書籍・雑誌

読書記録 2025.5

2025年5月の読書記録
読書メーター

.

5月になって生活が落ち着いてきて
余裕が出てきた。

今月は30冊読了。
小説(新規)12冊、小説(再読)4冊
学術/ビジネス 13冊、エッセイ/その他 1冊

ひさびさに30冊だけど、それでも1日1冊ペースには足りない。
.

今月の3冊

.

小説

カフネ」(阿部暁子)

.

 2025年の本屋大賞。
本屋大賞は、基本購入することにしている。
阿部さんの本は初めて。

 読み終えた結果、うーん、確かに本屋大賞だな、と。
本屋大賞っぽい要素がたくさん詰まってる。w
戦う女性、薫子の再生の物語。

 いろいろなテーマを取り込みながら
きれいにまとめている感じ。

.

 一つの特徴は、料理の描写がおいしそうなこと。
おいしいごはんって、大事だよね。
それだけで幸せになれるから。

.

 ラストの急展開がびっくりした。
今の多様化の世界をよく表しているな、と。
別に、どんな関係でもいいんだよね、つながってれば。

 うーん、これ、映像化されるんだろうけど、
どんな感じになるかな?

.

つぎ、学術系

オーバードーズ」(川野由起)

.

 近年、問題になってきているオーバードーズの話。
デキストロメトルファンのオーバードーズは知ってたけど、
ジフェンヒドラミンって。。眠くなるだけちゃうんか、と。

 もちろん、規制は必要なんだけれども、
大元の原因は、「居場所がない」「孤独」なんだよ。
そこの対策を何とかしないと、
市販薬の次の依存先を探してしまうだけだ。

.

 オーバードーズでの死亡事例ってあったけれども、
あれって、本人「死んでもいいや」って思って
やってるよね。
 だから、「危険だよ」って言われても響かない。
そんなん知ってるよ、って。

.

 他の本でも見てきたけど、
ダメ、絶対」っていうキャッチフレーズは本当にダメ
薬物対策の授業でこんなんやって、
その場にオーバードーズやってる子がいたら、
絶対に言えなくなるよ。孤立が深まるだけ。

 オーバードーズって、ある意味セルフメディケーション。
自分の辛さを自分で何とかしてるんやね。
しかも、合法的手段で。
 別に法律違反してるわけじゃない、、よね。

 もちろん、健康に悪影響あるに決まってるので、
対策は必要だけど、規制さえすればいい訳じゃなくて
根本的には社会的な援助が必要、ということ。

.

 最後も小説

禁忌の子」(山口未桜)

.

 2025年本屋大賞第4位。
自分とそっくりの水死体が上がる、というとんでもない状況から始まる。
一気に引き込まれたし、先が気になってしょうがなかった。

 それでいて変人の探偵がいる、ミステリー。
いや、これがデビュー作ってどういうことだよ。
ミステリー業界って、定期的にとんでもないのが出てくるね。

.

 ただ、ミステリーはどうしても本屋大賞では勝てない。
ネタバレできないから紹介しにくいもん。
「ま、読んでみ」っていうだけしか。

.

 最後の展開がえぐすぎてしんどい。
ミステリーとしてはそうならざるを得ないのは
わかるんだけど。

 衝撃としては、「方舟」に匹敵するかなぁ。
ただ、もう一度読みたいかと言われれば、
読みたくないかも。(苦笑)

.

 今月は、当たりの小説が多かった。
とんでもない怪作とかもあったけど。
(あれも、別の意味で紹介してみたい)

 そろそろ日常も落ち着いてきたから
読書量も増やしていけるかな?

 

| | コメント (0)

読書記録 2025.4

2025年4月の読書記録
読書メーター

.

4月から、みんな新生活。
なかなか落ち着かないのもあり読書は進まず。
今月は23冊読了。
小説(新規)9冊、小説(再読)3冊
学術/ビジネス 10冊、エッセイ/その他 1冊

小説よりも、ビジネス書の方が多くなってきたな。

.

今月の3冊

.

小説

はじめての
(島本理生、辻村深月、宮部みゆき、森絵都)

.

 直木賞受賞の女性作家たちのアンソロジー集。
だけど、ただのアンソロジーじゃなくて、
YOASOBIとのコラボレーションになっている。

.

 YOASOBIは日本のトップアーティストだけど、
小説を題材にして、そこから曲作りする、という
手法を取っている。
 なので、YOASOBIの曲にはほぼ必ず原作がある。

 何気なく「YOASOBI小説集」を借りて読んでみて、
その曲の奥深さに驚いた。(あとで買った)


特に、「夜に駆ける」の原作、タナトスの誘惑。
これは、曲と重なることで凄みをましている。

 でも、作者が地味(というか無名)なんだよね。

 というわけで、YOASOBI小説集を、
有名作家陣で作ってみたらどうなるのか。
それが、今回の「はじめての」

.

 どの短編も素晴らしい。
私は辻村さんの作品が好きだから、「ユーレイ」は
面白かった。最後のオチ、それかい。

 ただ、それが楽曲になるとYOASOBIワールドになる不思議。
楽曲は「海のまにまに」これは、PVがよかったな。
当たり前だけど、花火が綺麗。

.

 森さんの「ヒカリノタネ」も軽くて面白い。
それまでの3作が重めの話だったから、特に。
なんだよ、4回目の告白って。
こちらは、「好きだ」というストレートなタイトルの楽曲になってる。

 いきなりタイムトラベルするから、
曲しか知らん人は、意味わからんのじゃないだろうか。w
「さあタイムトラベルだ」ってどういうことだよ、って。

.

 逆に、曲の方がすごすぎるのが宮部さんの「色違いのトランプ」
これは、楽曲の「セブンティーン」の方が有名だと思う。
私も知ってた。

 ただ、曲の方の主人公は17歳の女の子なんだけど、
小説の方はその父親が語り手になってる。
この作品に関しては、曲から入って、小説に行くほうが面白い。

 セブンティーンの「私が希望になるの」とか、
「目じりに作った傷」とかも、小説の中で伏線になってて、
それを曲で回収している形だ。

.

 私はカラオケも好きなので、
YOASOBIの歌はよく歌う。
(アラフィフのおっさんが歌っていいのか?)
いや、実は音域が逆にあうのよ、YOASOBIって。

 

つぎ、学術系

サプリメントの不都合な真実」(畝山智香子)

.

