書籍・雑誌

読書記録 2025.1

2025年1月の読書記録
(読書メーター)

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娘の受験が原因で、ストレス蓄積中。
いやぁ、親の方もしんどいね、これ。
おかげで、なかなか読書がすすまない。

1月は27冊読了。
小説(新規)13冊、小説(再読)4冊、
学術/ビジネス 9冊、エッセイ/その他 2冊。

ストレス解消のため、心を落ち着けるための
再読が多かったかな。

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今月の3冊

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小説

松岡まどか、起業します」(安野貴博)

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副題が、AIスタートアップ戦記
AIを利用した起業、スタートアップのお仕事小説。
起業のスピード感がよくわかると思う。

とにかく、お金をかき集めて、
それをすごい勢いで使って時間を買う。
まぁ、本作は1年で10億作るという無理ゲー設定だから
仕方ないとはいえ、このスピード感はちょっと信じられない。

どこまでリアルなのかはわからないけど、
いま、こういうスタートアップ起業がたくさんあって、
同じだけ消えていってるんだろうなぁ、と思う。

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 話全体としては、わかりやすい悪役がいて、
なんというか、「半沢直樹」のような感じがした。
わかりやすい王道だよね。

 あと、AIの近未来も見せてくれる。
AIの恋人って、今でも存在するのか?
いや、それでいいのか、と思ってしまうが。

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 さて、作者は安野さん。
おそらく、この分野が専門なんだろうな。
ただ、この人の名前は、別で知っていた。
昨年の東京都知事選に出ていたんだ。

 若者の間では、そこそこ支持されていたように思う。
で、調べてみたら本を出してるから見てみよう、と。
この人、本業は作家さんになるのかな?
(いや、政治家だろ)

 ただ、政治家が片手間に小説出しました、
というクオリティーではない。
普通に小説を生業にしている作家さんの作品だわ。
「めちゃくちゃ面白い」という訳ではないんだけれども、
意外に面白かった。
普通にエンタメのお仕事小説になっていたから。

 でもまぁ、昔から作家出身の政治家っていたよね。

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学術系

依存症の人が「変わる」接し方」(山下悠毅)

 ギャンブル依存や、アルコール、薬物依存。
依存とは何か、なぜやめられないのか。
脳科学的に解説した本。

 冒頭に、ハリガネムシとカマキリの関係がでていた。
ハリガネムシは、カマキリに寄生していて、
最終的には脳を乗っ取って水中にダイブさせて殺すんだよね。

 わかりやすく言うと、依存症ってのは、
「脳を乗っ取られてる」状態に近い。
主に、ドーパミンによって。

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 この分野の勉強は少しずつ進めていたけど、
この本で一気に解像度が上がった感じがした。

 いやぁ、そりゃやめられないわ。
特にギャンブル依存が厄介だなぁ、
「賭けてはいけないお金を賭けるのが最大の快楽」って、
そんなもん、破滅するしかないじゃないか。

 痴漢や下着泥棒なんかの行為も。
あれは、「やってはいけない」ことをするのが快感なのであって、
そういうお店にいってプレイする、とか、
通販で女性用下着買う、では満たされるわけがない。
(そりゃそうだ。)

 身体的な依存と、精神的な依存の違いも。
タバコの依存は大したことがなくて、
お酒の方が深刻だ、と。

 医学的にはニコチンの依存もたいがいだな、って
思うんだけど、「タバコが原因で家庭が崩壊した、という話は聞かない」
確かに。お酒で崩壊した家庭は多いよね……。

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 あと、本書の特徴は哲学的な内容まで踏み込んでるとこ。
人は、どうやったら幸せになれるのか?

 他人に迷惑かけなきゃ何やってもいいとは思うけれども、
それで幸せなのかなぁ、と。
作者さんの別の著書も読んでみたくなった。

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 個人的な感想としては、
依存症って、不倫や浮気もほぼ同じ側面もつよなぁ、と。

あれも、「やってはいけない」ことをやるのが快感なんだろう。
そして、脳を乗っ取られる感じも、同じじゃないだろうか。
(ドーパミンが主役なのも全く同じだろ)

 わかっちゃいるけどやめられない。
なら、どうするか?
基本的には、行為をできない環境に身を置くしかない。
たとえば、スマホ盗撮がやめられないなら、
カメラ機能を封印する、とか。

 あとは、スリップ(行為を再びやってしまう)しても、
責めないこと。ちゃんとスリップしたことを告白してくれる
環境の方が望ましい。

 罰するだけじゃ何も変わらない。

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 ホストやコンカフェにはまるのも「依存」の一種だと思うが、
そのためにパパ活、風俗に沈んでいくのは、どうなのか?
親的には、非常に困るけれども、この作者がいうには、
「それで、本人が困ってないのなら問題ないかも?」

 確かに。本人がそれで幸せならそれでいいのかも知れないな。

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 最後
子どもたちは、ゲームやインターネットの世界で何をしてるんだろう?
(関正樹)

 こちらも、依存と少し関係のある話なんだけど。
親は、ネットやゲーム、特に自分に理解できないものは、
子どもから遠ざけようとするけれども、
子どもがどうしてハマっているのか、
ちゃんと理解しておく必要がある。

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 関先生は、児童精神科医でASD,ADHDなどの発達障害や、
不登校にかかわりながら、ネットやゲームに関しても異様に詳しい。

 まず、子どもがゲームを自発的にやめるのは非常に困難ということ。
今のゲームって、なかなかやめられないようになってるから。
守れる約束を作るのが肝心。

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 たとえば、昔の「ゲームは1日1時間」ってのは、
さらにその昔の、テレビの時間制限に由来するみたい。

 私はゲームで育った世代だけど、
さらにもう一つ前の世代はテレビだった。
テレビの場合、番組が30分や1時間で終わることが多くて、
1時間ってのはキリがよかった。
 でも、それをそのままゲームに当てはめるのは無理がある。

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 また、ゲームといっても種類によって違うでしょ、と。
多人数対戦のFPSやTPSと、長時間プレイが基本のMMORPGや
マインクラフトを同列に語るのは無理があるよ、と。

