書籍・雑誌

「異世界薬局」

 最近読んだ書籍の紹介。

「異世界薬局1」(高山理図)
https://www.amazon.co.jp/dp/B01AXD9RPC/

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 よくある異世界転生ものファンタジー。
これも、「小説家になろう」サイトからの作品。
このサイト初の作品は「なろう系」の作品と言われていて、
素人による駄作も多いんだけれども、稀にすごいのが入ってる。

 ネット発の作品で、私が最初に読んだのは「まおゆう」だけど、
今思えば、あれが結構典型的な話かもしれない。

 現代の知識を、そのまま中世風ファンタジーに移植して
活躍する、という話なので。

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 最近読んでいるのが、「本好きの下剋上」シリーズで、
これも、本好きの女子大生が中世風ファンタジー世界に転生して、
現実世界の知識をいかしつつ本作りに邁進する話。

 正直、今回紹介する「異世界薬局」よりも、
こっちのシリーズの方が圧倒的に面白いんだけど、
非常に長い話だし、まだ完結もしてないので割愛。

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 で、その手の「よくある」異世界転生ファンタジーに、
最新薬学知識をもって、中世風ファンタジーに薬剤師として転生する、
ってのが、「異世界薬局」である。

 転生モノに耐性があって、薬剤師ならこれは読むしかないでしょう。(苦笑)
(転生モノはある程度慣れてる人じゃないと拒否反応おこすと思う)

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 まだ1巻しか読んでないけど、なかなかぶっとんでて笑った。

 主人公の能力がチートすぎる。
(※チート:プログラムを不正に改変して、自分のキャラを異常に強くすること)

 現代薬学の知識があるだけでも十分ズルいのに、
物質生成から消去まで思いのまま。この世界では「神」クラスの力をもつ。

 なんせ、物質名に構造式を思い浮かべればその物質を作れるっていう。
確かに、その能力がなければ現代薬学を利用しにくいとは思うけど、
それにしても反則でしょ、それ。

 私が(一人で)大爆笑した、主人公ファルマの初めての薬物合成シーンを
少し長くなるが引用してみる。水疱瘡にかかった妹、ブランシュのために
抗ヘルペスウイルス薬を合成するシーンだ。

 以下、引用

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 物質合成はファルマの脳内イメージに完全に依存している。
だから間違いのないよう、よりリスクの少ない、つまり単純な化合物を合成したい。

 アシクロビルはヘルペスウイルスのDNA合成を阻害することにより増殖を
抑える薬剤だ。その薬自体は比較的簡単な構造の化合物だった。

「プリン骨格に、非環状側の側鎖の……」

 物質名、そして構造を脳裏に正確に思い浮かべる。出来上がったイメージを、
そっくりそのまま左手に伝え、写し取っていく感覚だ。構造に間違いがあっては
ならない。別の薬剤になってしまわないよう、細心の注意をはらって合成する。

 ファルマの左手の、薬神の聖紋とロッテやエレンに呼ばれた疵が、
青白く発光した。

「"2-アミノ-9-(2-ヒドロキシエトキシメチル)-3H-プリン-6-オン」
物質名を唱えてみる。そして次に一般名を唱える。
(”アシクロビルを合成")

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 引用終わり。(改行位置は引用者が変更)

 いやこれ、ヤバイっしょ。
アシクロビルのIUPAC名を唱えるとか。こんなもんわかるやついるか、と。w
これは、薬剤師や薬学生でなければ笑えないと思うが。
 物質の構造式を頭に思い浮かべてそれと同じ物を合成できるって、
どんだけヤバい能力なんだよ。ww

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 ただ、残念ながら物質名が出てきたのは、1巻の中でここだけ。
あとは一般名だけになっていったし、後半になるとそれもなくなってきて、
単なる異世界ファンタジーに成り下がってしまった。

 一応2巻も図書館で予約してるから読んではみるけれども、
面白くなければもういいかな、という感じ。

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 作者の高山さんは医療系の研究者らしい。
そうでなかったらこんな話は書けないだろうから、当然か。

 薬学系の知識を抜きにして、単なる転生異世界ファンタジーとみると、
私には駄作にしか思えなかった。ご都合主義、安直、二番煎じな感じ。
私もこの系統は時々読むだけで、詳しくはないけれども、
そっち方面が主戦場の読書家さんからみたらどうなんだろうね?

 キャラのデザインが萌え系でかわいいから、そっち方面の需要はあるかも。
個人的にはその辺、あんまり興味ないので。(苦笑)

 ただ、かなり尖った能力で、(一部の)同業者には受けるんじゃないか。w
色々な人が作品を発表してるので、本来なら商業ベースにのらないはずの
ニッチな本でも、出版されることがある。

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 これ、コミカライズ(コミック化)もされているので、
文章読むのが苦手な人はそっちの方がいいかも知れない。

http://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_MF00000031010000_68/

 絵にされると萌え系の設定がより活かされていると思う。w

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「女子的生活」

 書籍の紹介。

女子的生活」(坂木司)

 上記リンクはamazon。

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 今年(といってもまだ三カ月足らずだが)一番衝撃的だった本。

 (少しだけ)ネタバレも書くつもりなので、
嫌な人は、ここから先を読まないで欲しい。

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 もともとは、アンソロジー集で読んでいた。
この部屋で、君と。」(リンクはamazon)

