが非常に難しいと感じた。


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 最後も小説。

地雷グリコ」(青崎有吾)

平成のエラリークイーン、こと、青崎さんの作品。
トリック、論理を武器にしたミステリ作家さんなんだけど、
今回は、誰もが知っているようなゲームに、
少しばかりアレンジを加えての、心理戦。

 私が知っている作品でいうならば、
「カイジ」とか「Liargame」みたいなマンガになるけど、
あれを小説でやってしまっている。

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「グリコ」は、みんな知ってるよねぇ?
ジャンケンして、グーなら「グリコ」、で3つ。
チョキなら「ちよこれいと」でパーなら「ぱいなつぷる」で6つ進む。
ゴールまでたどり着いたら勝ち。

 今回の地雷グリコは、全45段の階段のなかに、
プレイヤーの二人が「地雷」ポイントをあらかじめ3つずつ
設置していて、そこに止まると相手を10段下げさせる、
という特殊ルールつき。

「どこに地雷を設置するか?」という心理戦になる。

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 こんな感じのゲームが5つ。
主人公は女子高生で、対戦相手も基本高校生なんだが、
まぁ、この作品に関して言うとキャラクターは割とどうでもいい。w
ゲームの騙しあい、読みあいが見どころなので。

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 好きなひとは、めちゃくちゃ好きな話だと思う。
私も好みではあったんだけれども、
最後の方の戦いがスケールが大きくなりすぎて
リアルでは再現できない戦いなのが、ちょっと。

 最後まで、リアルな論理ゲームで攻めてほしかったなぁ。
でもまぁ、好きな人は好きでしょ。これ。

 できれば続編も書いてほしいとこだけど、ネタ続くかな?
青崎さんは、確かボードゲーマーでもあったと思うので、
(以前、ハコオンナしてるツイートみたことある)
そっちよりでも、面白い作品期待したいな。

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 今月も、小説が2本。
学術系もいろいろ読んでるんだけど、
あまりピンとくるのがなかった、のが正直なところ。

 もう少し勉強しないといけないんだけどね。

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読書記録 2024.3

2024.3の読書まとめ(読書メーター

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3月は30冊読了。

小説(新規)10冊、小説(再読)6冊
学術/ビジネス 13冊、エッセイ/その他 1冊

いろいろあった3月も終了。
小説よりも、学術系の本の方が多いな。
これは、図書館予約の回ってくるタイミングの結果
たまたまそうなっただけ。
本屋大賞の発表が近づいてきてて、そっちの本が増えてる。

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 今月の3冊。

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 小説。

成瀬は天下を取りにいく」(宮島未奈)

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 宮島さんは、これがデビュー作。
デビュー作にして、いきなりの本屋大賞ノミネート。
もし取っちゃったらえらいことだなぁ。

 主人公、成瀬あかりのキャラクターがとにかく強烈。
書き出しからすごい。

島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う

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 もう、「???」しか浮かばんよね。
島崎は成瀬の親友。でも、お互いに苗字呼び。
これも逆に新鮮で面白い。

 この時、成瀬は中学2年生。
この「西武」は、この夏に閉店が決まっている
「西武大津店」
 滋賀県大津市に唯一存在していた百貨店だ。

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 この作品は、「ありがとう西武大津店」という短編を
さらに膨らませた連作短編集になっている。
最初の構想では、むしろ主役は「西武大津店」
だったんじゃないかな?

 でも、キャラクターの成瀬がとんでもなくて、
成瀬を主人公にした連作短編集になった、って感じかな。
成瀬が出てこない回がつまんなく感じるから。w

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 やる、と決めたことは必ず実行する。
なんせ、目標が200歳まで生きることだったりするし。

 いきなりM-1に挑戦してみたりするし、
高校は膳所高校に進学して、
なぜか丸坊主になって、
かるた班に入って。。

 膳所高校は、実在するよね。
本当に部活動が「班」呼びなのかな?