 うわー、確かにそうだなぁ。
あと、昔と違ってオンラインでつながってる、というのも
あるよ。

 私らの世代だと、
「親にいきなりゲームの電源落とされた」
みたいな話があったけど、


あれは、私らの親世代って、そもそも
ゲームに「セーブ」があることを知らなかったんだよね。

 それが時代が変わって今になると、
私ら、親世代の人間は、
「モニター(テレビ)の向こうに、
 つながっている対戦相手がいる」ってことがわからない。

 私ら世代にわかるようにいうと、
時間だからって終了させるのは、
いきなり電話中に親が回線遮断するようなもんだぞ。

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 本書の特徴は、関先生のネットやゲームに関する知識の深さだ。
この先生、なんでこんなに詳しいの、ってくらい詳しい。
相談にきた不登校の子供と、普通にゲームやネットの会話で
盛り上がってしまう。
(まぁ、それができるのが強みでもあるんだが)

 頭から否定するんじゃなくて、
何が問題なのか。どうすれば解決できるのか。
そういったことを考えていく必要があるってのは、
依存症と全く同じだよなぁ。

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 可能であれば、子どもと同じゲームで遊んでみるのが
一番理解は早い。

 私は、3D酔いするので現代のゲームはほとんどできない。
子どもはよくやっているよなぁ。
lineで会話しながらオンラインゲームみたいなのも
してたりするし。
 理解したうえでコントロールしていくのが大事。

 ちなみに、我が家の現在の規制は、
「パソコンは1日3時間」が基本で、その上で、
絶対にできない時間帯があったりする。
 たとえば、日曜日は基本的に午前中しかできない。
(そうしたら早起きするので)

 ただし、友達とオンラインで遊ぶ場合は、
申告してくれれば制限は解除するようにしている。

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2024年読書まとめ


 2024年全体の読書記録。

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 今年は、いろいろありすぎた。
仕事がかなり楽になったけど、
通勤時間がなくなって、
逆に読書時間が減った。

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 2024年は、全部で331冊。
少し減ったかな。
とはいえ、年間300冊以上は6年連続。
ここ3年は300冊台前半で安定している。

内訳は、小説(新規)が143冊、小説(再読)が45冊
学術/ビジネスが108冊、エッセイ/その他が36冊

小説が減ったけど、学術系の数は変わらず。

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 2024年読書記録(読書メーター)

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2024年の読んだ作家さんTop8

1位 山本弘   12冊
2位 香月美夜  10冊
3位 綾崎隼    9冊
4位 奥田英朗   6冊
5位 斜線堂有紀  5冊
6位 武田綾乃   5冊
7位 米澤穂信   5冊
8位 瀬尾まいこ  4冊

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9位タイ(3冊)は8人もいるので省略。
山本さんは、2024年になくなったので、
追悼の意味もこめて再読が多かった。
香月さん、綾崎さんも再読が多い。
実は、7位の米澤さんも、小市民シリーズの再読で
冊数が伸びているだけ。

2024年で、新たに多く読んだのは
「家」シリーズの短編から入った奥田さんと、
天才、斜線堂さんの二人かな。

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 学術系では、去年に引き続き認知症の本が多いかな。
あとは、職場環境、具体的にはハラスメントだったり、
他人のフォローだったり、そういう本が多かった。

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 あと、今年は電子図書館もちょくちょく使ってるので、
タイトルだけ見て借りたような、わけわからん本も
増えている。w

 

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読書記録 2024.12

2024年12月の読書記録
読書メーター

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年末年始は忙しくて、
いつも何をアップしていたか確認してしまう。

#読めよ薬剤師のあと、
おすすめ小説Top20あげて、
12月の読書記録あげてから、
一年のまとめ?

ややこい。

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12月は26冊読了。
小説(新規)14冊、小説(再読)3冊
学術/ビジネス 5冊、エッセイ/その他 4冊
苦戦する本があったので、冊数は少な目。
仕事も忙しかったので、読書できない日もあった。

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 今月の3冊

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 小説
ノウイットオール」(森バジル)

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 少し前に読んだ「ミステリーツアー」に紹介されていて、
気になったので読んでみた。

5つの連作短編集で、話がつながっているタイプ。
いわゆる、私が好きなやつ。

だが、この5つの小説のジャンルが全部違うってのは、
ちょっと真似できないんじゃないだろうか。

1作目が推理小説なので、推理モノと思いきや、
次は漫才にかける青春モノになり、
そうかと思えば、ぶっとんだSFになり、
異世界ファンタジーまでつないで、
恋愛ものでシメ。

 しかも、それぞれにクオリティが高い。
なんだこれは。なんでこんなことできるんだ?

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 特に、漫才小説のネタがすごくて、
これ、本気でお笑い目指したんじゃないの?
ってくらいネタが考えられてあった。

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 これでいて、話が全部つながっているんだけど、
SFを含んでいるもんで、過去?未来?
よくわからんけど、伏線がいろいろうまってそう。

 ただ、作中でははっきり種明かしされていないし、
登場人物も謎が解けている訳ではない。
ただ、読者だけが、関係性を理解できる。

 だから、「ノウイットオール」というタイトル。

 これがデビュー作ってすごいな。
このレベルの作品を書き続けられるのか?
というのがちょっと気になるところだけど。

 でも、これだけ書けたら小細工しなくても、
普通にいけるんじゃないかな?
ちょっと、追いかけてみたい作家さん。

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 次。

無人島のふたり:120日生きなくちゃ日記」(山本文緒)

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 いや、2冊目は通常、学術系なんだけど、
この本は、日記というか、エッセイというか、闘病記。

 でも、余命4カ月を宣告された末期がん患者さんの
闘病記だから、勉強にもなるかな、と思ってここで紹介する。

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 山本さんは、もともと作家。
作家さんが、がんにかかった経験を書いた本としては、
西加奈子さんの「くもをさがす」もそうなんだけど、

 本作は、治らない。
膵がんのステージIV、余命4カ月と宣告される。
しかも、化学療法がしんどすぎて拒否。

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 いわゆるターミナルの患者さんなんだけど、
そういう患者さんがどういうことを考えているのか。
どういう治療を受けているのか、体調変化は。

 もちろん、薬剤師として処方箋を受け取ることは多いけど、
その後、患者さんがどうやって毎日を過ごしているのかは
ほとんど想像できないから、
そういう意味で、すごく勉強になった。

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体調の良い時はカフェにでもいける。
しんどい時は、ずっと寝ている。

あと、ステロイドですごく体調がよくなる。
4ヵ月は、短いようで実は長い。

もちろん、人によって違うのは当たり前だけど、
一つのケーススタディーとしてすごく勉強になった。
作家さんだから、言葉が読みやすく、わかりやすいし。

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 読み物としてもよいし、勉強にもなる。
何とか120日は持ったけど、そこからプラス何日か、
で亡くなられている。