 (自分にとって)新しい作家さんを発見するのには、
アンソロジー集を読むとよい。

「この部屋で、君と」は、同じ屋根の下で暮らす二人をテーマにしている。
執筆陣が豪華で、面白い話が多かった。

 越谷オサムさんとか、読んだことなかったけど、なかなか強烈な話だった。
短編のオープニングが女の子の渾身のジャンプングニーパッドとか。w

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 で、この「女子的生活」も第一話は、アンソロジー集で読んだ。
(もちろん、本当の初出は雑誌に掲載されたものだけど。)
ものすごく引き込まれる話だった。

 調べてみると、続きも書かれて単行本になっていたので、
図書館で予約して借りた。(結構時間かかった)

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 そろそろ、ネタバレ解禁

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 まぁ、一話目の半分もせずに出てくる話だし、
この話の肝でもあるので、この設定を話さずにこの本は語れない。

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 主人公の「ミキ」が、普通の、ノーマルな性別ではない。

 本人曰く「一番近いのはトランスジェンダー
これ、つまり一般的なトランスジェンダーですらない、ということだ。

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 LGBT、とひとくくりにして言われることもある。
L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシャル、T=トランスジェンダー。

 トランスジェンダーも定義が難しいんだけど、
日本語で言うと、性同一性障害、になるのかな。

 ようは、体と心の性別が違う人。
身体は男性なのに、心が女性とか、その逆とか。
いわゆる、「オネエ」もトランスジェンダーにあたるかな。
(キャラや仕事のためにやってる人もいそうだから微妙だけど。)

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 主人公のミキは、体は男性。心は女性。
だから、トランスジェンダーではあるんだけれども、
さらに、「レズビアン」でもある。

「わかりやすく言うと、私は女の子になって女の子とカップルになりたいの。」

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 文章だけの小説だから、成り立つ部分はあると思う。
映像にしたら、さすがに無理があるんじゃないかと。(苦笑)
文章だけで読むと、ミキはとても女子力の高い女子であるからして。

 女の子が大好きで、女の子になりたくて、
実家から離れて女の子ライフを満喫している。それがミキ。

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 どこまでリアルだかわかんないんだけれども、
この設定が、割と周囲に受け入れられている。

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 成り行きでミキと同居人になってしまった男性の後藤は、
色々と衝突はあるけれどもそのたび「学習」して、
ミキと「友達」になる。

 (最後には、「俺の大切な友達だ!」と叫ぶ。)

 また、職場の同僚も、ミキをほぼ「女友達」として扱っている。
同僚のかおりのことを、ミキは、友達として最高に好き。と書いているし、
実際に二人の関係は、女友達(というか戦友に近い)。

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 もちろん、偏見もあるんだけれども、ミキは強い。
あくまで自分の道を貫いていく。そこがかっこいいんだけど。。

 ちょっと、女子が怖くなってしまう本でもある。w

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 合コンや、それに近いようなシーンが結構でてくるんだけど、
その辺の女子の戦いぶりが、怖い。
単純な男子には全く理解できんわ。(苦笑)

 ミキは、合コンには「女子」として参加することが多い。
(中には、男性だとばれて参加するパターンもあるが)

 それでいて、ターゲットは女の子なので……。

 参加者の中で一番かわいい女の子を、
(見た目)女子のミキがお持ち帰りに成功する、なんてシーンもある。w
いや、それは男性陣(つーか他の女性陣も)ドン引きでしょ。(汗)

 見た目女子のミキは、むしろ男子よりも簡単に女子と仲良くなれる。
もちろん、真剣な交際に発展させるのは非常に難しいだろうが。(苦笑)

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 性別、ジェンダーなんて人それぞれ。
本当に、これくらいノーマルからかけ離れた人もいるのかも。
ひと昔前なら、「変態」で片づけられたかも知れないけど、
今日なら、十分、物語として成立するようになってきたのかも。

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 ただ、気になるのは、「友達」と「恋愛」の差。

 ミキから見れば、男子の後藤も、女子のカオリも友達。
ってか、それだけ好きなカオリが恋愛対象にならないのはなぜなんだろう?
と考えてしまった。友情が成立しているしなぁ。

 これは、男女の間にも友情が成立するか?という問題になるのか?

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 ミキの身体的特徴(トランスジェンダー)を取っ払った方がわかりやすいか。
ようは、レズビアンの女性にとって、親友って恋愛対象じゃないのか?
ゲイの男性にとって、男性は全て恋愛対象なのか?

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 うーん、わからん。w

 やっぱり、男女の友情は成立するのか、ってのと同じ問題になるのかな?

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 坂木さんの他の本もいくつか読んだ。
「和菓子のアン」が面白かったんだけれども、
この作品にも「乙女」な男子の同僚(立花さん)が出てくる。w

 ただ、立花さんは乙女系で女子っぽいけど、女子になりたい訳ではないし、
黙ってればイケメンということだから、ミキとはだいぶ違うなぁ。

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 ちなみに、作者の坂木さん、性別は非公開である。

 

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「火花」

 書籍の紹介。

 少し前に芥川賞を受賞した話題作、「火花」
リンク←amazon)
昨年の末に(ブックオフで)購入していた。

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 (見る気はないけど)いま、ドラマ化されているらしい。
あと、驚いたことにもう文庫化されている。
単行本が文庫になるタイミングってのは、出版社の自由なんだけど、
2年前に発売されたとこなのにもう文庫化って。かなり早いと思う。
(それより前の西さんの直木賞作品「サラバ」は、
 まだまだ文庫化の気配がない。)

