書籍・雑誌

読書記録 2024.1

2024.1の読書まとめ(読書メーター

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1月は30冊読了。

小説(新規)13冊、小説(再読)6冊
学術/ビジネス 10冊、その他 1冊

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 #読めよ薬剤師2023で取り上げられた本を
図書館で探して読んでいるので、
1月は学術系の割合が大きくなる。

 冬休み期間に結構な冊数を読んでいたけど、
終盤、体調を崩して失速。
終わってみれば月間30冊だった。

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 今月の3冊

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 小説

幽世の薬剤師」(紺野天龍)

 記憶があいまいだけど、
確か、#読めよ薬剤師2022、で紹介されていたと思う。
気になって予約していたら、回ってくるのに1年かかった。

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 働きすぎ?の漢方薬剤師(病院勤務)が、
怪異のおこる異世界(江戸時代くらいの日本?)に
迷い込み、トラブルを解決していくお話。

 ぶっちゃけ、和風「異世界薬局」

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 「異世界薬局」では、神力や魔法があったけれども、
「幽世」では、主人公は普通の薬剤師。
ただ、ヒロイン?の巫女が、怪異をお祓いする力をもつ。

 でも、そんなに強い印象はないな。

 世界観がかなり特殊で、
「人々が信じているような怪異が発生する」
という、因果関係を逆転させたようなルールがあって、
その怪異を解決していくようなお話、かな。

 漢方薬を作るシーンもあるけれども、
話の本題にはあまりかかわってこない。
おまけ、っぽい感じ。

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 正直、1巻はあまり刺さらなかったけど、
2巻を読んでみて、方向性を理解した。

 これ、医療ミステリーだ。

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 ある症状や現象があって、
処方でどう変わるか、
また、幽世の世界のルール(根源怪異とか感染怪異とか)
から、主人公が謎を解き明かしていく。

 この主人公、漢方の知識というよりも、
推理力の方がすごい。

漢方薬剤師は、ある意味で体で起こっていることを
「推理」して薬を考えていくので、
これも薬剤師の力、といえなくもないんだけど。

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 なんか、主人公の愛されっぷりが、
「異世界薬局」に似てるなぁ、と思ってしまった。
ある程度の恋愛要素は必要なのかね?
元の世界ではとてももてるとは思えないんだが。w

 個人的には、その辺割とどうでもよくて、
もっと論理や推理に振り切ってもいいと思うんだけど、
そうするとあまり売れないんだろうなぁ。

 結構、続編も続いているみたいなので読んでいく。

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 次、学術系。

世界一やさしい依存症入門」(松本俊彦)

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 いや、#読めよ薬剤師2023からと違うんかい!
薬剤師のみなさん、勉強家すぎて、
ちょっとついていけないのよ。w

 その点、この本はものすごくわかりやすい。
なんせ、対象読者が「中学生」だから。
たぶん、小学生高学年でも読めると思う。

 こういう「わかりやすさ」って大事なのよ。

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 ニュースでも、市販医薬品のオーバードーズの問題が
取り上げられることも増えてきた。
 もちろん、市販薬の話もあるけれども、
アルコール、たばこ、自傷行為、ゲーム、などなど。
依存症っていろいろあるよね。

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 どの依存症に対しても、アプローチの方向性は同じで、
「ダメ、絶対。やめなさい!」
って言っても、ダメなんだわ。
それじゃ解決しない。

「なぜ依存症になってしまうのか?」
にフォーカスをあてて、そこを解決しないと。

 著者が言うには、まずは
「社会とのつながりをもつこと」
「誰かに相談すること」
 が大事。

で、相談された人、友達、親、先生は、
一方的に否定しちゃダメ。
それすると、孤立しちゃって悪循環にハマる。

 依存症になる一番の原因は、
「孤独」なんじゃないかなぁ?って思った。

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 日本では、違法薬物の使用は犯罪だ。
芸能人とかが、たまに逮捕されて、
報道陣の前で謝罪会見とか、あるよね。

 ああやって、みんなでぼこぼこに叩くことって、
本人の依存症の解決には全く役に立たないどころか、
明らかに有害である。

 だって、孤立しちゃうでしょ?
そうすると、また依存にハマってしまうよ。

「ダメ、絶対」という薬物対策は、全然ダメだった。
薬物にハマる環境自体を何とかしないといけないのさ。

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 最後も学術系。

安楽死が合法の国で起こっていること」(児玉真美)

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 正直、この本は賛否両論あると思う。
諸外国の状況から「すべり坂」の問題点はわかるんだけど、
この人自体が障碍者のお子様をもつ当事者なので、
その視点からの意見が、主観的すぎるのね。

 でも、そう思う人もいる、ってのは大事なことだし、
ネット上の論調だと安楽死賛成の方が圧倒的多数だから、
「いや、そうじゃないんだよ」という反対意見は、
もっととりあげられていいと思う。

 もっとも、児玉さん自身は
安楽死反対派、という訳ではない(と自分で言っている)が。

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 言葉の問題から。
「尊厳死」と「安楽死」は違う。
日本では、「積極的な治療を行わない」という
尊厳死は認められている。

 安楽死は、積極的に安らかに命を終わらせる、
という行為で、日本ではまだ認められていない。

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 この辺、フィクションとしては、
南杏子さんの「いのちの停車場」で取り上げられている。

「今後、回復の望みは皆無であって、
 耐え難い痛みが続くだけの状況で、
 無益な治療を続けるのは、患者を苦しめるだけ」

 という状況であれば、安楽死は肯定されるのでは?
という問いかけだ。

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 おそらく、児玉さんもこの状況であれば、
安楽死を否定されることはないと思うんだが。

 じゃぁ、何が問題かっていうと、
最初はそういう限られた条件でのみ認められていた安楽死が、
運用していくうちにどんどんハードルが下がっていくこと。
これを「すべり坂」と呼んでいる。

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 いま、高齢者医療とかで医療費の無駄使いが言われてるよね?
あれって、少なくとも私の世代では共感する人が多いと思う。

 でもさ、社会の要請として考えてみると、
「今後も医療費を莫大に使う人」に対してはさ、
安楽死してもらった方が、社会の負担は楽」なのよ。
これはもう、絶対的にそうだよね。

 莫大な費用と手間をかけて、生活を保護してあげて、
ヘルパーを手配して、医療費もかけて・・・。

 経済的な面だけで見るとさ、
「さっさと死を選んでくれた方が、社会のため」
になってしまう。

 だから、社会の側が簡単に「安楽死」を提案してしまいがち。
そして、どんどん安楽死のハードルが下がっていく。
これが「すべり坂」

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 念のため。
これは、私がこの本をそう読んだ、というだけで、
児玉さんの意見とは違うかも知れない。
(少なくとも、ここまで直接的には書いてない)

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 私は、これがキリスト教社会でおこっていることに
びっくりしたんだけど。
いや、宗教は何をしてるのさ?と。

 この辺の話は、社会科学というよりも、
倫理や宗教の問題じゃないの?
ようは、やり方はともかく、
「自殺を肯定する」社会でいいのか?と。

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 これが暴走すると、ナチスみたいになるよね?
「ユダヤ人は生きているだけで罪」
として、強制収容所におくって虐殺したんでしょ。

たとえば、同じことが障碍者相手におこらない、と
言えるかい?
実際、そういう妄想にとりつかれた事件もあったし。

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 積極的安楽死を支持するか、しないかは別として、
こういう視点もあるんだよ、というところで
読んでみてほしい。

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 おまけ。

#読めよ薬剤師2023、で紹介された
名郷先生の「いずれくる死にそなえない」も、
この問題とかなり関わってくる。

 ただ、名郷先生は明確に安楽死を否定してるんだが、
その根拠が薄弱なのね。(多分、倫理面だと思う)

 どちらにしても、医療と倫理、宗教のからむ話なので、
合わせて読んでほしいな。

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 1月は学術系でよい本が多すぎて、絞るのが難しかった。
#読めよ薬剤師2023、で紹介された本は
他にもいい本がたくさんあるんだけどね。

 

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2023年読書まとめ

 時が流れるの早いよね。
年を取るたびにそう思う。

 2023年は、350冊読了。
昨年とほぼ変わらず。

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2023年読書メーターまとめ

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2023年の読んだ作家さんtop10

1位 香月美夜  39冊
2位 山本弘   10冊
3位 武田綾乃  8冊
4位 七月隆文  7冊
5位 日向理恵子 6冊
6位 寺地はるな  5冊
6位 原田マハ   5冊
8位 中山裕次郎 4冊
8位 辻堂ゆめ   4冊
8位 柚木麻子  4冊

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本好き完結年で、全部再読したから、
そりゃあ香月さんがぶっちぎるのは当たり前。
山本さんの2位は意外だった。
新作出ている訳がないので、こつこつ再読したんだろう。
武田さんは「ユーフォ」、七月さんは「ケーキ王子」
日向さんは「火狩りの王」、中山さんは「研修医」と
シリーズもの。

なんか、たくさんの作家さんを
少しずつ読むような流れになってるなぁ。
昔は、「これ!」っていう作家さん見つけて
ひたすらコンプ目指してたけれども、
なかなかそういう出会いも少なくなってきた。

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 今年のトータルの記録では、

小説(新規) 157冊
小説(再読)  61冊
学術/ビジネス  108冊
エッセイ/その他  24冊

 学術系の本が少し増えたかな?