 畝山先生の新作だけど、
これは、小林製薬の紅麹サプリ事件を受けての本。
目新しい話としては、紅麹関係の話だけで、
他の話は知っているところも多かった。

 結局あの事件は、コンタミが原因だったってことなんだけど、
そもそも、コンタミがなくても紅麹サプリ自体が
事件の前から危険性が指摘されていたらしい。

.

 あとは、薬なら当たり前のGMPが守られていない。
だって、食品だから。
それも、「サプリメントの不都合な真実」
医薬品よりもはるかに規制が少ないので
粗悪品が出回ることも多い。

.

 同じ作用機序の医薬品があるのなら、
そっちの方がはるかに安全、かつ、効果も保証されてる
なんで、安全性も効能も劣り、それでいて値段は高い
サプリメントを選ぶ必要があるのか??

 これは、宣伝手法の問題なんだよね。
医療用の医薬品は宣伝が禁止されているから。

 粗悪品であっても、宣伝費かければ売れるし、
研究開発にお金かけなくてもいいから
そっちの方が儲かる、という。

(だいたい、薬価が安すぎるんだよ)

.

 健康食品の安全な利用方法は、昔からの畝山先生の主張通り。
利用しないこと」これに尽きる。

.

 最後

18歳からはじめる投資の学校」(鈴木さや子)

.

 タイトル通り。
18歳から投資を始めよう。
そのための入門書。

 今、高校でも金融関係の授業があるらしいんだけど、
実際にやってみないとわからないよねぇ?
(覚えてるのは、「リボ払いはあかん」くらいらしい)

.

 うちの娘が大学に合格したので、
そろそろ投資を教えたほうがいいのかな、と思って読んでみた。

 もちろん、私は知ってる内容が大半だけど。
でも、18歳でライフプランを考えるって無理じゃないかな。(苦笑)

.

 ただ、確定拠出年金もそうなんだけど、
新生活はじまってすぐに投資って無理があるよ。
そんなとこ考える余裕なんかないもん。w

 なので、親が勝手に始めることにする。

 もし、18歳からちゃんと投資していれば、
今はもっと余裕のある生活できたかな、と思うし。

 長期の投資って「時間」が何よりの武器なのね。
若ければ若いほど有利だから。

.

 私が若いころは、「ちゃんと貯金しておきなさい」
って言われてたし、むしろ投資なんてしちゃだめって空気
だったけれども、時代は変わったね。

 とりあえず、積み立てでオルカン買っておけば
今の時代はまず間違いないと思うんだけど、
この本はさすがに「どの投資先がよいか」までは
書いてなかった。w

 今の時代はそれでよくても、
また変わるかも知れないからね。

 

| | コメント (0)

読書記録 2025.3

2025年3月の読書記録
(読書メーター)

.

ようやく子供たちの受験が終わった。
なんだか、子育てが一段落した感じ。
読書以外に時間使うことが多かったため、
今月は少な目

今月は27冊読了。
小説(新規)8冊、小説(再読)6冊
学術/ビジネス 11冊、エッセイ/その他 2冊

.

今月の3冊

.

小説

いのちの波止場」(南杏子)

.

南さんの「いのちの」シリーズ。
今までの2作は、在宅医療がテーマだったけど、
今回は主人公がかわって、緩和ケアをテーマにしている。

緩和ケアも、一昔前は
「通常の医療で何もできなくなったから」
緩和ケア、という流れだったけれども、
近年は、かなり早い段階で導入されていて、
その方が治療成績もいい。

.

一般人にとっては、まだまだ麻薬って恐ろしいものなんだな、と。
医療現場では、もはや普通に使われているし、
特にがん性の疼痛で使う分には、
依存なんて問題はおきないことが分かっているので
ほとんど気にしていなかったけど、
やっぱり昔のイメージにとらわれてる人も多いんだろう。

.

今までの「いのちの」シリーズは金沢が舞台だったけど、
今回は能登に舞台を移した。
ちょうど、地震があったところだなぁ。
今まで一度も行ったことないので、
ちょっと行ってみたくなったな。

.


つぎ、学術系

行動経済学で未知のワクチンに向き合う」(佐々木周作、大竹文雄、斎藤智也)

.

行動経済学の研究者が、新型コロナワクチンの接種に
どのように対応したのか、という話。
「ナッジ」を使って、接種率を高める方法。

.

 大竹先生、コロナの分科会に入ってたんだ、と。
コロナ発生当初の専門家会議は、経済系の人がいなかったから、
経済学者とかもいれて「分科会」として再スタートしたんだけど、
その「経済学者」の枠に入っていた。

 本筋とはちょっとずれるけれども、
「経済学者からみた分科会」というのは新鮮だった。
私は、どうしても医療者側から見てしまうからね。

.

 結果的に爆速で進んだワクチン接種だけど、
最初、専門家はかなり悲観的だったらしい。
日本では、ワクチン忌避の動きが強いだろうから。

 でも、フタをあけてみると、
割とみんな接種に協力的だった、と。
私もそうだけど、おそらく「ノイジーマイノリティー」の
声が大きすぎるんだと思うよ。

 国民の大多数はワクチンに期待していたけれども、
ごく一部の反ワクチンさんたちの声が大きすぎるから、
錯覚してしまうんだね。

.

 ワクチン接種者と、非接種者の意識の違いも面白かった。
意外にも、非接種者の方が接種者に対して好意的なんだ。
逆に、接種者は、非接種者に対して敵意を抱いていて、
それが最終的に大きく溝を作ってしまう原因になる。

 私もエコーチェンバーに囚われていたんだな。

.

 肝心の「ナッジ」だけれども、
高齢者に対しては、そこそこ機能した例はあったみたい。
ただ、若者など、ナッジが全く効果のなかった層もいた、と。
この辺も、まだまだ発展途上の学問だなぁと思った。

 

 最後

薬剤師のためのお金の強化書」(木元貴祥、Key,よーてん)

.

 こちらは、#読めよ薬剤師2024より。

 通称「薬マネ」。薬剤師向けのお金の教科書。
もはや、財テクという言葉も死語になってる気がする。

 薬剤師になって、就職できればもう人生安泰、
という訳ではない時代なので、
きちんとお金のことを考えなければならない。

.

idecoやNISAといった定番どころの話題はもちろん、
税金や副業などについて解説してくれている。

 薬剤師ならでは、というところだと
「独立開業」というイベントがあるので、
そのあたりを考えている人はおすすめ。

.