 著者である又吉さんが2作目の長編を発表するという話もあり、
ドラマ化と併せてまた話題になるので、この売り時を逃すな、って
ことなんだろう。

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 でもね、もともと中編小説で、単行本でも150pほどしかない。
(物理的に)かなり薄い本だったんだけど、
それをさらに文庫にしたらもっと薄くなるんじゃないか。(苦笑)
 文庫の方には、受賞記念エッセイを追加で載せているらしいけど。

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 たった150pの薄い本である。ただこれが、「重い」
文章を読みなれていない人だと、読み切るのも大変じゃなかろうか。(苦笑)
私の感想は、「純文学ってこんなに重いんだ」という、内容と関係ないところ。

 私は、いわゆる「ライトノベル」そのものはたまにしか読んでないけど、
ラノベよりの軽い大衆小説を主戦場にしているので、
久々に純文を読むと、非常に重く感じた。

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 「重い」というのは、テーマという訳ではなく、読み進めるのに時間かかると。
多分、普段の倍くらいの時間がかかっている。(薄いのに!)

 言葉が重くて意味を考えながら読み砕いていくから、
それだけ時間がかかったのかなぁ、と思う。

 おそらく、話題作だから買ったはいいが、読み切れなかったという人も
結構いるんじゃないかと思う。w

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 これ、いわゆるタレント本とは訳が違うよ。
「作家」又吉が、真剣に純文学やった結果の作品だわ。

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 と、ここまで内容については何一つ触れていないな。(苦笑)

 この作品「火花」は、作家でなければ書けないんだけれども、
同時に、芸人でなければ書けない小説になっている。
ようは、「作家」であり「芸人」である、又吉にしか書けない話と言うこと。

 売れないお笑い芸人徳永が、さらに独創的な笑いを目指す先輩、神谷に
あこがれて上京する、という話。
「笑いってなんやねん?」という話を真摯に書いている。

 本職のお笑いだけあって、これがリアルだ。
実際にモデルがいるんじゃないか、と思うんだけど。
いてもおかしくない。

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 ネタバレはあえて書かないが、
ラスト近く、「スパークス」の漫才の内容は、本気で感動する。

 そこからのラストがあまりに衝撃的で、
受け付けない人もいるんじゃないかと。
そこで終わっとけばええ話やなのに、なんでこんなことするかな、と。w

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 でも、それが先輩芸人である神谷の真骨頂だと思う。
神谷にとっての笑いの哲学は、そうなっているから。
既成のものを破壊すること、それが笑いなんだろう。

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 さて、興味は発表されるという二作目なんだけど。
どれほどのものを書いてくれるんだろうか。
作家としての評価は、二作目で定まるだろう。
 「火花」はよくも悪くも全身全霊を使って書いた話だったので、
これ、又吉は二作目かける余力あるのか?と不安になっている。
実際、2年も開いてしまっている訳で。

 やっぱり、一作目以上の作品。それも長編を望まれるから。

 興味はあるけれども、いきなり買うことはないかな。w

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「吾輩も猫である」

 2月22日は、ニャンニャンニャンで猫の日らしい。

最近読んだ本で、猫にまつわる本があったので紹介する。
「吾輩も猫である」(リンク←amazon)

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 2016年は、夏目漱石生誕後150年。没後100年だったそうだ。
そこで、新潮社が漱石の代表作、「吾輩は猫である」にちなんで、

 「猫の1人称小説」のアンソロジーが発表された。
作家陣が異常に豪華。

 赤川次郎/新井素子/石田衣良/萩原浩
 恩田陸/原田マハ/村山由佳/山内マリコ

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 なぜか直木賞作家の荻原さんは4コマ漫画なんだが。w

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 赤川次郎氏は、私が中高生の時に大量に読み込んだ作家さん。
20年ぶりくらいで読んだけど、普通に面白いわ。
ってかこの人の作品数って尋常ではないと思う・・・。

 昨年からガッツリ図書館で本を借りるようになって、
お気に入りの作家さんの本は、ほとんど借り切ってしまって、
また、違う作家さんに手を出して・・・というサイクルになっている。

 以前にも書いたことのある、有川浩さんとか、西加奈子さんとかって、
せいぜい30冊やそこらだから、1年でほぼ全部読み切ってしまってる。

 赤川さんは、ウィキペディアによると2015年時点で580冊。
多い時に年で20作以上とか。もはや人間業とは思えないな。

 「三毛猫ホームズ」シリーズが有名だけれども、
あれは猫の一人称じゃないしなぁ。w

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 それぞれの作家さんがそれぞれの特色を出して、
猫の一人称小説を書いていて面白かった。
ただ、何作か続けて読んでいくと、やっぱり似たような感じになる。
なぜか、ほとんど雌猫が主人公だったし。

 そもそも、「猫」とはこういう感じ、というステレオタイプがあるので、
どれだけ色をつけても基本は同じような感じになってしまうのかな。

 一番偉大なのはオリジナルの夏目漱石じゃないだろうか。
子どもの頃に読んだきりだけど、再読したくなった。w

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 この本をソファに置いておいたら、子供たちが(少し)読んでいた。
表紙がかわいいから読みやすいというのはあるけどね。

 息子は、萩原さんの漫画を読んでいた。あれなら読めるわ。
娘は、活字のところを結構読んでいたけれども・・・どうなんだろう。
これくらいの本なら、頑張れば読めてしまうんだろうか。

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 ただ、最後の山内さんの作品はちょっと18禁なところがあるので、
そのまま読ませるわけにもいかず。(苦笑)