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 本作では、大学受験(たぶん、京大)までで終わる。
成瀬視点は最終話だけで、これ見ると、
超人ではあるものの、普通な一面を見えて、面白い。

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 特徴二つ。

 あふれだす滋賀愛
もともと、西武大津店を舞台にした話だし、
その外にも、滋賀県(というか大津)あるあるを
全部ぶっこみましたってくらいに地元愛にあふれている。

 これ、滋賀県民はめっちゃ面白いでしょ。

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 もう一つは、現在進行形の話であること。
第一話が、成瀬中2の夏でコロナ発生時の話だから
2020年なのね。

 え、、うちの娘と同い年なのか?w
じゃぁ、大学受験って、すでに未来の話になってる。
来年、京大受けたら、成瀬と一緒になれる?
(絶対無理だけど)

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 あくまで、現実世界、現代の話でありながら、
枠組みにとらわれずぶち壊していく成瀬が、
かっこいいんだよなぁ。

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 つぎ、学術系
運動脳」(アンデシュ・ハンセン)

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 この人は、「スマホ脳」という本が大ヒット。
で、この「運動脳」は、スマホ脳よりも先に書かれた本だけど、
本国(スウェーデン)では、こちらの方がより読まれている、という
ふれこみ。

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 で、タイトルも「スマホ脳」を連想しやすく変えて出版した、
という経緯になる。

 内容は非常に簡単で、
運動することは、身体によいだけでなく、脳にもよい

 具体的には、認知機能の向上。記憶力の向上。
また、うつ病に関しても抗うつ薬と同程度の効果を発揮する。

 運動強度はそれほど高くなくてもよいけど、
息が切れる程度の運動を20分くらい?
ジョギングかウォーキングがおすすめ。

 別に、どこを歩けという指示はないので、
マシンを使ってもかまわない。

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 ちゃんとエビデンスも示しているんだけど、
うーん、スマホ脳の作者が書いてなかったら、
「ほんまかいな?」って思って無視するかも。

 まぁ、運動することが身体によいのは
明らかなので、かりに脳に(それほど)よくなくても、
別に問題ないのだが。

 この本のラストは、
さぁ、この本を閉じて運動しよう
って感じで終わる。w
そりゃそうだ。

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 でも、確かに「運動しようかな」って気になった。
勉強する前に、少し運動すれば能率が上がるらしい。

 頭いい人って、朝にジョギングする人が多い気がする。
さすがにそんな時間はないけど、
何か運動した方がいいのかな、って気になった。

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 この本は、母が買ってきて、父に読ませたところ、
どれだけ言っても運動しなかった父が、
毎日散歩するようになった。

 認知症の予防になる、と言って。

 すぐによくなることはないと思うけど、
一時のことをおもえば、かなり改善したように思える。
まぁ、何にせよ運動することは健康によいのよ。

 それは、ほぼ間違いのない事実だから。

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 最後も小説。

スピノザの診察室」(夏川草介)

 これも、今年の本屋大賞にノミネートされている。

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「神様のカルテ」で大ヒットを飛ばした夏川さんの、
新たな医療小説。

 ただ、テーマはかなりかぶっていると感じた。

 本作は、京都が舞台である。
そして、おいしそうな和菓子がたくさん出てくる。

 また、家族とのかかわりも重要なファクターの一つ。

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 愛読書は、スピノザの「エチカ」らしい。
神様のカルテは、夏目漱石だったよねぇ。

 神様のカルテとの類似点はかなり多いなぁと感じた。

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 何が違うのか?というと、
単純に、神様のカルテはすでに10年前の話だということだ。

 当時とは、医療環境が異なる。
高齢者を無理に延命しないのは、もはやメジャーになりつつあるよね。
10年前だと、まだまだ珍しかった気がするが。

 この10年で社会、医療の在り方が変化して、
また、作者の夏川さん自体も、変化というか進化している。

 もちろん、変わるだけではなくて変わらないものもある。
だいたい、スピノザのエチカっていつの時代だよ?w
でも、今でも読まれてるんだもんね。

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 このあたりのミックスが、読んでいて心地よい。
神様のカルテは、もちろん続編が出ているけれども、
こちらは続編でこそないものの、
今の時代に合わせた「2.0」という印象を持った。