 あとは、薬局にかかってくる
不動産投資の話は、99%ダメ、とか。w
そりゃそうよね。

 X(旧twitter)でよく見る人たちのコラムもあって、
かなり読み応えがあって面白かった。

 ただ、(子供の)教育資金に関しては甘いかな?と。
執筆陣がまだまだ若いからね。
大学に行くとして、私立に行くか国公立に行くかなんて、
直前までわからんのよ?(汗)

.

 この本、なぜか図書館にあって借りることができたけど、
一気に読むタイプの本ではない。
気になった時に、気になったところを読むような本だから、
図書館で借りるよりは、買った方がよかったかも知れない。

(とはいえ、内容を確認するだけなら図書館で十分)

 

| | コメント (0)

読書記録 2025.2

2025年2月の読書記録
(読書メーター)

.

子どもたちの受験も佳境。
ストレスのため、読書量減少中
(関係あるのか?)

2月は21冊読了。
小説(新規)8冊、小説(再読)1冊
学術/ビジネス 11冊、エッセイ/その他 1冊

.

今月の3冊

.

小説

7.5グラムの奇跡」(砥上裕將)

.

 デビュー作、「線は僕を描く」という水墨画の小説で
本屋大賞ノミネートされた砥上さん。
この人、水墨画の作家さんでもあるので、
他が書けるのか?という疑問があったが、
この「7.5グラムの奇跡」は、水墨画まったく関係ない。

 本作は、視能訓練士のお仕事小説である。
視能訓練士とは、眼科のお医者さんの検査技師、
というのが一番近いかな。
 そういえば、そんな人いたな、と思うけど
これもまた、かなりニッチな分野をついてきている。

.

 眼科ならではの豊富な症例を、
素人に近い、ペーペーの視能訓練士から見ることで
「眼科の世界」を見せてくれる。

 カラコンの注意点とか、緑内障と眼圧の話とか。
緑内障の目薬、大事なのにコンプラ悪くなりがちなんだ。
医療者として、結構勉強になることが多い。

.

 ただ、よくも悪くも
「線は僕を描く」と雰囲気が似ている。
ほぼ、いいひとしか出てこないし
人情系のお話も多い。

 これはもう、この人の味なんだろうな。
好きな人は好きだけど、
物足りない、と思う人もいるかも知れない。

 最近、続編も出たみたいなので読んでみたい。

.

つぎ、学術系

休養学」(片野秀樹)

休むこと。休養を掘り下げていく本だけど、
今売れているらしいので読んでみた。

図書館だと待ち人数がえぐかったので
電子書籍で買ったけど、
別の電子図書館を探せば普通に借りられた。
(ちょっと残念)

.

「休むこと」は「寝ること」だけではないよ、と。
当たり前だけど、気づいてなかった。

 家でゴロゴロすることだけが休養だと思ってた。
リフレッシュも十分、休養。
読書をしたり、ゲームしたり、
(軽い)運動したり。それも休養。

 旅行に行くことだって休養だ。
確かに、海外のバカンスってそんな感じだよね。

.

 ただ、個人的にはそういう
「寝る以外」の休養をとるには、
最低限の体力が必要だと思う。

 本当に疲れているときは、
とにかく「寝る!」しかないよなぁ。

 そういう意味では、日本人って
しんそこ疲れ切ってから休養を取るから
「休養」=「寝ること」になってるんじゃないのかな。

.

 積極的な休養、という考え方も紹介されてた。
「攻めの休養」

 普通は、月曜日から金曜日までしっかり働いて、
土日休んで、身体を整える。という感じだけど、

「攻めの休養」では、
土、日にしっかり休んで月から金の仕事に備える。

 疲れたから休む、じゃなくて、
しっかり休んでから働く、と。
仕事で消耗する分だけ、先に休んで元気になっておく、
という考え方が紹介されていた。

.

 いや、結果としては変わらんのでは、と思うけど。w
疲れ切ってから休むと、それこそ寝るだけになり効率悪いから、
疲れ切る前に休んでおく、ということなのかな。

.

 疲れてパフォーマンス落ちた状態で仕事するよりも、
すぱっと休んで万全の体勢で仕事をした方が
かえって効率よくない?

 うん、それはその通りだと思う。
あとは、世間の方がそれを許してくれる環境に
ならないと、ね。

.

 最後

注文に時間がかかるカフェ」(大平一枝)

 これは、ノンフィクション。
吃音で悩む若者たちが接客する
「注文に時間がかかるカフェ」の話。

 吃音の人は目立たないだけで割と多いし、
どうしても子供のころにいじめられやすい。
なので、予想以上に大きなハンデなんだ。

 「話すのが苦手」ではあるけれども、
話したいことがない訳ではない。
むしろ、話したいことがいっぱいあるのに、
伝わらないもどかしさ、みたいなのがあるらしい。

 あと、吃音といっても人によって全然違う。
歌なら歌える人、とか、特定の行(たとえばサ行)が
出にくい人、とか。
 また、日によって調子が変わることもあるらしい。

 自分の特性がわかってくれば、
対処することはできる。
特定の行が苦手なら、言葉を言い換えることによって
回避することは可能。
(頭フル回転でしゃべらなきゃいけないと思うけど)

.

 日常生活の困難もあるけれども、
それよりも小、中でいじめられる困難の方が
よっぽどひどい、と感じた。

 このカフェは、自信をつけてもらって、
自己肯定感を高めるため、でもあるのかな。

.

 もともと、主催の奥村さんはカフェで接客するのが夢だった。
でも、吃音者が接客するのは、ハードルが高い。
そこで、そういうカフェを作ってみた。
それが、「注文に時間がかかるカフェ」

 常時ある訳ではなくて、プロジェクト、かな。
基本的には1日限定。参加者の若者を募り、
お客さんも事前予約制にする。
 事前予約制なので、全く事情を知らない人が
入ってくることはない。

 また、料金はない。すべて無料である。
かかった経費は、クラウドファウンディングとかで
何とかしてるっぽい。
 営利目的というよりは、
吃音の悩みを知ってもらう。
吃音者が生きやすい世の中を作るための
NGO活動なんだろう。

.

 主催者の奥村さんがどう考えても働きすぎで、
著者の大平さんが心配しているのが伝わってくる。
素晴らしい活動だと思うけど、
一人でやっちゃうのはしんどいよ、と私も思う。
(でも、やりたい気持ちもわかる)

 世の中がどんどん、住みやすくなってくれればいいな、
と思った。吃音だって個性のひとつ。
 

 

| | コメント (0)

読書記録 2025.1

2025年1月の読書記録
(読書メーター)

.