 それくらいなら、夏目漱石の「吾輩は猫である」の方がいいように思うが、
あれはあれで、時代背景を理解できないと難しい……。
まぁ、いつか読んでくれたらいいけどね。

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「検査値×処方箋の読み方」

 本の紹介

「検査値×処方箋の読み方」
リンク←Amazon)

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 血液検査などの検査値を処方箋に書いてくる病院がある。
(まだまだ、数えるほどしか見たことがないけど)

 腎障害や肝障害等の副作用って、基本的には血液検査しないと
わからないんだから、薬の副作用をチェックするためには、
検査値があった方がわかりやすい。

 また、薬によっては腎機能や肝機能によって用量の調節が必要な
ものもあるので、そこをチェックするためにも検査値は必要。

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 ということで、処方箋に検査値を載せてくる病院が出てきた。
(さすがに大病院が多いかな。個人の医院では無理だろう。)

 保険薬局の薬剤師も検査値をチェックして、
副作用や処方内容の確認を行うべき、という流れなんだろう。

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 といっても、今までまともにそんな勉強をしていない薬剤師も多い。
そんな薬剤師にとっては、検査値書かれたところで、
プレッシャーにしかならなかったりする。(苦笑)

 恥ずかしながら私もそれほど詳しくなかったので、
この本を買って勉強してみた。

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 内容はかなり難しいところもあるけれども、
実例が多いので、検査値をどう活用するのか、想像しやすい。

 もっとも、疑義照会の実例を果たして自分ができるのか、
と考えると、なかなか難しいと思うんだが。(苦笑)

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 印象に残った内容としては、

1、とりあえず、腎機能、肝機能をチェックする。

 保険薬局にくる患者さんとしては、ここが一番多いと思う。
白血球や貧血なんかは、抗ガン剤治療してると問題になるけど、
町の薬局ではそれほど調剤することないし。
 凝固能に関しても、ワルファリン自体の使用頻度が下がってるし。
町の薬局では、腎機能、肝機能のチェックができれば十分かな、と。

2.添付文書を熟読する。

 特に腎機能に問題がある場合、どのように減薬するかなどは、
たいてい添付文書にちゃんと書いてある。
疑義照会の実例も、ほぼ添付文書の内容からになる。

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 という訳で、なかなか勉強になった。

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 ただ、まだまだ検査値を書いてくる病院は少ない。
もうちょっと時間が経てば、もっと多くの病院が書いてくるかも。
勉強するのは、それからでもいいかも知れない。

 また、後になればなるほど、もっといい本がでてくるかも。w

 現時点では、この本は(自分の中で)かなり高評価だけど、
何年も経てば、もっといい本が出てくるかもしれない。
本当に必要になるまで、待つというのもアリかもしれない。

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「シャーロットの贈り物」ほか。

 本の紹介。

「シャーロットのおくりもの」(E.B.ホワイト)
リンク←amazon)

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 先月、堺市立図書館主催のビブリオバトルを見てきた。
(投票には参加したけれど、発表した訳ではない。)

 テーマが、「子どもに読ませたい本」。
いい児童書がないか探している私にはぴったりかな、と。
ついでに、ビブリオバトルそのものにも興味があったので。

 結果もアップされているので、リンクはっておく。
https://www.lib-sakai.jp/bibliobattle/record/bibliobattle0029.htm

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 票数は発表されなかったけど、一回目の投票で同票で並んだ。
最終的に勝ったのは、絵本の「おへそのあな」だった。
(これもすぐに図書館で借りて読んだけど。)

 私も(嫁も)「おへそのあな」に投票したけれども、
同票で並んだのが「シャーロットの贈り物」だった。
ただ、このビブリオバトルの趣旨を考えると、(ルールはともかく)
個人的には「シャーロット」の勝ちだったと思う。

 投票者中、唯一の小学生であった娘が「シャーロット」を選んだんだから。w

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 アメリカでは定番(古典)の児童書で、映画にもなってるらしい。
主役、というかタイトルロールの「シャーロット」が誰なのか、
表紙から見つけるのは非常に困難である。
(これ、ビブリオバトルでもネタにされていた。)

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 主役は、子豚のウィルバー。
シャーロットは、子豚の命を救うことになるヒロインのうちの一匹。
最初に子豚の命を救ったのは、人間の少女、ファーン。
小さく生まれてしまった子豚は、世話をするのも面倒なだけなので、
生を受けてまもなく殺されそうになる。

 そこを、ファーンが救う。小さいからって子豚を殺すなんてかわいそう、と。
ファーンが世話をすることを条件に、大人たちは子豚を殺すのをやめる。

 でも、この豚はペットではない。
いずれ、ハムやベーコンになる運命なんだ。
(大人はそれを知っているから、子豚を殺すのをためらわない)

 ハムになる運命の子豚のウィルバーの命を救うのは、
もう一人のヒロインである、シャーロットである。

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 古典的名作らしいので、ネタバレする。読めばすぐわかるし。
シャーロットは、蜘蛛だ。元々の原題は"Sharlotte's Web"

 この小さな小さなシャーロットが、ウィルバーの友達になり、
ウィルバーのために知恵を絞り、命を救うことになる。

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 これが児童文学というのだから、恐れ入る。
作品では、蜘蛛のシャーロットも、子豚のウィルバーも、「人格」がある。
(ほかに、ガチョウやネズミにも。)
でも、この作品の世界も、私たちの世界と同じように、
子豚は食べられる運命であり、蜘蛛も邪魔に思われる運命なんだ。

 「かわいい」と「おいしい」が両立するのがおかしいだろ?
本書の最初のテーマの一つ。
肉を食べるということは、どういうことなのか。
子どもたちにも考えさせる話なんだろう。