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 今年の興味は、
認知症に関する本、社会と高齢者とのつながり。
親が介護が必要な年代にはいっているからなぁ。

 あとは、人間の知性の限界。
瀬名さんの「知の統合は可能か?」とか、
「因果推論の科学」、あとね、
「ことばの本質」とか。
この辺、私は「AIとのかかわり」でくくっちゃった。

 今後、chatGPTをはじめとする
生成系AIがどのように社会を変えていくか。
「科学的に考えることが苦手」な
ヒトという種族を、AIがフォローしてくれる未来って
くるんじゃないの?

 それと、特に年末に読み進めているのが、
発達障害関係の本。
たまたま、図書館の予約が集中しただけだが。

 いわゆるグレーゾーン問題。
私は少しグレーだけど、娘もそうだなぁ、とか。
息子は、むしろかなり黒に近いなぁ、とか。

 ごく普通の人、真っ白な人って、
そんなにいないんじゃない?って思ってしまった。

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 あとは、コロナの総括かな。
尾身さんに関する本をいくつか。

 最近読んだ「失敗の科学」にもあるんだけど、
行政、政策の検証をしっかりしてほしいと思う。
失敗しないと、成長しないのよ。

 ちゃんと検証できるように、次に活かせるように、
尾身さんが記録残してくれてるんだからさぁ。
ダメなところはダメってやんないと。

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 科学の中でも、特に医学の発展に大きく寄与したのは
「RCT」の発明だって話も読んだ。
なんでこれ、行政や政策に使わないの?

 ちゃんと対照取らないと、検証もしにくいし、
フィードバックが働かないから、進歩もない。

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 ま、そのためには、「失敗」を許す文化が必要で、
日本にはそこが決定的に欠けている。

 何かあれば、すぐ犯人捜しして、
責任をかぶせることに躍起になるからなぁ。
そんなことするから、進歩しないんだ。

 結果、失敗は隠すようになるに、
無理に「いや、あれは成功だった」とか強弁する。
そんなんじゃ、成長しないの当たり前だわ。

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 今年は、どんな一年になるかなぁ。
私自身のことよりも、家族がみんな大変なので、
そっちのフォローに力使わなきゃいけないな。

 

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読書記録 2023.12


2023.12の読書まとめ(読書メーター)

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12月は29冊読了。

小説(新規)10冊、小説(再読)3冊
学術/ビジネス 13冊、エッセイ/その他 3冊

また、KindleUnlimited加入中のため、
学術/ビジネスの冊数が増えている。
本好きの下剋上の再読が終わったので、
小説(再読)は少なめ。

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 今月の3冊。

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 小説。
本好きの下剋上第五部-XII」(香月美夜)

本好きの下剋上の本編、ついに完結。
Web連載のスタートから10年。
私が読み始めたのは2017年だから、
そこから数えても6年。

本当に楽しませてもらったなぁ。
昨年末の時点で、今年の12月に完結編が出ることがわかってた。
今年夏から、ベストの状態で完結編を読むべく、
再読開始。

1週間に1冊くらいのペースで読み進めた。
(32冊あるので、32週かかる。)

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実際、最後の戦いは前巻で終わってるので、
最終巻はほとんどエピローグなんだけどね。
兵士の娘からスタートして、
気が付けば「女神の化身」なんだもんな。
本狂いのマインだったけど、
「本よりも大事な」環境を手に入れた。

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もうね、ラストシーンだけで泣けるんだわ。
ここを目指して10年間かかったんだなぁ、と。
まだまだ何回でも読み直したい。

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 でも、これからも展開は続く。
まず、外伝にあたる「ハンネローレ編」が来夏発売。
それに、「短編集3」の発売も決まっている。

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 何よりも、第3部アニメ化!

 いやっふぅ!神に祈りを!!

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 本好きのアニメは、最初に2クールやって第2部半ばまで。
次の第3期で第2部が終わったところだった。

 第3部はどうするのかな?
もう、2クール連続で第3部終わらせてほしいけど。

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 しかし、最後までアニメ化できるかっていうと、
いや、それはさすがに無理じゃない?と。
原作が33巻もある超大作。
仮に駆け足で第3部終わらせたとしても2クール。
ここまで5期。それで、原作小説12冊分。

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 残り、20冊あるんだが?
もう、やるんならNHK、Eテレかな。w

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 そもそも、コミカライズもなかなか終わらんよ。
第2部、第3部、第4部と並行して進めてるけど、
第4部とかまだまだかかるよ、これ。
第2部はようやく終わりが見えてきたけど。

 全部やれば、全60巻くらい?もっと?
第4部と第5部は、割とつながってるから、
第4部連載中に並行して第5部スタートってのも
難しいんじゃ・・・。

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 というわけで、本好きの下剋上からは
まだまだ目が離せない。

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 次、学術系
休み時間の感染症学」(斎藤紀先)

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 休み時間シリーズ、というらしい。
基礎的な知識を、わかりやすくまとめてくれてる。
医学生向けかな、と思ったけど、
私みたいなロートルの薬剤師にもちょうどよい
難易度だった。

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 で、本作は感染症学。
学生の時の卒業研究で、抗菌剤の耐性をやったのを
思い出した。20年以上前の話である。
当時と変わっていないところもあれば、
変わっているところもあるなぁ、と。

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 MRSA、VREなんかは、当時から問題になってた。
MRSAは、メチシリン耐性の黄色ブドウ球菌。
VREは、バンコマイシン体制の腸球菌のこと。

 で、当たり前なんだけど、
メチシリン耐性って、ほかの抗菌薬にもほぼ耐性だからね?
メチシリンだけに耐性な訳じゃない。
バンコマイシンは効くけどね。

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 バンコマイシンの話もあり。
そっか、たまに内服で出ることあって、
何に使うのかな?って思っていたけど、
(経口だと、血中にはいかないから)
腸内をターゲットにしているのね。

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 あとは、セフェム系って第4世代まであるの?とか。
第3世代までしか知らんかったな。
第3世代経口セフェムは、
やっぱりDU(=だいたいうんこになる)らしい。

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 こういう知識のアップデートって必要。
膀胱炎にはニューキノロン系使うこと多かったけど
(今でも多いと思うが)耐性が進んでいるから
いまや非推奨になっているらしい、とか。

 ただ、水疱瘡には今でもカチリ使うらしい。
いや、そこはいい加減アップデートしろよ、と思ったけど。
何かちゃんとしたエビデンスあるのなら教えてほしい。w

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 この休み時間シリーズは、読みやすくて勉強しやすいから、
またちょくちょく借りていこうかな?