 読む方の私も進化してるのかな?
さすがに、スピノザはハードルが高くてなかなか読めないが。

 

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読書記録 2024.2

2024.2の読書まとめ(読書メーター

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2月は25冊読了。

小説(新規)14冊、小説(再読)2冊
学術/ビジネス 6冊、エッセイ/その他 3冊

2月はあっという間に終わってしまった。
読書量も極端に少ない。
25冊とはいえ、(薄い)乙女の本棚が
2冊あっての数字だからね。
なんか、忙しかったのかな。

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 今月の3冊。

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 小説。
セゾン・サンカンシオン」(前川ほまれ)

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 前川さんは初めて。看護師として働いているらしい。
いろいろな依存症に陥った女性たちが共同で生活し、
依存症からの回復を目指す施設、サンカンシオンのお話。

 アルコール、ギャンブル、薬物。

 基本的に、治るということはないらしい。
いつでも簡単にスリップするし、
頑張ってきてももとに戻ってしまうことがある。

 でも、失敗してもそれを正直に言えるのが大事。
同じような境遇の人と話し合うことで、連帯する。

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 先月紹介した「世界一やさしい依存症入門」を
そのまま小説にした感じ。
依存症になる原因は、おそらく「孤独」

 そして、世間の偏見の目が非常に厳しい
何人か登場人物がいるけれども、
「依存症ではない人」の目線から依存症の人を見る話が
多いので、最初は偏見にまみれている。

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 世間の無理解に怒りを感じるなぁ。
じゃぁ、どないせえっちゅうねん、と。

 強調されているのは、依存症は「病気だ」ということ。
風邪をひいて鼻水が出るのは、意思が弱いからかい?
アルコール依存症になって酒をのむのは、当たり前の話。

 ただ、家族のことを考えるとしんどいなぁ。
依存症の家族をもった方もしんどいけど、
本人はもっとしんどいと思う。

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 少しでも、世間に理解が進めばいいけどね。

 

 次、学術系
がんはどうやって治すのか」(ブルーバックス)
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 国立がん研究センターから出ている、ブルーバックス。
ブルーバックスなんて読むの、何年ぶりだ?
下手したら学生時代以来かも知れない。

 がんの治療法に関する教科書のような本。
発売は昨年12月なので、現時点での最新の知見だ。

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 現在のがんの治療法は大きく4つ。
「手術」「放射線」「化学療法」「免疫療法」

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 この4つが、4本柱として紹介されている。
私の知識では、3本柱だったので、
いつの間にか「免疫療法」が柱になっている、
ってことだ。

 ターニングポイントになったのは、
免疫チェックポイント阻害薬。
本庶さんがノーベル賞とった研究やね。

 オプジーボ、キイトルーダという薬は、
日本での売り上げが年間1位、2位だ。
どちらも免疫チェックポイント阻害薬。

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 まだまだ昔からの薬も使われているけれど、
治療の選択肢が広がった感じがする。
20年前にくらべても、
「がん」は治る病気になってるな、と思う。

「標準治療」がかなり進化してるなぁ、と。
がん保険とかでも、先進治療まで含めた商品が
主流だったけど、あれ、いる?