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 とはいえ、考えすぎると何もできなくなるのだが。(苦笑)

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 同じビブリオバトルで紹介されていた本が、
まさに同じテーマの本だった。

「ぼくらはそれでも肉を食う」(ハロルド・ハーツォク)
リンク←Amazon)

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 これも図書館で借りたんだけど、これくらい読むのに苦労した本もないな。
それほど難しい話ではないんだけど、話があっちこっちに飛ぶし、
考えるのに頭を使うので……。
これは、子供が「大きくなってから」読んでほしい本だな。w

 人間と動物の付き合い方、倫理、道徳の考え方の本である。

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 人間はこの問題に、一貫性をもって立ち向かうことは非常に困難だ。
例えば、動物虐待。ここでいう「動物」はどこまで??

 ペットである、犬や猫は動物でいいだろう。
じゃぁ、アライグマは?ペットとしてなら可能かもしれないが、
野生化して害獣と化したアライグマを殺したら虐待になるのか?

 鯨を食べるのが許せない人もいる。日本人は鯨を食べる民族だ。
それは文化だし。でも、そうなると、犬を食べる文化も認めなくては。
じゃぁ、ウサギは?ネコは?

 これ、平均的な人であれば、どっかで境界線が引かれると思う。
でも、その境界線の決め方って何?論理的、倫理的なものか?
ぶっちゃけ、「かわいいかどうか」じゃないの?(苦笑)

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 例えば、殺処分されることが決まっている捨て猫。
その捨て猫を、ペットであるニシキヘビに餌として与えることはアリか?

 合理的思考に基づけば、これは「アリ」じゃないか
他の生餌を減らすことができるのであれば、救われる命は多くなる。
動物の命も大事なのであれば、死ぬことが決まっているネコを
餌にするのが合理的じゃないか?

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 ただ、これ感情的に納得できる人間はまずいないと思う。(苦笑)
それが、「一貫性がない」ということ。

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 そういう話が山ほど載ってる。
工業的に生産されているような鶏肉のニワトリの環境はひどい。
生まれてから死ぬまで、太陽を拝むことすらない。閉じ込められたまま。
それなら、牛の方がまだマシじゃないか?
 取れる食肉の量を考えると、牛一頭で済むところを、
ニワトリなら100羽以上殺さないといけない。

 そう考えると、もっとも効率のいいのは、鯨じゃないか、なんて話も。w

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 あと、被害者(?)の数が増えれば増えるほど、無視されがち。
たとえば、たった一匹の哀れな子豚の話には共感しても、
これが一日千匹処理される豚肉の話だと、どうよ?
 被害は千倍なのに、関心はむしろ下がってしまう。

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 とまぁ、そういう話である。
面白いけど、読むの疲れた。ってか、
このテーマなら「シャーロットのおくりもの」を読む方が
よっぽど楽だったわ。w

 娘はまだ「シャーロットのおくりもの」読んでいないみたい。
なぜか、先に1年生の息子がベッドにもっていってしまった。(苦笑)

 まぁ、もう一回借りてもいいし。
この本、今年の読書感想文の候補に考えている。

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2016年、読書記録

 2016年のまとめ。読書の記録。

 今年は、人生で一番本を読んだ年になるかも知れない。
うつで春先に2カ月ほど休職していた時期があり、
その頃に図書館通いのペースが出来上がった。

 読みたい本がなくなる……ということもなく。
次々と、新しいシリーズや気になった作家さんが出てきて。
図書館を2館使って予約を駆使しながら、
3月以降はほぼ「1日1冊」ペースに。

 今年読んだ本は、現時点で357冊。
あと3日で3冊くらい読むだろうから、360冊かな。w
子供向けの児童書や、勉強用の学術書も含まれているが、
大半は小説である。(しかも、中高生が読むような軽い小説も多い)

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 読書メーターに、2016年おすすめランキング本をまとめてある。

http://bookmeter.com/u/622979/cat/404654

これは、私が今年一年で読んだ360冊から
特におすすめだと思う20冊をランキングしたもの。

 こっちでも、記録残しておく。

20位 「ハケンアニメ!」(辻村深月)
    辻村さんの本は、落差が激しいけれども、これはすっきりしている。
    作者のアニメ愛が伝わってくる。

19位 「レッドスワンの絶命」(綾崎隼)
    綾崎さんの作品は、叙述トリックを使ったミステリ風恋愛が多いが、
    この作品は世にも珍しい、ガチガチのサッカー小説。

18位 「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」(七月隆文)
    二度読み必至の恋愛小説。映画も悪くなかった。
    七月さんの本は、まだこれだけしか読んでないな。

17位 「夢幻花」(東野圭吾)
    東野さんの本もいろいろ読んだけど、今年読んだ中で
    一番よかったのがこれ。伏線のつながりが見事。

16位  「世界が終わる前に」(山本弘)
    山本さんのBISビブリオバトルシリーズ3巻。
    この本をきっかけに読まされた本は結果的に10冊以上……。

15位 「居酒屋ぼったくり」(秋川滝美)
    秋川さんの本は、「いい加減な夜食」や「ありふれたチョコレート」も
    面白かったけど、一つ選ぶならこのシリーズになる。

14位 「陽気なギャングが世界を回す」(伊坂幸太郎)
    伊坂さんの本もいろいろ読んだけど、このシリーズが一番面白かった。
    銀行強盗が、もっと悪い人を懲らしめる話。w