 でも、少なくとも120日は文章を書く力があったわけで。

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 一つ思ったのは、緩和ケアの力。
化学療法がしんどすぎたので拒否したんだけれども、
山本さんの場合はそれで正解だったように思う。

 抗がん剤入れたほうが、生活は保てなかっただろうし、
これほど穏やかな日々も送れなかったんじゃないだろうか。
結果として、宣告されていた余命より生きたわけで、
多くの人に会うこともできた、と。

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 緩和ケアは、化学療法が効かなくなってからする治療、
と思われているけれども、本当はそんなことはない。
最初からやっても構わない。

 もちろん、ステージIVの膵がんじゃ、
他に大した治療はできなかった、ってのはあるけれども。

 私の身近には、まだがんで亡くなった人はいないので、
患者さんの気持ちが少しわかって、よかった。

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 最後。

「国家はなぜ衰退するのか」( 
(ダロン アセモグル、ジェイムズ A ロビンソン)

2024年のノーベル経済学賞を受賞した二人の代表作、かな。

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2023年のノーベル経済学賞の方の本も読んだけれども、
ノーベル経済学賞って、一般書である程度内容わかるのね。

いや、物理学や医学生理学は、本読んでわかるような話ではないので。w

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地政学とか、いま、はやりだけど、
同じような地理条件でも、
なぜ繁栄している国とそうでない国があるのか。
それを考察していく本。

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結論だけ書くと、包括的(民主主義)な社会であれば
経済は発展していく、ということ。
収奪的(一部の支配階級が富を吸い上げる)社会では、
イノベーションが起きないので、発展が滞る、と。
本当に、それだけだ。

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 邦題は、「なぜ衰退するのか?」だけど、
実質は、「なぜ成長しないのか?」かな。

 特にアフリカや中南米が、なぜ発展できないのか。
そういう話がメインである。

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 当然、読者として気になるのは、日本、中国の話。

 日本は衰退している、という人もいるけれども、
この本ではもちろん、衰退していない。
いや、アフリカなんかと比べれば、
圧倒的に成功してるよ。w
 なので、どうすれば日本の衰退を防げるのか、
という論点は全くない。

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 中国は、というと、
まずは毛沢東、文化大革命あたりの失敗があって、
そこから鄧小平が自由化に舵を切った。

 そこが、「収奪的社会」から「包括的社会」への
切り替えで、そこから中国が圧倒的に発展していった、
という流れになる。

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 いや、今後どうなるのさ?
そこは、わからない。
ただ、共産党の一党独裁である以上、
どこかで頭打ちになってしまう可能性は高い、と読めるかな。

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 もちろん、欧米の経済学者の意見なので、
これが絶対に正しいと言えるわけではないけどさ。
でも、アフリカや中南米に関しては、
なぜ発展できないのか、に対する答えとして
ある程度的をえているように思うな。

 日本、中国の今後に関しては、わからんけど。

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 イギリスで産業革命が最初におこった理由として、
名誉革命があったから、ってのは腑に落ちた。

 絶対王政では、技術革新はおこりにくい。
新しい技術を提案しても、保守派につぶされてしまうから、
モチベーションがあがりにくいんだって。
そりゃそうだ。

 その点、イギリスは絶対王政ではなかったから、
イノベーションが起こりやすい環境にあった、と。
なるほどね。

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 ただ、この本は上下巻で結構分厚いから、
これ読むのにかなり時間食ってしまった。
後半は、読み飛ばした部分も多い。

 だって、新しい話なんてほとんど出てこなくて、
ひたすら自説の補強となるような話ばかりで。

 未来予測に役立てばいいんだけど、
経済学って未来予測苦手だよね、たぶん。

 

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2024年おすすめランキングTop20

 小説の読書記録。

今年、新規で読んだ小説は143冊。
昨年よりもさらに減っているなぁ。

今年は仕事をセーブして
家を回すのに力入れたこともあり、
通勤時間が激減。

その結果、読書時間が減ってしまった。
減ったと言ってもおかしなくらい読んでるが。

今年読んだ小説のTop20

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2024年おすすめランキング

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20位 黒牢城(米澤穂信)

 米澤さんの直木賞受賞作。
黒田官兵衛が牢の中で安楽椅子探偵する。

19位 鳥人王(額賀澪)

 額賀さんによる、マイナースポーツ小説。
今回は、棒高跳びである。

18位 幽世の薬剤師(紺野天龍)

 薬剤師の異世界転移ものだけど、
かなりガチの異世界ミステリー。

17位 あの夏、二人のルカ(誉田哲也)

 読みやすい青春バンド小説。
ラストがとてもよかった。

16位 僕たちがゲームに人生を賭ける理由(涌井学)

 こちらは、青春eスポーツ小説。
下手に恋愛にしない分、面白かったな。

15位 プリテンドファーザー(白岩玄)

 一人で子育てするシングルファーザー二組が、
同居して協力して子育てする話

14位 終活シェアハウス(御木本あかり)

 60代後半のおばさん4人が共同生活する話。
多様性の時代、こういうのもいいよね。

13位 冬期限定ボンボンショコラ事件(米澤穂信)

 米澤さんの、小市民シリーズ完結編。
ようやく、二人のなれそめが明かされる。

12位 山の上の家事学校(近藤史恵)

 男でも家事できなきゃまずい。
でも、家事できるだけじゃだめ。

11位 葉桜の季節に君を想うということ(歌野晶午)

 古典的なミステリーではあるんだけど、
これは読んどかなきゃいけないやつ。

10位 レーエンデ国物語(多崎礼)

 2024年本屋大賞5位。
久々の、重厚なファンタジー。

9位 ノウイットオール(森バジル)

 読者だけがすべてを知っている。
違うジャンルの小説を組み合わせた連作短編集

8位 うまいダッツ(坂木司)

坂木さん得意のコージーミステリーお菓子つき。
非常にゆるい高校生の部活が魅力的。

7位 コロナと潜水服(奥田英朗)

奥田さんの短編集だけど、
ここから見事に奥田さんにハマった。

6位 地雷グリコ(青崎有吾)

今年のミステリランキングを総なめ。
好きな人にはめちゃくちゃぶっ刺さる。

5位 スピノザの診察室(夏川草介)

「神様のカルテ」と違う舞台、キャラだけど、
共通の空気感をもつ、夏川さんの真骨頂。

4位 成瀬は天下を取りにいく(宮島未奈)

今年の本屋大賞第1位。
これがデビュー作で、さらに続編も面白い。

3位 一線の湖(砥上裕将)

