(~'09)仕事(薬局)

カテゴリ変更のお知らせ

「日記・コラム・つぶやき」のカテゴリーは、2009年をもって終了しました。
2010年以降は、「('10)日記」、「('10~)コラム」にアップされます。

 同様に、「健康情報」、「仕事(薬局)」のカテゴリーも、
2009年をもって、一旦区切ります。

こちらは、自分で作ったカテゴリーなので、名前を変えることができました。
2009年以前の記事は、「(~'09)」がカテゴリー名についています。

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「日記・コラム・つぶやき」のカテゴリーはココログのデフォルト設定なので、
名前を変えることができませんでした。w

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眠くなる風邪薬

 ちょっと前に、子供に市販の風邪薬はよくないって書いたなぁ・・・。

「6歳未満の小児には、市販の風邪薬を使わない」(2009/03/14)

 今日の話は、市販の薬ではなくて医師が処方する風邪薬の話。

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 こないだ、小児科のドクターの書いた本を読んだところ・・・
くしゃみや鼻水を鎮めると言われる「抗ヒスタミン薬」はそれほど効果がない。
それよりも、抗ヒスタミン薬の鎮静作用を期待している、、との記述が。

 鎮静作用って・・・ようするに、「眠くなる」ってことだ。
子供には、あえて眠くなる薬を使う、ってことか。
っつーか、くしゃみや鼻水には効かないって言っちゃっていいのか。w

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 高熱やらなんやらで、眠りにくいだろうから、
しっかり寝かせてあげよう、という心遣いらしい。
子供をもつ親としては、実にありがたい心遣いである。

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 大人向けの風邪薬としては、眠くなりやすいのは問題になるんだけど。
子供向けなら問題ない、っつーか、眠くなりやすいほうがいいわな。
いや、その先生が特殊なだけかも知れないけれども。

 薬剤師は、子供に風邪薬を渡すときに、こう説明している。
「これは、くしゃみや鼻水をおさえる薬です。
 副作用として、少し眠くなることもあります。」

 うーん、これって、医師の処方意図を考えるとまるで違うかも知れないのか。w

 まぁ、親となってみればちゃんと理解できるけれども。
「眠くなってくれてOK。むしろ、寝てくれ。」

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漢方薬が保険診療から外れる??

 話題の「事業仕分け」。
漢方薬に関して、保険外になるのでは?と話題になっている。
実際、私も(知らない間にw)「反対」の署名をしている。

 漢方薬保険外に(産経の記事)

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/091129/biz0911290002000-n1.htm

 以下、一部引用

「公的医療保険の対象として湿布薬、うがい薬、漢方薬など薬局で市販
されるものまで含めるべきか。見直すべきではないか」

今月11日の行政刷新会議に提出された、財務省の論点ペーパーに沿って
行われた
議論の結果、市販類似薬は「保険外」の判定となった。市販類似薬
の範囲については「議論が必要」と結論を先送りしたものの、
漢方薬が「保険外」となれば医師の処方はできなくなる
保険診療と保険外診療を併用する混合診療は、原則禁止だからだ。

 引用終わり(強調は引用者)

 はっきりいって、そんなことになれば現場は大混乱だ。
「全く漢方薬を使わない医師」って・・・1割もいないんじゃないか?

 ただし、上の記事(引用部分)をよく読んでみると、
「漢方薬が保険外となる」とは・・・書いてない

 ようするに、市販類似薬について、保険外にしたい、という流れがあり、
あとはその市販類似薬の中身の問題だと思う。
で、「市販類似薬の範囲」について結論を先送りにしているんだから。

 今の時点では「漢方薬が保険外になるかも知れない」くらいだな。

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 実際の仕分けの会議録を文字でアップしてくれた人がいた。

http://fp-the-ambiguous.blogspot.com/2009/12/blog-post.html

詳細は、上のリンクを読んでもらえればわかる。
仕分けの内容は、全て公開されていた。
今なら、ニコニコ動画から見ることができる。(ただし音声のみ)

 ただ、動画を見るのは時間がかかる・・・。
そこで、問題となった部分のみ、文字でおこしてくれた。
それを見た私の感想は・・・

「漢方薬については、何も議論していない」

 最初に官僚が漢方薬について、簡単に説明している程度。
あとは、最後に「漢方薬を外すのは反対」と叫んだ仕分け人がいる。

・・・おそろしいことに、本当にそれだけだ

.