娘の受験が原因で、ストレス蓄積中。
いやぁ、親の方もしんどいね、これ。
おかげで、なかなか読書がすすまない。

1月は27冊読了。
小説(新規)13冊、小説(再読)4冊、
学術/ビジネス 9冊、エッセイ/その他 2冊。

ストレス解消のため、心を落ち着けるための
再読が多かったかな。

.

今月の3冊

.

小説

松岡まどか、起業します」(安野貴博)

.

副題が、AIスタートアップ戦記
AIを利用した起業、スタートアップのお仕事小説。
起業のスピード感がよくわかると思う。

とにかく、お金をかき集めて、
それをすごい勢いで使って時間を買う。
まぁ、本作は1年で10億作るという無理ゲー設定だから
仕方ないとはいえ、このスピード感はちょっと信じられない。

どこまでリアルなのかはわからないけど、
いま、こういうスタートアップ起業がたくさんあって、
同じだけ消えていってるんだろうなぁ、と思う。

.

 話全体としては、わかりやすい悪役がいて、
なんというか、「半沢直樹」のような感じがした。
わかりやすい王道だよね。

 あと、AIの近未来も見せてくれる。
AIの恋人って、今でも存在するのか?
いや、それでいいのか、と思ってしまうが。

.

 さて、作者は安野さん。
おそらく、この分野が専門なんだろうな。
ただ、この人の名前は、別で知っていた。
昨年の東京都知事選に出ていたんだ。

 若者の間では、そこそこ支持されていたように思う。
で、調べてみたら本を出してるから見てみよう、と。
この人、本業は作家さんになるのかな?
(いや、政治家だろ)

 ただ、政治家が片手間に小説出しました、
というクオリティーではない。
普通に小説を生業にしている作家さんの作品だわ。
「めちゃくちゃ面白い」という訳ではないんだけれども、
意外に面白かった。
普通にエンタメのお仕事小説になっていたから。

 でもまぁ、昔から作家出身の政治家っていたよね。

.

学術系

依存症の人が「変わる」接し方」(山下悠毅)

 ギャンブル依存や、アルコール、薬物依存。
依存とは何か、なぜやめられないのか。
脳科学的に解説した本。

 冒頭に、ハリガネムシとカマキリの関係がでていた。
ハリガネムシは、カマキリに寄生していて、
最終的には脳を乗っ取って水中にダイブさせて殺すんだよね。

 わかりやすく言うと、依存症ってのは、
「脳を乗っ取られてる」状態に近い。
主に、ドーパミンによって。

.

 この分野の勉強は少しずつ進めていたけど、
この本で一気に解像度が上がった感じがした。

 いやぁ、そりゃやめられないわ。
特にギャンブル依存が厄介だなぁ、
「賭けてはいけないお金を賭けるのが最大の快楽」って、
そんなもん、破滅するしかないじゃないか。

 痴漢や下着泥棒なんかの行為も。
あれは、「やってはいけない」ことをするのが快感なのであって、
そういうお店にいってプレイする、とか、
通販で女性用下着買う、では満たされるわけがない。
(そりゃそうだ。)

 身体的な依存と、精神的な依存の違いも。
タバコの依存は大したことがなくて、
お酒の方が深刻だ、と。

 医学的にはニコチンの依存もたいがいだな、って
思うんだけど、「タバコが原因で家庭が崩壊した、という話は聞かない」
確かに。お酒で崩壊した家庭は多いよね……。

.

 あと、本書の特徴は哲学的な内容まで踏み込んでるとこ。
人は、どうやったら幸せになれるのか?

 他人に迷惑かけなきゃ何やってもいいとは思うけれども、
それで幸せなのかなぁ、と。
作者さんの別の著書も読んでみたくなった。

.

 個人的な感想としては、
依存症って、不倫や浮気もほぼ同じ側面もつよなぁ、と。

あれも、「やってはいけない」ことをやるのが快感なんだろう。
そして、脳を乗っ取られる感じも、同じじゃないだろうか。
(ドーパミンが主役なのも全く同じだろ)

 わかっちゃいるけどやめられない。
なら、どうするか?
基本的には、行為をできない環境に身を置くしかない。
たとえば、スマホ盗撮がやめられないなら、
カメラ機能を封印する、とか。

 あとは、スリップ(行為を再びやってしまう)しても、
責めないこと。ちゃんとスリップしたことを告白してくれる
環境の方が望ましい。

 罰するだけじゃ何も変わらない。

.

 ホストやコンカフェにはまるのも「依存」の一種だと思うが、
そのためにパパ活、風俗に沈んでいくのは、どうなのか?
親的には、非常に困るけれども、この作者がいうには、
「それで、本人が困ってないのなら問題ないかも?」

 確かに。本人がそれで幸せならそれでいいのかも知れないな。

.

 最後
子どもたちは、ゲームやインターネットの世界で何をしてるんだろう?
(関正樹)

 こちらも、依存と少し関係のある話なんだけど。
親は、ネットやゲーム、特に自分に理解できないものは、
子どもから遠ざけようとするけれども、
子どもがどうしてハマっているのか、
ちゃんと理解しておく必要がある。

.

 関先生は、児童精神科医でASD,ADHDなどの発達障害や、
不登校にかかわりながら、ネットやゲームに関しても異様に詳しい。

 まず、子どもがゲームを自発的にやめるのは非常に困難ということ。
今のゲームって、なかなかやめられないようになってるから。
守れる約束を作るのが肝心。

.

 たとえば、昔の「ゲームは1日1時間」ってのは、
さらにその昔の、テレビの時間制限に由来するみたい。

 私はゲームで育った世代だけど、
さらにもう一つ前の世代はテレビだった。
テレビの場合、番組が30分や1時間で終わることが多くて、
1時間ってのはキリがよかった。
 でも、それをそのままゲームに当てはめるのは無理がある。

.