13位 「イニシエーションラブ」(乾くるみ)
    恋愛ミステリーだけど、このトリックは初めてだったので唖然となった。
    後になってみると、それほどではないかな、と思うが。

12位 「さよならの次に来る(新学期編)」(似鳥鶏)
    似鳥さんも、今年ハマった作家のうちの一人。脚注が楽しい。w
    ミステリーとしては、これが一番すごかった。

11位 「ふたりの文化祭」(藤野恵美)
    すでに、このブログでも紹介済。前作「ぼくの嘘」ほどのインパクトは
    なかったけど、殻を破る主人公たちがカッコイイ。

10位 「サファイア」(湊かなえ)
    湊かなえに、初めて泣かされたのがこの本。
    連作短編集で読みやすいのもよかった。

9位 「君の膵臓を食べたい」(住野よる)
    本屋大賞2位。タイトルのインパクトだけならダントツ。w
    タイトルをここまで活かしきった作者に脱帽かな。

8位 「ラブ・ケミストリー」(喜多喜久)
    こちらもブログで紹介済み。有機化学系、ラブコメミステリ作家の
    デビュー作。他にも面白い作品多いけど、最初のインパクトはこれ。

7位 「花の鎖」(湊かなえ)
    湊さん2冊目。湊さんにしては綺麗な読後感と、
    ばちばちっとハマっていく伏線に感動した。

6位 「命の後で咲いた花」(綾崎隼)
    今年終盤にハマった作家さん。泣ける恋愛モノが多い人だけど、
    その中で一番泣けたのがこれ。文庫化しないかなー?

5位 「漁港の肉子ちゃん」(西加奈子)
    問答無用で、人を前向きにする力のある本。
    タイトルと表紙に圧倒されるけど、中身はそれ以上。

4位 「キケン」(有川浩)
    有川さんの本もたくさん読んだが、理系男子としては、
    これが一押しになる。何度読み返しても笑ってしまう。w

3位 「東京すみっこごはん 雷親父とオムライス」(成田名璃子)
    これもブログで紹介済。おいしそうな食事の本だけど、
    ほっこりさせてくれる、どころか泣かせてくれる。

2位 「サラバ 上」
1位 「サラバ 下」(西加奈子)
    はい、今年のベストはこの2冊。西さんの直木賞受賞作。
    感想が言葉で表せないが、感動させてくれた。

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 この企画、来年も続けられるのだろうか?(苦笑)
そもそも、読書熱が冷めずにいつまで続くか、という話かも。

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「リケコイ。」

 書籍の紹介。
「リケコイ。」(喜多喜久)
リンク←amazon)

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 私は原則としてボーナスが出るたびに本を買うけれども、
図書館で前もって読んでいて、気に入った本を買うことが多い。

 冬のボーナスで、唯一、全く読んだことのない新刊として
買ったのが、喜多さんの「リケコイ。」(集英社文庫)
ここでも何度か紹介しているが、
喜多喜久さんは、東大薬学卒業、製薬会社勤務の薬剤師。
そして、化学(薬学)系のラブコメ・ミステリ作家である。

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 タイトルからして、今どきな感じを受ける。「リケコイ。」
そして、表紙はポップな感じのヒロイン(白衣で実験中)の絵。
これは、喜多さんお得意のラブコメものだろう、と予想していた。

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 全然違った。(苦笑)

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 もうちょっと、ほんわかした癒し系の話を期待したのになぁ。
この「リケコイ。」恥辱にまみれた痛い系の話である。ww

まず最初に、原作者から読者へのメッセージが書かれている。
以下、一部引用する。

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 この物語は、若者たちの失敗を描いたものである。

<中略>

大学院一年次~二年次の二年間で森氏が経験したことは、彼を傷つけ、
その後も長きにわたり苦悩を強いることとなった。

<中略>

ただし、森氏に落ち度がない訳ではない。被害者的な面は多分にあるが、
ある面では明らかに加害者的にふるまっており、それが若さゆえの愚行
だったとしても、非難されるべきものだったと「私」は考える。
「私」は森氏に少なからず肩入れしているが、彼を過度に弁護するつもり
はない。むしろ、道化のように描写する場面もあるだろう。
ありていに言えば、当時の彼は明らかにバカヤロウだった。

<中略>

この小説は、同じ轍を踏んだ挙句、終わりの見えない苦しみを味わう
人間をなるべく減らすために集英社文庫の棚に存在するのである。
特に、女性との接点の少ない理系男子には必携の一冊となること
請け合いだと自負している。

<中略>

すべての理系の恋が正しく-後悔のない形で-成就されることを、
「私」は願っている。

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 引用終わり。

 この作品の執筆者は喜多さんだが、元ネタを提供した「原作者」がいる。
それが、この文章に書かれている「私」である。

 この原作者は、作品中にも登場しているが、誰がそうであるのかは
最後にしか書かれていない。この本のミステリ成分はそれだけ。
この「原作者」が作中の誰にあたるのかを予想するだけだ。

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 で、作品は主人公の大学院生の「森」氏が、後輩の女性に恋に落ちたが
数々の失敗の挙句に絶望するしかないラストを迎える。
何だろう、リアルでギャルゲーをやっていて、選択肢を間違えまくって
「BadEnd」に行きついてしまったような終わり方をする。(苦笑)

 ただ、もともと理系男子はそもそもコミュニケーション力が低い上に、
圧倒的に女性の少ない分野なので、女性との付き合いが少ない。
(逆に、リケジョは周りにそういう男性が多いため、お姫様扱いされて
 恋愛経験が豊富なことも多いのだろう。)