 先進治療は、「まだ効果の確定していない治療法」
健康保険の利く標準治療がここまで進んできたら、
先進治療を使うメリットってほとんどないんだけど。

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 何にせよ、情報のアップデートが大事
がんに対する怪しい民間療法とか、
まだまだ古い知識でやってるとこも多いから。

 いまや、がんは治る病気ですよ、と。
アップデートしていこう。

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 最後。

なぜ男女の賃金に格差があるのか」(クラウディア・ゴールディン)

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 去年のノーベル経済学賞、ゴールディン氏の著作。
題名はアレだけど、アメリカにおける女性の社会進出、
100年の歴史をふりかえっている。

 制度的にはほぼ男女平等になっているけど、
それでも賃金格差があるのはなぜ?という話。

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 100年前、大卒女性はいたが、結婚しない人が大半。
(それこそ、津田梅子とか、ヘレンケラーの時代である)

 そこから、家事労働の省力化にともない、
女性の社会進出がすすむが、
「家庭、子供をもつこと」と「キャリアを積むこと」という
両立は、最近まで課題でありつづけた。

 早々に結婚して、子供が大きくなってからキャリア、となると
キャリアの断絶がおこり、復職するのが難しい。

 逆に、先にキャリア積んで、軌道に乗ってから子供、
とすると、高齢になり、そもそも子供ができなかったり。
(これは、今の日本だな)

 最新のアメリカでは、この二つを両立させる動きになってる。

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 大きな転換点となっとのは、「ピル」の存在だ。
ピルがなかったころは、子供をもつタイミングを
コントロールするのが難しかった。

 ピルという確実な避妊法によって、
子どもをもつことを遅らせることができる。
その間にキャリアを積もう、子供はそのあと、と。

 ところが、「女性がいつまで子供を産めるのか」という
データが当時はほとんどなかったのね。
実際に出産を遅らせると、思った以上に大変で
そもそも子供ができないことがわかってきた、と。

 今では当たり前の話だけど、
当時はこれがわからなかったのが
新鮮だった。

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 いまは、キャリアも家庭も、両立させる人が増えてきている。
日本では、まだまだだけどね。

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 まず、前提として
「大卒女性がキャリアを目指すこと」はよいことか?
「家庭、子供をもつこと」は、必要か?

 この本は、この2点を全面的に肯定して進んでいるので、
そもそもここで疑いをはさむと、話が進まない。w

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 で、タイトルの賃金格差の話なんだが、
制度的には、完全に男女平等であってもね、

「長時間労働、高収入」「一定時間労働、平均収入」の
二つの職があり、夫婦ふたりともどちらも選べる場合でも、
ジェンダー規範から、男性が高収入、女性が平均収入を
選びがちになる、ということ。

 子供が熱を出したときに対応するのどっち?
夫婦どちらかが対応できる状況を作っておかなきゃいけないが、
そこはアメリカでも「女性が対応すべき」となるらしい。

 ようは、女性の方が家庭を維持するために
仕事をセーブする必要があるよ、ってことだろう。

.

 あとは、働き方改革が必須。
例えば、医師は働き方がえげつなかったので、
女性医師は少なかった。

 今、まさに問題になっているけれども、
働き方改革が進むことで、女性も働きやすくなる。
それは、結果的に賃金格差が減ることにつながる。

 日本は、これを進めるべきなんだろうな。
いろいろ不便になるところはあるが、諦めてもらうしかない。

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 さて、私の思う解決策。

大卒女性が、キャリアを積みながら家庭を持つ方法として、
家庭を重視する配偶者を持つ
これで、ほぼ解決する。

 お互いにキャリアを目指すから賃金格差ができるんだよ。
キャリアを目指す女性を、家庭で支えるパートナーがいれば、
簡単に解決しないか??

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 というか、現在の我が家がその形である。
私は兼業主夫。奥さんの方が長時間労働で、収入も多い。
私はキャリア重視しないから、それで丸くおさまる。

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 おそらくは、ここにジェンダーの壁があるのね。

大卒女性が、家庭的なパートナーを求めないのよ。w
おそらくは、自分と同等が、自分以上のキャリアを目指す
相手に魅かれてしまう、という。

もちろん、男性の方にも壁がある。
自分より稼ぐ女性に尽くすことを容認できるか、という。

 でも、そこは気持ちの問題だから、
ひょい、と乗り越えることできそうなんだけどな。
ハイスぺ、バリキャリ女子は、家庭的なパートナーを探そうよ。
 逆に、家庭的な男性に結婚できるチャンスが生まれないかな?