 また、ゲームといっても種類によって違うでしょ、と。
多人数対戦のFPSやTPSと、長時間プレイが基本のMMORPGや
マインクラフトを同列に語るのは無理があるよ、と。

 うわー、確かにそうだなぁ。
あと、昔と違ってオンラインでつながってる、というのも
あるよ。

 私らの世代だと、
「親にいきなりゲームの電源落とされた」
みたいな話があったけど、


あれは、私らの親世代って、そもそも
ゲームに「セーブ」があることを知らなかったんだよね。

 それが時代が変わって今になると、
私ら、親世代の人間は、
「モニター(テレビ)の向こうに、
 つながっている対戦相手がいる」ってことがわからない。

 私ら世代にわかるようにいうと、
時間だからって終了させるのは、
いきなり電話中に親が回線遮断するようなもんだぞ。

.

 本書の特徴は、関先生のネットやゲームに関する知識の深さだ。
この先生、なんでこんなに詳しいの、ってくらい詳しい。
相談にきた不登校の子供と、普通にゲームやネットの会話で
盛り上がってしまう。
(まぁ、それができるのが強みでもあるんだが)

 頭から否定するんじゃなくて、
何が問題なのか。どうすれば解決できるのか。
そういったことを考えていく必要があるってのは、
依存症と全く同じだよなぁ。

.

 可能であれば、子どもと同じゲームで遊んでみるのが
一番理解は早い。

 私は、3D酔いするので現代のゲームはほとんどできない。
子どもはよくやっているよなぁ。
lineで会話しながらオンラインゲームみたいなのも
してたりするし。
 理解したうえでコントロールしていくのが大事。

 ちなみに、我が家の現在の規制は、
「パソコンは1日3時間」が基本で、その上で、
絶対にできない時間帯があったりする。
 たとえば、日曜日は基本的に午前中しかできない。
(そうしたら早起きするので)

 ただし、友達とオンラインで遊ぶ場合は、
申告してくれれば制限は解除するようにしている。

| | コメント (0)

2024年読書まとめ


 2024年全体の読書記録。

.

 今年は、いろいろありすぎた。
仕事がかなり楽になったけど、
通勤時間がなくなって、
逆に読書時間が減った。

.

 2024年は、全部で331冊。
少し減ったかな。
とはいえ、年間300冊以上は6年連続。
ここ3年は300冊台前半で安定している。

内訳は、小説(新規)が143冊、小説(再読)が45冊
学術/ビジネスが108冊、エッセイ/その他が36冊

小説が減ったけど、学術系の数は変わらず。

.

 2024年読書記録(読書メーター)

.

2024年の読んだ作家さんTop8

1位 山本弘   12冊
2位 香月美夜  10冊
3位 綾崎隼    9冊
4位 奥田英朗   6冊
5位 斜線堂有紀  5冊
6位 武田綾乃   5冊
7位 米澤穂信   5冊
8位 瀬尾まいこ  4冊

.

9位タイ(3冊)は8人もいるので省略。
山本さんは、2024年になくなったので、
追悼の意味もこめて再読が多かった。
香月さん、綾崎さんも再読が多い。
実は、7位の米澤さんも、小市民シリーズの再読で
冊数が伸びているだけ。

2024年で、新たに多く読んだのは
「家」シリーズの短編から入った奥田さんと、
天才、斜線堂さんの二人かな。

.

 学術系では、去年に引き続き認知症の本が多いかな。
あとは、職場環境、具体的にはハラスメントだったり、
他人のフォローだったり、そういう本が多かった。

.

 あと、今年は電子図書館もちょくちょく使ってるので、
タイトルだけ見て借りたような、わけわからん本も
増えている。w

 

| | コメント (0)

読書記録 2024.12

2024年12月の読書記録
読書メーター

.

年末年始は忙しくて、
いつも何をアップしていたか確認してしまう。

#読めよ薬剤師のあと、
おすすめ小説Top20あげて、
12月の読書記録あげてから、
一年のまとめ?

ややこい。

.

12月は26冊読了。
小説(新規)14冊、小説(再読)3冊
学術/ビジネス 5冊、エッセイ/その他 4冊
苦戦する本があったので、冊数は少な目。
仕事も忙しかったので、読書できない日もあった。

.

 今月の3冊

.

 小説
ノウイットオール」(森バジル)

.

 少し前に読んだ「ミステリーツアー」に紹介されていて、
気になったので読んでみた。

5つの連作短編集で、話がつながっているタイプ。
いわゆる、私が好きなやつ。

だが、この5つの小説のジャンルが全部違うってのは、
ちょっと真似できないんじゃないだろうか。

1作目が推理小説なので、推理モノと思いきや、
次は漫才にかける青春モノになり、
そうかと思えば、ぶっとんだSFになり、
異世界ファンタジーまでつないで、
恋愛ものでシメ。

 しかも、それぞれにクオリティが高い。
なんだこれは。なんでこんなことできるんだ?

.

 特に、漫才小説のネタがすごくて、
これ、本気でお笑い目指したんじゃないの?
ってくらいネタが考えられてあった。

.

 これでいて、話が全部つながっているんだけど、
SFを含んでいるもんで、過去?未来?
よくわからんけど、伏線がいろいろうまってそう。

 ただ、作中でははっきり種明かしされていないし、
登場人物も謎が解けている訳ではない。
ただ、読者だけが、関係性を理解できる。

 だから、「ノウイットオール」というタイトル。

 これがデビュー作ってすごいな。
このレベルの作品を書き続けられるのか?
というのがちょっと気になるところだけど。

 でも、これだけ書けたら小細工しなくても、
普通にいけるんじゃないかな?
ちょっと、追いかけてみたい作家さん。

.

 次。

無人島のふたり:120日生きなくちゃ日記」(山本文緒)

.

 いや、2冊目は通常、学術系なんだけど、
この本は、日記というか、エッセイというか、闘病記。

 でも、余命4カ月を宣告された末期がん患者さんの
闘病記だから、勉強にもなるかな、と思ってここで紹介する。

.

 山本さんは、もともと作家。
作家さんが、がんにかかった経験を書いた本としては、
西加奈子さんの「くもをさがす」もそうなんだけど、

 本作は、治らない。
膵がんのステージIV、余命4カ月と宣告される。
しかも、化学療法がしんどすぎて拒否。

.

 いわゆるターミナルの患者さんなんだけど、
そういう患者さんがどういうことを考えているのか。
どういう治療を受けているのか、体調変化は。

 もちろん、薬剤師として処方箋を受け取ることは多いけど、
その後、患者さんがどうやって毎日を過ごしているのかは
ほとんど想像できないから、
そういう意味で、すごく勉強になった。

.