 なんで、これだけの議論でそんな話になるか、というと、
もともと、財務省の書いた資料の中にそう書いてあるから。
でも、仕分けの議論自体は、財務省の資料どおりに進んだ訳ではない。

 官僚の意見としても「治療費の負担が増えるので、法改正が必要」
とか「保険外にするという方向すら、決まっている訳ではない」とか。

 少なくとも、すぐにどうこうするといった話ではない。

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 仕分け作業は、国民に公開されている。
つまり、仕分け作業で「漢方薬については何も議論していない」のは、
明らかになっている。
 いくらなんでも、「議論していないのが明らかなのに」漢方を
外すなんてことは、不可能だろう。

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 じゃぁ、なんで冒頭の産経新聞のような報道が出たか?
1つには、記者が仕分けを見ていないんじゃないか、と。w
単に、手を抜いているだけじゃないか?という説。

 もう1つは、危機感を感じた漢方業界が先手を打って動いたから。
さすがに、「こんなので保険から外される」とは本気で思ってないだろう。
ただし、いずれは議題に上ることが考えられる。
少なくとも、財務省が本気なのは間違いないし。

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 私の意見としては、全体をどうこうっていうのは、暴論だと思う。
湿布にしても、風邪薬にしても、漢方薬にしても、
「これは必要だろう」ってのもあれば、「これはムダ」ってのもある。

 例えば、
「薬局でナイシトール(注:防風通聖散)買うと高いから、
 先生に頼んで出してもらった」

 なーんて話なら、保険医療費の無駄遣いだと思う。
湿布でも、「セルタッチパップ 30」とか、すさまじいのも
見たことある。絶対に余るに決まってる。
つーか、他人に売ってるんじゃないだろうな?みたいなの。

 こういうのは、びしばし削るべきだと思うけれども。
その一方で、本当に必要なものもある。
保険者、支払い基金が、より厳しくやればいいだけのような気がする。

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ロキソニンがスイッチOTCに

 ロキソニンが、スイッチOTCになりそうだ。
以前に、ボルタレンがスイッチOTCになったと記事を書いた。

ボルタレンがスイッチOTCに(09/05/22)

ボルタレン、ロキソニンは、鎮痛解熱薬として1,2位を争う。
ボルタレンは、外用薬のみがスイッチOTCになったんだけれども・・・
ロキソニンは、なんと内服薬がスイッチされるようだ。

http://www.yakuji.co.jp/entry17367.html

 これは、いいニュースだろう。特に、OTCを売る薬剤師にとって。
1類の医薬品では、リアップ、ガスターくらいしかなかったが、
ロキソニンという強力なブランド力をもつ商品が加わることは、ありがたい。

 また、お客さんにとっても、選択肢が広がることはいいことだ。
もっとも、副作用を起こさないように注意する必要はあるんだけれども。

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 ロキソニンと一緒に、ガスターもいかが?ってやっちまいそうだな。w
医師の処方では、鎮痛剤は単独よりも、胃薬と併用することの方が多い。
鎮痛剤による副作用を緩和するためだ。

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 問題は、値段設定だけど・・・高いだろうなぁ。
6錠で600円くらいはするんじゃないか、と予想。
(つまり、ガスターと同じレベルじゃないかと。)
たぶん、既存の鎮痛剤の数倍の値段になると思う。

 それでも、ロキソニンのネームバリューは大きいと思うんだが・・・
どうだろうか?

