書籍・雑誌

読書記録 2024.5


2024.5の読書まとめ(読書メーター

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5月は30冊読了。

小説(新規)14冊、小説(再読)5冊
学術/ビジネス 9冊、エッセイ/その他 2冊

 新規の小説が多い割に、
あまり記憶に残っていないような。
来月からは生活が少し変わるので
読書量減るかも。

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 今月の3冊。

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 小説。

コロナと潜水服」(奥田英朗)

 奥田さんの小説は2冊目。
今年に入って読んだアンソロジーが面白かったので、
奥田さん単独で読んでみた。

 読後感のよい、ほんわかした話が多いかな。
ギスギスしてない。

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「コロナと潜水服」は短編集で、
少しだけ(?)超常現象がおこるお話。
表題作、タイトルこそ強烈だけど、
2020年当時のことを思い出したな。
コロナ1年目の話。

 なぜか小さな息子がコロナの感知能力があって、
(というか、予知能力に近いんじゃ)
自身がコロナにかかったことを確信した主人公が、
防護服ない(当時、どこもなかった)ので、
潜水服で出歩く、というお話。

 いや、見た目インパクトありすぎだし、
暑くないかな?逆に病気になりそう。
でも、当時はこれくらいする人もいたかもね。

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 最終話、「パンダに乗って」がすごくよかった。
これに全部もってかれて、前の話がほとんど抜けるくらい。

 パンダといっても動物のパンダではなく、
イタリア車、フィアット・パンダというコンパクトカー。
1980年代の車だ。

 主人公は、中古車でこれを買ったんだけれども、
ナビを設定すると、なぜか全然違うところに案内され、
そこには、そのパンダの前の持ち主ゆかりの人たちが
出迎えてくれる。

「わぁ、この車珍しい、久しぶり」って感じで。

 結果、前の持ち主のことがいろいろとわかってくる。
若くして亡くなったこと。恋人がいたこと。
親が大事に車を保管していたこと、などなど。

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 冷静に考えれば怖い話なんだけど、
出てくる人がみんな歓迎してくれるもんで、
ちっとも怖くない。
 車に魂が乗り移ったのかなぁ、と。
最後は泣けた。いい話。

 奥田さんはほとんどノーマークだったので、
ぼちぼち読んでいきたい。

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 つぎ、学術系
改革・改善のための戦略デザイン 薬局DX

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 医療DX、待ったなし。
今月からの診療報酬改定で、医療DX加算みたいなのもあるし、
デジタル技術を進めるのは急務。

 この本は、主に薬局でどのようにDXを進めるのか、
という指南本になるのかな。
書かれたのがつい最近なので、参考になる。

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 電子処方箋はともかく、
マイナンバーカードが肝なのよ。
これがなきゃ、話が進まない。

 先月から、職場でもマイナカード勧めてるけど、
これがまぁ、まだ持ってない人も多いし、
文句ある人も多いし、と散々だ。

 患者さんからメリットが見えにくいのよね。

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 でも、医療DX進めるには必須だから。
これ進めることで医療の効率化がはかれる。
そうすると、働き方改革なんかにもつながるし、
無駄な医療を削減できるかも知れないし。

 医療、介護の人不足は深刻だから、
がんばって進めないといけないんだけど。

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 この本には、医療DXが進んだら
こんなことができる、みたいな事例がたくさん。
正直、バラ色の未来を見せてくれるんだけど。

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 そんなにうまくいくのか??

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 という疑問が。

 医療、介護の現場って、DXが遅れてる分野
何が問題って、スタッフの高齢化なのよ。
60代、70代で現役の医師、薬剤師も多いし、
そういう人たちがついていけないと、
なかなか進まないんだよなぁ。

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 病院やほかの薬局と情報共有して、
疑義照会なんかもオンラインでやってしまいたい。

 いまだに、FAXだもんねぇ。
メールですらない。
手で文章書いてFAXで送るって、いつの時代よ?
って感じなんだが。

 早く、DX進んでくれないかなぁ。
先は長く険しいと感じる。

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 なんせ、医療、介護は患者さんも医療者も高齢者多いもんで、
デジタルには疎いんだよねぇ。
すっごく便利になるから使ってほしいんだけどな。

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 もうひとつ、学術系

結婚の社会学」(阪井裕一郎)

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 社会学っていう学問もあれなんだけど、
テーマが結婚ってものすごく幅広い。
でも、私の興味のある分野なので、
めちゃくちゃ勉強になった。

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 まず、日本の結婚制度の歴史なんざ、
100年程度の話でしかない。

 たかだか100年の伝統しかないのね。
それ以前は、離婚率が異様に高かったり、
「男色」が普通にあったり、
庶民の結婚相手は「夜ばい」で決めてたり。

 夫婦同姓にしても、100年くらい?
欧米に合わせて夫婦同姓を導入した。
それまでは別姓が基本だったらしい。

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 結局、明治政府の「家」の考え方
(ルーツは江戸時代の武家)が、
日本の結婚を決めていった感じなのね。

 いまだに、その流れが残っている。

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 という歴史を共通認識にしておいて、

「離婚、ステップファミリー」
「夫婦別姓」
「同性婚、LGBT、SOGI」
というテーマを論じている。

「結婚」の常識を変えようよ、という話かな。

結婚しない男女が増えているけど、
それって悪いことなの?
結婚しなくても、子どもがいればよくない?とか。

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 結婚しなくちゃ家族持てないのなら、
未婚の人たちはみんな孤独になっていくよね。
友達同士で家族になる方法はないの?とか。

 フランスのパートナーシップの話が出てくるけど、
これって、同性婚だけの話ではなくて、
何なら友達同士でも(性愛の関係なくても)
家族になれちゃったりする。

 結婚は子供を作る手段、っていう訳でもないし。
お互いにWin-Winで、誰にも迷惑かけないのなら、
それはそれでありじゃないかなぁ。

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 高齢者にとって、孤独、孤立が一番まずい。
なら、結婚という形にこだわらないで、
誰かと一緒に暮らしたらどうなの?っていう話。

 いや、この流れは来ると思うよ。
仲のよい友達同士でシェアハウスで暮らすって、
その方が楽しくないか?
グループホームかもしれんが。w

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 もう少しフレキシブルに家族、結婚を見直すことができれば、
社会はもっと生きやすくなるんじゃないのかな、と
思った。

 実際は、とても難しいんだけどね。
選択的夫婦別姓も、なぜいまだに実現しないのか
まるで理解できないもん。

 戦前の日本の制度が好きな人(=保守?)が
たくさんいて、その人の怨念に縛られているから、
としか言いようがない気がする。

 選択肢が増えるだけであって、
みんながそうしろってわけじゃないんだから
放っておいてくれないかな。

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 ただ、この本、少子化対策にはふれてない。
それとこれとは、話が別だろってことらしい。


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読書記録 2024.4

2024.4の読書まとめ(読書メーター

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3月は28冊読了。

小説(新規)10冊、小説(再読)6冊
学術/ビジネス 9冊、エッセイ/その他 3冊

 いろいろあって疲れてるけど、
本はそこそこ読めていたりする。
山本弘さんの訃報があった。
山本さん(の作品)は、
私に非常に多くの影響を与えてきたので、
一から再読していく予定。

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 今月の3冊。

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 小説。

spring」(恩田陸)

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恩田さんのバレエ小説。

「チョコレートコスモス」で演劇の天才を。
「蜜蜂と遠雷」でピアノの天才を書いてきた恩田さんが、
今回は、バレエの天才を書く。

 恩田さんって、「天才」を書く天才だと思うなぁ。

「俺は、世界を戦慄せしめているか?」

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 踊るほうのバレエは、正直よくわからない。
文化、表現、芸術なんだろうけれども。
踊りをみて戦慄するようなことあるんだろうか?