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 私はキャリアを重視しないので、
のんびりだらだら、本でも読んで過ごそう。
それが一番平和だよね。

 

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読書記録 2024.1

2024.1の読書まとめ(読書メーター

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1月は30冊読了。

小説(新規)13冊、小説(再読)6冊
学術/ビジネス 10冊、その他 1冊

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 #読めよ薬剤師2023で取り上げられた本を
図書館で探して読んでいるので、
1月は学術系の割合が大きくなる。

 冬休み期間に結構な冊数を読んでいたけど、
終盤、体調を崩して失速。
終わってみれば月間30冊だった。

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 今月の3冊

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 小説

幽世の薬剤師」(紺野天龍)

 記憶があいまいだけど、
確か、#読めよ薬剤師2022、で紹介されていたと思う。
気になって予約していたら、回ってくるのに1年かかった。

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 働きすぎ?の漢方薬剤師(病院勤務)が、
怪異のおこる異世界(江戸時代くらいの日本?)に
迷い込み、トラブルを解決していくお話。

 ぶっちゃけ、和風「異世界薬局」

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 「異世界薬局」では、神力や魔法があったけれども、
「幽世」では、主人公は普通の薬剤師。
ただ、ヒロイン?の巫女が、怪異をお祓いする力をもつ。

 でも、そんなに強い印象はないな。

 世界観がかなり特殊で、
「人々が信じているような怪異が発生する」
という、因果関係を逆転させたようなルールがあって、
その怪異を解決していくようなお話、かな。

 漢方薬を作るシーンもあるけれども、
話の本題にはあまりかかわってこない。
おまけ、っぽい感じ。

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 正直、1巻はあまり刺さらなかったけど、
2巻を読んでみて、方向性を理解した。

 これ、医療ミステリーだ。

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 ある症状や現象があって、
処方でどう変わるか、
また、幽世の世界のルール(根源怪異とか感染怪異とか)
から、主人公が謎を解き明かしていく。

 この主人公、漢方の知識というよりも、
推理力の方がすごい。

漢方薬剤師は、ある意味で体で起こっていることを
「推理」して薬を考えていくので、
これも薬剤師の力、といえなくもないんだけど。

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 なんか、主人公の愛されっぷりが、
「異世界薬局」に似てるなぁ、と思ってしまった。
ある程度の恋愛要素は必要なのかね?
元の世界ではとてももてるとは思えないんだが。w

 個人的には、その辺割とどうでもよくて、
もっと論理や推理に振り切ってもいいと思うんだけど、
そうするとあまり売れないんだろうなぁ。

 結構、続編も続いているみたいなので読んでいく。

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 次、学術系。

世界一やさしい依存症入門」(松本俊彦)

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 いや、#読めよ薬剤師2023からと違うんかい!
薬剤師のみなさん、勉強家すぎて、
ちょっとついていけないのよ。w

 その点、この本はものすごくわかりやすい。
なんせ、対象読者が「中学生」だから。
たぶん、小学生高学年でも読めると思う。

 こういう「わかりやすさ」って大事なのよ。

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 ニュースでも、市販医薬品のオーバードーズの問題が
取り上げられることも増えてきた。
 もちろん、市販薬の話もあるけれども、
アルコール、たばこ、自傷行為、ゲーム、などなど。
依存症っていろいろあるよね。

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 どの依存症に対しても、アプローチの方向性は同じで、
「ダメ、絶対。やめなさい!」
って言っても、ダメなんだわ。
それじゃ解決しない。

「なぜ依存症になってしまうのか?」
にフォーカスをあてて、そこを解決しないと。

 著者が言うには、まずは
「社会とのつながりをもつこと」
「誰かに相談すること」
 が大事。

で、相談された人、友達、親、先生は、
一方的に否定しちゃダメ。
それすると、孤立しちゃって悪循環にハマる。

 依存症になる一番の原因は、
「孤独」なんじゃないかなぁ?って思った。

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 日本では、違法薬物の使用は犯罪だ。
芸能人とかが、たまに逮捕されて、
報道陣の前で謝罪会見とか、あるよね。