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病院の中の勉強を。

 調剤薬局の薬剤師は、病院の中を知らないことが多い。
6年制の薬剤師なら、まだ病院実習をしっかり受けてくるだろうけど、
それまでに卒業した薬剤師(もちろん、私も含まれる)は、
病院の中の実務をほとんど知らないことも多い。

 難しい領域だと、抗がん剤、化学療法なんかは、
ほとんどが注射剤なので、薬局にいてもまるでわからない。
でも、患者さんは来るから、知識としては知っておいたほうがよい。

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 先日、こんな例があった。

タスオミン錠(一般名:タモキシフェン)の処方箋がきた。
これは、ホルモン剤で、乳がんに使われる。

 薬歴を見ると、その患者さんは1年ぶりの来局。
1年前も同じ薬が出ているが、1年分出てた訳ではない。(当たり前)

 私は、「この患者さんは、おそらく他の薬局で薬をもらっていたんだろう」
と解釈した。近くの医療機関の処方箋ではなかったし。
気が向いたとき、(あるいは、何かの都合で)、たまにこっちに処方箋を
もってきてくれるんだろう、と。

 ところが、後輩の新米薬剤師は、「再発したんですかね?」
とボケたことを言ってくれた。(患者さんに言ったわけではない。さすがに)
とりあえず、「何をぼけとんねん」と突っ込んではみたものの。

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 簡単に解説すると、
タスオミンは普通、乳がんの手術後に、再発を抑制するために服用するもの。
なので、「タスオミン処方」=「乳がん再発」な可能性は低い。
(もっとも、薬の服用をさぼっていたケースは考えられる。)

新米薬剤師は、タスオミンは発生した乳がんを治療する薬だと思っていた訳だ。
で、私が「そんなわけあるか!」と突っ込んだ。

 と、こ、ろ、が。
薬の添付文書を見ても、効能効果/乳がん。と書いてあるだけ。
具体的にどんな時に使用するかは書いていない
「外科的手術後、再発抑制のため5年間服用」ってのが常識なんだけれども、
その常識は、どこにも書いていない・・・。

 確かに、私も教科書で勉強した記憶はないなぁ。
なんで知ってるか、と言われると・・・おそらく、新聞の医療欄で読んだとか、
一般向けの医療書に書いてあった、とかだろう。
薬学教育として、教わった記憶はない。

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 でも、医師や病院の薬剤師(たぶん看護師でも)なら、
もう常識のレベルなんじゃないかと思うんだけれども。
大学を出ている薬剤師が、そんなことも知らない。それも教わっていない。
これに、ちょっと頭を抱えてしまった。

 さて、こういう内容を一体、どうやって勉強したらいいんだろう?
また、どうやって教えていけばいいんだろう、と。

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 この事例、私は「偶然」知っていただけだ。
もちろん、それなりに勉強してるから知っている、ということもあるけど。
でも、他の事例ならどうだろうか?
病院の中なら常識とも言えるようなレベルの話を、
全く知らない、わからない、ということも十分ありえる。

 薬の説明書にはこう書いてある。でも、実際には全然違う使い方をする。
そういうことって結構ある。実際、わからんことも多いけど、
薬局の薬剤師相手だと、誰に聞いてもわからないことの方が多い。
(今の職場だと、私がわからなければたいてい誰もわからない。)

 例えば、Dソルビトールは何のために使うのか、とか、
ガスター散を子供に使うのはどんなとき?とか。未だにわからん。
添付文書にも、「治療薬マニュアル」のような薬の辞書にも載ってない。
誰か、知っていたら教えて欲しいんだけど・・・
 でも、病院の中の人なら、あっさり知ってそうな気がする・・・。

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 つまり、問題は薬局薬剤師が臨床に疎いこと
さらに、教科書にも載っていないから、勉強のしようがないこと。
でも、しっかり知ってないと、医師と対等に話すなんてできないし。
それどころか、患者さんにすら馬鹿にされてしまう。