 ただ、恩田さんが書くとありえるように思えるから
面白い。バレエ、見てみたくなったなぁ。

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 主人公は、「萬春」
れっきとした日本人の男性なんだけど。
彼の周りの人間からみた、春のすごさと、
最後に「春」本人の目線の話がある。

 個人的には、踊りだす作曲家、七瀬の方にも
興味があるけれども。w

 これ、バレエする人が読んだらもっと面白いのかな?

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 私の母が、恩田陸が好きで、
チョコレートコスモスも好きだったので、
これは絶対に好きだろうと思って、買って持っていったら、
母もすでに新刊で購入していた。w

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 つぎ、学術系
認知症の人、その本当の気持ち」(たっつん)

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 今月は認知症の本をたくさん読んでいるが、
その中で一つ選ぶならこれかなぁ。

 実は、学術的なところはほとんどないんだけど、
非常に実例が多いのが特徴。

 一見、意味の分からない行動をしている認知症の人にも、
それぞれ、本人には理由があって、
介護者が適切な対応を取れれば、
問題行動がなくなっていくケースがある。

 実際に本人がどう考えてるのかはわからんのだけど。

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 この著者は、実際に介護の現場で働いているだけあって、
経験が豊富。引き出しも多いんだろうなぁ、と感じた。
単に、「この人はボケとるからわからん」ではなくて、
その先までしっかりと考えることが大事。

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 あとは、介護者としての心構えかなぁ。
覚悟というか。
やっつけ仕事じゃ務まらないよね。
お年寄りが好きで、介護の仕事に誇りをもたないと。
それが非常に難しいと感じた。


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 最後も小説。

地雷グリコ」(青崎有吾)

平成のエラリークイーン、こと、青崎さんの作品。
トリック、論理を武器にしたミステリ作家さんなんだけど、
今回は、誰もが知っているようなゲームに、
少しばかりアレンジを加えての、心理戦。

 私が知っている作品でいうならば、
「カイジ」とか「Liargame」みたいなマンガになるけど、
あれを小説でやってしまっている。

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「グリコ」は、みんな知ってるよねぇ?
ジャンケンして、グーなら「グリコ」、で3つ。
チョキなら「ちよこれいと」でパーなら「ぱいなつぷる」で6つ進む。
ゴールまでたどり着いたら勝ち。

 今回の地雷グリコは、全45段の階段のなかに、
プレイヤーの二人が「地雷」ポイントをあらかじめ3つずつ
設置していて、そこに止まると相手を10段下げさせる、
という特殊ルールつき。

「どこに地雷を設置するか?」という心理戦になる。

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 こんな感じのゲームが5つ。
主人公は女子高生で、対戦相手も基本高校生なんだが、
まぁ、この作品に関して言うとキャラクターは割とどうでもいい。w
ゲームの騙しあい、読みあいが見どころなので。

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 好きなひとは、めちゃくちゃ好きな話だと思う。
私も好みではあったんだけれども、
最後の方の戦いがスケールが大きくなりすぎて
リアルでは再現できない戦いなのが、ちょっと。

 最後まで、リアルな論理ゲームで攻めてほしかったなぁ。
でもまぁ、好きな人は好きでしょ。これ。

 できれば続編も書いてほしいとこだけど、ネタ続くかな?
青崎さんは、確かボードゲーマーでもあったと思うので、
(以前、ハコオンナしてるツイートみたことある)
そっちよりでも、面白い作品期待したいな。

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 今月も、小説が2本。
学術系もいろいろ読んでるんだけど、
あまりピンとくるのがなかった、のが正直なところ。

 もう少し勉強しないといけないんだけどね。

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読書記録 2024.3

2024.3の読書まとめ(読書メーター

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3月は30冊読了。

小説(新規)10冊、小説(再読)6冊
学術/ビジネス 13冊、エッセイ/その他 1冊

いろいろあった3月も終了。
小説よりも、学術系の本の方が多いな。
これは、図書館予約の回ってくるタイミングの結果
たまたまそうなっただけ。
本屋大賞の発表が近づいてきてて、そっちの本が増えてる。

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 今月の3冊。

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 小説。

成瀬は天下を取りにいく」(宮島未奈)

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 宮島さんは、これがデビュー作。
デビュー作にして、いきなりの本屋大賞ノミネート。
もし取っちゃったらえらいことだなぁ。

 主人公、成瀬あかりのキャラクターがとにかく強烈。
書き出しからすごい。

島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う

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 もう、「???」しか浮かばんよね。
島崎は成瀬の親友。でも、お互いに苗字呼び。
これも逆に新鮮で面白い。

 この時、成瀬は中学2年生。
この「西武」は、この夏に閉店が決まっている
「西武大津店」
 滋賀県大津市に唯一存在していた百貨店だ。

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 この作品は、「ありがとう西武大津店」という短編を
さらに膨らませた連作短編集になっている。
最初の構想では、むしろ主役は「西武大津店」
だったんじゃないかな?

 でも、キャラクターの成瀬がとんでもなくて、
成瀬を主人公にした連作短編集になった、って感じかな。
成瀬が出てこない回がつまんなく感じるから。w

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 やる、と決めたことは必ず実行する。
なんせ、目標が200歳まで生きることだったりするし。

 いきなりM-1に挑戦してみたりするし、
高校は膳所高校に進学して、
なぜか丸坊主になって、
かるた班に入って。。

 膳所高校は、実在するよね。
本当に部活動が「班」呼びなのかな?

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 本作では、大学受験(たぶん、京大)までで終わる。
成瀬視点は最終話だけで、これ見ると、
超人ではあるものの、普通な一面を見えて、面白い。

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 特徴二つ。

 あふれだす滋賀愛
もともと、西武大津店を舞台にした話だし、
その外にも、滋賀県(というか大津)あるあるを
全部ぶっこみましたってくらいに地元愛にあふれている。

 これ、滋賀県民はめっちゃ面白いでしょ。

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 もう一つは、現在進行形の話であること。
第一話が、成瀬中2の夏でコロナ発生時の話だから
2020年なのね。

 え、、うちの娘と同い年なのか?w
じゃぁ、大学受験って、すでに未来の話になってる。
来年、京大受けたら、成瀬と一緒になれる?
(絶対無理だけど)

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 あくまで、現実世界、現代の話でありながら、
枠組みにとらわれずぶち壊していく成瀬が、
かっこいいんだよなぁ。

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 つぎ、学術系
運動脳」(アンデシュ・ハンセン)

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 この人は、「スマホ脳」という本が大ヒット。
で、この「運動脳」は、スマホ脳よりも先に書かれた本だけど、
本国(スウェーデン)では、こちらの方がより読まれている、という
ふれこみ。

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 で、タイトルも「スマホ脳」を連想しやすく変えて出版した、
という経緯になる。

 内容は非常に簡単で、
運動することは、身体によいだけでなく、脳にもよい

 具体的には、認知機能の向上。記憶力の向上。
また、うつ病に関しても抗うつ薬と同程度の効果を発揮する。

 運動強度はそれほど高くなくてもよいけど、
息が切れる程度の運動を20分くらい?
ジョギングかウォーキングがおすすめ。

 別に、どこを歩けという指示はないので、
マシンを使ってもかまわない。

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 ちゃんとエビデンスも示しているんだけど、
うーん、スマホ脳の作者が書いてなかったら、
「ほんまかいな?」って思って無視するかも。

 まぁ、運動することが身体によいのは
明らかなので、かりに脳に(それほど)よくなくても、
別に問題ないのだが。

 この本のラストは、
さぁ、この本を閉じて運動しよう
って感じで終わる。w
そりゃそうだ。

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 でも、確かに「運動しようかな」って気になった。
勉強する前に、少し運動すれば能率が上がるらしい。

 頭いい人って、朝にジョギングする人が多い気がする。
さすがにそんな時間はないけど、
何か運動した方がいいのかな、って気になった。

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 この本は、母が買ってきて、父に読ませたところ、
どれだけ言っても運動しなかった父が、
毎日散歩するようになった。