 ああやって、みんなでぼこぼこに叩くことって、
本人の依存症の解決には全く役に立たないどころか、
明らかに有害である。

 だって、孤立しちゃうでしょ?
そうすると、また依存にハマってしまうよ。

「ダメ、絶対」という薬物対策は、全然ダメだった。
薬物にハマる環境自体を何とかしないといけないのさ。

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 最後も学術系。

安楽死が合法の国で起こっていること」(児玉真美)

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 正直、この本は賛否両論あると思う。
諸外国の状況から「すべり坂」の問題点はわかるんだけど、
この人自体が障碍者のお子様をもつ当事者なので、
その視点からの意見が、主観的すぎるのね。

 でも、そう思う人もいる、ってのは大事なことだし、
ネット上の論調だと安楽死賛成の方が圧倒的多数だから、
「いや、そうじゃないんだよ」という反対意見は、
もっととりあげられていいと思う。

 もっとも、児玉さん自身は
安楽死反対派、という訳ではない(と自分で言っている)が。

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 言葉の問題から。
「尊厳死」と「安楽死」は違う。
日本では、「積極的な治療を行わない」という
尊厳死は認められている。

 安楽死は、積極的に安らかに命を終わらせる、
という行為で、日本ではまだ認められていない。

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 この辺、フィクションとしては、
南杏子さんの「いのちの停車場」で取り上げられている。

「今後、回復の望みは皆無であって、
 耐え難い痛みが続くだけの状況で、
 無益な治療を続けるのは、患者を苦しめるだけ」

 という状況であれば、安楽死は肯定されるのでは?
という問いかけだ。

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 おそらく、児玉さんもこの状況であれば、
安楽死を否定されることはないと思うんだが。

 じゃぁ、何が問題かっていうと、
最初はそういう限られた条件でのみ認められていた安楽死が、
運用していくうちにどんどんハードルが下がっていくこと。
これを「すべり坂」と呼んでいる。

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 いま、高齢者医療とかで医療費の無駄使いが言われてるよね?
あれって、少なくとも私の世代では共感する人が多いと思う。

 でもさ、社会の要請として考えてみると、
「今後も医療費を莫大に使う人」に対してはさ、
安楽死してもらった方が、社会の負担は楽」なのよ。
これはもう、絶対的にそうだよね。

 莫大な費用と手間をかけて、生活を保護してあげて、
ヘルパーを手配して、医療費もかけて・・・。

 経済的な面だけで見るとさ、
「さっさと死を選んでくれた方が、社会のため」
になってしまう。

 だから、社会の側が簡単に「安楽死」を提案してしまいがち。
そして、どんどん安楽死のハードルが下がっていく。
これが「すべり坂」

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 念のため。
これは、私がこの本をそう読んだ、というだけで、
児玉さんの意見とは違うかも知れない。
(少なくとも、ここまで直接的には書いてない)

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 私は、これがキリスト教社会でおこっていることに
びっくりしたんだけど。
いや、宗教は何をしてるのさ?と。

 この辺の話は、社会科学というよりも、
倫理や宗教の問題じゃないの?
ようは、やり方はともかく、
「自殺を肯定する」社会でいいのか?と。

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 これが暴走すると、ナチスみたいになるよね?
「ユダヤ人は生きているだけで罪」
として、強制収容所におくって虐殺したんでしょ。

たとえば、同じことが障碍者相手におこらない、と
言えるかい?
実際、そういう妄想にとりつかれた事件もあったし。

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 積極的安楽死を支持するか、しないかは別として、
こういう視点もあるんだよ、というところで
読んでみてほしい。

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 おまけ。

#読めよ薬剤師2023、で紹介された
名郷先生の「いずれくる死にそなえない」も、
この問題とかなり関わってくる。

 ただ、名郷先生は明確に安楽死を否定してるんだが、
その根拠が薄弱なのね。(多分、倫理面だと思う)