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 最後。

精神疾患の元新聞記者と発達障害の元新聞記者がお互いを取材してみた。
(天地成行、大橋広宣)

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 タイトル通りの本なんだが。
天地さんが、統合失調症(そううつ含む)、大橋さんが発達障害(ADHD)。
なかなか壮絶な当事者の過去が語られている。

 お二人とも山口県在住。
大橋さんの方は、テレビや映画の製作なんかで活躍されている。

 天地さんは、自由律俳句やら、精神病の当事者としての執筆活動を
している。表現者として、活躍している。
もっとも、最近また入院していたらしいが。

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 ただ、お二人とも結構な年齢なのね。
天地さんは50手前だし、大橋さんは60過ぎかなぁ?
そんな彼らの若いころ、だと、
社会に全然理解がなくて、大変だったと思う。

 特に幼少期のいじめが本当に大変で。
大橋さんは、そのころのトラウマがもとで、
自分の子供に対しても恐怖感を持ってしまうとか。
いや、それひどいよ。

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 ただ、お二人に共通しているのは、
よい出会いがあったこと。

 お互いの出会いもそうだし、
天地さんは、「師匠」というべき人が何人かいるし、
大橋さんは、自分のできないところをフォローしてくれる人が
周りにたくさんいる。(主に奥さん)

 できないことは全然できないけど、
「強み」があるからなんだろうなぁ、と思う。
大橋さんは、映画に関しては幼少期から好きで
(ADHDの特性でもあるが)
それ一本でここまで来た人だ。

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 障害といっても色々ある。
正直、天地さんの精神疾患はかなりひどいと思うが、
それでも、「強み」はあるのね。

「強い」ところで勝負して、「弱点」は周りでフォローする。
発達障害のグレーゾーンの人も多いけど、
できないことは無理しない、と割り切って、
周りに助けてもらえればいいんだよ。

 いや、みんながみんな、同じところ弱かったらダメだけど。w
私も苦手な部分は多いけど、
そこは周りに助けてもらって、強みで勝負する。
それが、多様性につながるんじゃないのかな?

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 年末年始、発達障害の本を立て続けに読んだけど、
圧倒的にしんどいのは、学生時代。
みんなに合わせなければいけない。
むしろ、大学以降の方が楽じゃないかと思う。
苦手からは逃げていけばいいし。

 なので、高校生までのフォローをしなきゃいけないんだが、
今の教員にそれを求めるのは酷なので。
手っ取り早いのは一クラスの定員を減らすことだな。

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 少しずつ、社会も変わってきているな、と感じる。

よくなってきているよ。理解が進みつつある。
ただ、まだまだ改善しなきゃいけないところも多いな。

 

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2023年おすすめランキングTop20

読書記録小説編。

 今年、新規で読んだ小説は157冊。
昨年よりもさらに減った。
他に読む本が増えていたり、
あとは、あれだ。
本好きの下剋上を全部再読してたからだ。
(あれだけで33冊あるからw)

 今年読んだ小説のTop20

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 2023おすすめランキング

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20位 「向日葵の咲かない夏」(道尾秀介)

 よく読まれているので読んでみたが、
うん、気持ち悪い。確かに、人に勧めたくなる。

19位 「今、死ぬ夢を見ましたか」(辻堂ゆめ)

 電車で見る予知夢の話。
もう一回読んでみたくなる。

18位 「あしたの名医」(藤ノ木優)

 地方の産婦人科のお仕事小説でもあり、
伊豆のグルメ小説でもある。

17位 「猫を処方いたします。」(石井祥)

 そんなん、効くにきまってるやん。
アイデアの大勝利。

16位 「いのちの十字路」(南杏子)

 いのちの停車場の続編。
最後の「ケアラーに休日を」が切実。

15位 「響け!ユーフォニアム」(武田綾乃)

 武田さんの出世作。
王道の面白さ。吹奏楽聞きたくなる。

14位 「セクシャル・ルールズ」(坂井喜久子)

 専業主夫とキャリアウーマンの夫婦。
性別逆なだけな普通の話なんだけど、斬新。

13位 「栞と嘘の季節」(米澤穂信)

 高校生図書委員シリーズの続編。
読者も「嘘」に惑わされる。

12位 「ザ・ロイヤルファミリー」(早見和真)

 早見さんの競馬小説。何でも書けるのに、
どれ読んでも面白い、すごい作家さん。

11位 「アルツ村」(南杏子)

 南さん2冊目。リアルで怖い話。
認知症との向き合い方をどうするのか。

10位 「月の立つ林で」(青山美智子)

 本屋大賞第5位。青山さんお得意の連作短編集。
かぐや姫は元気かな?

9位 「ギフテッド」(藤野恵美)

 神様からの贈り物のような子供。
でも、日本では生きづらいんだよな。

8位 「スモールワールズ」(一穂ミチ)

 一穂さんは初めて読んだけど、
読みやすくて面白い。

7位 「君のクイズ」(小川哲)

 本屋大賞第6位。
一文字も読まれない問題を解答できた謎解き。

6位 「世界でいちばん透きとおった物語」(杉井光)

 とりあえず、読んでみ。
ネタバレありで語り合いたい本。

5位 「パラソルでパラシュート」(一穂ミチ)

 一穂さん2冊目。
大阪の下町と芸人の緩さがいい感じ。

4位 「汝、星のごとく」(凪良ゆう)

 今年の本屋大賞受賞作。
家族の形は人それぞれ。好きに生きればいい。

3位 「方舟」(夕木春央)

 とりあえず、読んでみ(2回目)
本屋大賞第7位。

2位 「川のほとりに立つものは」(寺地はるな)

 簡単にわかったつもりになってるんじゃねーよ。
本屋大賞第9位。

1位 「本好きの下剋上第5部-XII」(香月美夜)

 超大作、完結!神に祈りを!!
そして、祝!!!アニメ第3部!まだ終わらんぞ!

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 まぁ、今年は本好きの下剋上の年になることは、
去年の年末からわかっていた訳で、その通りになった。

 今年の本屋大賞ノミネート作を5冊も読んでるけど、
順位は全然違うな。w

 まだ、本好きの余韻が冷めないんだよなぁ。
来年も楽しみ。

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#読めよ薬剤師2023

年末恒例の企画だけど、
るるーしゅさんが主催者を降りたらしい。

まぁ、面倒くさいんだろうなぁ。
想像以上に大きな動きになっちゃったし。

【2023読めよ薬剤師企画】
《企画概要》2023年に読んで「オススメ」っていう書籍を他の薬剤師にオススメする
《日時》2023年12月29日(金)21時〜

一応、2022~2023年に発刊された、という縛りがある。

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 正直、この企画のために読書記録付けてるので。
今年も参戦する。

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1冊目、フィクション。

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猫を処方いたします」(石田祥)

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いやぁ、これはもうタイトルだけで売れるの確定。
中身も、まぁ予想通り。
アイデアの勝利としか言いようがないわ。

 普通にはたどりつけない心の病院。
たどりつけた患者には、怪しげな医師が、
猫を処方してくれる。

「大丈夫ですよ、
 だいたいの悩みは
 猫で治りますから

そりゃそうだ、としか言いようがない。

 患者さんは、先生が処方した猫と、
注意事項、餌などをもらって帰宅する。
処方期間は1週間くらいかなぁ。
 猫と暮らしているうちに、
(なぜか)悩みが解決してしまう。

 アニマルセラピー?そんな生ぬるいもんじゃないよ。
猫様の力を侮ることなかれ

 別に処方されたといっても、世話をするだけ。
猫を吸うとか、そういう訳ではない。(当たり前)

 もちろん、少しはファンタジー入ってる。
ただ、処方された猫は全部、普通の(?)猫で
特殊能力とかあるわけではない。
(クリニックのスタッフが普通じゃないけど)

 早くも続編が発売されている。
表紙には、「お薬手帳」ならぬ「お猫手帳」が。
そこまでいくと、もはやネタだろ。w

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 それはともかく、
メンタルクリニックにおける、薬の立ち位置って?
もちろん、薬も大事なんだけど、
その人の環境はもっと大事なんじゃないかなぁ。
相談できる人がいる、とか、することがある、とかさ。

 治療は医薬品だけじゃない。
医療スタッフの態度とか。
昔は「あの人の出した薬はよく効く」みたいなのも
あったなぁ。
 ただのプラセボ効果なんだけど、
プラセボ効果、とっても大事だからね。

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 次。学術系。

アルツハイマー病研究、失敗の構造」(カール・ヘラップ)

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アルツハイマーに関して言えば、
今年は新薬、レカネマブの承認が話題になった。
主に、費用の面で

でも、この著者はこの新薬含めても、
アルツハイマー病の研究は失敗が続いている、と言っている。

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 この本は、学術論文でもなんでもない、一般書。
もちろん、著者は研究者だけれども、
私が読んでもかろうじて理解はできる程度の難しさ。