 認知症の予防になる、と言って。

 すぐによくなることはないと思うけど、
一時のことをおもえば、かなり改善したように思える。
まぁ、何にせよ運動することは健康によいのよ。

 それは、ほぼ間違いのない事実だから。

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 最後も小説。

スピノザの診察室」(夏川草介)

 これも、今年の本屋大賞にノミネートされている。

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「神様のカルテ」で大ヒットを飛ばした夏川さんの、
新たな医療小説。

 ただ、テーマはかなりかぶっていると感じた。

 本作は、京都が舞台である。
そして、おいしそうな和菓子がたくさん出てくる。

 また、家族とのかかわりも重要なファクターの一つ。

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 愛読書は、スピノザの「エチカ」らしい。
神様のカルテは、夏目漱石だったよねぇ。

 神様のカルテとの類似点はかなり多いなぁと感じた。

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 何が違うのか?というと、
単純に、神様のカルテはすでに10年前の話だということだ。

 当時とは、医療環境が異なる。
高齢者を無理に延命しないのは、もはやメジャーになりつつあるよね。
10年前だと、まだまだ珍しかった気がするが。

 この10年で社会、医療の在り方が変化して、
また、作者の夏川さん自体も、変化というか進化している。

 もちろん、変わるだけではなくて変わらないものもある。
だいたい、スピノザのエチカっていつの時代だよ?w
でも、今でも読まれてるんだもんね。

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 このあたりのミックスが、読んでいて心地よい。
神様のカルテは、もちろん続編が出ているけれども、
こちらは続編でこそないものの、
今の時代に合わせた「2.0」という印象を持った。

 読む方の私も進化してるのかな?
さすがに、スピノザはハードルが高くてなかなか読めないが。

 

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読書記録 2024.2

2024.2の読書まとめ(読書メーター

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2月は25冊読了。

小説(新規)14冊、小説(再読)2冊
学術/ビジネス 6冊、エッセイ/その他 3冊

2月はあっという間に終わってしまった。
読書量も極端に少ない。
25冊とはいえ、(薄い)乙女の本棚が
2冊あっての数字だからね。
なんか、忙しかったのかな。

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 今月の3冊。

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 小説。
セゾン・サンカンシオン」(前川ほまれ)

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 前川さんは初めて。看護師として働いているらしい。
いろいろな依存症に陥った女性たちが共同で生活し、
依存症からの回復を目指す施設、サンカンシオンのお話。

 アルコール、ギャンブル、薬物。

 基本的に、治るということはないらしい。
いつでも簡単にスリップするし、
頑張ってきてももとに戻ってしまうことがある。

 でも、失敗してもそれを正直に言えるのが大事。
同じような境遇の人と話し合うことで、連帯する。

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 先月紹介した「世界一やさしい依存症入門」を
そのまま小説にした感じ。
依存症になる原因は、おそらく「孤独」

 そして、世間の偏見の目が非常に厳しい
何人か登場人物がいるけれども、
「依存症ではない人」の目線から依存症の人を見る話が
多いので、最初は偏見にまみれている。

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 世間の無理解に怒りを感じるなぁ。
じゃぁ、どないせえっちゅうねん、と。

 強調されているのは、依存症は「病気だ」ということ。
風邪をひいて鼻水が出るのは、意思が弱いからかい?
アルコール依存症になって酒をのむのは、当たり前の話。

 ただ、家族のことを考えるとしんどいなぁ。
依存症の家族をもった方もしんどいけど、
本人はもっとしんどいと思う。

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 少しでも、世間に理解が進めばいいけどね。

 

 次、学術系
がんはどうやって治すのか」(ブルーバックス)
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 国立がん研究センターから出ている、ブルーバックス。
ブルーバックスなんて読むの、何年ぶりだ?
下手したら学生時代以来かも知れない。

 がんの治療法に関する教科書のような本。
発売は昨年12月なので、現時点での最新の知見だ。

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 現在のがんの治療法は大きく4つ。
「手術」「放射線」「化学療法」「免疫療法」

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 この4つが、4本柱として紹介されている。
私の知識では、3本柱だったので、
いつの間にか「免疫療法」が柱になっている、
ってことだ。

 ターニングポイントになったのは、
免疫チェックポイント阻害薬。
本庶さんがノーベル賞とった研究やね。

 オプジーボ、キイトルーダという薬は、
日本での売り上げが年間1位、2位だ。
どちらも免疫チェックポイント阻害薬。

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 まだまだ昔からの薬も使われているけれど、
治療の選択肢が広がった感じがする。
20年前にくらべても、
「がん」は治る病気になってるな、と思う。

「標準治療」がかなり進化してるなぁ、と。
がん保険とかでも、先進治療まで含めた商品が
主流だったけど、あれ、いる?

 先進治療は、「まだ効果の確定していない治療法」
健康保険の利く標準治療がここまで進んできたら、
先進治療を使うメリットってほとんどないんだけど。

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 何にせよ、情報のアップデートが大事
がんに対する怪しい民間療法とか、
まだまだ古い知識でやってるとこも多いから。

 いまや、がんは治る病気ですよ、と。
アップデートしていこう。

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 最後。

なぜ男女の賃金に格差があるのか」(クラウディア・ゴールディン)

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 去年のノーベル経済学賞、ゴールディン氏の著作。
題名はアレだけど、アメリカにおける女性の社会進出、
100年の歴史をふりかえっている。

 制度的にはほぼ男女平等になっているけど、
それでも賃金格差があるのはなぜ?という話。

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 100年前、大卒女性はいたが、結婚しない人が大半。
(それこそ、津田梅子とか、ヘレンケラーの時代である)

 そこから、家事労働の省力化にともない、
女性の社会進出がすすむが、
「家庭、子供をもつこと」と「キャリアを積むこと」という
両立は、最近まで課題でありつづけた。

 早々に結婚して、子供が大きくなってからキャリア、となると
キャリアの断絶がおこり、復職するのが難しい。

 逆に、先にキャリア積んで、軌道に乗ってから子供、
とすると、高齢になり、そもそも子供ができなかったり。
(これは、今の日本だな)

 最新のアメリカでは、この二つを両立させる動きになってる。

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 大きな転換点となっとのは、「ピル」の存在だ。
ピルがなかったころは、子供をもつタイミングを
コントロールするのが難しかった。

 ピルという確実な避妊法によって、
子どもをもつことを遅らせることができる。
その間にキャリアを積もう、子供はそのあと、と。

 ところが、「女性がいつまで子供を産めるのか」という
データが当時はほとんどなかったのね。
実際に出産を遅らせると、思った以上に大変で
そもそも子供ができないことがわかってきた、と。

 今では当たり前の話だけど、
当時はこれがわからなかったのが
新鮮だった。

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 いまは、キャリアも家庭も、両立させる人が増えてきている。
日本では、まだまだだけどね。

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 まず、前提として
「大卒女性がキャリアを目指すこと」はよいことか?
「家庭、子供をもつこと」は、必要か?

 この本は、この2点を全面的に肯定して進んでいるので、
そもそもここで疑いをはさむと、話が進まない。w

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 で、タイトルの賃金格差の話なんだが、
制度的には、完全に男女平等であってもね、

「長時間労働、高収入」「一定時間労働、平均収入」の
二つの職があり、夫婦ふたりともどちらも選べる場合でも、
ジェンダー規範から、男性が高収入、女性が平均収入を
選びがちになる、ということ。

 子供が熱を出したときに対応するのどっち?
夫婦どちらかが対応できる状況を作っておかなきゃいけないが、
そこはアメリカでも「女性が対応すべき」となるらしい。

 ようは、女性の方が家庭を維持するために
仕事をセーブする必要があるよ、ってことだろう。

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 あとは、働き方改革が必須。
例えば、医師は働き方がえげつなかったので、
女性医師は少なかった。

 今、まさに問題になっているけれども、
働き方改革が進むことで、女性も働きやすくなる。
それは、結果的に賃金格差が減ることにつながる。

 日本は、これを進めるべきなんだろうな。
いろいろ不便になるところはあるが、諦めてもらうしかない。

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 さて、私の思う解決策。

大卒女性が、キャリアを積みながら家庭を持つ方法として、
家庭を重視する配偶者を持つ
これで、ほぼ解決する。

 お互いにキャリアを目指すから賃金格差ができるんだよ。
キャリアを目指す女性を、家庭で支えるパートナーがいれば、
簡単に解決しないか??