 それでも、勉強するために一番手っ取り早いのは・・・
患者さん本人に訊いてみること、だろうな。
恥ずかしいけど、しょうがない。知らないんだから。

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ルールを破るなら・・・

 仕事の話。
先日、終了時間間際に、知っている患者さんが駆け込んできた。
他の薬局に行ったけれども、信用できないのでこっちに来た、とのこと。

 その患者さんは、ウチの近くの医院さんに来たときはウチに来てくれるが、
他の病院に行ったときには、その近くの薬局で薬をもらっていたらしい。
それ自体は、よくある話だから別にかまわないんだが。

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 患者さんの訴えを聞いてみると、、

1.処方箋に明らかな誤りがあった。
2.薬剤師から、FAXで疑義照会するから時間がかかるといわれた。
3.他にも患者さんはたくさんいて、長時間待たされた。
4.あまりにも待ち時間が長いので、直接病院に行こうとしたら止められた。
5.あげく、「たぶんこれでいけると思います」と、医師の返事を待たずに投薬した。

 ・・・。こう書くと、怒るのも無理はないわな。

最後に見切り発車で出すくらいなら、最初からそうしろよ、と。
しかも「たぶん」て何?そう言われたら服用できないだろうが。
俺が直接病院に聞いてやると言ってるのに、なぜ止めたのか理解不能。

 ごもっともでございます。

 ただ、この患者さんは疑義照会に時間がかかるのは理解していた。
で、ウチの薬局なら自宅からも近いので、いつでも来れる、と。
「明日の夜にまた来るから、それまでに何とかしといて」と言われ、
その日は帰られた。

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 処方箋の誤りは、

「ハイペン錠200mg 2錠
 ガスターD錠10mg 2錠 1日1回 朝食後」

というもの。

 薬剤師なら一目でどこがおかしいかわかる。

 おかしいのは用法。
ハイペンは痛み止め。ガスターは胃薬なんだけど、
これらは通常1日に2回服用するタイプの薬。

1日2錠はそれでよいとして、それを朝1回で服用するのはおかしい。
おそらく、正しい用法は「1日2回 朝夕食後」だろう、とまで推測できる。

 ただし、用法ではなくて用量が違うとか、
そもそも医薬品名が異なっている、という可能性もわずかにある。
なので、疑義照会は必須だ。

.

 問題となった薬局では、その病院にFAXで疑義照会を行った。
おそらく、「疑義照会はFAXで」と決められているんだろう。
そのこと自体は、仕方のないことだ。

 で、診察中の先生までなかなかつながらないってのも仕方ない話だ。
そこで、患者さんは「俺が直接先生に聞いてみる」といったんだけど、、

 薬局としては、「今、FAXで聞いてるところなので・・・」
と及び腰になる。多分、病院に対する配慮も少しはあると思う。

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 ただし、こんなしょうもないことで長時間待ってもらうのは気が引ける。
そこで、(誤りは)ほぼ間違いないだろうから、と見切り発車する。
もちろん、法的には問題がある。
薬剤師は、処方箋に疑義が残る場合、調剤してはいけない
しかし、同業者として、その判断も理解できる。

 最後に言葉を間違えたのが致命傷となり、患者さんは激怒された、と。

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 私には、問題の薬局の行動が、それほどひどいとは思えない。
ほとんどが、「どうしようもないルール」によって固められている。
最後にそのルールを破っているが、それも患者さんを思えばこそ、だ。
 はっきり書けば、私でも同じコースにはまる可能性はある。

 患者さんの怒りも、理解できる。
じゃぁ、何が問題だったのか、というと・・・
医師の処方ミス・・・は、もう仕方のないこととして(苦笑)
薬局側の配慮だわな。

 待たせてしまう理由を、はっきり言うこと。
待たせっぱなしにするのではなく、声をかけること。状況を伝えること。
やむを得ず返答を待たずに出すのなら、理由もしっかり伝えること。
それができないのであれば、そんな違法行為はしない方が身の為だ。