 たぶん、今のアルツハイマーの研究が停滞していて、
それを突き動かすには研究者では難しくて、
研究者外の世論が必要だ、と思ったんじゃないかな。
それで、わざわざ一般書で世間でアピールしているのだろう。

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 前半は、アルツハイマー研究の歴史。
結果がどんどんと出てきて、もうすぐ治療薬ができる、
という機運が高まる。それが20世紀末の状態。

 中心にあったのは「アミロイドカスケード仮説
アルツハイマー病は、脳にたまっていくアミロイドβが
原因でおこっている、というもの。

 私が学生時代でもそう習った気がするなぁ。
ところが、そこから20年経っても治療薬が出てこない
研究や実験は続いているんだけど、
思ったような効果が出ていないのが現実。

 著者は、
「アミロイドカスケード仮説以外にも目を向けては?」
というのが主張。

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アミロイドの研究でなければ、
 アルツハイマーの研究ではない

この言葉が、この本のなかで何度も何度もでてくる。
科学的知見からは、もちろんそんなことはないんだけど、
研究費の奪い合いや、政治的、経済的な状況が、
そういう動きになってしまっている。

 実際のところ、私はこの著者が
単に迫害された研究者で、
恨み言を言っているだけの印象も感じた。
 オレに研究費回してくれれば治療薬作ってやるのに、と。

 何度も繰り返し出てくるんだけど、
著者はアミロイド仮説をすべて誤りだと言っている訳ではない。
ただ、アミロイドだけですべて解決する訳はないだろう、と。

 実際、アミロイド仮説から出てきた薬は、
アメリカでも議論に議論を重ねた上でようやっと承認されたし、
日本でも、盛り上がってるのはごく一部のみ。
 実際に治療にあたっている医師や薬剤師は、
それほど期待していないのが現状じゃないかな。

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 私はそれほど勉強していないので
この著者の主張がどこまで正しいのかはわからないが、

少なくとも、アルツハイマー治療薬の開発が
ずいぶん長い間停滞しているのは紛れもない事実だし、
アミロイドだけで全て説明ができないのも
明らかになっていると思う。

 今、日本で主流で使われている薬は、
アセチルコリン関係の薬で、アミロイド系ではないのね。
研究が始まって20年以上になるのに、
全然薬ができてこないの。

 そりゃ、仮説に問題があるんじゃないの?
という疑問は、当然だと思う。

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 研究がうまくいっていないだけではなくて、
明らかに失敗してるよね。
それはなぜか?というお話。

 最新の科学研究でも、失敗することはある。
そうした場合に、どうやって修正していくのか。

 科学の世界の中だけでは、袋小路から
抜け出せそうにない、というのがちょっとキツかったな。
でも、読んでおく価値はあると思う。

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 最後は、ノンフィクション、エッセイ。

くもをさがす」(西加奈子)

 西さんの本は全部読んでる。
西さんは直木賞作家で、私とほぼ同年代。
最新作は、小説ではなくてノンフィクション。

 西さん、いつの間にか結婚して子供がうまれてて、
バンクーバーに住んでいるらしい。
そんな西さんが、乳がんになった。
この本は、西さんの治療の記録である。

カナダで、がんになった
あなたに、これを読んでほしいと思った

 あえて、「闘病」という言葉は使っていない。
あくまで治療。闘いではない、と。

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 私は西さんの作品をたくさん読んでるので、
ノンフィクションであっても、
西さんの小説の一シーンが浮かび上がってくる。
ああ、このシーンはこの本に似てる、とか。
この表現は、西さんならでは、とか。

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 ただ、薬剤師として読むならば、
西さんのがん(トリプルネガティブ乳がん)の
治療の記録は、勉強にもなる。

パクリタキセル+カルボプラチンのあと、
シクロフォスファミド+ドキソルビシン。

フィルグラスチムを自己注射するのか、とか。 

 そして、カナダの医療事情もよくわかる。
最終的に手術するんだけどね。。

 乳がんの手術、日帰り。

 ドレーンついたまま退院。
薬局でタイレノールもらって帰れ。

 タイレノール(アセトアミノフェン)が
万能すぎる。w

.

 バンクーバーの町のいいとこ、とか。
カナダのいいところ。よくないところ。
そういうのもたくさん書いてる。

 ただね、西さんね。
カナダ人のセリフ、全部関西弁で訳してるのよ。
これが面白い。いかにも西加奈子って感じで。w

 そして、哲学的な問いも多い。
この辺は西さんの「i」を思い出したなぁ。
過去のエッセイにもつながるところあるし。

.

 西さんの小説としての最高峰は、
「サラバ!」だと思っているけれども、
この「くもをさがす」は、
西さんの著作のなかで「サラバ!」に匹敵する。

 西さんファンのみならず、
がんサバイバーの人にも読んでほしいし、
今からがんの治療を受けるひとにも読んでほしい。
そして、医療従事者にも読んでもらいたい。

がんの治療を受ける人の気持ちもわかるし、
さらに、がんの治療の勉強までできてしまう。

.

 いま、がんの治療は日進月歩。
一昔前なら、ステージ4というと絶望的な響きがあったけど、
今はどうだろう?結構、何とかなることも増えてきた。

 結果として、がんサバイバーが増えているのね。
そして、そういった先輩方が、新たにがんになった人の
手助けをする。心の支えになる。

キャンサーシスターフッド」なる言葉がでてきて、
びっくりした。

「シスターフッド」というのは、仲の良い姉妹のように、
お互いを支えあう女性同士の関係のこと。

(これは、柚木麻子さんの「らんたん」読んでほしい。
 私も大好きな話)

 それに、「キャンサー」がんサバイバーの関係を加えることで、
先にがんになった人が、後からなった人を支える関係ができる。
うわー、すごい世界だなぁ。

 もっとも、西さんが人を愛し、人に愛される人だからこそ
というのはあると思うけどね。

西さんは、本当に友人に恵まれている。
みんなが助けてくれる。

 それは、西さんがそういう人だからなんだろう。
西さんが中心にいるから、じゃないのかな。

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 今年も、選考に難航。

 西さんの「くもをさがす」はもう、
読んだ瞬間から、「これは紹介しなきゃ」だったんだけど。

 フィクション枠は、医療系の小説でほかに、
南杏子さんの「アルツ村」や、「いのちの十字路」
先月紹介した、藤ノ木さんの「あしたの名医」なんかもよかったけど、

結局、猫に全部もってかれた。w

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 学術系も、瀬名さんの「知の統合は可能か」とか、
「因果推論の科学」みたいな、科学の根本にかかわるような話も
衝撃的だったんだけど、どちらにせよ重すぎ。

 タイムリーで(比較的)読みやすいアルツハイマーを採用。

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 西さんがなかったら、次点は
尾身さんの「1100日間の葛藤、新型コロナパンデミック」
かなぁ。そういう、コロナの総括みたいな本もよく読んだし。

 ただ、コロナはまだ終わってなくて、
年末年始にかけて、また次の波が来そうな気配があるんだが。

 

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読書記録 2023.11

2023.11の読書まとめ(読書メーター

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11月は30冊読了。

小説(新規)15冊、小説(再読)4冊
学術/ビジネス 9冊、エッセイ/その他 2冊

何冊か読みにくい本があり、冊数は伸びなかった。
読みにくい本でも最後まで読むのが私の流儀。
途中でほっぽり出して読まないことはほとんどない。

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 今月の3冊。

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 まずは小説
あしたの名医:伊豆中周産期センター」(藤ノ木優)

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 珍しく、タイトルだけで新刊で購入したけど、
予想外に面白かった。(失礼)
医療系の小説は、エンタメとして面白いことは当たり前として、
それでいて現在の医療について知ることができて、
勉強にもなる。

 この作品の場合、それに加えて
「伊豆の食べ物」の魅力満載、という
プラスアルファもついてくる。w

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 作者の藤ノ木さんは初めて知ったけど、
現役の産婦人科医らしい。
これ読んで、産婦人科を目指す医師が増えたらいいのに。

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 主人公は、東京の大学病院から、伊豆に出向させられる。
東京では考えられないような勤務体系。
(休日は、自分の予定を提出のこと)
時代遅れとしか思えない「教授ルール」

そもそもが、自分のやりたい医療とは違うけれども、
そんな中でもまれながらも、産婦人科の臨床経験をつみ、
ひよっこながら成長していく、という物語。

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 地方の産科医療は、厳しい。
本当に綱渡りの状態で回しているようだ。
伊豆中にしても、救急車を断る、という選択肢は最初からない。
すべて受け入れるしかないから、勤務体系がえぐいことになる。

 こんなので医師の働き方改革とかどうやっていくんだろうね?
ちゃんと休みをとれるようにしようとするならば、
お産のできる病院を集約して、
一つの病院あたりの医師の数を増やすしかない。

 でも、そうすると田舎の病院から産科が消える、とかで
反対運動が起きる、といった流れだったような。

 実際問題、田舎で産婦人科医一人でやると、
24時間365日勤務」に近い状態になるし、
実際にそれで回していた病院もあるんだけど、
令和の時代にそれは無理でしょ?