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 というか、現在の我が家がその形である。
私は兼業主夫。奥さんの方が長時間労働で、収入も多い。
私はキャリア重視しないから、それで丸くおさまる。

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 おそらくは、ここにジェンダーの壁があるのね。

大卒女性が、家庭的なパートナーを求めないのよ。w
おそらくは、自分と同等が、自分以上のキャリアを目指す
相手に魅かれてしまう、という。

もちろん、男性の方にも壁がある。
自分より稼ぐ女性に尽くすことを容認できるか、という。

 でも、そこは気持ちの問題だから、
ひょい、と乗り越えることできそうなんだけどな。
ハイスぺ、バリキャリ女子は、家庭的なパートナーを探そうよ。
 逆に、家庭的な男性に結婚できるチャンスが生まれないかな?

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 私はキャリアを重視しないので、
のんびりだらだら、本でも読んで過ごそう。
それが一番平和だよね。

 

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読書記録 2024.1

2024.1の読書まとめ(読書メーター

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1月は30冊読了。

小説(新規)13冊、小説(再読)6冊
学術/ビジネス 10冊、その他 1冊

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 #読めよ薬剤師2023で取り上げられた本を
図書館で探して読んでいるので、
1月は学術系の割合が大きくなる。

 冬休み期間に結構な冊数を読んでいたけど、
終盤、体調を崩して失速。
終わってみれば月間30冊だった。

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 今月の3冊

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 小説

幽世の薬剤師」(紺野天龍)

 記憶があいまいだけど、
確か、#読めよ薬剤師2022、で紹介されていたと思う。
気になって予約していたら、回ってくるのに1年かかった。

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 働きすぎ?の漢方薬剤師(病院勤務)が、
怪異のおこる異世界(江戸時代くらいの日本?)に
迷い込み、トラブルを解決していくお話。

 ぶっちゃけ、和風「異世界薬局」

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 「異世界薬局」では、神力や魔法があったけれども、
「幽世」では、主人公は普通の薬剤師。
ただ、ヒロイン?の巫女が、怪異をお祓いする力をもつ。

 でも、そんなに強い印象はないな。

 世界観がかなり特殊で、
「人々が信じているような怪異が発生する」
という、因果関係を逆転させたようなルールがあって、
その怪異を解決していくようなお話、かな。

 漢方薬を作るシーンもあるけれども、
話の本題にはあまりかかわってこない。
おまけ、っぽい感じ。

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 正直、1巻はあまり刺さらなかったけど、
2巻を読んでみて、方向性を理解した。

 これ、医療ミステリーだ。

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 ある症状や現象があって、
処方でどう変わるか、
また、幽世の世界のルール(根源怪異とか感染怪異とか)
から、主人公が謎を解き明かしていく。

 この主人公、漢方の知識というよりも、
推理力の方がすごい。

漢方薬剤師は、ある意味で体で起こっていることを
「推理」して薬を考えていくので、
これも薬剤師の力、といえなくもないんだけど。

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 なんか、主人公の愛されっぷりが、
「異世界薬局」に似てるなぁ、と思ってしまった。
ある程度の恋愛要素は必要なのかね?
元の世界ではとてももてるとは思えないんだが。w

 個人的には、その辺割とどうでもよくて、
もっと論理や推理に振り切ってもいいと思うんだけど、
そうするとあまり売れないんだろうなぁ。

 結構、続編も続いているみたいなので読んでいく。

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 次、学術系。

世界一やさしい依存症入門」(松本俊彦)

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 いや、#読めよ薬剤師2023からと違うんかい!
薬剤師のみなさん、勉強家すぎて、
ちょっとついていけないのよ。w

 その点、この本はものすごくわかりやすい。
なんせ、対象読者が「中学生」だから。
たぶん、小学生高学年でも読めると思う。

 こういう「わかりやすさ」って大事なのよ。

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 ニュースでも、市販医薬品のオーバードーズの問題が
取り上げられることも増えてきた。
 もちろん、市販薬の話もあるけれども、
アルコール、たばこ、自傷行為、ゲーム、などなど。
依存症っていろいろあるよね。

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 どの依存症に対しても、アプローチの方向性は同じで、
「ダメ、絶対。やめなさい!」
って言っても、ダメなんだわ。
それじゃ解決しない。

「なぜ依存症になってしまうのか?」
にフォーカスをあてて、そこを解決しないと。

 著者が言うには、まずは
「社会とのつながりをもつこと」
「誰かに相談すること」
 が大事。

で、相談された人、友達、親、先生は、
一方的に否定しちゃダメ。
それすると、孤立しちゃって悪循環にハマる。

 依存症になる一番の原因は、
「孤独」なんじゃないかなぁ?って思った。

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 日本では、違法薬物の使用は犯罪だ。
芸能人とかが、たまに逮捕されて、
報道陣の前で謝罪会見とか、あるよね。

 ああやって、みんなでぼこぼこに叩くことって、
本人の依存症の解決には全く役に立たないどころか、
明らかに有害である。

 だって、孤立しちゃうでしょ?
そうすると、また依存にハマってしまうよ。

「ダメ、絶対」という薬物対策は、全然ダメだった。
薬物にハマる環境自体を何とかしないといけないのさ。

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 最後も学術系。

安楽死が合法の国で起こっていること」(児玉真美)

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 正直、この本は賛否両論あると思う。
諸外国の状況から「すべり坂」の問題点はわかるんだけど、
この人自体が障碍者のお子様をもつ当事者なので、
その視点からの意見が、主観的すぎるのね。

 でも、そう思う人もいる、ってのは大事なことだし、
ネット上の論調だと安楽死賛成の方が圧倒的多数だから、
「いや、そうじゃないんだよ」という反対意見は、
もっととりあげられていいと思う。

 もっとも、児玉さん自身は
安楽死反対派、という訳ではない(と自分で言っている)が。

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 言葉の問題から。
「尊厳死」と「安楽死」は違う。
日本では、「積極的な治療を行わない」という
尊厳死は認められている。

 安楽死は、積極的に安らかに命を終わらせる、
という行為で、日本ではまだ認められていない。

.

 この辺、フィクションとしては、
南杏子さんの「いのちの停車場」で取り上げられている。

「今後、回復の望みは皆無であって、
 耐え難い痛みが続くだけの状況で、
 無益な治療を続けるのは、患者を苦しめるだけ」

 という状況であれば、安楽死は肯定されるのでは?
という問いかけだ。

.

 おそらく、児玉さんもこの状況であれば、
安楽死を否定されることはないと思うんだが。

 じゃぁ、何が問題かっていうと、
最初はそういう限られた条件でのみ認められていた安楽死が、
運用していくうちにどんどんハードルが下がっていくこと。
これを「すべり坂」と呼んでいる。

.

 いま、高齢者医療とかで医療費の無駄使いが言われてるよね?
あれって、少なくとも私の世代では共感する人が多いと思う。

 でもさ、社会の要請として考えてみると、
「今後も医療費を莫大に使う人」に対してはさ、
安楽死してもらった方が、社会の負担は楽」なのよ。
これはもう、絶対的にそうだよね。

 莫大な費用と手間をかけて、生活を保護してあげて、
ヘルパーを手配して、医療費もかけて・・・。

 経済的な面だけで見るとさ、
「さっさと死を選んでくれた方が、社会のため」
になってしまう。

 だから、社会の側が簡単に「安楽死」を提案してしまいがち。
そして、どんどん安楽死のハードルが下がっていく。
これが「すべり坂」

.