 おそらく、全てができていなかったわけではないと思う。
たぶん、「ちょっとずつ」配慮が足りなかったんだろうな。
その積み重ねとして、トラブルに発展したんだろう、、と推測。
ヨソの事例だけど、ウチでも大いにありそうなことだから、
ちゃんと、考えないといけないなぁ・・・と思った。

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 ちなみに、問題の処方箋はどうなったか、というと・・・
ウチからは、FAXじゃなくて直接電話で疑義照会した。
 処方箋のどこにもFAXで、なんて書いてないし。
門前の薬局とは「FAXで」と申し合わせがあったのかも知れないが、
ウチとは関係のない話でございます

 直接医師とは話ができなかったが、比較的早い段階でカルテを確認できた。
カルテには、正しい処方(1日2回)が書かれていたという。
(つまり、医師ではなくて事務方の入力ミス)
もう、その時点で疑義照会は終了だ。
 ここまでかかった時間、わずかに3分。w

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 うん・・・同じルールを破るなら、
「疑義照会の返答なしで調剤するな」というルールではなく、
「疑義照会はFAXに限る」というルールを破るべき、ということだ。

 この辺、患者さんに応じて臨機応変やってもいいだろう。
元はといえば、変な処方箋出した病院が悪いんだから、
これくらいのルール破りは許してもらわないと困る。

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疑義照会でキれる。

 最近、仕事中に怒りっぽくなってるなぁ・・・と自覚している。

 私自身も、ふがいない点は大いにあるんだけれども、
周りがあまりにも情けないことをやると、、ね。

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 今日は、とある市立病院に疑義照会を行った。
本来、起床時に服用するはずの薬が、朝食後で処方されていたので。

朝食後に服用すると・・・まず、効果がなくなると考えられる。

.

 ただし、公立の病院は手続きが面倒くさい。
医師に直接話をすることはできないので、とりあえず薬剤部にFAX。

通常、起床時に服用する薬が、朝食後になってます。
 ご確認お願いします
。」

 これに対する返事がFAXで、

前と同じでお願いします。」

 ・・・ぶちきれた。
答えになってないだろうがぁ!!!

 怒りの電話をかけて、薬剤部の担当者に話を聞いたところ、
医師がそのように答えたから、そうFAXした、らしい。

 そんな薬剤部、いらんわ。
っつーか、医師の言葉をそのまま伝えるだけなら、
薬剤師である必要ない。オウムでもおいとけ。

 その担当者は、その処方が適正だと思ったのか、と。聞きたい。
もしそうだとしたら、薬剤師の免許は返したほうがよい。
まったく、どいつもこいつも・・・。

.

 私は、自分自身の評価として、薬剤師としてはかなり下位だと思っている。
実際、他の薬剤師ブログを見ても、私よりも立派な人や、
私よりも勉強熱心な人の方がはるかに多い。

・・・そんな私よりもヘタレな薬剤師が、周りにたくさんいることに腹が立つ。
おまえら、ちゃんと勉強しろよ、と。
そんなんだから、薬剤師の社会的評価はいつまで経っても上がらないんだ。
医療従事者なのに、新型ワクチンからあっさり外されるんだ。

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 結局、担当者は話にならんのでかわってもらった。
なんとか、適正な処方に変えることができたからよかったけど・・・
ムダに疲れたわ。はぁ。

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ケンコーコムの暴挙

 これはもう、暴挙といっていいだろう。
医薬品、健康食品のネット販売大手のケンコーコムが、
事実上、第1類、第2類の医薬品の販売を再開した。

 情報源は、「薬局のオモテとウラ」さん。

http://blog.kumagaip.jp/article/33227522.html

 ここの管理人くま☆さんは「大変残念」という、
大人の対応をしているが。私は、ぶちきれている

 一応、話の流れとしては・・・
「医薬品のネット販売規制」(09/01/07)

 薬事法改正により、一般用医薬品は、リスクにより3種類に区分される。
上から、「第1類」、「第2類」、「第3類」
第1類は、薬剤師の対面販売が義務付けられた。
第2類、第3類は、登録販売者でも販売可能。

 ところが、この区分ができる前は、ネット販売では規制が何もなかった。
事実上の野放し状態だった。そこで、法改正で規制されることになった。
結果、ネット販売では「第3類のみ」とされた。

.