「線は君を描く」の続編なんだけど、
水墨画の描写の熱量がすごすぎる。

2位 Spring(恩田陸)

天才を書く天才の恩田さんによるバレエ小説。
「俺は世界を戦慄せしめているか?」

1位 この銀盤を君と跳ぶ(綾崎隼)

綾崎さんが挑んだフィギュア小説。
タイプの違う二人の天才の争い。

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 なんか、私の趣味が偏っているのがわかるなぁ。
いい年して、青春スポーツものが好きらしいよ。

 そういえば、本好きの下剋上が入っていないね。
もちろん、全部読んでるし、今でも大好きなんだけど、
私の中では、去年の最終巻が素晴らしすぎて、
そこで終わっちゃった感じなんだろうな。

 

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#読めよ薬剤師2024

年末恒例の企画、#読めよ薬剤師2024。
去年から主催者がほどほどさんに変わってるけど、
規模は変わっていない、かな。

ある意味、このブログはこの企画のために
読書記録つけてるところもあるので、
もちろん、今年も参戦する。

2023-2024年に発刊された書籍、という縛りがあるけれども、
まぁ、気にせずに選んでいいんじゃないだろうか。

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まずは、フィクションから。

スピノザの診察室」(夏川草介)

 2024年本屋大賞第4位。

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「神様のカルテ」で大ヒットを飛ばした夏川さんの、
新たな医療小説。

 ただ、テーマはかなりかぶっていると感じた。

 本作は、京都が舞台である。
そして、おいしそうな和菓子がたくさん出てくる。

 また、家族とのかかわりも重要なファクターの一つ。

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 愛読書は、スピノザの「エチカ」らしい。
神様のカルテは、夏目漱石だったよね。

 神様のカルテとの類似点はかなり多いなと感じた。

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 何が違うのか?というと、
単純に、神様のカルテはすでに10年前の話だということだ。

 当時とは、医療環境が異なる。
高齢者を無理に延命しないのは、
もはやメジャーになりつつあるよね。
10年前だと、まだまだ珍しかった気がするが。

 この10年で社会、医療の在り方が変化して、
また、作者の夏川さん自体も、変化というか進化している。

 もちろん、変わるだけではなくて変わらないものもある。
だいたい、スピノザのエチカっていつの時代だよ?w
でも、今でも読まれてるんだもんね。

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 このあたりのミックスが、読んでいて心地よい。
神様のカルテは、もちろん続編が出ているけれども、
こちらは続編でこそないものの、
今の時代に合わせた「2.0」という印象を持った。

 読む方の私も進化してるのかな?
さすがに、スピノザはハードルが高くてなかなか読めないが。

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 2つ目は学術系

がんはどうやって治すのか」(ブルーバックス)
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 国立がん研究センターから出ている、ブルーバックス。
ブルーバックスなんて読むの、何年ぶりだ?
下手したら学生時代以来かも知れない。

 がんの治療法に関する教科書のような本。
発売は2023年12月なので、現時点での最新の知見だ。

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 現在のがんの治療法は大きく4つ。
「手術」「放射線」「化学療法」「免疫療法」

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 この4つが、4本柱として紹介されている。
私の知識では、3本柱だったので、
いつの間にか「免疫療法」が柱になっている、
ってことだ。

 ターニングポイントになったのは、
免疫チェックポイント阻害薬。
本庶さんがノーベル賞とった研究。

 オプジーボ、キイトルーダという薬は、
日本での売り上げが年間1位、2位だ。
どちらも免疫チェックポイント阻害薬。

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 まだまだ昔からの薬も使われているけれど、
治療の選択肢が広がった感じがする。
20年前にくらべても、
「がん」は治る病気になってるな、と思う。

「標準治療」がかなり進化してるな、と。
がん保険とかでも、先進治療まで含めた商品が
主流だったけど、あれ、いる?

 先進治療は、「まだ効果の確定していない治療法」
健康保険の利く標準治療がここまで進んできたら、
先進治療を使うメリットってほとんどないんだけど。

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 何にせよ、情報のアップデートが大事。
がんに対する怪しい民間療法とか、
まだまだ古い知識でやってるとこも多いから。

 いまや、がんは治る病気ですよ、と。
アップデートしていこう。

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 余談だけど、私は医療情報のアップデートに、
専門書だけではなくて、一般向けの新書もよく読む。

 もちろん、研究者やアカデミックな人は
もっと専門的な本を読んだ方がいいだろうけれども、

町の薬屋のオッサンなら、
この程度の知識でも十分じゃないかな、と思う。
専門書より読みやすいしね。

読みやすさって、結構大事なのよ。

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最後は、問題作。

安楽死が合法の国で起こっていること」(児玉真美)

 正直、この本は賛否両論あると思う。
諸外国の状況から「すべり坂」の問題点はわかるんだけど、
この人自体が障碍者のお子様をもつ当事者なので、
その視点からの意見が、主観的すぎるのね。

 でも、そう思う人もいる、ってのは大事なことだし、
ネット上の論調だと安楽死賛成の方が圧倒的多数だから、
「いや、そうじゃないんだよ」という反対意見は、
もっととりあげられていいと思う。

 もっとも、児玉さん自身は
安楽死反対派、という訳ではない(と自分で言っている)が。

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 言葉の問題から。
「尊厳死」と「安楽死」は違う。
日本では、「積極的な治療を行わない」という
尊厳死は認められている。

 安楽死は、積極的に安らかに命を終わらせる、
という行為で、日本ではまだ認められていない。

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 この辺、フィクションとしては、
南杏子さんの「いのちの停車場」で取り上げられている。

「今後、回復の望みは皆無であって、
 耐え難い痛みが続くだけの状況で、
 無益な治療を続けるのは、患者を苦しめるだけ」

 という状況であれば、安楽死は肯定されるのでは?
という問いかけだ。

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 おそらく、児玉さんもこの状況であれば、
安楽死を否定されることはないと思うんだが。

 じゃぁ、何が問題かっていうと、
最初はそういう限られた条件でのみ認められていた安楽死が、
運用していくうちにどんどんハードルが下がっていくこと。
筆者は、これを「すべり坂」と呼んでいる。

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 いま、高齢者医療とかで医療費の無駄使いが言われてるよね?
あれって、少なくとも現役世代では共感する人が多いと思う。

 でもさ、社会の要請として考えてみると、
「今後も医療費を莫大に使う人」に対してはさ、
安楽死してもらった方が、社会の負担は楽」なのよ。
これはもう、絶対的にそうだよね。