 念のため。
これは、私がこの本をそう読んだ、というだけで、
児玉さんの意見とは違うかも知れない。
(少なくとも、ここまで直接的には書いてない)

.

 私は、これがキリスト教社会でおこっていることに
びっくりしたんだけど。
いや、宗教は何をしてるのさ?と。

 この辺の話は、社会科学というよりも、
倫理や宗教の問題じゃないの?
ようは、やり方はともかく、
「自殺を肯定する」社会でいいのか?と。

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 これが暴走すると、ナチスみたいになるよね?
「ユダヤ人は生きているだけで罪」
として、強制収容所におくって虐殺したんでしょ。

たとえば、同じことが障碍者相手におこらない、と
言えるかい?
実際、そういう妄想にとりつかれた事件もあったし。

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 積極的安楽死を支持するか、しないかは別として、
こういう視点もあるんだよ、というところで
読んでみてほしい。

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 おまけ。

#読めよ薬剤師2023、で紹介された
名郷先生の「いずれくる死にそなえない」も、
この問題とかなり関わってくる。

 ただ、名郷先生は明確に安楽死を否定してるんだが、
その根拠が薄弱なのね。(多分、倫理面だと思う)

 どちらにしても、医療と倫理、宗教のからむ話なので、
合わせて読んでほしいな。

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 1月は学術系でよい本が多すぎて、絞るのが難しかった。
#読めよ薬剤師2023、で紹介された本は
他にもいい本がたくさんあるんだけどね。

 

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2023年読書まとめ

 時が流れるの早いよね。
年を取るたびにそう思う。

 2023年は、350冊読了。
昨年とほぼ変わらず。

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2023年読書メーターまとめ

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2023年の読んだ作家さんtop10

1位 香月美夜  39冊
2位 山本弘   10冊
3位 武田綾乃  8冊
4位 七月隆文  7冊
5位 日向理恵子 6冊
6位 寺地はるな  5冊
6位 原田マハ   5冊
8位 中山裕次郎 4冊
8位 辻堂ゆめ   4冊
8位 柚木麻子  4冊

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本好き完結年で、全部再読したから、
そりゃあ香月さんがぶっちぎるのは当たり前。
山本さんの2位は意外だった。
新作出ている訳がないので、こつこつ再読したんだろう。
武田さんは「ユーフォ」、七月さんは「ケーキ王子」
日向さんは「火狩りの王」、中山さんは「研修医」と
シリーズもの。

なんか、たくさんの作家さんを
少しずつ読むような流れになってるなぁ。
昔は、「これ!」っていう作家さん見つけて
ひたすらコンプ目指してたけれども、
なかなかそういう出会いも少なくなってきた。

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 今年のトータルの記録では、

小説(新規) 157冊
小説(再読)  61冊
学術/ビジネス  108冊
エッセイ/その他  24冊

 学術系の本が少し増えたかな?

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 今年の興味は、
認知症に関する本、社会と高齢者とのつながり。
親が介護が必要な年代にはいっているからなぁ。

 あとは、人間の知性の限界。
瀬名さんの「知の統合は可能か?」とか、
「因果推論の科学」、あとね、
「ことばの本質」とか。
この辺、私は「AIとのかかわり」でくくっちゃった。

 今後、chatGPTをはじめとする
生成系AIがどのように社会を変えていくか。
「科学的に考えることが苦手」な
ヒトという種族を、AIがフォローしてくれる未来って
くるんじゃないの?

 それと、特に年末に読み進めているのが、
発達障害関係の本。
たまたま、図書館の予約が集中しただけだが。

 いわゆるグレーゾーン問題。
私は少しグレーだけど、娘もそうだなぁ、とか。
息子は、むしろかなり黒に近いなぁ、とか。

 ごく普通の人、真っ白な人って、
そんなにいないんじゃない?って思ってしまった。

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 あとは、コロナの総括かな。
尾身さんに関する本をいくつか。

 最近読んだ「失敗の科学」にもあるんだけど、
行政、政策の検証をしっかりしてほしいと思う。
失敗しないと、成長しないのよ。

 ちゃんと検証できるように、次に活かせるように、
尾身さんが記録残してくれてるんだからさぁ。
ダメなところはダメってやんないと。

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 科学の中でも、特に医学の発展に大きく寄与したのは
「RCT」の発明だって話も読んだ。
なんでこれ、行政や政策に使わないの?

 ちゃんと対照取らないと、検証もしにくいし、
フィードバックが働かないから、進歩もない。

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 ま、そのためには、「失敗」を許す文化が必要で、
日本にはそこが決定的に欠けている。

 何かあれば、すぐ犯人捜しして、
責任をかぶせることに躍起になるからなぁ。
そんなことするから、進歩しないんだ。

 結果、失敗は隠すようになるに、
無理に「いや、あれは成功だった」とか強弁する。
そんなんじゃ、成長しないの当たり前だわ。

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 今年は、どんな一年になるかなぁ。
私自身のことよりも、家族がみんな大変なので、
そっちのフォローに力使わなきゃいけないな。

 

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読書記録 2023.12


2023.12の読書まとめ(読書メーター)

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12月は29冊読了。

小説(新規)10冊、小説(再読)3冊
学術/ビジネス 13冊、エッセイ/その他 3冊

また、KindleUnlimited加入中のため、
学術/ビジネスの冊数が増えている。
本好きの下剋上の再読が終わったので、
小説(再読)は少なめ。

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 今月の3冊。

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 小説。
本好きの下剋上第五部-XII」(香月美夜)

本好きの下剋上の本編、ついに完結。
Web連載のスタートから10年。
私が読み始めたのは2017年だから、
そこから数えても6年。

本当に楽しませてもらったなぁ。
昨年末の時点で、今年の12月に完結編が出ることがわかってた。
今年夏から、ベストの状態で完結編を読むべく、
再読開始。

1週間に1冊くらいのペースで読み進めた。
(32冊あるので、32週かかる。)

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実際、最後の戦いは前巻で終わってるので、
最終巻はほとんどエピローグなんだけどね。
兵士の娘からスタートして、
気が付けば「女神の化身」なんだもんな。
本狂いのマインだったけど、
「本よりも大事な」環境を手に入れた。

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もうね、ラストシーンだけで泣けるんだわ。
ここを目指して10年間かかったんだなぁ、と。
まだまだ何回でも読み直したい。

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 でも、これからも展開は続く。
まず、外伝にあたる「ハンネローレ編」が来夏発売。
それに、「短編集3」の発売も決まっている。

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 何よりも、第3部アニメ化!

 いやっふぅ!神に祈りを!!

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 本好きのアニメは、最初に2クールやって第2部半ばまで。
次の第3期で第2部が終わったところだった。

 第3部はどうするのかな?
もう、2クール連続で第3部終わらせてほしいけど。

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 しかし、最後までアニメ化できるかっていうと、
いや、それはさすがに無理じゃない?と。
原作が33巻もある超大作。
仮に駆け足で第3部終わらせたとしても2クール。
ここまで5期。それで、原作小説12冊分。

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 残り、20冊あるんだが?
もう、やるんならNHK、Eテレかな。w

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 そもそも、コミカライズもなかなか終わらんよ。
第2部、第3部、第4部と並行して進めてるけど、
第4部とかまだまだかかるよ、これ。
第2部はようやく終わりが見えてきたけど。

 全部やれば、全60巻くらい?もっと?
第4部と第5部は、割とつながってるから、
第4部連載中に並行して第5部スタートってのも
難しいんじゃ・・・。

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 というわけで、本好きの下剋上からは
まだまだ目が離せない。

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 次、学術系
休み時間の感染症学」(斎藤紀先)