体調の良い時はカフェにでもいける。
しんどい時は、ずっと寝ている。

あと、ステロイドですごく体調がよくなる。
4ヵ月は、短いようで実は長い。

もちろん、人によって違うのは当たり前だけど、
一つのケーススタディーとしてすごく勉強になった。
作家さんだから、言葉が読みやすく、わかりやすいし。

.

 読み物としてもよいし、勉強にもなる。
何とか120日は持ったけど、そこからプラス何日か、
で亡くなられている。

 でも、少なくとも120日は文章を書く力があったわけで。

.

 一つ思ったのは、緩和ケアの力。
化学療法がしんどすぎたので拒否したんだけれども、
山本さんの場合はそれで正解だったように思う。

 抗がん剤入れたほうが、生活は保てなかっただろうし、
これほど穏やかな日々も送れなかったんじゃないだろうか。
結果として、宣告されていた余命より生きたわけで、
多くの人に会うこともできた、と。

.

 緩和ケアは、化学療法が効かなくなってからする治療、
と思われているけれども、本当はそんなことはない。
最初からやっても構わない。

 もちろん、ステージIVの膵がんじゃ、
他に大した治療はできなかった、ってのはあるけれども。

 私の身近には、まだがんで亡くなった人はいないので、
患者さんの気持ちが少しわかって、よかった。

.

 最後。

「国家はなぜ衰退するのか」( 
(ダロン アセモグル、ジェイムズ A ロビンソン)

2024年のノーベル経済学賞を受賞した二人の代表作、かな。

.

2023年のノーベル経済学賞の方の本も読んだけれども、
ノーベル経済学賞って、一般書である程度内容わかるのね。

いや、物理学や医学生理学は、本読んでわかるような話ではないので。w

.

地政学とか、いま、はやりだけど、
同じような地理条件でも、
なぜ繁栄している国とそうでない国があるのか。
それを考察していく本。

.

結論だけ書くと、包括的(民主主義)な社会であれば
経済は発展していく、ということ。
収奪的(一部の支配階級が富を吸い上げる)社会では、
イノベーションが起きないので、発展が滞る、と。
本当に、それだけだ。

.

 邦題は、「なぜ衰退するのか?」だけど、
実質は、「なぜ成長しないのか?」かな。

 特にアフリカや中南米が、なぜ発展できないのか。
そういう話がメインである。

.

 当然、読者として気になるのは、日本、中国の話。

 日本は衰退している、という人もいるけれども、
この本ではもちろん、衰退していない。
いや、アフリカなんかと比べれば、
圧倒的に成功してるよ。w
 なので、どうすれば日本の衰退を防げるのか、
という論点は全くない。

.

 中国は、というと、
まずは毛沢東、文化大革命あたりの失敗があって、
そこから鄧小平が自由化に舵を切った。

 そこが、「収奪的社会」から「包括的社会」への
切り替えで、そこから中国が圧倒的に発展していった、
という流れになる。

.

 いや、今後どうなるのさ?
そこは、わからない。
ただ、共産党の一党独裁である以上、
どこかで頭打ちになってしまう可能性は高い、と読めるかな。

.

 もちろん、欧米の経済学者の意見なので、
これが絶対に正しいと言えるわけではないけどさ。
でも、アフリカや中南米に関しては、
なぜ発展できないのか、に対する答えとして
ある程度的をえているように思うな。

 日本、中国の今後に関しては、わからんけど。

.

 イギリスで産業革命が最初におこった理由として、
名誉革命があったから、ってのは腑に落ちた。

 絶対王政では、技術革新はおこりにくい。
新しい技術を提案しても、保守派につぶされてしまうから、
モチベーションがあがりにくいんだって。
そりゃそうだ。

 その点、イギリスは絶対王政ではなかったから、
イノベーションが起こりやすい環境にあった、と。
なるほどね。

.

 ただ、この本は上下巻で結構分厚いから、
これ読むのにかなり時間食ってしまった。
後半は、読み飛ばした部分も多い。

 だって、新しい話なんてほとんど出てこなくて、
ひたすら自説の補強となるような話ばかりで。

 未来予測に役立てばいいんだけど、
経済学って未来予測苦手だよね、たぶん。

 

| | コメント (0)

2024年おすすめランキングTop20

 小説の読書記録。

今年、新規で読んだ小説は143冊。
昨年よりもさらに減っているなぁ。

今年は仕事をセーブして
家を回すのに力入れたこともあり、
通勤時間が激減。

その結果、読書時間が減ってしまった。
減ったと言ってもおかしなくらい読んでるが。

今年読んだ小説のTop20

.

2024年おすすめランキング

.

20位 黒牢城(米澤穂信)

 米澤さんの直木賞受賞作。
黒田官兵衛が牢の中で安楽椅子探偵する。

19位 鳥人王(額賀澪)

 額賀さんによる、マイナースポーツ小説。
今回は、棒高跳びである。

18位 幽世の薬剤師(紺野天龍)

 薬剤師の異世界転移ものだけど、
かなりガチの異世界ミステリー。

17位 あの夏、二人のルカ(誉田哲也)

 読みやすい青春バンド小説。
ラストがとてもよかった。

16位 僕たちがゲームに人生を賭ける理由(涌井学)

 こちらは、青春eスポーツ小説。
下手に恋愛にしない分、面白かったな。

15位 プリテンドファーザー(白岩玄)

 一人で子育てするシングルファーザー二組が、
同居して協力して子育てする話

14位 終活シェアハウス(御木本あかり)

 60代後半のおばさん4人が共同生活する話。
多様性の時代、こういうのもいいよね。

13位 冬期限定ボンボンショコラ事件(米澤穂信)

 米澤さんの、小市民シリーズ完結編。
ようやく、二人のなれそめが明かされる。

12位 山の上の家事学校(近藤史恵)

 男でも家事できなきゃまずい。
でも、家事できるだけじゃだめ。

11位 葉桜の季節に君を想うということ(歌野晶午)

 古典的なミステリーではあるんだけど、
これは読んどかなきゃいけないやつ。

10位 レーエンデ国物語(多崎礼)

 2024年本屋大賞5位。
久々の、重厚なファンタジー。

9位 ノウイットオール(森バジル)

 読者だけがすべてを知っている。
違うジャンルの小説を組み合わせた連作短編集

8位 うまいダッツ(坂木司)

坂木さん得意のコージーミステリーお菓子つき。
非常にゆるい高校生の部活が魅力的。

7位 コロナと潜水服(奥田英朗)

奥田さんの短編集だけど、
ここから見事に奥田さんにハマった。

6位 地雷グリコ(青崎有吾)

今年のミステリランキングを総なめ。
好きな人にはめちゃくちゃぶっ刺さる。

5位 スピノザの診察室(夏川草介)

「神様のカルテ」と違う舞台、キャラだけど、
共通の空気感をもつ、夏川さんの真骨頂。

4位 成瀬は天下を取りにいく(宮島未奈)

今年の本屋大賞第1位。
これがデビュー作で、さらに続編も面白い。

3位 一線の湖(砥上裕将)

「線は君を描く」の続編なんだけど、
水墨画の描写の熱量がすごすぎる。

2位 Spring(恩田陸)

天才を書く天才の恩田さんによるバレエ小説。
「俺は世界を戦慄せしめているか?」

1位 この銀盤を君と跳ぶ(綾崎隼)

綾崎さんが挑んだフィギュア小説。
タイプの違う二人の天才の争い。

.