 ところが、ここからネット販売側が盛り返す。
ガスター、リアップなどの1類はともかく、漢方薬やほとんどの風邪薬が
入る2類の販売まで規制されては、売るものがほとんどなくなってしまう。
 消費者の利便性を訴えて、とりあえず「一部例外」を設けた。
すなわち、「今までネットで買っていた人は、継続して購入可能」
また、「離島などに住んでいる人は、購入可能」と。

 実は、この問題は時間制限ぎりぎりまで話し合われた結果、こうなった。
少なくとも、私はこれで決着、とは思っていなかった
まだまだ途中の段階であり、これから利便性と安全性について詰めていく、と。
1類はともかく、2類の販売は条件付で認めるべきじゃないか、と思っていた。

.

 その後、ケンコーコムは、国を相手に訴訟を行っている。
是非はともかくとして、心情は十分理解できる

.

 ところが、、だ。国に対して訴訟を行っている段階でありながら、
ケンコーコムは、またしても法の隙間をつく暴挙に出る。

シンガポールに子会社を作り、「海外からの個人輸入」という建前でもって、
禁止されているはずの第1類、第2類医薬品の販売をはじめたのだ

http://sg.kenko.com/

 しかも、通常はドラッグストアでは販売できない、排卵検査薬まで。
あれは、医療用医薬品の範疇に入るだろうに・・・。

 個人輸入って言っても、売ってるものは日本の一般用医薬品だし。
普通のケンコーコムのサイトと見比べても値段は同じ。
あくまで推測だけど、たぶん、商品はシンガポールにはないんじゃないかな?

 個人輸入であれば、薬事法の規制にはかからない。
つまり、法的には何の問題もない訳で。

 そのかわり、何かおこったら全て自己責任になる、、と書いてある。
でも実際にはどうだろうか?
 商品が、日本で売られているものと全く同じである以上、
それは個人輸入だからダメ、、ってのは、ちょっと考えにくい。

.

 ケンコーコムは、訴訟までおこしたくらいなんだから、
正当な手段でもって、法律を改正する方向で進んで欲しかった。

 今でも、「規制反対の声を上げよう」と言い続けているけど・・・
法の隙間をついて、販売を再開させておいてそれはないんじゃないの?

 小さな企業が、こそこそっとウラでやってることは知ってたけど。
ケンコーコムみたいな大手が、そんなことやっちゃいかんでしょ。
もう、訴訟はどうでもいいんだろうな。

 

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IBSと治療薬

 アステラス製薬がIBSについて宣伝をしている。

http://www.ibsnet.jp/

IBSって略してわかる人間は、いないと思う。
日本語では、「過敏性腸症候群」と言われている。これなら、知ってる人もいるかも。

IBSの定義は、腸に原因となる異常が見つからないのに、
慢性的に腹痛や下痢、便秘をくり返す病気、となる。

 日本人では5から10人にひとりくらいがIBS、と推定されているらしい。
ま、私もそれっぽい症状はあったりするけど。
たいがい、ストレスが原因だと思う。

.