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 休み時間シリーズ、というらしい。
基礎的な知識を、わかりやすくまとめてくれてる。
医学生向けかな、と思ったけど、
私みたいなロートルの薬剤師にもちょうどよい
難易度だった。

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 で、本作は感染症学。
学生の時の卒業研究で、抗菌剤の耐性をやったのを
思い出した。20年以上前の話である。
当時と変わっていないところもあれば、
変わっているところもあるなぁ、と。

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 MRSA、VREなんかは、当時から問題になってた。
MRSAは、メチシリン耐性の黄色ブドウ球菌。
VREは、バンコマイシン体制の腸球菌のこと。

 で、当たり前なんだけど、
メチシリン耐性って、ほかの抗菌薬にもほぼ耐性だからね?
メチシリンだけに耐性な訳じゃない。
バンコマイシンは効くけどね。

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 バンコマイシンの話もあり。
そっか、たまに内服で出ることあって、
何に使うのかな?って思っていたけど、
(経口だと、血中にはいかないから)
腸内をターゲットにしているのね。

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 あとは、セフェム系って第4世代まであるの?とか。
第3世代までしか知らんかったな。
第3世代経口セフェムは、
やっぱりDU(=だいたいうんこになる)らしい。

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 こういう知識のアップデートって必要。
膀胱炎にはニューキノロン系使うこと多かったけど
(今でも多いと思うが)耐性が進んでいるから
いまや非推奨になっているらしい、とか。

 ただ、水疱瘡には今でもカチリ使うらしい。
いや、そこはいい加減アップデートしろよ、と思ったけど。
何かちゃんとしたエビデンスあるのなら教えてほしい。w

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 この休み時間シリーズは、読みやすくて勉強しやすいから、
またちょくちょく借りていこうかな?

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 最後。

精神疾患の元新聞記者と発達障害の元新聞記者がお互いを取材してみた。
(天地成行、大橋広宣)

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 タイトル通りの本なんだが。
天地さんが、統合失調症(そううつ含む)、大橋さんが発達障害(ADHD)。
なかなか壮絶な当事者の過去が語られている。

 お二人とも山口県在住。
大橋さんの方は、テレビや映画の製作なんかで活躍されている。

 天地さんは、自由律俳句やら、精神病の当事者としての執筆活動を
している。表現者として、活躍している。
もっとも、最近また入院していたらしいが。

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 ただ、お二人とも結構な年齢なのね。
天地さんは50手前だし、大橋さんは60過ぎかなぁ?
そんな彼らの若いころ、だと、
社会に全然理解がなくて、大変だったと思う。

 特に幼少期のいじめが本当に大変で。
大橋さんは、そのころのトラウマがもとで、
自分の子供に対しても恐怖感を持ってしまうとか。
いや、それひどいよ。

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 ただ、お二人に共通しているのは、
よい出会いがあったこと。

 お互いの出会いもそうだし、
天地さんは、「師匠」というべき人が何人かいるし、
大橋さんは、自分のできないところをフォローしてくれる人が
周りにたくさんいる。(主に奥さん)

 できないことは全然できないけど、
「強み」があるからなんだろうなぁ、と思う。
大橋さんは、映画に関しては幼少期から好きで
(ADHDの特性でもあるが)
それ一本でここまで来た人だ。

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 障害といっても色々ある。
正直、天地さんの精神疾患はかなりひどいと思うが、
それでも、「強み」はあるのね。

「強い」ところで勝負して、「弱点」は周りでフォローする。
発達障害のグレーゾーンの人も多いけど、
できないことは無理しない、と割り切って、
周りに助けてもらえればいいんだよ。

 いや、みんながみんな、同じところ弱かったらダメだけど。w
私も苦手な部分は多いけど、
そこは周りに助けてもらって、強みで勝負する。
それが、多様性につながるんじゃないのかな?

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 年末年始、発達障害の本を立て続けに読んだけど、
圧倒的にしんどいのは、学生時代。
みんなに合わせなければいけない。
むしろ、大学以降の方が楽じゃないかと思う。
苦手からは逃げていけばいいし。

 なので、高校生までのフォローをしなきゃいけないんだが、
今の教員にそれを求めるのは酷なので。
手っ取り早いのは一クラスの定員を減らすことだな。

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 少しずつ、社会も変わってきているな、と感じる。

よくなってきているよ。理解が進みつつある。
ただ、まだまだ改善しなきゃいけないところも多いな。

 

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2023年おすすめランキングTop20

読書記録小説編。

 今年、新規で読んだ小説は157冊。
昨年よりもさらに減った。
他に読む本が増えていたり、
あとは、あれだ。
本好きの下剋上を全部再読してたからだ。
(あれだけで33冊あるからw)

 今年読んだ小説のTop20

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 2023おすすめランキング

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20位 「向日葵の咲かない夏」(道尾秀介)

 よく読まれているので読んでみたが、
うん、気持ち悪い。確かに、人に勧めたくなる。

19位 「今、死ぬ夢を見ましたか」(辻堂ゆめ)

 電車で見る予知夢の話。
もう一回読んでみたくなる。

18位 「あしたの名医」(藤ノ木優)

 地方の産婦人科のお仕事小説でもあり、
伊豆のグルメ小説でもある。

17位 「猫を処方いたします。」(石井祥)

 そんなん、効くにきまってるやん。
アイデアの大勝利。

16位 「いのちの十字路」(南杏子)

 いのちの停車場の続編。
最後の「ケアラーに休日を」が切実。

15位 「響け!ユーフォニアム」(武田綾乃)

 武田さんの出世作。
王道の面白さ。吹奏楽聞きたくなる。

14位 「セクシャル・ルールズ」(坂井喜久子)

 専業主夫とキャリアウーマンの夫婦。
性別逆なだけな普通の話なんだけど、斬新。

13位 「栞と嘘の季節」(米澤穂信)

 高校生図書委員シリーズの続編。
読者も「嘘」に惑わされる。

12位 「ザ・ロイヤルファミリー」(早見和真)

 早見さんの競馬小説。何でも書けるのに、
どれ読んでも面白い、すごい作家さん。

11位 「アルツ村」(南杏子)

 南さん2冊目。リアルで怖い話。
認知症との向き合い方をどうするのか。

10位 「月の立つ林で」(青山美智子)

 本屋大賞第5位。青山さんお得意の連作短編集。
かぐや姫は元気かな?

9位 「ギフテッド」(藤野恵美)

 神様からの贈り物のような子供。
でも、日本では生きづらいんだよな。

8位 「スモールワールズ」(一穂ミチ)

 一穂さんは初めて読んだけど、
読みやすくて面白い。

7位 「君のクイズ」(小川哲)

 本屋大賞第6位。
一文字も読まれない問題を解答できた謎解き。

6位 「世界でいちばん透きとおった物語」(杉井光)

 とりあえず、読んでみ。
ネタバレありで語り合いたい本。

5位 「パラソルでパラシュート」(一穂ミチ)

 一穂さん2冊目。
大阪の下町と芸人の緩さがいい感じ。

4位 「汝、星のごとく」(凪良ゆう)

 今年の本屋大賞受賞作。
家族の形は人それぞれ。好きに生きればいい。

3位 「方舟」(夕木春央)

 とりあえず、読んでみ(2回目)
本屋大賞第7位。

2位 「川のほとりに立つものは」(寺地はるな)

 簡単にわかったつもりになってるんじゃねーよ。
本屋大賞第9位。

1位 「本好きの下剋上第5部-XII」(香月美夜)

 超大作、完結!神に祈りを!!
そして、祝!!!アニメ第3部!まだ終わらんぞ!