 莫大な費用と手間をかけて、生活を保護してあげて、
ヘルパーを手配して、医療費もかけて・・・。

 経済的な面だけで見るとさ、
「さっさと死を選んでくれた方が、社会のため」
になってしまう。

 だから、社会の側が簡単に「安楽死」を提案してしまいがち
そして、どんどん安楽死のハードルが下がっていく。
これが「すべり坂」

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 念のため。
これは、私がこの本をそう読んだ、というだけで、
児玉さんの意見とは違うかも知れない。
(少なくとも、ここまで直接的には書いてない)

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 私は、これがキリスト教社会でおこっていることに
びっくりしたんだけど。

いや、宗教は何をしてるのさ?と。

 この辺の話は、社会科学というよりも、
倫理や宗教の問題じゃないの?
ようは、やり方はともかく、
「自殺を肯定する」社会でいいのか?と。

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 これが暴走すると、ナチスみたいになるよね?
「ユダヤ人は生きているだけで罪」
として、強制収容所におくって虐殺したんでしょ。

たとえば、同じことが障碍者相手におこらない、と
言えるかい?
実際、そういう妄想にとりつかれた事件もあったし。

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 積極的安楽死を支持するか、しないかは別として、
こういう視点もあるんだよ、というところで
読んでみてほしい。

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 うーん、今年はなんか、薬剤師らしくないラインナップかも。
まぁ、薬剤師らしい専門書は、たぶん他の人が
たくさん上げてくれると思うので。

 私は、少し外れたところを攻めたほうがいいでしょう。
(ということにしておこう)

 

 

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読書記録 2024.11

2024.11の読書まとめ(読書メーター

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9月は25冊読了。

小説(新規)12冊、小説(再読)4冊
学術/ビジネス 11冊、エッセイ/その他 5冊

今月は、久々の1日1冊超ペースで32冊。
ゲームがひと段落ついて落ち着いたから?

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 今月の3冊。
まずは小説から。

婚活マエストロ」(宮島未奈)

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 デビュー作の「成瀬」が本屋大賞の宮島さん。
続編も好調だけど、成瀬以外の作品として出てきたのが、
こちらの「婚活マエストロ」

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 40歳、フリーライターの独身男性が、
婚活パーティーに参加する、というお話。

40歳という年齢も絶妙にやばいし、
いわゆる婚活あるあるを詰め込んでいて、
刺さる人にはめちゃくちゃ刺さると思う。

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 もともとは、婚活なんかする気なかったのに、
成り行きで婚活することになってしまい、
さらに成り行きでパーティーの主催者側に回ってしまう。

 物語の舞台は静岡県なのに、
婚活バスツアーで、なぜか琵琶湖のミシガンが出てくるのが
宮島さんらしい。(成瀬は滋賀のお話だから)

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 特長としては、うん。
めちゃくちゃ読みやすい。
いや、成瀬以外でも全然すごいよ、この人。
ちゃんと追いかけてみたくなった。

 ただ、ヒロインの「婚活マエストロ」かがみんの
ビジュアルがちょっと思い浮かばなかったなぁ。
アラフォーの美女、としか。

 むしろ、成瀬よりも映像化しやすそうな気がするんだけど、
どうだろうか?

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 次、学術系

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医療現場のアンガーマネジメント入門」(大浦裕之)

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 おもに病院でも、パワハラ撲滅のためのお話。
どうしても、医師によるパワハラが多い職場。
でも、そのために逆に医療安全にかかわることがある。

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 医師としても、命がかかっている状態でミスされると、
そりゃあ怒るのも仕方ないところはあるけど、
あんまり怒りすぎると職場が委縮してしまって、
かえってよくない結果を招くことあるよね。

 そうでなくても、パワハラで訴えられることはありえるし。

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 どうやって怒りを鎮めるのか、というお話。
たいていは聞いたことのあるお話だったけれども。
よく聞く「とりあえず6秒待つ」というのも、
一応医学的に根拠はあるらしい。

 有効なのは、物理的に距離を取ること。
怒りの感情がでてくるのはしょうがないけど、
物理的に距離をおけば、直接ぶつける(=パワハラ)ことは
少し防げるのかな?

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「私は今日、怒りません」というノーアンガーデイの発想は
面白いと思った。

 どういうときに怒りを感じるのか。
自分で整理して理解しておけば、
コントロールしやすくなる。

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 私は、非常に気が長い方であるけれども、
それでも怒ることはあるからなぁ。
何とかハラ、と言われないように気を付けないと。

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 最後。エッセイ。

医者の父が息子に綴る人生の扉をひらく鍵」(中山裕次郎)

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「泣くな、研修医」シリーズの作者で、医師でもある中山先生が、
息子にあてて、書いたというエッセイ集。

 作家としての顔しか知らなかったけど、
この本を読む限りでは、中山先生、外科医としても一流だ。
すごい。

 何がすごい、ってその努力量だろう。
他人の3倍くらい練習してる。

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 ただ、面白いのはちゃんと自分の失敗談も書いているところ。
そんな失敗、逆境の中でも、
ちゃんと解決法を探し出して前に進んでいくパワーがすごい。

 私ならうまいこと逃げてしまいそうだなぁ。

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 努力できることが、一番の才能なんだと思う。
死ぬ気でやれば何でもできる、っていうけど、
普通の人は死ぬ気で努力できないんだよ。

 私は、子どもたちにそこまで伝えられているかな?
私が伝えられることがあるとすれば、

「人生、いろいろあるけど、割と何とでもなるよ」

 人生のレールなんて一つじゃないし、
少々外れても気にすることないよ、ってことかな。w

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読書記録 2024.10

2024.10の読書まとめ(読書メーター

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9月は25冊読了。

小説(新規)10冊、小説(再読)4冊
学術/ビジネス 10冊、エッセイ/その他 1冊

今月もあまり読書がすすまなかった。
空いている時間に本を読むよりも、
ゲームしてる方が多いからかな。

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 今月の3冊。
まずは小説から。

臨床のスピカ」(前川ほまれ)

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 前川さんの本は以前にも紹介した。現役の看護師さんの小説家。
今回の新作は、AAT。動物介在療法のお話。

 動物介在療法、というよりはアニマルセラピーという方が
通りがいいように思うけれども、厳密には違うものらしい。

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 動物のもつ癒しの力は、大きいと思う。
別の作者さんだけど、「猫を処方いたします」だって、
動物のもつ癒しの力がメインだよね。
 