 どちらにしても、医療と倫理、宗教のからむ話なので、
合わせて読んでほしいな。

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 1月は学術系でよい本が多すぎて、絞るのが難しかった。
#読めよ薬剤師2023、で紹介された本は
他にもいい本がたくさんあるんだけどね。

 

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2023年読書まとめ

 時が流れるの早いよね。
年を取るたびにそう思う。

 2023年は、350冊読了。
昨年とほぼ変わらず。

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2023年読書メーターまとめ

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2023年の読んだ作家さんtop10

1位 香月美夜  39冊
2位 山本弘   10冊
3位 武田綾乃  8冊
4位 七月隆文  7冊
5位 日向理恵子 6冊
6位 寺地はるな  5冊
6位 原田マハ   5冊
8位 中山裕次郎 4冊
8位 辻堂ゆめ   4冊
8位 柚木麻子  4冊

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本好き完結年で、全部再読したから、
そりゃあ香月さんがぶっちぎるのは当たり前。
山本さんの2位は意外だった。
新作出ている訳がないので、こつこつ再読したんだろう。
武田さんは「ユーフォ」、七月さんは「ケーキ王子」
日向さんは「火狩りの王」、中山さんは「研修医」と
シリーズもの。

なんか、たくさんの作家さんを
少しずつ読むような流れになってるなぁ。
昔は、「これ!」っていう作家さん見つけて
ひたすらコンプ目指してたけれども、
なかなかそういう出会いも少なくなってきた。

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 今年のトータルの記録では、

小説(新規) 157冊
小説(再読)  61冊
学術/ビジネス  108冊
エッセイ/その他  24冊

 学術系の本が少し増えたかな?

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 今年の興味は、
認知症に関する本、社会と高齢者とのつながり。
親が介護が必要な年代にはいっているからなぁ。

 あとは、人間の知性の限界。
瀬名さんの「知の統合は可能か?」とか、
「因果推論の科学」、あとね、
「ことばの本質」とか。
この辺、私は「AIとのかかわり」でくくっちゃった。

 今後、chatGPTをはじめとする
生成系AIがどのように社会を変えていくか。
「科学的に考えることが苦手」な
ヒトという種族を、AIがフォローしてくれる未来って
くるんじゃないの?

 それと、特に年末に読み進めているのが、
発達障害関係の本。
たまたま、図書館の予約が集中しただけだが。

 いわゆるグレーゾーン問題。
私は少しグレーだけど、娘もそうだなぁ、とか。
息子は、むしろかなり黒に近いなぁ、とか。

 ごく普通の人、真っ白な人って、
そんなにいないんじゃない?って思ってしまった。

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 あとは、コロナの総括かな。
尾身さんに関する本をいくつか。

 最近読んだ「失敗の科学」にもあるんだけど、
行政、政策の検証をしっかりしてほしいと思う。
失敗しないと、成長しないのよ。

 ちゃんと検証できるように、次に活かせるように、
尾身さんが記録残してくれてるんだからさぁ。
ダメなところはダメってやんないと。

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 科学の中でも、特に医学の発展に大きく寄与したのは
「RCT」の発明だって話も読んだ。
なんでこれ、行政や政策に使わないの?

 ちゃんと対照取らないと、検証もしにくいし、
フィードバックが働かないから、進歩もない。

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 ま、そのためには、「失敗」を許す文化が必要で、
日本にはそこが決定的に欠けている。

 何かあれば、すぐ犯人捜しして、
責任をかぶせることに躍起になるからなぁ。
そんなことするから、進歩しないんだ。

 結果、失敗は隠すようになるに、
無理に「いや、あれは成功だった」とか強弁する。
そんなんじゃ、成長しないの当たり前だわ。

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 今年は、どんな一年になるかなぁ。
私自身のことよりも、家族がみんな大変なので、
そっちのフォローに力使わなきゃいけないな。

 

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より以前の記事一覧