 まぁ、こんなバカな真似はするなよ、という原作者、および喜多さん、
(そして主人公のモデルになった森氏)の訓戒という本だ。

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 こういう理系男子を描かせると、喜多さんはうまい。
(今までの喜多さんの作品の主人公がほとんど当てはまる。w)

 いや、一歩間違うと自分もこうなっていたかも知れないな……。

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 さて、この本の中で、私が一番気になった部分を紹介する。
実はこの内容、私が学生時代に考えていた内容とピタリ一致する。w
理系の考えることは似たようなもの、ということだろうか。

 少し長くなるが引用する。
(p182-183)

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「誰かと付き合うって、すごくエネルギーが必要なことだと思うんです。」
「告白して、OKもらって、それで終わりじゃないもんね」

<中略>

「でも、ちょっと思うんだ。恋愛経験を積むと、心の中に触媒が
 できていくんじゃないかって」

「触媒、ですか?」
「うん。化学反応と一緒だよ。触媒があれば、高温や加圧条件が必要な
 反応でも、常温常圧で進む。恋愛も似たようなものじゃないかな。
 恋が始まるのに必要なエネルギーは変わらなくても、本人の心構えが
 できてれば、意外とあっさり壁を越えて行けるんじゃないかなって、
 そんな風に思うんだ。まぁ、「慣れ」って言っちゃったほうがわかりやすい
 かもしれないけど。」

「……その触媒には、相乗効果がありますね、きっと。
 二人ともが触媒を持っていれば、より簡単に壁を乗り越えられるのでは
 ないでしょうか」

「確かにそうかもね」

「でも、逆の場合は大変ですね。どちらも触媒を持っていなかったら……」
「反応が始まるにはかなりのエネルギーが必要になる、か。……辛いね、
 それ。恋愛が得意な人はどんどん新しい恋を始められるのに、
 不慣れな人はいつまで経っても一人っきりってことでしょ」

「そう、ですね。……残酷ですね、恋愛って」

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 引用終わり。(一部改変あり)
改めて読み返すと、また別の味わいがあるな、ここ。

 わかる人にはわかると思う。
触媒がないと活性化エネルギーが高すぎて反応が進まないんだ。

 ただし、(当時の)私の結論は少し違う。

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 逆に、二人とも触媒をもたないで壁を乗り越えられたら、
逆反応は極めて起こりにくいので、ものすごく安定する。

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 「触媒」があると、反応性が高いから別の反応が起こってしまって
なかなか落ち着かないよ。w

 むしろ、恋愛下手な理系は経験を積んで触媒を手に入れるより、
触媒なしで、膨大なエネルギーを突っ込んで壁を越える方が、
より安定した未来を望むことができる、と思う。

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 さて、喜多さんの本の特徴なんだけどね……。
理系を舞台にしているわりに、女性多すぎないか?ww

 実際のところ、多くの理系男子にとっては、
「恋に悩むことすらできない」のが実情ではないかと思われる。
喜多さんは薬学出身だからまだ女性は多いのかも知れないが、
工学系はもっと悲惨だと思うぞ。(苦笑)

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有川浩さんと西加奈子さん

 うつで休んだのは今年の春先の話。

それまでも、読書の習慣はあったけれども、
今年3月以降は、ほぼほぼ日に1冊くらいのペースで読んでる。
すでに年間300冊は突破している。

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 たくさんの作家さんの本を読んでいるけれども、
私に影響を与えたのは、有川浩さんと、西加奈子さんだろう。

ほかにたくさん読んでるのは、東野圭吾さんとか、湊かなえさんだが、
この辺はもう、完全にエンタメとして読んでるから。

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 有川浩さんの特徴は、「癒し」の力だった。
傷ついた心を、和らげてくれた。
去年一番読んだ本は「阪急電車」だったけれども、
とにかく、読んでいて心地よいのがこの作家さん。

 もちろん、「植物図鑑」みたいな甘々な話もあれば、
「三匹のおっさん」みたいな勧善懲悪ものもある。

 変わり種では、「キケン」
これ、今年読んだなかでは一番面白かった。w
恋愛要素はあまりないけど、理系大学生の暴走ぶりが受けた。
文庫化されていたので、新刊で買った。

 他には、「明日の子供たち」もよかったな。
偏見を正された、というか。(苦笑)

 有川さんの本は、新刊以外はほぼコンプしてしまった。

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 一方の、西加奈子さんは、そのパワー。
「前に進む」力の強さを感じた。
面白いキャラクターも多いんだけど、メッセージ性が強い。

「うつくしい人」、「舞台」では、
他人からどう見えるかにからめとられた主人公が印象的。
そして、そこからどうやって抜け出すかも。

「きりこについて」は、インパクトのある書き出し。
(「きりこはぶすである。」から始まる。w)

きりこは、自分の外見と内面について悩んだ結果、
「入れ物(外側)も中身もこみで自分」という結論に至る。
後半、自分を信じて突き進むきりこ達をみて、勇気づけられた。

「漁港の肉子ちゃん」も、肉子ちゃんのパワーがすごい。
とにかく、周り全部を巻き込んで前向きにさせてくれるし、
これは、読んでいる読者も含めてそうだと思う。w
(これも文庫で買いなおした)

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 なんといっても、直木賞作品「サラバ!」
文庫化するまで待てなかったので、単行本で購入した。
これは、私が今年読んだ300以上の作品のなかで間違いなく最高。