 もっとも、あっちはファンタジーだが、
このAATはリアルに存在する活動らしい。

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 やっぱり、偏見が問題になるらしい。
医療機関の中に動物がいるのってどうなの?って。
みんなに理解してもらうのは難しいよ。

 DI犬であるスピカと、ハンドラーの関係性がよいよね。
スピカは何も考えてないのかも知れないけど、
人間が大好きなのはすごく伝わってくるし。

 ただ、どうかんがえても保険適応はできそうにないので、
お金の問題はでてくる。
その人件費はだれが払うの?とか。
完全に病院の持ち出しになるだろうしなぁ。

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 制度的には難しいけど、
まずは知ってもらうことが第一歩かな。
その意味で、この小説の意義は大きいと思う。

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 次、学術系

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死ぬということ -医学的に、実務的に、文学的に」(黒木登志夫)

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 これは中公新書。
タイトルがあまりに直接的で、気になって読んでみた。

 この「文学的に」ってのがなかなか味があってよい。
実際には、章の一つとして文学的な話が出てくるわけではなく、
それぞれの章の最初に、短歌とかの形で
文章が提示されるだけなんだけどね。

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 医学的にどのようなことが死につながるのか、
生活習慣病のことが書かれたかと思えば、
実務的な遺品整理の話がでてきたり。

 正直、話があっちこっちに飛んでわかりにくい。
でも、死ぬということを考えるってのはそういうことなんだろう。

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「ピンピンコロリ」ではなくて、「ピンピンゴロリ」が理想とのこと。
ピンピンころりは、死ぬ本人はそれでよいかも知れないが、
突然死されたら周りが困る。(確かに)

 少し、時間に余裕をもった死に方をした方がよい。
実際のところ、ピンピンコロリのつもりで、なかなかころっと死ねずに
寝たきりになることも多そうなので何とも、だけど。

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 著者の黒木先生は初めてだったけど、医学者。
医師だけど臨床経験はほとんどないらしい。
日本癌学会会長や、大学の学長なんかもされていた、と。

 今年、米寿

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 いや、88歳でこの文章が書けるのはすごいよ?

昔の栄光にすがっている感じがなくて、
割と最近の知見までしっかり押さえてある感じがあるのよ。

 若い人がこんなの書いたら、
「何を若造がえらそうに」って思われるだろうけど、

88歳の医学者が書くと、かなり説得力があって面白い。
いや、この人もそろそろお迎えが近いんじゃ?
とか、恐ろしいことを考えてしまった。

 もっとも、黒木先生は117歳まで生きるつもりらしいが。w

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 最後。

ハラスメントの解剖図鑑」(宮本剛志)

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 昔は、セクハラ、パワハラ、くらいしかなかったけど、
今は○○ハラが多すぎるよね。

 マルハラってのも話題になったな。w

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 私は頑張って世の中にアンテナ張ってる方だと思うけど、
それでも知らないハラスメントがあった。

 もう、何がハラスメントになるのかわからん!
って人(主に中年男性)も多いんじゃないだろうか。

 そんな人は、とりあえず一読しておくことをお勧めする。

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 セクハラ、マタハラはまだわかりやすいんだけど、
パワハラって、どこからがパワハラになるのかわかりにくいよね。
ワクハラ(ワクチン接種を強要する)に至っては、
いやもう、、としかいいようがない。

 多様性を認めるって難しいことなんだなぁ。

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 個人的には、同僚のプライベートをどこまで聞いていいのか。
「それ、仕事に関係ないですよね」と言われればその通りなんだが、
雑談って、仕事に必要な面もあるんだよ。。

 でも、そんなことすら「〇〇ハラ」になりかねなくて怖い。

 ハラスメントを恐れるあまりにコミュニケーションが希薄になって、
かえって弊害がでているように思うし。

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 と、ここまで自分で書いた文章を読んで、うわーこれこそ
ザ・老害」とか言われかねない、と思って凹む。

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 とりあえず、頻繁に知識をアップデートするしかないかな。
今のところ、こう言われているけれども、
どうせまたこれも、変わるんでしょ?時代に応じて。w

 

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読書記録 2024.9

2024.9の読書まとめ(読書メーター)

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9月は26冊読了。

小説(新規)16冊、小説(再読)0冊
学術/ビジネス 7冊、エッセイ/その他 3冊

あまり読書が進まなかったなぁ。
気が付けば、何も再読してないや。
読書にかける時間自体が減ってきつつある。

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 今月の3冊。

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君は医者になれない 膠原病内科医・漆原光莉と血嫌い医学生
(午鳥志季)

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 電子図書館にあったので、なんとなく借りてみたが
なかなか面白かった。
膠原病内科って、とんでもなくニッチなところついてくるな、
と思った。予想通り、作者の午鳥さんは医師らしい。

 全体的な雰囲気が知念さんの天久シリーズに似てるかも。
まぁ、変人でできる女医さん、となると
先行シリーズに似てしまうのはしょうがないかな。

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 ラノベ、というほどライトではないけど、
適度に軽くて読みやすいメディアワークス文庫っぽい作品。
ついでに、膠原病の勉強も(すこしは)できる。

 ただ、ここまで血が苦手だと本当に医師は無理じゃないかな。
あと、ただの学生がこんなとこまで入り込んでいいのか、とか。
ツッコミどころもあるけれども、
それ言っちゃ話が進まないからねぇ。(苦笑)

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 ミスで人が死ぬことがある仕事ってのは、
医師だけではなくて薬剤師もそうだな。
その辺、ハッとさせられた。

 続きもあるみたいなんで、読んでみたい。

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 次、学術系

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職場の同僚のフォローに疲れたら読む本」(佐藤恵美)

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 これは、タイトルの勝利だなぁ、と思った。
いや、同僚のフォローに疲れてる人、めっちゃ多いって。
仕事はできる人のところに集まるしね。

 内容としては、ごく普通の職場のメンタルヘルスの話だけど、
他人のフォローが評価されない人事制度とか、
現在の会社の問題点にも触れていて、すごく納得できた。

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 私も今の職場には不満があるけれども、
「怒り」が疲れを加速させるというのは、すごくわかる。
ものすごくエネルギーを使って消耗する。

 そして、誰もみてくれてないからフォローがない。
仕事しても認めてくれない、そりゃストレスたまるよ。

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 気をつけなきゃいけないな、と思ったのは
「燃え尽き症候群」の話。
そういう、周りのフォローにたけた人が
燃え尽きてしまって仕事に来なくなる、という。

 うーん、弊社でも現在進行形でありそうな話。

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 対策としても色々あって、
もちろん、人事制度の改革が必要ではあるんだけど、
個人としてできることとして、
考え方をかえてみる、とか、気持ちの持ちようとかも
書いてあって、ほとんどが知ってることだったけど
参考にはなった。

 しんどくなったときに、読めるように手元においておきたい。

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 最後。


なぜ働いていると本が読めなくなるのか」(三宅香帆)

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 タイトルの勝利、その2.