 どうするのかな。

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 次、学術系
EXTRALIFE なぜ100年間で寿命が54歳も伸びたのか」(スティーブジョンソン)

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タイトルだけで、どんな内容か想像つくよね。
実際、そういう話。
19世紀ごろまでは、平均寿命は30歳程度だったけど、
今は80歳くらいになっている。
その結果として、人口爆発しているんだけど。
じゃぁ、その要因はなに?

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 平均寿命が短かったのは、
乳幼児死亡率が高かったから。これに尽きる。
昔の平均寿命は30歳って言っても、
15歳くらいまで生きられた人は、その後、結構長生きできる。

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 乳幼児死亡率を下げたのは、
なんといっても、「ワクチン
次に、下水道などの「公衆衛生」
また、医療が未発達な地域でも使いやすい「経口補水液」

 子供が感染症で死ななくなったから、平均寿命が延びた。
もちろんワクチンだけど、感染症を抑えるための公衆衛生。
そして、下痢症状を手っ取り早く改善する「経口補水液」
この辺は、億単位で人の命を救ってる。

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 医学の発達ももちろん要因ではあるけれども、
昔、18~19世紀くらいだと、
医療が介入する方が死亡率が高かった時代もあった。
 今からみたら明らかにやばい治療をしているから。

 医学でのブレイクスルーは、
「ちゃんと効果の判定をできる臨床試験」
RCTの発明。
今から考えれば当たり前の話なんだけど、
これがでてきたのって20世紀の話なんだよ・・・。
対照実験大事。

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 そんな世界の平均寿命だけど、
ここ2年で連続して下がっている
新型コロナの影響の凄まじさ。
 1910年代のスペイン風邪に匹敵する
100年に1度のパンデミックだったんだなぁ。

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 最後。

1100日間の葛藤 新型コロナ・パンデミック、専門家たちの記録」(尾身茂)

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 日本の新型コロナ対策、分科会会長の尾身さんの記録。
尾身さんは、この夏に分科会会長から退いた。
 立場はいろいろ変わったけれども、
常に日本のコロナ対策の中心にいた。
日本のコロナ対策はどうだったのか、の記録。

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 尾身さんはじめ専門家は、最初から、
歴史の審判に耐えられるか?」を考えて行動していた。
そのため、後世からみて検証できるように資料を残している。
この本は、その資料集でもあるのかな。
 次々と変わる事態に、尾身さんや専門家がどう考えて、
どのように対応したのか。

.

 日本は、コロナによる被害をかなり抑えた国の一つ。
欧米に比べると、死者数が異様に低い。
ただ、経済面ではどうだったのか?と言われると難しい。

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 最終的には、医学だけでは語れない価値観の問題になる。
今回は、専門家が「前のめり」で前に出すぎてしまったが、
逆に言うと政治家が前に出たがらなかったからだろう。
本来は、専門家の提言を受けて、国民の信託を得ている
政治家が決断を下すべきなんだ。

.

 5類移行にしてもそういう話。
大した病気ではなくなったから5類に、という訳ではないと思う。
コロナを過去にするために、目をつぶってやった面が大きい。

 夏から秋にかけての9波。
ほとんど報道されていないが、おそらく第8波と同等の死者数が出ていると思う。
統計として正確にカウントしていないからわからないけど
(あとで、超過死亡数として確認できるが、数ヵ月のタイムラグがある)

.

コロナの2020年から2023年。
もっとも死者数が多い年は?

間違いなく、2023年。
今年だ。

8波は過去最高の死者数を出しているし、
9波もそれに匹敵するくらいなんだから。

 それでも、5類にしたんだよ。
コロナで死ぬことをあきらめて、見ないことにした。

 それは価値観の問題だ。
日本国民がそうとわかってやったのならね。
たぶん、ほとんどの人はわかってなかったと思うけど。

.

 願わくば、これで終わりにしないでほしい。
喉元過ぎれば熱さを忘れる、ではだめ。

次のパンデミックに備えるために、
しっかり検証して欲しい。

 何はともあれ、尾身さん、お疲れさまでした。

 

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読書記録 2023.10

2023.10の読書まとめ(読書メーター)

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10月は32冊読了。

小説(新規)15冊、小説(再読)6冊
学術/ビジネス 10冊、エッセイ/その他 1冊

 読書の秋。久々の一日一冊を超えるペース。
理由はあって、「本好きの下剋上」の再読を、
いつもの読書時間外にしているから。

 通勤時間と昼の休憩時間が、主な読書時間だけど、
朝とか夜のちょっとした隙間時間で「本好き」を読み進めてる。
なので、読書ペース全体があがってる、というわけ。

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 今月の3冊。

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 まずは小説
世界でいちばん透きとおった物語」(杉井光)

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 一部で話題になっていた、ネタバレ厳禁な作品。
紙の本でしか無理。電子化不可
という煽り。

 これもまぁ、

読んでみ

としかいいようがないなぁ。

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 これはネタバレ厳禁だわ。
似たような作品もあるのかもしれないが、
私はほとんど知らないので、
この仕掛けを食らって「すごい!」ってなった。

.

 まるで予想外の方向から殴られる感じかな。
何を書いてもネタバレになるので、非常に紹介しにくいし、
あまり小説を読んでいない人だと、
最悪、仕掛けに気づかない可能性もある。

 小説が好きなら、読んでみていいんじゃないかなぁ。
で、ネタバレを誰かと語り合いたい。
そんな作品。

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 ストーリーとしては、会ったこともない父親がなくなって、
小説家だった父親の遺稿を探す、という
ミステリ仕立てになっているんだけれども。

 で、その遺稿のタイトルが
「世界でいちばん透きとおった物語」というタイトル。

 何を書いてもネタバレになるので書きにくいが、
ストーリーは大したことないと思うよ、この本。

 でもまぁ、ミステリーってそういうことよくあるよね。
叙述トリックの本とかなら特に、ストーリーはおまけみたいなもんで、
トリックの方に重点おいてるから。

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 次、学術系
アルツハイマー病研究、失敗の構造」(カール・ヘラッグ)

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 先月に引き続き、今月も認知症関連の書籍から。
今年の8月発売だから、最新の状況だと思う。
今年承認された、アルツハイマー病に対する新薬の情報も含まれる。

 で、この著者はそれ含めても「失敗」と評している訳だ。

.

 別に、学術論文でもなんでもない、一般書。
もちろん、著者は研究者だけれども、
私が読んでもかろうじて理解はできる程度の難しさ。

 たぶん、今のアルツハイマーの研究が停滞していて、
それを突き動かすには研究者では難しくて、
研究者外の世論が必要だ、と思ったんじゃないかな。
それで、わざわざ一般書で世間でアピールしているのだろう。

.

 前半は、アルツハイマー研究の歴史。
結果がどんどんと出てきて、もうすぐ治療薬ができる、
という機運が高まる。それが20世紀末の状態。

 中心にあったのは「アミロイドカスケード仮説」
アルツハイマー病は、脳にたまっていくアミロイドβが
原因でおこっている、というもの。

 私が学生時代でもそう習った気がするなぁ。
ところが、そこから20年経っても治療薬が出てこない
研究や実験は続いているんだけど、
思ったような効果が出ていないのが現実。

 著者は、
「アミロイドカスケード仮説以外にも目を向けては?」
というのが主張。

.