 あまりにも長編なので、感想を書くのを断念したのだが。w
「サラバ!」という言葉が全ての意味を内包している。

あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ
信じられるものを自分でみつけ、自分で進んでいくんだ、
というメッセージが強烈。

 少し不安なのが、「サラバ!」を超えるものは、
西さんにはもう書けないんじゃないかな、という……。
西さんのメッセージは、「サラバ!」を読めば伝わるし、
この上ってのはちょっとどころでなく難しい。
 メッセージ性を緩めて、エンタメに近づけばいくらでも
書けるだろうけど、それってすでに西さんの作品ではないような。

 西さんの小説作品も、ほぼ全てコンプしてしまった。
(エッセイとか絵本はまだ残ってるけどね)

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 まだまだ抗うつ薬は続けているけれども、
他人から見れば、私はほとんど病気以前に戻っている。
もちろん、周りに助けられた部分も大きいし、
現在進行形で助けてもらってるところもある。

 その中で、この二人の作家さんの果たした役割も
決して小さくはないと思う。

 今年読んだ本の95%以上は図書館で借りたもの。
でも、図書館で借りてばかりだと作家さんに申し訳ない。
今回新刊で購入した文庫本は、半分くらいは「恩返し」
の意味をこめての購入だ。

 ちなみに、残り半分は「応援」w
成田名璃子さんとか喜多喜久さんには
本を書き続けてもらいたいので。
ちゃんと売れてもらわないと、次書いてくれるかどうかわからんし。

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「ベンチウォーマーズ」

 本の紹介。

ベンチウォーマーズ」(成田名璃子)

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 こないだ、「東京すみっこごはん」で紹介した成田さんの本。
書かれたのはこっちの方が先になる。
メディアワークス文庫だから、はっきりライトノベルでいいと思う。
(すみっこごはんは、もうちょっと大人向けかと。)

 高校生の、青春モノ。
恋愛要素もあるけど、メインではない、かな。

 クラス対抗駅伝にくじ引きで選ばれた5人。
この5人はそれぞれの部活では活躍できていない。
部活ではベンチを温めているだけ。

 最初、そんなにやる気なかった5人が、駅伝の朝練をはじめ、
徐々に前向きに、結束していく。そんな話だ。

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 2014年発売の文庫書き下ろし。
最近、「酒飲み書店員大賞」というよくわからない(失礼)
賞に選ばれている。w

 よくある青春モノ。と言ってしまえばそれまでだけど。
このメンバー5人のキャラが、すごくよくできている。

 一応主役?の朔は、最初、俺様な増長キャラだったのに、
自分と向き合った結果、まとめ役として成長していく。

 外向けに作ったキャラと内面が違いすぎる女子、
伊織は、仲間に本質を見抜かれてしまい、少しずつ自分のキャラを
脱ぎ捨てて、自然になっていく。

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 一番すごいキャラは、体重過多な勇樹。w
正直、かなりやばいキャラだ。(汗)
自分に甘く、自分に都合のよい妄想の世界の中で生きている。w
勇樹に関しては、直接的にダイエットさせることは不可能なので、
(ほかのメンバーの意見をマトモに聞く奴じゃない)
メンバーは、搦め手から攻めていき、やる気を出させることに成功する。
まぁ、主に伊織がうまく煽るんだけど。

 成田さんは、たまにこういうやばいキャラを出してくる。
他の本でも、「クラス会へようこそ」という作品で、
黒魔術師としか言いようのない女性キャラがいたし。
(注:現代日本が舞台の話である。)

 5人もいれば、一人くらいこういうぶっとんだキャラがいてもいいと思う。
多すぎるとバランスが崩壊するだろうが。w

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 あとは色々、お約束な(嫌な)ライバルだとか、
アクシデントとか、恋愛要素もあったりするんだけど、
なんとか駅伝当日を迎える。

 実際、当日の競技内容は、ほぼ必要なかった。(苦笑)
この話は、彼らが当日までにどのように変わり、成長したか。
そこが主眼なので、当日の結果はどうでもよい。w

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 この本は、ブックオフの通販で購入した。

 成田さんの本は、ほぼ全て読んでいるが、
この作品だけ、地元、勤務先のどちらの図書館にもなかったので、
借りることができなかったため。
 大阪市立図書館ならあるんだけど、さすがにそこまで行くのはちょっと。

 新刊で買う気はなかった。予算の問題もあるけれども、
「東京すみっこごはん」の2冊は新刊で買ったし。
図書館であれば借りたい、程度の本だったので。

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 ところが、届いた本に問題があった。

 表紙めくったところのページに、成田さんのサインと、
(おそらくその当時の)所有者の名前が入っていた。

 成田さんのサインが本物かどうかはわからないけど、
ネットで画像検索した限りでは、本物くさい。
というか、(失礼ながら)成田さんレベルの知名度の作家の
サインを捏造する意味がない。w

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 サイン本をブックオフに売るな。

 売られた作家さんがかわいそうじゃないか。
買った方も、それなりのショックを受けるし。

 正直、読み終わったらブックオフに戻すか、図書館に寄贈するかと
考えていたけれども、そうするとこのサイン本はさらに別の人の目に
ふれることになってしまう。

 結局、私が持ち続けておくことにした。
ある意味、貴重品だし、話も面白かったしね。
いつの日か子供たちが読む日が来るかも知れないし。

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 でも、この本が何十年も経ってから私の本棚から発見されたら、
それはそれで一つのミステリーになりそうな気がする。
(ビブリア古書堂の栞子さん向けの謎だ)

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