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 まぁ、今年は本好きの下剋上の年になることは、
去年の年末からわかっていた訳で、その通りになった。

 今年の本屋大賞ノミネート作を5冊も読んでるけど、
順位は全然違うな。w

 まだ、本好きの余韻が冷めないんだよなぁ。
来年も楽しみ。

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#読めよ薬剤師2023

年末恒例の企画だけど、
るるーしゅさんが主催者を降りたらしい。

まぁ、面倒くさいんだろうなぁ。
想像以上に大きな動きになっちゃったし。

【2023読めよ薬剤師企画】
《企画概要》2023年に読んで「オススメ」っていう書籍を他の薬剤師にオススメする
《日時》2023年12月29日(金)21時〜

一応、2022~2023年に発刊された、という縛りがある。

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 正直、この企画のために読書記録付けてるので。
今年も参戦する。

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1冊目、フィクション。

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猫を処方いたします」(石田祥)

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いやぁ、これはもうタイトルだけで売れるの確定。
中身も、まぁ予想通り。
アイデアの勝利としか言いようがないわ。

 普通にはたどりつけない心の病院。
たどりつけた患者には、怪しげな医師が、
猫を処方してくれる。

「大丈夫ですよ、
 だいたいの悩みは
 猫で治りますから

そりゃそうだ、としか言いようがない。

 患者さんは、先生が処方した猫と、
注意事項、餌などをもらって帰宅する。
処方期間は1週間くらいかなぁ。
 猫と暮らしているうちに、
(なぜか)悩みが解決してしまう。

 アニマルセラピー?そんな生ぬるいもんじゃないよ。
猫様の力を侮ることなかれ

 別に処方されたといっても、世話をするだけ。
猫を吸うとか、そういう訳ではない。(当たり前)

 もちろん、少しはファンタジー入ってる。
ただ、処方された猫は全部、普通の(?)猫で
特殊能力とかあるわけではない。
(クリニックのスタッフが普通じゃないけど)

 早くも続編が発売されている。
表紙には、「お薬手帳」ならぬ「お猫手帳」が。
そこまでいくと、もはやネタだろ。w

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 それはともかく、
メンタルクリニックにおける、薬の立ち位置って?
もちろん、薬も大事なんだけど、
その人の環境はもっと大事なんじゃないかなぁ。
相談できる人がいる、とか、することがある、とかさ。

 治療は医薬品だけじゃない。
医療スタッフの態度とか。
昔は「あの人の出した薬はよく効く」みたいなのも
あったなぁ。
 ただのプラセボ効果なんだけど、
プラセボ効果、とっても大事だからね。

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 次。学術系。

アルツハイマー病研究、失敗の構造」(カール・ヘラップ)

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アルツハイマーに関して言えば、
今年は新薬、レカネマブの承認が話題になった。
主に、費用の面で

でも、この著者はこの新薬含めても、
アルツハイマー病の研究は失敗が続いている、と言っている。

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 この本は、学術論文でもなんでもない、一般書。
もちろん、著者は研究者だけれども、
私が読んでもかろうじて理解はできる程度の難しさ。

 たぶん、今のアルツハイマーの研究が停滞していて、
それを突き動かすには研究者では難しくて、
研究者外の世論が必要だ、と思ったんじゃないかな。
それで、わざわざ一般書で世間でアピールしているのだろう。

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 前半は、アルツハイマー研究の歴史。
結果がどんどんと出てきて、もうすぐ治療薬ができる、
という機運が高まる。それが20世紀末の状態。

 中心にあったのは「アミロイドカスケード仮説
アルツハイマー病は、脳にたまっていくアミロイドβが
原因でおこっている、というもの。

 私が学生時代でもそう習った気がするなぁ。
ところが、そこから20年経っても治療薬が出てこない
研究や実験は続いているんだけど、
思ったような効果が出ていないのが現実。

 著者は、
「アミロイドカスケード仮説以外にも目を向けては?」
というのが主張。

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アミロイドの研究でなければ、
 アルツハイマーの研究ではない

この言葉が、この本のなかで何度も何度もでてくる。
科学的知見からは、もちろんそんなことはないんだけど、
研究費の奪い合いや、政治的、経済的な状況が、
そういう動きになってしまっている。

 実際のところ、私はこの著者が
単に迫害された研究者で、
恨み言を言っているだけの印象も感じた。
 オレに研究費回してくれれば治療薬作ってやるのに、と。

 何度も繰り返し出てくるんだけど、
著者はアミロイド仮説をすべて誤りだと言っている訳ではない。
ただ、アミロイドだけですべて解決する訳はないだろう、と。

 実際、アミロイド仮説から出てきた薬は、
アメリカでも議論に議論を重ねた上でようやっと承認されたし、
日本でも、盛り上がってるのはごく一部のみ。
 実際に治療にあたっている医師や薬剤師は、
それほど期待していないのが現状じゃないかな。

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 私はそれほど勉強していないので
この著者の主張がどこまで正しいのかはわからないが、

少なくとも、アルツハイマー治療薬の開発が
ずいぶん長い間停滞しているのは紛れもない事実だし、
アミロイドだけで全て説明ができないのも
明らかになっていると思う。

 今、日本で主流で使われている薬は、
アセチルコリン関係の薬で、アミロイド系ではないのね。
研究が始まって20年以上になるのに、
全然薬ができてこないの。

 そりゃ、仮説に問題があるんじゃないの?
という疑問は、当然だと思う。

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 研究がうまくいっていないだけではなくて、
明らかに失敗してるよね。
それはなぜか?というお話。

 最新の科学研究でも、失敗することはある。
そうした場合に、どうやって修正していくのか。

 科学の世界の中だけでは、袋小路から
抜け出せそうにない、というのがちょっとキツかったな。
でも、読んでおく価値はあると思う。

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 最後は、ノンフィクション、エッセイ。

くもをさがす」(西加奈子)

 西さんの本は全部読んでる。
西さんは直木賞作家で、私とほぼ同年代。
最新作は、小説ではなくてノンフィクション。

 西さん、いつの間にか結婚して子供がうまれてて、
バンクーバーに住んでいるらしい。
そんな西さんが、乳がんになった。
この本は、西さんの治療の記録である。

カナダで、がんになった
あなたに、これを読んでほしいと思った

 あえて、「闘病」という言葉は使っていない。
あくまで治療。闘いではない、と。

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 私は西さんの作品をたくさん読んでるので、
ノンフィクションであっても、
西さんの小説の一シーンが浮かび上がってくる。
ああ、このシーンはこの本に似てる、とか。
この表現は、西さんならでは、とか。

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 ただ、薬剤師として読むならば、
西さんのがん(トリプルネガティブ乳がん)の
治療の記録は、勉強にもなる。

パクリタキセル+カルボプラチンのあと、
シクロフォスファミド+ドキソルビシン。

フィルグラスチムを自己注射するのか、とか。 

 そして、カナダの医療事情もよくわかる。
最終的に手術するんだけどね。。

 乳がんの手術、日帰り。

 ドレーンついたまま退院。
薬局でタイレノールもらって帰れ。

 タイレノール(アセトアミノフェン)が
万能すぎる。w

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 バンクーバーの町のいいとこ、とか。
カナダのいいところ。よくないところ。
そういうのもたくさん書いてる。

 ただね、西さんね。
カナダ人のセリフ、全部関西弁で訳してるのよ。
これが面白い。いかにも西加奈子って感じで。w

 そして、哲学的な問いも多い。
この辺は西さんの「i」を思い出したなぁ。
過去のエッセイにもつながるところあるし。

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 西さんの小説としての最高峰は、
「サラバ!」だと思っているけれども、
この「くもをさがす」は、
西さんの著作のなかで「サラバ!」に匹敵する。

 西さんファンのみならず、
がんサバイバーの人にも読んでほしいし、
今からがんの治療を受けるひとにも読んでほしい。
そして、医療従事者にも読んでもらいたい。

がんの治療を受ける人の気持ちもわかるし、
さらに、がんの治療の勉強までできてしまう。

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 いま、がんの治療は日進月歩。
一昔前なら、ステージ4というと絶望的な響きがあったけど、
今はどうだろう?結構、何とかなることも増えてきた。