「アミロイドの研究でなければ、アルツハイマーの研究ではない」

この言葉が、この本のなかで何度も何度もでてくる。
科学的知見からは、もちろんそんなことはないんだけど、
研究費の奪い合いや、政治的、経済的な状況が、
そういう動きになってしまっている。

 実際のところ、私はこの著者が
単に迫害された研究者で、恨み言を言っているだけ
印象も感じた。
 オレに研究費回してくれれば治療薬作ってやるのに、と。

 何度も繰り返し出てくるんだけど、
著者はアミロイド仮説をすべて誤りだと言っている訳ではない。
ただ、アミロイドだけですべて解決する訳はないだろう、と。

 実際、アミロイド仮説から出てきた薬は、
アメリカでも議論に議論を重ねた上でようやっと承認されたし、
日本でも、盛り上がってるのはごく一部のみ。
 実際に治療にあたっている医師や薬剤師は、
それほど期待していないのが現状じゃないかな。

.

 私はそれほど勉強していないので
この著者の主張がどこまで正しいのかはわからないが、、

少なくとも、アルツハイマー治療薬の開発が
ずいぶん長い間停滞しているのは紛れもない事実だし、
アミロイドだけで全て説明ができないのも
明らかになっていると思う。

 今、日本で主流で使われている薬は、
アセチルコリン関係の薬で、アミロイド系ではないのね。
研究が始まって20年以上になるのに、
全然薬ができてこないの。

 そりゃ、仮説に問題があるんじゃないの?
という疑問は、当然だと思う。

.

 個人的には、医薬品が難しくてもアプリで何とかならんか?
って思っている。認知機能が落ちても使えるアプリで、
落ちている認知機能を補うようなものがあればよいよね。

 そうでなくても、
「今日、何曜日だっけ?」という質問を何十回繰り返しても、
何十回でも同じ答えを返してくれるだけで、
介護者が楽になるんじゃない?って思ったりして。

.

 

 最後。

バッタを倒しにアフリカへ」(前野ウルド浩太郎)

 以前から話題になっていた本。
バッタ研究者の前野ウルド浩太郎氏が、
サバクトビバッタの研究のため、
アフリカのモーリタニアで研究するお話。

 だいぶ脚色は入っているだろうけど、
ノンフィクションだろう。

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 前野さん、生粋の日本人である。
ミドルネームの「ウルド」は、モーリタニアの上司から「貰った」名前。
海外の研究者で、こんなにがっつりとアフリカで調査する人は
ほとんどいないから、尊敬の意味も含んでいるのかな。

.

 まず、サバクトビバッタだけど、
時々ニュースになることがある。
いわゆる「蝗害」をおこすバッタだ。

 すさまじい数の群れになり、農作物ほかを食い尽くす大群。
経済的被害は甚大。なので、対策が必要なんだけれど、
おもにアフリカで発生するので(中国にもあるだろうけど)
あまり研究が進んでいないようだ。

 そこで、バッタに魅せられた前野氏が、
アフリカを救うべくモーリタニアで現地調査を行う、と。

.

 前野さんがモーリタニアに飛び立ったのは、2011年の春。
東日本大震災の年。
祖国が大変なことになっているのに、あえてアフリカへ飛ぶ。

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 それだけバッタに魅せられているとしか言いようがない。w

研究者だけれども、当然のようにポストはない訳で、
ポスドクの任期つき研究者という、非常に不安定な立場でアフリカへ。
そして、現地滞在中に(実質)無職になってしまう、という。

 いやー、今もそうだけど、研究者、博士って食えないからねぇ。

.

 生活の糧を得るために、ネットでアピールする。
たぶん、当時はニコニコ動画の方が有名だったんだろうな。
ニコニコ超会議に出たこともあるらしい。

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 本を読んでもらえらばわかるんだけど、
この人、ネタとしてめちゃくちゃ面白いのよ。w

 おそらく、素で面白いというのもあると思うけど、
ある程度は「計算して」このキャラやっているんだと思う。
そうしないと食っていけないから。

 たぶん、研究者として成功しなかったとしても、
これだけ文章かけるんなら文筆業で生きていけるんじゃない?

.

 ただ、この本ね。
アフリカでの体験を面白おかしく書くのがメインなので、
肝心の研究内容については、ほとんど書かれてない

 それは、ガチの学術書を読んでくれ
ってことなのかなぁ。

 しかし、もはや誰もこの人にガチの学術書を
求めていないような気がするな。ww

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読書記録 2023.9

2023.9の読書まとめ(読書メーター

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9月は28冊読了。

小説(新規)14冊、小説(再読)6冊
学術/ビジネス 7冊、エッセイ/その他 1冊

読書の秋?いや、まだ夏でしょ。
読みにくい本が何冊かあったので冊数は少なめ。

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 今月の3冊。

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 まずは小説
いのちの十字路」(南杏子)

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 映画化もされた「いのちの停車場」の続編にあたる。
前作では、ドライバーとして活躍?していた野呂君が、
医師国家試験に合格して、金沢に帰ってきた。
 今回は野呂君を主人公にして、在宅医療にかかわる話。

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 テーマは、ヤングケアラー。というか、介護者全体の話。
前作ほど尖ったテーマ設定ではないけれども、
これはこれで大変な話だった。

 介護には4つの権利がある、とされている。

1)介護を受ける権利
2)介護を行う権利
3)介護を受けるのを強制されない権利
4)介護を行うのを強制されない権利

 このすべてが満たされなくてはならない。
誰もが介護を受ける権利はあるし、行う権利もある。
また、受けない権利もあるし、無理やりやらされることでもない。

.

 本作では、いろいろな事例がでてくるけれども、
かなりヘビーな話も多かった。
比較的マイルドに書かれているのは、野呂君のキャラのおかげだろう。

 もっと早く介護保険につながれないのか?と思うな。
それには、地域のつながりが大事なんだろうか。
金沢でこれだったら、都会はもっとひどいんじゃないだろうか。

 そして、最後にでてくるのが

#ケアラーに休日を

 介護者、特に家族が介護している場合は、
介護を休む権利も必要なんじゃないの?という訴えだ。
だって、死ぬまで重労働だよ、これ。
 たまに休まなきゃやってられないよ。

 在宅でがっつり、家族がみる、ってのと、
施設に入れてあとは放置、という両極端が目立ちすぎ?

 ふだんの介護の負担をもっと少なくできれば、
たまには1週間くらい介護のことをきれいさっぱり忘れて
バカンスを取ることができれば、
 もっとよい状態を長く続けることができるんじゃないのかな?

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 次、学術系
認知症になってもだいじょうぶ!」(藤田和子)

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 9月は敬老の日があることもあり、
最寄りの図書館では認知症に関する本を集めた
ミニコーナーが作られていた。

 何冊か読んだし、勉強になったけれども、
その中から一冊紹介するとこれかな。
少し前の本だけど。

 著者の藤田さんは、若年性アルツハイマー型の当事者。
40代で発症して、この本が書かれるまで10年くらいかな。
症状は徐々に進行しているものの、
まだ、ある程度の認知機能は保たれている。
(少なくとも、手助けがあれば出版できるレベル)

 アルツハイマーに関する、数少ない当事者本だ。

 症状は人それぞれなんだろうけれども、
介護の問題になったときに、支援、行政は
介護者の方ばかり向いていて、本人を無視していることが多い。
(たぶん、言っても理解できないだろう、と思われているので)

 いや、本人の声も聴きなさいよ、と。

できること、できないことは人によってまちまちだけれど、
全員が何もできないことはないんだから。

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 あと、認知症と診断されてから、
要介護認定がでるまでの期間。
ここが、本人にとっても介護者にとってもしんどい。

 まだまだできることは多いんだけど、
そんな時こそ支援が必要なんだけどな。
支援の空白期間になっている。

 それと、認知症は一気に進むことは少なくて
徐々に進行していくものだから。
本人にとっては、少しずつできないことが増えていくので、
そこをもっと支援してほしい、と。

 行政からみると、できることが多い間は
「まだ、支援必要ないよね」ってなっちゃいがち。

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 アルツハイマーの治療法は全然すすまないけど、
そういう、支援の方法は少しずつ進化していると思う。
こういう、当事者の声を拾えるようになっていけば、
よりよい社会を築くことができるかもしれない。