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確かに、このタイトルみたら、
「そうそう、最近本読めてないわー」ってなる人多いし、
実際そういう人が読んでみたくなるんだろう。

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 でもこの本、中身はね、
明治時代から現代にかけての労働者と読書の歴史を
振り返るところが大半で。

 いや、タイトルは「労働と読書史」とかの方が
実態を表していると思う。

 ただ、そんなタイトルにしたら間違いなく売れないわ。w

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 なぜ、昔の労働者は本を買ったのか、とか。
なぜ、あちこちの家に「全集」があったのか、とか。
私はそんな話も興味深く読めたからいいけど、

「いや、早く結論いってくれよ」って人も出るだろうなぁ。
それこそが、「働いていると本を読めなくなる」理由の一つ。

 ネットが進んだ現代社会では、
必要な情報は調べれば純度の高い形で手に入るのね。
でも、読書ではいろいろな「ノイズ」が入ってしまう。
働いていると疲れてるし、そもそも時間がないので、
「ノイズ」が邪魔だと感じてしまう。

 いや、そのノイズを楽しむ余裕があるのが読書でしょ、と
思うんだけどなぁ。私は、この本を楽しんで読めたけど、
そうではなかった、という人は、そもそもノイズがしんどいでしょ。

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 で、結論としてはワークライフバランス、というか、
余裕持てるように、仕事を軽くしましょうよ、みたいな話で。w

 うん、私が本読めるのは、余裕があるからなんだろうな。
そうでない人は、なかなか本を読めなくなるんだろう。

 

 

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読書記録 2024.8

2024.8の読書まとめ(読書メーター)

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7月は28冊読了。

小説(新規)9冊、小説(再読)3冊
学術/ビジネス 11冊、エッセイ/その他 4冊

電子図書館で借りた本を読むことが増えてきた。
自分の興味の赴くまま、雑多に借りてるから
あまり身につかないかなぁ。

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 今月の3冊。

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終活シェアハウス」(御木本あかり)

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 御木本さんの本は初めて。
タイトルだけで気になって読んでみたけど、
なかなか興味深かった。

 高齢女性4人、合わせて272歳がシェアハウスで暮らす物語。
この4人、小学校時代からの友達で同級生。全員68歳。

 それぞれ、シングルマザーだったり、ずっと独身だったり、
熟年離婚していたりと、連れ合いがいない状態で、
もう、みんなで一緒に暮らした方が楽しいし便利よね、と。

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 この、60代後半の女性が、なんというかかなりリアルに感じた。
作者の御木本さんが同年代なんだと思う。w
仕事に対して、お金に対して。また、恋や結婚に対して。
60代後半ってこんな感じなんだろうなぁ、と。

 でも、みんな元気でバイタリティにあふれてる。
タイトルには「終活」って書いてあるけど、
これはキャッチーなタイトルつけてみただけで、
実際には終活なんて話、これっぽっちも出てこないよ。
 もっともっと、長生きしてほしいし、できるでしょ。w

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 今後、こういう形態のシェアハウスがはやるかも知れないなぁ。
結婚していても、年をとると旦那と一緒にどっかいくより、
友達と一緒に行く方が楽しいっていうもんね。

 それなら、最初から旦那いらんことないか?w

 また、結婚しない女性だってどんどん増えている訳で。
でも、一人で暮らすのは寂しいし、何かあれば不安。
一緒に暮らすことのメリットは大きいと思うな。

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 ただ、そうなると残った男たちはどうすればいいんだろう?
男性ばっかりでシェアハウスって、現状では難しそうだ。

 まず、家事能力がないと無理だろうってのもあるけど、
そこを何とかクリアしたとしても、
コミュ力の問題があって、男ばっかり集まっても
こういう楽しい話にはならなさそうなんだよね。。

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 結婚しない、できない人たちが増えていくと、
こういう「孤独」「孤立」の問題がでてくるから、
そこを解決するための形として、
こういうシェアハウスはありえるだろうな、と思った。

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 次、学術系

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認知症医療革命 新規アルツハイマー病治療薬の実力」(伊東大介)

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 これは、新薬「レカネマブ」についての本。
去年読んだ、「アルツハイマー病研究、失敗の構造」は
かなり批判的な本だったけれども、
こちらは逆に、「レカネマブ」肯定派のお話。

「アミロイドカスケード仮説は、
 もう「仮説」をとってもいいんじゃないか」

 みたいな文章がでてきてびっくりしたけど。

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 アミロイドカスケードだけで、
アルツハイマーがすべて説明できる訳ではないけれども、
かといって、アミロイドカスケードが
アルツハイマーと全く無関係、ということもないよね、
というのが、落としどころだろうか。

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 新薬レカネマブは、一応有意差がでているので
効果はあるんだろうけど、それが実感できるかどうかは、
ちょっと怪しいんじゃないかと思う。

「革命」というより、「最初の第一歩」じゃないかな。

もう少し、簡易で安価な検査法、評価法ができてくれば、
それこそ「革命」が起こるかも知れないと思うけど。

 レカネマブは、まだまだ「革命」というには力不足だ。
もっといい薬が出てくることに期待したいな。

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 ただ、この分野の薬は本当に求められているし、
成功した時のインパクトも非常に大きい。
はやく革命起こしてほしいんだけどね。

 私がアルツハイマーになる前に。w

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 最後。


別居・離婚後の共同親権を考える」(熊上崇・赤石千衣子)

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 今年の春に、離婚後の子供を共同親権にすることが
可能になる法案が成立した。

 私も気になってたんだけど、
ネット上では、反対の声が大きかったのね。

 この本は、その反対派の人たちが、
「どのような問題があるのか」を解説した本。

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 なんで共同親権なのか、というと、
欧米ではそっちが主流なのと、
多分、海外からの圧力があったんじゃないのかな。

 日本人と外国人が離婚した時に、
日本人妻が子供を日本に連れ帰って、
父親に合わせない、ってのが
国際的に問題になっていたから。

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 私は明確に共同親権賛成派なんだけど、
この本を読んでみて、確かに無条件で賛成はできないよな、
と反対派の事情は理解できた。