 アステラス製薬は、あくまで「IBSという病気があります。」
「お医者さんに相談したら、よくなるかもしれません。」
というアピールをしているにすぎない。
医療用医薬品の宣伝をしてはいけない、というしばりがあるからして。w

 実際にアステラスが売りたいのは「イリボー」という薬だ。
発売されたのは去年だと思う。今までにないタイプの薬で、
IBSの中でも、お腹がゆるくなる症状の人に効果がある。

 今までにも薬がないわけではなかったんだけれども・・・
直接、下痢を止める薬とか、お腹の調子を良くする薬、とかで。
IBSに直接効果があるかっていうと、ちょっとなぁ、、と。
 そこに出てきたのが、イリボー。

 実は、元は抗癌剤治療の吐き気止めとして使われている成分を
思い切り用量を少なくして使っている。
まぁ、そういうのも今までにないタイプの薬だ。

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 最大の問題点は、(今のところ)女性には使えないという点かな。
元々、IBSの患者は男性の方が多いと思うけど。
女性は、下痢よりも便秘の傾向が強いため、この薬は使えない。

 特効薬というほど強力な効果はないけれども、
従来の治療法と比べると、ずいぶん改善されるんじゃないか、と。

.

 アステラスに限らず、最近はこういう「生活改善薬」が増えている。
放置しても命に関わることじゃないけど、生活の質が下がる、という病気。
 他にも、AGA(男性型脱毛)とか、OAB(過活動膀胱)とか、
あ、ED(勃起不全)もそうか。w
なんで、わざわざ略語を使うのかわからんが・・・。
どれも、医師の処方があればちゃんとした薬がある。

 で、その需要を喚起するために、メーカーがCMを打つ、と。
あざとい気もするけれども、それで生活が改善されるのであれば、
ま、いいんじゃないだろうか。

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口腔内崩壊錠(OD錠)の有用性の裏で。

 つい先日、朝日新聞の記事で口腔内崩壊錠(OD錠)の記事が出ていた。
1ページ近く紙面を割いていたのにびっくりした。
そんな、たいそうなものだったのか、と。w

 OD錠とは、口の中で溶ける錠剤のことだ。
普通の錠剤と違い、簡単に崩壊するように作ってある。
なので、水なしで服用することが可能。もちろん、水で服用しても良い。

 有名なのは、ガスターだろう。
OTCでも、口腔内崩壊錠が市販されている。
医療用では、ガスターD錠。なめてるとミントの味がしておいしい。w

.

 高齢者で、嚥下能力(飲み込む力)が落ちている人にとっては、
OD錠の存在はありがたい。
錠剤しかないような医薬品だと、粉砕するしかなかったんだけど、
OD錠だと楽に服用できる。

 また、胃ろうなどの経管投与の患者さんにとってもそう。
患者さん、というよりは介護者の苦労が減る。
水に入れて、簡単に溶けてくれるので、薬を投与するのが楽。

 薬剤師にとっても、楽。
普通なら、粉砕しなければいけない処方でも、OD錠なら問題なかったり。

.

 ただし、問題点もある。全ての薬にOD錠が存在するわけではない。
高齢者(それも、介護を必要とするような人)なら、薬を数種類のんでる
のが普通。それを全部OD錠でそろえるってのは無理だ。

 まぁ、メーカーは「3つのうち1つでもOD錠なら飲みやすい」
って言うけどね。どうせ、水で服用しなければいけないのは変わらない。

.

 っとここまでが、(おおむね)新聞で書かれていた話。
この記事の流れとしては、「他のメーカーもOD錠を作れ」ってことかなぁ。
服用しやすい製剤は、大歓迎だ。どしどしやってくれ、と。

 話はそんなに単純じゃないよ。(私が書くんだから当たり前)
ここまでは、OD錠のオモテの顔だ。実際は、もちろんウラがある。

.

 メーカーは「患者さんのために」だけ、OD錠を開発しているわけではない。
自社の利益のためにやっている。会社にメリットが大きいんだ。

 1つには、後発品対策だ。

 OD錠が存在する薬のほとんどは、「特許の切れた」医薬品である。

 特許の切れた医薬品は、多くのジェネリック医薬品(後発品)が出る。
つまり、OD錠にすることで、ジェネリック医薬品との差別化ができる。
・・・という理由は、まだ「オモテ」だ。

.