 結果として、がんサバイバーが増えているのね。
そして、そういった先輩方が、新たにがんになった人の
手助けをする。心の支えになる。

キャンサーシスターフッド」なる言葉がでてきて、
びっくりした。

「シスターフッド」というのは、仲の良い姉妹のように、
お互いを支えあう女性同士の関係のこと。

(これは、柚木麻子さんの「らんたん」読んでほしい。
 私も大好きな話)

 それに、「キャンサー」がんサバイバーの関係を加えることで、
先にがんになった人が、後からなった人を支える関係ができる。
うわー、すごい世界だなぁ。

 もっとも、西さんが人を愛し、人に愛される人だからこそ
というのはあると思うけどね。

西さんは、本当に友人に恵まれている。
みんなが助けてくれる。

 それは、西さんがそういう人だからなんだろう。
西さんが中心にいるから、じゃないのかな。

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 今年も、選考に難航。

 西さんの「くもをさがす」はもう、
読んだ瞬間から、「これは紹介しなきゃ」だったんだけど。

 フィクション枠は、医療系の小説でほかに、
南杏子さんの「アルツ村」や、「いのちの十字路」
先月紹介した、藤ノ木さんの「あしたの名医」なんかもよかったけど、

結局、猫に全部もってかれた。w

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 学術系も、瀬名さんの「知の統合は可能か」とか、
「因果推論の科学」みたいな、科学の根本にかかわるような話も
衝撃的だったんだけど、どちらにせよ重すぎ。

 タイムリーで(比較的)読みやすいアルツハイマーを採用。

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 西さんがなかったら、次点は
尾身さんの「1100日間の葛藤、新型コロナパンデミック」
かなぁ。そういう、コロナの総括みたいな本もよく読んだし。

 ただ、コロナはまだ終わってなくて、
年末年始にかけて、また次の波が来そうな気配があるんだが。

 

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読書記録 2023.11

2023.11の読書まとめ(読書メーター

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11月は30冊読了。

小説(新規)15冊、小説(再読)4冊
学術/ビジネス 9冊、エッセイ/その他 2冊

何冊か読みにくい本があり、冊数は伸びなかった。
読みにくい本でも最後まで読むのが私の流儀。
途中でほっぽり出して読まないことはほとんどない。

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 今月の3冊。

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 まずは小説
あしたの名医:伊豆中周産期センター」(藤ノ木優)

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 珍しく、タイトルだけで新刊で購入したけど、
予想外に面白かった。(失礼)
医療系の小説は、エンタメとして面白いことは当たり前として、
それでいて現在の医療について知ることができて、
勉強にもなる。

 この作品の場合、それに加えて
「伊豆の食べ物」の魅力満載、という
プラスアルファもついてくる。w

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 作者の藤ノ木さんは初めて知ったけど、
現役の産婦人科医らしい。
これ読んで、産婦人科を目指す医師が増えたらいいのに。

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 主人公は、東京の大学病院から、伊豆に出向させられる。
東京では考えられないような勤務体系。
(休日は、自分の予定を提出のこと)
時代遅れとしか思えない「教授ルール」

そもそもが、自分のやりたい医療とは違うけれども、
そんな中でもまれながらも、産婦人科の臨床経験をつみ、
ひよっこながら成長していく、という物語。

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 地方の産科医療は、厳しい。
本当に綱渡りの状態で回しているようだ。
伊豆中にしても、救急車を断る、という選択肢は最初からない。
すべて受け入れるしかないから、勤務体系がえぐいことになる。

 こんなので医師の働き方改革とかどうやっていくんだろうね?
ちゃんと休みをとれるようにしようとするならば、
お産のできる病院を集約して、
一つの病院あたりの医師の数を増やすしかない。

 でも、そうすると田舎の病院から産科が消える、とかで
反対運動が起きる、といった流れだったような。

 実際問題、田舎で産婦人科医一人でやると、
24時間365日勤務」に近い状態になるし、
実際にそれで回していた病院もあるんだけど、
令和の時代にそれは無理でしょ?

 どうするのかな。

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 次、学術系
EXTRALIFE なぜ100年間で寿命が54歳も伸びたのか」(スティーブジョンソン)

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タイトルだけで、どんな内容か想像つくよね。
実際、そういう話。
19世紀ごろまでは、平均寿命は30歳程度だったけど、
今は80歳くらいになっている。
その結果として、人口爆発しているんだけど。
じゃぁ、その要因はなに?

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 平均寿命が短かったのは、
乳幼児死亡率が高かったから。これに尽きる。
昔の平均寿命は30歳って言っても、
15歳くらいまで生きられた人は、その後、結構長生きできる。

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 乳幼児死亡率を下げたのは、
なんといっても、「ワクチン
次に、下水道などの「公衆衛生」
また、医療が未発達な地域でも使いやすい「経口補水液」

 子供が感染症で死ななくなったから、平均寿命が延びた。
もちろんワクチンだけど、感染症を抑えるための公衆衛生。
そして、下痢症状を手っ取り早く改善する「経口補水液」
この辺は、億単位で人の命を救ってる。

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 医学の発達ももちろん要因ではあるけれども、
昔、18~19世紀くらいだと、
医療が介入する方が死亡率が高かった時代もあった。
 今からみたら明らかにやばい治療をしているから。

 医学でのブレイクスルーは、
「ちゃんと効果の判定をできる臨床試験」
RCTの発明。
今から考えれば当たり前の話なんだけど、
これがでてきたのって20世紀の話なんだよ・・・。
対照実験大事。

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 そんな世界の平均寿命だけど、
ここ2年で連続して下がっている
新型コロナの影響の凄まじさ。
 1910年代のスペイン風邪に匹敵する
100年に1度のパンデミックだったんだなぁ。

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 最後。

1100日間の葛藤 新型コロナ・パンデミック、専門家たちの記録」(尾身茂)

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 日本の新型コロナ対策、分科会会長の尾身さんの記録。
尾身さんは、この夏に分科会会長から退いた。
 立場はいろいろ変わったけれども、
常に日本のコロナ対策の中心にいた。
日本のコロナ対策はどうだったのか、の記録。

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 尾身さんはじめ専門家は、最初から、
歴史の審判に耐えられるか?」を考えて行動していた。
そのため、後世からみて検証できるように資料を残している。
この本は、その資料集でもあるのかな。
 次々と変わる事態に、尾身さんや専門家がどう考えて、
どのように対応したのか。

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 日本は、コロナによる被害をかなり抑えた国の一つ。
欧米に比べると、死者数が異様に低い。
ただ、経済面ではどうだったのか?と言われると難しい。

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 最終的には、医学だけでは語れない価値観の問題になる。
今回は、専門家が「前のめり」で前に出すぎてしまったが、
逆に言うと政治家が前に出たがらなかったからだろう。
本来は、専門家の提言を受けて、国民の信託を得ている
政治家が決断を下すべきなんだ。

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 5類移行にしてもそういう話。
大した病気ではなくなったから5類に、という訳ではないと思う。
コロナを過去にするために、目をつぶってやった面が大きい。

 夏から秋にかけての9波。
ほとんど報道されていないが、おそらく第8波と同等の死者数が出ていると思う。
統計として正確にカウントしていないからわからないけど
(あとで、超過死亡数として確認できるが、数ヵ月のタイムラグがある)

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コロナの2020年から2023年。
もっとも死者数が多い年は?

間違いなく、2023年。
今年だ。

8波は過去最高の死者数を出しているし、
9波もそれに匹敵するくらいなんだから。

 それでも、5類にしたんだよ。
コロナで死ぬことをあきらめて、見ないことにした。

 それは価値観の問題だ。
日本国民がそうとわかってやったのならね。
たぶん、ほとんどの人はわかってなかったと思うけど。

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 願わくば、これで終わりにしないでほしい。
喉元過ぎれば熱さを忘れる、ではだめ。

次のパンデミックに備えるために、
しっかり検証して欲しい。

 何はともあれ、尾身さん、お疲れさまでした。

 

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