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 前提として、すべてが共同親権になる訳ではなく、
共同親権を選ぶこともできる。
今まで通り単独親権でもよい。

 反対派が問題にしているのは、とにかく身勝手なDV男だ。
こういうのが共同親権を主張してきたら、問題。

 いや、問題があるんだから単独親権にすれば、と思うが、
裁判になった結果、共同親権を押し付けられる可能性もあるし、
男の方が、共同親権を認めれば離婚してやる、と
なったら、そこをのまざるをえないかも知れない。

 DVって、立証するのが困難だしね。
逆に言うと、捏造もできてしまうから難しいところ。

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 一言でまとめると、ケースバイケースなんだよ。
共同親権の方がいいこともあるし、
単独親権の方がいいケースもある。
それを、裁判所がきちんと判断できるかどうかが
今後問題になってくるんだと思う。

 ただ、それとは別にして、、

 ちゃんと養育費払えよ。
まずはそこからだろう、と。

 共同親権にしたら養育費払うかっていうと、疑問だし。
逆に、単独親権だから払わない、なんてのもでてくるかも。
いや、どっちにしても養育費は払えよ。

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 たぶん、どうしようもない問題は起きてくると思うよ、これ。
ただ、じゃぁ現状のままでいいのか、と言われると、
それもそれで問題がある場合があるので、うーん。

 養育費払うのは親の義務だし、
面会交流は子供の権利。
親権もってる方の親が、子どもにいろいろ吹きこんで
会わせなくするってのも問題だしなぁ。。

 これもまた、単純な話ではないね。

 

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読書記録 2024.7

2024.7の読書まとめ(読書メーター)

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7月は28冊読了。

小説(新規)11冊、小説(再読)3冊
学術/ビジネス 9冊、エッセイ/その他 5冊

最近、チョコザップはじめた。
すきま時間に、デスクバイクで運動しながら
本を読むことに。

Audibleもやってみたけれども、
あれ、1冊10時間とかかかるのね。
ちょっと時間効率悪すぎるのでやめた。

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 今月の3冊。

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うまいダッツ」(坂木司)


「和菓子のアン」の坂木さんの青春もの?
今回は、高校の喫茶部、というか「おやつ部」のお話で、
だらだらとおやつを食べるだけなんだけど、
そこにちょっとした謎がでてくる。

 食べ物つきコージーミステリー、という
坂木さんお得意の組み合わせ。

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 ハッとするような展開がある訳でもないし、
大きな事件がおこる訳でもない。
ただ、四人の高校生のだらだらとした日常の話だけど、
それがなんとも心地よかった。

 「和菓子のアン」以外の坂木さんの作品では、
天文部を舞台にした(これも食べ物でてくる)「夜の光」
が私は好きなんだが、それに雰囲気似ている。

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 男子二人、女子二人。ちょっとしたやり取りはあるけれども、
はっきりとした恋愛関係はなくて、
ゆるくつながっている友達。

 たぶん、私はそういう「男女の友達」が好きなんだな。
男女の友情は成り立つと思っているので。

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 (お菓子メーカーの)ブルボンの名前の由来。
別に、フランスの王朝とか関係ないらしい。

 ブルボンのお菓子がたくさんでてきたが、
私が一番好きなのは、ブルボン最古のおかし、
「羽衣あられ」である。

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 つぎ、学術系

天才の光と影 ノーベル賞受賞者23人の狂気」(高橋昌一郎)

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 タイトル通り、ノーベル賞受賞者の話。
歴史的大発見をして、名前が残っていても
とんでもない奇行をしていたりする。

 前半は、アインシュタインあたりまでひたすらドイツ人で、
この当時のドイツのすごさがうかがわれるが、
ユダヤ人差別のあまり、ナチスに協力的で
アインシュタインを認められなかった人がちらほらと。

 しかも、それが国のトップに近いとこにいたりする。
本当に、ドイツが原爆開発できなくてよかったよ。

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 後半は、「ノーベル病」にかかった人が多かったかな。
専門以外の方向に突っ走って、晩節をけがしてしまう、という。

 ノーベル賞を受賞すると、本人が万能感を持ってしまって
自分が正しいと信じ込んでしまう、という。
いわゆる「トンデモ」に走ってしまう人もいる。

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 ノーベル賞受賞者が、優れた人格者ばかりとは限らんわな。
なかには(当時にしても)とんでもない差別主義者もいるし、
女性関係が派手すぎる人もいたり、一夫多妻制の人もいたり。

 もっとも、紹介されている人の中には、
「狂気」とまでは言えないんじゃないかな、という人も。
せいぜい、「変人」レベルだよ、っていう。

 中には研究実績自体もどうよ?って人もいるけど、
たいていは、本職の研究では素晴らしい実績を残してる。
どんなに変人でも、業績は変わらない、という一面もあるな。

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「ノーベル賞受賞者が言ってるから」正しいとは限らない。
逆に、どんな変人であっても素晴らしい研究することもある。
人格と研究は(あまり)関係ないよ。


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 最後はエッセイ

赤と青のガウン」(彬子女王)

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 今、話題の本。
著者は、皇室のプリンセスである。
今の天皇陛下の従妹で、れっきとした皇族の一員。
昭和天皇の弟にあたる三笠宮様の孫。

 このエッセイは、オックスフォード大学の留学記だ。
彬子女王は、オックスフォードの博士号をもっている。
でも、皇族とはいえ学問上で特別扱いとかはなし。

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 日本国内では必ず護衛がつくけれども、
イギリスでは彬子女王くらいの立場だと
別に護衛なんかつかないらしい。

 あの国は、いろんな国から高貴な方々が集まるから、
特別扱いしきれないのかも。

 なので、皇族なのに一般人に紛れて行動するので、
たとえばパスポート(外交官扱い)みられて
「あなた何者?」ってなったりとか。

 ごく普通の女の子なのに、プリンセスとか書いてるし。
そもそも、苗字がないし。w

 それでも、皇族ならではなこともあり。
エリザベス女王と一緒にお茶会とか。

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 オックスフォード大学でも、
別に特別扱いはされてなさそう。
普通に英語で苦労したりとかして。

 なんか、すごい親しみやすい感じの文章だった。
そして、面白い。
あと、博士号とるのは大変なんだなぁ、
という苦労もわかった。

 ドクターとった後のキャリアも大変そう。
さすがに、皇族だからポスドクならではの
生活苦とかはなさそうだけど。w

 

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