 「ウラ」は、現在の処方箋様式にある。
医師が「後発品変更不可」に印をしていない限り、
薬局では処方されている先発医薬品を、ジェネリック医薬品に変更できる。

 たとえば、アムロジン錠と書かれていて、患者さんがジェネリックを希望すれば、
アムロジンのジェネリックを調剤することができる。

 ところが、「アムロジンOD錠」と書かれていた場合は?
アムロジンOD錠から、アムロジンのジェネリックに変更することはできない。
成分は同じでも、剤形がOD錠と普通錠では異なるためだ。
(実は、この辺グレーゾーン。都道府県によって解釈が異なる。)

 この結果、「OD錠」で処方してもらえれば、
薬局でジェネリックに変更される可能性は低くなる。
ジェネリックでもOD錠を作れるメーカーはあるが、ごく一部だ。

 つまり、「ジェネリックに変えられたくないから」OD錠にするわけ。

.

 現在OD錠の存在する薬は、ジェネリックのある薬がほとんど。しかも、
特許の切れるタイミングに合わせて、OD錠を発売してくることが多い。

 メーカーから「今度、OD錠が発売されます」と聞くと、
「あぁ、そろそろ特許切れるんだな」と反射的に思うくらいだ。w

.

 もう一つの理由として、単純に売り上げが上がる仕組みがある。
多くの薬は、OD錠を出したからと言って、普通錠を販売中止にしない
両方、販売を継続する。
 こうすれば、単独で販売するよりも売り上げが上がる。

 院内で出している病院はともかく、薬局はいろんなところから処方箋がくる。
ある先生が、アムロジンOD錠を使っているといっても、
通常のアムロジン錠の処方が回ってくることもある。
結果、薬局は両方在庫せざるを得ない。当然、総在庫量は多くなる。
薬局の在庫が増えるってことは、メーカーの売り上げが上がるってことだ。

.

 正直、薬局は困っている。
OD錠出すんなら、普通錠を販売中止にしてくれよ、と。
そうでないと、在庫量が膨らむ一方だ。
薬局が困っている分だけ、メーカーが儲けているんだろうな。

 一つ、例を出す。「アムロジン」(成分名:アムロジピンベシル酸塩)の場合、
同じ成分で、別メーカーの「ノルバスク」という薬もある。
アムロジンは大日本住友、ノルバスクはファイザーだ。
本家はファイザーなんだけど、日本では大日本住友が販売している、、のだが、
ファイザーも発売したから、「併売」という状況になっている。

 そこで、大日本住友は独自に「アムロジンOD錠」を出した。
当然、アムロジピンの特許切れをにらんでのことだろう。

 この流れに、ファイザーが後からのった。w
ファイザーも「ノルバスクOD錠」を発売。実はこれは、普通錠とは逆で、
大日本住友が製造して、ファイザーが販売、という形。

 さらに、アムロジピンのジェネリックもわんさか出る。
一部メーカーは、アムロジピンOD錠のジェネリックも出る。

 この結果、薬局の在庫は、

 アムロジン、アムロジンOD、ノルバスク、ノルバスクOD、
アムロジピンの後発品、アムロジピンODの後発品、

 と6種類そろう。実は、それぞれ2規格(2.5mg、5mg)あるので、
下手すれば12種類そろっているはずだ。

.

 OD錠のある薬は、ほとんどがこんな感じになる。
また、調剤過誤も増える。普通錠とOD錠の間違い、とか。
間違えても、健康被害は発生しそうにないんだけれども、
ミスはミス。

 OD錠がそんなに素晴らしいのなら、全部そうすればいい
なんで、中途半端に普通錠も販売を続けるんだ??
「売り上げがあがるから」以外に何か理由あるとは思えない。

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 そういうウラをきれいに隠して、オモテだけを記事にされたから、
ちょっと気になって(正直に言うと、ムカついてw)書いてみた。

 他にも安易な合剤(いつか書くかも)の話もあるけど・・・
大手製薬メーカーは、そういう小手先のつまらないとこで稼ごうとせず、
ばしっと新薬を作って欲しいんだけどなぁ

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