 なんか、私の趣味が偏っているのがわかるなぁ。
いい年して、青春スポーツものが好きらしいよ。

 そういえば、本好きの下剋上が入っていないね。
もちろん、全部読んでるし、今でも大好きなんだけど、
私の中では、去年の最終巻が素晴らしすぎて、
そこで終わっちゃった感じなんだろうな。

 

| | コメント (0)

#読めよ薬剤師2024

年末恒例の企画、#読めよ薬剤師2024。
去年から主催者がほどほどさんに変わってるけど、
規模は変わっていない、かな。

ある意味、このブログはこの企画のために
読書記録つけてるところもあるので、
もちろん、今年も参戦する。

2023-2024年に発刊された書籍、という縛りがあるけれども、
まぁ、気にせずに選んでいいんじゃないだろうか。

.

まずは、フィクションから。

スピノザの診察室」(夏川草介)

 2024年本屋大賞第4位。

.

「神様のカルテ」で大ヒットを飛ばした夏川さんの、
新たな医療小説。

 ただ、テーマはかなりかぶっていると感じた。

 本作は、京都が舞台である。
そして、おいしそうな和菓子がたくさん出てくる。

 また、家族とのかかわりも重要なファクターの一つ。

.

 愛読書は、スピノザの「エチカ」らしい。
神様のカルテは、夏目漱石だったよね。

 神様のカルテとの類似点はかなり多いなと感じた。

.

 何が違うのか?というと、
単純に、神様のカルテはすでに10年前の話だということだ。

 当時とは、医療環境が異なる。
高齢者を無理に延命しないのは、
もはやメジャーになりつつあるよね。
10年前だと、まだまだ珍しかった気がするが。

 この10年で社会、医療の在り方が変化して、
また、作者の夏川さん自体も、変化というか進化している。

 もちろん、変わるだけではなくて変わらないものもある。
だいたい、スピノザのエチカっていつの時代だよ?w
でも、今でも読まれてるんだもんね。

.

 このあたりのミックスが、読んでいて心地よい。
神様のカルテは、もちろん続編が出ているけれども、
こちらは続編でこそないものの、
今の時代に合わせた「2.0」という印象を持った。

 読む方の私も進化してるのかな?
さすがに、スピノザはハードルが高くてなかなか読めないが。

.

 2つ目は学術系

がんはどうやって治すのか」(ブルーバックス)
.

 国立がん研究センターから出ている、ブルーバックス。
ブルーバックスなんて読むの、何年ぶりだ?
下手したら学生時代以来かも知れない。

 がんの治療法に関する教科書のような本。
発売は2023年12月なので、現時点での最新の知見だ。

.

 現在のがんの治療法は大きく4つ。
「手術」「放射線」「化学療法」「免疫療法」

.

 この4つが、4本柱として紹介されている。
私の知識では、3本柱だったので、
いつの間にか「免疫療法」が柱になっている、
ってことだ。

 ターニングポイントになったのは、
免疫チェックポイント阻害薬。
本庶さんがノーベル賞とった研究。

 オプジーボ、キイトルーダという薬は、
日本での売り上げが年間1位、2位だ。
どちらも免疫チェックポイント阻害薬。

.

 まだまだ昔からの薬も使われているけれど、
治療の選択肢が広がった感じがする。
20年前にくらべても、
「がん」は治る病気になってるな、と思う。

「標準治療」がかなり進化してるな、と。
がん保険とかでも、先進治療まで含めた商品が
主流だったけど、あれ、いる?

 先進治療は、「まだ効果の確定していない治療法」
健康保険の利く標準治療がここまで進んできたら、
先進治療を使うメリットってほとんどないんだけど。

.

 何にせよ、情報のアップデートが大事。
がんに対する怪しい民間療法とか、
まだまだ古い知識でやってるとこも多いから。

 いまや、がんは治る病気ですよ、と。
アップデートしていこう。

.

 余談だけど、私は医療情報のアップデートに、
専門書だけではなくて、一般向けの新書もよく読む。

 もちろん、研究者やアカデミックな人は
もっと専門的な本を読んだ方がいいだろうけれども、

町の薬屋のオッサンなら、
この程度の知識でも十分じゃないかな、と思う。
専門書より読みやすいしね。

読みやすさって、結構大事なのよ。

.

最後は、問題作。

安楽死が合法の国で起こっていること」(児玉真美)

 正直、この本は賛否両論あると思う。
諸外国の状況から「すべり坂」の問題点はわかるんだけど、
この人自体が障碍者のお子様をもつ当事者なので、
その視点からの意見が、主観的すぎるのね。

 でも、そう思う人もいる、ってのは大事なことだし、
ネット上の論調だと安楽死賛成の方が圧倒的多数だから、
「いや、そうじゃないんだよ」という反対意見は、
もっととりあげられていいと思う。

 もっとも、児玉さん自身は
安楽死反対派、という訳ではない(と自分で言っている)が。

.

 言葉の問題から。
「尊厳死」と「安楽死」は違う。
日本では、「積極的な治療を行わない」という
尊厳死は認められている。

 安楽死は、積極的に安らかに命を終わらせる、
という行為で、日本ではまだ認められていない。

.

 この辺、フィクションとしては、
南杏子さんの「いのちの停車場」で取り上げられている。

「今後、回復の望みは皆無であって、
 耐え難い痛みが続くだけの状況で、
 無益な治療を続けるのは、患者を苦しめるだけ」

 という状況であれば、安楽死は肯定されるのでは?
という問いかけだ。

.