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 そういえば、アルツハイマーに関しては新薬が話題になっているけど、
実際のインパクトは、それほどでもないんじゃないかな?と。
まだ、あまり勉強していないんだけどね。

 発症するかなり前から投薬すれば効果は期待できるみたいだけど、
薬が高価なこともあるし、「誰に投与すればいいのか」という条件設定が
難しいと思う。

 


 最後。

リバタリアンが社会実験してみた町の話」(マシュー・ホンゴルツ・ヘトリング)

 邦題は長いわりに、本書の実態を表していない。
原題は「A libertarian walks into a BEAR」

 で、「BEAR」がめちゃ大きいフォント。
そう、この本の主役はリバタリアンでなくて「熊」なのだ。w

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 リバタリアンってのは、アメリカの自由至上主義者。
税金は一切払いたくない。あらゆる規制に反対。
なんなら、政府に頼らず自分たちだけで生きていきたい人たち。

 そういう人たちが、ニューハンプシャーのブライトンに集まって、
自分たちに都合の良い制度の町にした。

 どうしたかというと、希望者がみんなで移住しただけ。
で、有権者の多数派に収まってしまえば、
リバタリアンが好き勝手できるよね、と。
確かにそうだ。

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 そうした結果どうなったか、というと、
なぜか、熊が日常的にあらわれる町になり、
ヒトが襲われる事態が発生。
 熊との抗争が始まってしまった、と。

.

 え、これいつの時代の話?って思うでしょ。
驚くなかれ。

 これ、21世紀の話

割と最近なの。

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 いやー、アメリカの自由主義、恐れ入ったわ。
他方では、熊を狩るハンター(違法)がいて、
もう片方では、熊を餌付けしている人がいて、
税金少ないから警察や公権力が弱く、
かつ、害獣駆除までお金と手が回らない。

 その中に、変な宗教組織があったり、
政治的な活動家がいたり。

 もう、カオスとしかいいようがないわ。
自由と混沌は紙一重、というか同義なのでは?w

.

 最後の方に新型コロナの話もちらっと出てきたけど、
そりゃ、これだけ規制が嫌いな人たちがマスク付けるわけない。
そんなの当たり前だ。

 その結果、クラスターが発生して、上層部で死者が出たり。

 なんだろう、アメリカの「自由」の恐ろしさを思い知ったわ。
日本で「自由」って言っても、ここまで無茶する人いないもん。
日本は、というか日本人は、最低限の常識やマナーが共有されてるもん。
アメリカは移民の国だから、そんなもん存在しないんだろうなぁ。

 

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読書記録 2023.8

2023.8の読書まとめ(読書メーター)

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8月は30冊読了。

小説(新規)12冊、小説(再読)7冊
学術/ビジネス 8冊、エッセイ/その他 3冊

何とか30冊に届いたけど、
今月はあまり読書がすすまなかった。
学術系の本が難解だったり
合わなかったりしたからなぁ。

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 今月の3冊。

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 まずは小説
猫を処方いたします」(石田祥)

 この作者さんの本は初めて。
なのに、図書館で借りることもなく、いきなり購入。
初物をいきなり買うなんて、
過去にちょっと記憶ないなぁ。

 なぜか?
文庫本だというのもあるが、
表紙の猫にやられた。

 処方猫ってなにね?w

いやぁ、これはもうタイトルだけで売れるの確定。
中身も、まぁ予想通り。
アイデアの勝利としか言いようがないわ。

 普通にはたどりつけない心の病院。
たどりつけた患者には、怪しげな医師が、
猫を処方してくれる。

「大丈夫ですよ、
だいたいの悩みは
猫で治りますから

そりゃそうだ、としか言いようがない。

 患者さんは、先生が処方した猫と、
注意事項、餌などをもらって帰宅する。
処方期間は1週間くらいかなぁ。
 猫と暮らしているうちに、
(なぜか)悩みが解決してしまう。w

 アニマルセラピー?そんな生ぬるいもんじゃないよ。
猫様の力を侮ることなかれ。

 別に処方されたといっても、世話をするだけ。
猫を吸うとか、そういう訳ではない。(当たり前)

 もちろん、少しはファンタジー入ってる。
まだまだ謎も多いし、これは続きそうだなぁ。
そしてまた、買ってしまうんだろうか。
くそ、まんまと猫に買わされてしまった。

 私の好きなキーワード。
「猫」と「処方」が両方とも入っているんだから、
そりゃ買うしかないでしょ。


 次、学術系
因果推論の科学」(ジューディア・パール)

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 分厚くて難解。難しい本だった。原題は「The book of why」
今までの統計学では、相関関係はわかっても、因果関係はわからなかった。
相関関係と因果関係は異なる」のが、統計学の基本。

 で、相関関係を求める計算方法とかはいろいろあるんだけど、
因果関係がどうなっているのか、を求める計算方法はなかった。

 そこを何とかしよう、と著者が新しい学問を始めた。
それが因果推論、ということかな。
これ、一応一般向けの本なんだけど、きわめて難解だった。

 まず、世の中で最も確実なテストは、
RCTだ。ランダム化比較試験。
これは、医薬品の開発には欠かせない。

 でも、恐ろしく時間と費用がかかるし、
倫理的にできない場合もある。
例えば、たばこと肺がんの関係を調べるのに、
ランダムに喫煙させる、とか無理がある。

 たばこと肺がんの関係が認められるのに、
相当な時間がかかった理由の一つでもある。

 で、この著者らの新しい因果推論を使えば、
RCTできないような事象に関しても、
因果関係を推定できるようになる。

.

 ようは、交絡因子を適正に処理していけばいいのだが、
これが難しい。修正してはいけない因子もあったりする。

 で、その辺はAIに判断ができない。
コンピューターは計算できるだけで、意味はわからないから。
因果関係がわからないんだな。

 最終的にストロングAIを作るためには、
この部分の因果推論を計算式で表す必要がある。
まだまだ非常に難しいが。
そうでなければ、人間のように判断はできないだろう。

.

 データはどれだけ集めてもデータであって、
それをうまく活用するためには、因果関係を踏まえた知恵が必要なのね。
でも、その知恵をコンピューターに教えるのが極めて難しい。

 ここを突破できれば、一気にブレイクスルーできそうなんだが。
科学全体が、一段階上のレベルに上がるんじゃないだろうか。

 でも、それって人類に可能なのかな?と思うが。(苦笑)

 とにかく、難しいけど学問的に非常に重要、
というのだけわかった。

できれば読んでみてほしい。

.

 あと、パラドックスの例が面白かったな。
知ってるのもあったけど、人間は勝手に因果関係を読み取ってしまう生き物だから。

 一つ紹介すると、
異性の容姿と性格に負の相関が見えることの説明が面白かった。
2枚のコインがあって、どちらも裏なら記録しない。
そうでないなら記録すると、およそ2/3の確率で表と裏の組み合わせになり、
負の相関が見えてくる。片方が表なら、もう一つは裏の確率高くない?って。
いや、両方とも裏を記録してないから当たり前なんだが。
これは、喩え。

異性の容姿と性格についても、両方悪い人(どちらも裏)を眼中にいれないから、
容姿と性格に負の相関が見えてしまう、らしい。
基本的には、容姿と性格には何の相関関係もないはずだけど。
容姿も性格も悪い人をサンプルから排除してしまうと、(人は無意識にそうする)
どっちかだけいい人が多くなってしまうのね。

データの観察の仕方によって、いろんなパラドックス、相関がみえてしまうんだ。

 難しいけど面白い。でも難しい。

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 最後。

くもをさがす」(西加奈子)

 西さんの本は全部読んでる。
西さんは直木賞作家で、私とほぼ同年代。

最新作は、小説ではなくてノンフィクション

 西さん、いつの間にか結婚して子供がうまれてて、
バンクーバーに住んでいるらしい。
そんな西さんが、乳がんになった。
この本は、西さんの治療の記録である。

「カナダで、がんになった」
「あなたに、これを読んでほしいと思った」

 あえて、「闘病」という言葉は使っていない。
あくまで治療。闘いではない、と。

.

 西さんの作品をたくさん読んでるので、
ノンフィクションであっても、
西さんの小説の一シーンが浮かび上がってくる。
ああ、このシーンはこの本に似てる、とか。
この表現は、西さんならでは、とか。

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 ただ、薬剤師として読むならば、
西さんのがん(トリプルネガティブ乳がん)の
治療の記録は、勉強にもなる。

 そして、カナダの医療事情もよくわかる。
最終的に手術するんだけどね。。

 乳がんの手術、日帰り。

 ドレーンついたまま退院。
薬局でタイレノールもらって帰れ。

 タイレノール(アセトアミノフェン)が
万能すぎる。w

.

 バンクーバーの町のいいとこ、とか。
カナダのいいところ。よくないところ。
そういうのもたくさん書いてる。

 ただね、西さんね。
カナダ人のセリフ、全部関西弁で訳してるのよ。
これが面白い。いかにも西加奈子って感じで。w

 そして、哲学的な問いも多い。
この辺は「i」を思い出したなぁ。
過去のエッセイにもつながるところあるし。

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 西さんの小説としての最高峰は、
「サラバ!」だと思っているけれども、
この「くもをさがす」は、
西さんの著作のなかで「サラバ!」に匹敵する。

 西さんファンのみならず、
がんサバイバーの人にも読んでほしいし、
今からがんの治療を受けるひとにも読んでほしい。
そして、医療従事者にも読んでもらいたい。

がんの治療を受ける人の気持ちもわかるし、
さらに、がんの治療の勉強までできてしまう。

 これ、間違いなく今年のベストだわ。
「読めよ、薬剤師」のノンフィクション枠確定だ。

 これは本当に、読んで。

 そして気に入ったら、
西さんのほかの作品も読んでみて。
すごいから。

 

 

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読書記録 2023.7


2023.7の読書まとめ(読書メーター)

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7月は31冊読了。

小説(新規)14冊、小説(再読)6冊
学術/ビジネス 9冊、エッセイ/その他 2冊

 今月も1日1冊ペースでいけた。
仕事がかなり忙しくて大変なんだが、読書時間は確保している。

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 今月の3冊。

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 小説から。

パラソルでパラシュート」(一穂ミチ)

一穂さんの本は、2冊目、かなぁ。
今年の本屋大賞ノミネート作はまだ読めてないけど、
本作はそのひとつ前の作品。

 30歳目前の受付嬢。何のとりえもない契約社員の雨ちゃんは、
誕生日に売れないお笑い芸人の亨と出会う。
雨ちゃんがなぜか芸人仲間に紛れ込んで人生を楽しむ。
そういうお話、かな。

 30歳までに結婚して、子供産んで。
そういう、「普通の幸せ」というところの普通って何?
芸人さんたちと付き合っているとハチャメチャでスリリング。
でも、ものすごく「今」を楽しく生きてると思う。
これはこれで、全然アリじゃないかなぁ。

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 いや、普通はこの出会いならもっと恋愛小説になると思うんだが、
雨ちゃんと亨、これ、付き合ってるのか?ちょっと微妙。
相方の弓彦を含めた三人の掛け合いが絶妙に面白かった。
これも、「普通」の恋愛じゃないわな。
でも、このままみんな年を重ねていっても、それで面白いと思う。

 これも、多様性だよ。
結婚して子供産むだけが人生じゃない。

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 大阪の地元民として、一つだけ突っ込むと、
茨木方面(雨ちゃん実家)から木津川駅(芸人シェアハウス)行くのに、
岸里玉手で乗り換えるやつはおらんぞ。
別にそこ、書く必要ないのにあえて間違ったルート書かなくても。
てか、校正も誰も気づかんかったのか?

 でも、あの辺(西成)の空気感はちゃんと出てるように思った。

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 次、新書から
なぜ理系に女性が少ないのか」(横山広美)

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 少し前に、ツイッターである人が意見を募集していた。
「理系に女性が少ないのはなぜか?」
その人の出した結論が面白くて炎上っぽくなったんだけど、
結論は「女性が少ないから」w

 は?ってなるけど、意味は理解できる。

 女性が極端に少ないところに行こうと思う女性が少ない。
ってことだよね。

 情報も回ってこないし、ロールモデルもいない。
女性が理系に進んで、どのような将来を描けるのか見えない。
だから、女性が少ない。女性が少ないから女性が来ない。
負のスパイラルにはまるわけ。

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 まず、前提として、男女に能力差はない。
女子は数学が苦手、とか、それは妄想。
「みんながそう思ってるから」そうなってしまっているだけ。

 この本によると、欧米にくらべて、大学に行く女子が少ない。
実は、欧米の先進国では、女子のほうが男子より多い現象がおきている。
逆に「男子落ちこぼれ問題」がある、っていう。

 それと比べると、東大の男女比は尋常じゃない。
圧倒的に男子のほうが多いのよ。なんで?
そこには、ジェンダーギャップがあるんじゃないの?って話。

 さすがに減ってきたとはいえ、一昔前は
「女子が大学に行ってどうするの?」っていう時代があった。
短大卒のほうが、四大卒よりも就職がいい、みたいな
ありえない時代もあった。

 それは、女性は結婚して家庭に入り、
子供を産むのが普通の幸せ、という概念が強かったからだね。
結婚するために、学問いる?

 まぁ、いい男捕まえるためには、
いい大学に行っておいたほうがつながりは作りやすいけど。
でも逆に、東大女子って、ほかの男子が引いてしまう。
女性はむしろ学歴が結婚の邪魔になることがある、という。

 いい大学いって、いい就職をしたら、
逆に婚期遠のくよね。結婚する必要ないし。
キャリアを考えると、今の社会だとむしろ子育てなんかしてられない。

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 女子の理系進学率を高めるには、
まず、親世代の意識改革が必要。
理系に進むと、どんな就職があるのか、とか。
著者によると、文系よりも就職はいいらしいけど、知られていない。

 確かに、私でも知らんかったもんなぁ。

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 ちなみに、私の娘は理系志望だ。
うん、好きにしたらいいんじゃないかな。
好きなものを勉強したらいいよ。

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最後も小説から。

君のクイズ」(小川哲)

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 今年の本屋大賞第6位。
ジャンルとしては、ミステリ?になるのかな。

 とある生放送のクイズ王決定戦の決勝戦。
優勝者が決まる最終問題。
対戦相手、本庄は問題が一文字も読まれないうちに、
回答(「ママ、クリーニング小野寺よ」)して、
しかもそれが正解で優勝。

 もちろん、不正やヤラセが激しく疑われるわけで、
本庄はその後、音信不通になる。

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 この本は、負けたほうのクイズプレイヤー、
三島が決勝戦を振り返りながら、
「なぜ、本庄は一文字も読まれる前に回答できたのか?
を解き明かしていくミステリーとなっている。

 うーん、クイズ番組の裏側、というか、
クイズプレイヤーが何を考えているのか、かなり取材したうえで
綿密に描写されているのが、新鮮で面白かった。

 例えば早押し問題なら、答えがわかってから押したら、
押し負けることがある。(ほかの人に先をこされる)

 なら、「わかりそう」と思った時点でボタンを押す。
そして、「答えをどうぞ」といわれている時間に必死に思い出す。w

 競技かるたの「決まり字」みたいな戦い。
問題文がどのように続くかを予想しながら、
「次にこの文字(音)が聞こえたら、ボタンを押す」
超一流のクイズプレイヤーはそういう世界になっているらしい。
ほんまかいな?

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 で、読み進めていくともちろん、0文字回答の謎は解ける。
本庄が、出題者をうわまった結果なんだな、と。

 でも、もう一つ謎が残るんだよね。
すなわち、「なぜ本庄はリスクを知りながら0文字回答を行ったか

 本庄目線から言うなら、おそらくこの問題は相手(主人公)に
押し負ける可能性はかなり低いので、
2,3文字(音)読ませてから押してもよかったんだ。
むしろ、そのほうが不正やヤラセ疑惑から逃げられるんだから。

 で、もちろんそっちの謎にも解答は示されるんだが。
これが、賛否両論別れそうな感じ。(苦笑)
なんというか、今の時代だなぁ、と。

 ネタバレするのもあれなので、読んでみてほしい。
クイズ好きなら、はまると思うな。
確かに、めっちゃ面白いけど、読者を選ぶ感じがするな。
やっぱり、ミステリで本屋大賞は難しいよなぁ。

 

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