 おそらく、児玉さんもこの状況であれば、
安楽死を否定されることはないと思うんだが。

 じゃぁ、何が問題かっていうと、
最初はそういう限られた条件でのみ認められていた安楽死が、
運用していくうちにどんどんハードルが下がっていくこと。
筆者は、これを「すべり坂」と呼んでいる。

.

 いま、高齢者医療とかで医療費の無駄使いが言われてるよね?
あれって、少なくとも現役世代では共感する人が多いと思う。

 でもさ、社会の要請として考えてみると、
「今後も医療費を莫大に使う人」に対してはさ、
安楽死してもらった方が、社会の負担は楽」なのよ。
これはもう、絶対的にそうだよね。

 莫大な費用と手間をかけて、生活を保護してあげて、
ヘルパーを手配して、医療費もかけて・・・。

 経済的な面だけで見るとさ、
「さっさと死を選んでくれた方が、社会のため」
になってしまう。

 だから、社会の側が簡単に「安楽死」を提案してしまいがち
そして、どんどん安楽死のハードルが下がっていく。
これが「すべり坂」

.

 念のため。
これは、私がこの本をそう読んだ、というだけで、
児玉さんの意見とは違うかも知れない。
(少なくとも、ここまで直接的には書いてない)

.

 私は、これがキリスト教社会でおこっていることに
びっくりしたんだけど。

いや、宗教は何をしてるのさ?と。

 この辺の話は、社会科学というよりも、
倫理や宗教の問題じゃないの?
ようは、やり方はともかく、
「自殺を肯定する」社会でいいのか?と。

.

 これが暴走すると、ナチスみたいになるよね?
「ユダヤ人は生きているだけで罪」
として、強制収容所におくって虐殺したんでしょ。

たとえば、同じことが障碍者相手におこらない、と
言えるかい?
実際、そういう妄想にとりつかれた事件もあったし。

.

 積極的安楽死を支持するか、しないかは別として、
こういう視点もあるんだよ、というところで
読んでみてほしい。

.

.

 うーん、今年はなんか、薬剤師らしくないラインナップかも。
まぁ、薬剤師らしい専門書は、たぶん他の人が
たくさん上げてくれると思うので。

 私は、少し外れたところを攻めたほうがいいでしょう。
(ということにしておこう)

 

 

| | コメント (0)

読書記録 2024.11

2024.11の読書まとめ(読書メーター

.

9月は25冊読了。

小説(新規)12冊、小説(再読)4冊
学術/ビジネス 11冊、エッセイ/その他 5冊

今月は、久々の1日1冊超ペースで32冊。
ゲームがひと段落ついて落ち着いたから?

.

 今月の3冊。
まずは小説から。

婚活マエストロ」(宮島未奈)

.

 デビュー作の「成瀬」が本屋大賞の宮島さん。
続編も好調だけど、成瀬以外の作品として出てきたのが、
こちらの「婚活マエストロ」

.

 40歳、フリーライターの独身男性が、
婚活パーティーに参加する、というお話。

40歳という年齢も絶妙にやばいし、
いわゆる婚活あるあるを詰め込んでいて、
刺さる人にはめちゃくちゃ刺さると思う。

. 

 もともとは、婚活なんかする気なかったのに、
成り行きで婚活することになってしまい、
さらに成り行きでパーティーの主催者側に回ってしまう。

 物語の舞台は静岡県なのに、
婚活バスツアーで、なぜか琵琶湖のミシガンが出てくるのが
宮島さんらしい。(成瀬は滋賀のお話だから)

.

 特長としては、うん。
めちゃくちゃ読みやすい。
いや、成瀬以外でも全然すごいよ、この人。
ちゃんと追いかけてみたくなった。

 ただ、ヒロインの「婚活マエストロ」かがみんの
ビジュアルがちょっと思い浮かばなかったなぁ。
アラフォーの美女、としか。

 むしろ、成瀬よりも映像化しやすそうな気がするんだけど、
どうだろうか?

.

 次、学術系

.

医療現場のアンガーマネジメント入門」(大浦裕之)

.

 おもに病院でも、パワハラ撲滅のためのお話。
どうしても、医師によるパワハラが多い職場。
でも、そのために逆に医療安全にかかわることがある。

.

 医師としても、命がかかっている状態でミスされると、
そりゃあ怒るのも仕方ないところはあるけど、
あんまり怒りすぎると職場が委縮してしまって、
かえってよくない結果を招くことあるよね。

 そうでなくても、パワハラで訴えられることはありえるし。

.

 どうやって怒りを鎮めるのか、というお話。
たいていは聞いたことのあるお話だったけれども。
よく聞く「とりあえず6秒待つ」というのも、
一応医学的に根拠はあるらしい。

 有効なのは、物理的に距離を取ること。
怒りの感情がでてくるのはしょうがないけど、
物理的に距離をおけば、直接ぶつける(=パワハラ)ことは
少し防げるのかな?

.

「私は今日、怒りません」というノーアンガーデイの発想は
面白いと思った。

 どういうときに怒りを感じるのか。
自分で整理して理解しておけば、
コントロールしやすくなる。

.

 私は、非常に気が長い方であるけれども、
それでも怒ることはあるからなぁ。
何とかハラ、と言われないように気を付けないと。

.

 最後。エッセイ。

医者の父が息子に綴る人生の扉をひらく鍵」(中山裕次郎)

.

「泣くな、研修医」シリーズの作者で、医師でもある中山先生が、
息子にあてて、書いたというエッセイ集。

 作家としての顔しか知らなかったけど、
この本を読む限りでは、中山先生、外科医としても一流だ。
すごい。

 何がすごい、ってその努力量だろう。
他人の3倍くらい練習してる。

.

 ただ、面白いのはちゃんと自分の失敗談も書いているところ。
そんな失敗、逆境の中でも、
ちゃんと解決法を探し出して前に進んでいくパワーがすごい。

 私ならうまいこと逃げてしまいそうだなぁ。

.

 努力できることが、一番の才能なんだと思う。
死ぬ気でやれば何でもできる、っていうけど、
普通の人は死ぬ気で努力できないんだよ。

 私は、子どもたちにそこまで伝えられているかな?
私が伝えられることがあるとすれば、

「人生、いろいろあるけど、割と何とでもなるよ」

 人生のレールなんて一つじゃないし、
少々外れても気にすることないよ、ってことかな。w

| | コメント (0)

より以前の記事一覧